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第3章 ロムズタウンへ潜む聖書篇
第14話 3つの砦、1つの小隊
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私の名はミサキ、ロムズタウンへ到着した世界最強の女の子。
此処がロムズタウン…うーん…石造りの建物が並ぶ、良い街並みだ。
ドンパチが無ければの話だが。
「(到着して早々、銃撃戦に巻き込まれるとは…)」
どうやらマフィアと警察の撃ち合いのようだ…仲が良いと聞いたのだけど…
まぁ悪くなる時もあるってワケね。
とりあえず…撃ち合うのを止めて欲しい、痛いじゃないの。
「いったぁ!?よくも…やったわね!!」
「なんだテメェ!何処の組の…」
「誰でも無いわ!人に向かって銃を撃つんじゃねぇ!!」
こちらへ発砲してきた奴に向かって、拳銃を取り出し、眉間を撃ち抜いた。
まったく…最近のマフィアはそう言う事も教育されてないの?普通、一般人は撃っちゃダメって教わらないの?
とりあえず…終わるまで何処かで休むか…
あの路地裏なんて人っ気が少なくて良いと思う。
「やぁやぁ!見てましたよ!お嬢さん!」
「な、誰よアンタ…」
面倒事は御免だと、路地裏へ避難した…が早々に変な奴が話しかけて来た。
見たところ…この女、悪魔と人間とハーフだろうか?人間にしては肌が青い。
しかし…格好が怪しすぎる…白いTシャツに緑のストライプのネクタイなんて、今ドキ詐欺師ですらもっとマシな身なりをする。
話し方も怪しさ満点だし。
「あんな弾丸が飛び交う中を普通に歩くなんて…タダ者じゃありませんね?」
「もちろんよ。で、なんで私の質問に答えないわけ。」
「これは失礼…アタシはマジコと言います。貴方の名を聞いても?」
「私は…ミサキよ。覚えときなさい。」
この類の悪魔は契約が好きだと聞いた…しかし、名を聞いたくらいでは何も出来んだろう。
だから自分の名ぐらい名乗っても悪い事は起きない。
「ミサキだね?いやぁ…アタシ、君と仲良くなりたいなぁ…」
「仲良く?良いわよ、ヤッツィ―とシャットザボックス、どっちがいい?」
「うーん…クラップス。」
「フッ…気に入った、話は聞いてあげる。」
「そりゃ良かった!じゃあこちらに。」
私はこの変な悪魔の話を聞くことにした、もし敵だったら殺せば良い。
マジコの後を付いて行き、路地裏の方を進んで行くと、とあるバーへ到着した。
中に入れば…なんとも暗い雰囲気のジメジメした内装…客も3人しか居らず、バーテンも見当たらない。
「ようお前等、客人を連れて来たぞ。もてなせよ。」
「ボスの辞書には無茶ぶりという言葉を追加した方が良いケ。」
【バーテンはお前だろ、ボス。】
「………」
このバーに居るのはどうやらこのマジコの手下らしい。
ケッケとうるさいのは右腕が無いカタワの女で人間、ラゲッフ。
純悪魔っぽいのはガンマンのセータイ、男。
そして店の奥で何も言わずにボーっとしてるのが…
「キジハラ、ちゃんと挨拶しろ!」
「………ぉう…」
「キ、キジハラ?それって刀工のキジハラ?」
「そうそう、確かそんな奴の…孫だったかな…」
あそこでボーっとしてるのは病伝キジハラの孫、病伝キジハラ…同名かい。
いや、襲名制なのかもしれない…一応、彼も優れた刀工らしいが…
アル中でいつもあんな感じとのこと…刀工だけあって刀を2本持っている。
大きいのと小さいの…
「なるほど、女にガンマンに剣士ね…ル○ンかアンタは…」
「いや、アタシは怪盗じゃなくてマフィアのボスだよ。」
「ふーん…」
私はカウンターに案内されると、お酒を注いでもらった。
だが…これはビールじゃなくて…よく似た、ただのサイダー…甘い。
「んで…私に何か用?」
「そうそう…君の力を借りたくてね…ウチに入らないかい?」
「はぁ?なんでそんな事しなくちゃいけないの。」
「マフィアとして他の勢力を潰すのは当たり前のことだけどね。」
マジコは私の力を借り、他のファミリーをぶっ潰したいらしい。
さすればチョコの売り上げも良くなって……うん?チョコ?チョコレート?
「チョコ?それって米軍にねだるアレ?」
「それそれ、ギブミ―のアレ。」
「でもただのチョコじゃないケ。」
マジコがカウンターから取り出したのはJAZZと書かれた板チョコ。
包装が汚いので手作りだろうが…大きさも見た目もただのお菓子だ。
だが…このジャズにはヘロインが混入しているらしい。
そのため、値段は1枚5万、10枚から販売しているとのこと。
私はもちろん断った、いらないし金の無駄だ。
「甘い、怪しくない、高く売れるから良い金策でね。」
【だが他の組もやってるワケだ。しかもウチより安い。】
「そのせいで売り上げが落ちちゃってさ…」
「しかも子供もハマって警察も動き出す始末ケ。」
確かに…ここのは高いが、他だと1枚1000円ぐらいで買えると…そうなれば思春期の子は当然、手を出すだろう。
そうなれば警察も黙って無いのも頷ける。
「まぁ話は分かったわ……断る。」
「えぇぇぇ!!そ、そんなぁ…お願いしますよ?ね?ね?」
「ダメダメダメ、私には関係無いし、やらなきゃいけない事があるの。」
私は現在、聖書の暗示を持つ者を探すと言う大事な任務の途中である。
だからこんな奴らに構って、時間を無駄にするのは良くないザンス。
「やらなきゃいけない事って?」
「人探しよ。変な力を持ってる人を探さなくちゃいけないの。」
「変な力?じゃあ…その人を探せば手伝ってくれのかい?」
「ええ…まぁそれなら。」
マジコはそれを聞くと奥から何かのファイルを取り出して探り始めた。
顧客名簿っぽいが………見つからない様だ、他のメンツも知らないと。
それなら此処に居る意味がない…私は行かせてもらおう…だが。
「……暗示…」
「知ってるの!暗示を持つ者を!」
隅っこに居たキジハラが突如、暗示の事だろうと言い出した。
1人だけ心当たりがあるらしい…
「聖書が何とかって……話さ…」
「それよそれ!教えて!それって何処の誰なの!」
「………ボスの命令が無きゃ言えん。」
「えぇ!!マジコ、早くこのキジハラに命令して!」
「手伝ってくれたらね。」
「チクショォォォオォオオ!!」
こうなる事は目に見えていた…だが私はほんの少しの希望に賭けたかったんだ…しかし、どうやらこいつ等の手伝いをしないと、いけないらしい。
しょうがない…やってやろう、どうせすぐ終わる。
なんたって最強の私が付いてるんだから、当然よ。
「……手伝うわよ。」
「よっしゃ!んじゃミサキ、今日からコードネームは…チートで良いか?」
「嫌よ、別に不正に強いわけじゃ無いし…ミサキで良いわ。」
「ふはははは!!ミサキが加わったからには百人力だな!」
私はマジコファミリーに入り、彼女等の戦いに参加する事に。
まず最初に説明を受けた、潰すべきものは3つあると。
1つ目はラーテゲムファミリー、首領のラーテゲムが指揮するマフィアでここら辺で一番、幅を利かせているらしい、チョコの販売も一番だとか。
2つ目はセガッタンファミリー、セガッタンがボスのマフィア…ラーテゲムとは手を組んでいるがちょくちょく、いざこざを起こしている。
3つ目は警察の警備ロボットのテイションズシリーズ。
6体のロボットで構成される特殊部隊で非常に手強い相手…潰して良いの?ソレ…
「まずはセガッタンファミリーを潰そうじゃないか。」
【あそこならドラメーガ辺りが仕留めやすいな。】
「見せしめに殺…何でも良いっす…」
にしてもこのマフィアは色物揃いだ…人数も少ないし。
それはさておき、まずはセガッタンファミリーのドラメーガと言う奴を見せしめに殺すことに…
彼を恨む人物は多いので、いつ死んでも不思議ではないらしい。
「ドラメーガの始末は…」
「私が行くわ。初仕事ね。」
「ならミサキで。」
新人なら仕事を受けるのは普通の事だ…力を見せつけるには絶好のチャンスでもある。
コイツ等との力の差を思い知らせておこう。
「仲間も不要よ。1人で片付けるから。」
【ほう…頼もしいな。先輩困っちゃうぜ、仕事が無くて。】
「此処に居て埃被ってな。銃でも磨きながらさ。」
【よく言うぜチビ。あんまり小さいから目線も合わせらんないな。】
「ケッケ!セータイも言うケ!」
「デカいのも勘弁ね。図体がデカいと良い的よ?」
ちょっとこの悪魔とは仲良くなれなさそうね…物言いが強すぎる。
とりま、この仕事は私が引き受けるとして、奴の居場所を聞いた。
ドラメーガはストリップバーの経営もしているため、そこに良く居る…もし奴を始末したのなら、この組は注目されるし、食い扶持も増える。
「んじゃ、行ってくるわ。」
「良い結果を期待してるよ…ミサキ。」
「へいへい。」
私はバーを出て、そのストリップバーへ向かった。
外の銃撃戦は止んでおり、辺りに散らばるは血痕と死体…あと肉片。
それを警察が片付けているが…特に隠そうともしないし、だれも見ようともしない…この街の住人はほとんど…自分の生きる道しか興味が無いのだから。
「(暗い顔の奴等が多いわね…)」
歩道の上には数々の人や悪魔が居る…だが、全員…浮かない顔である。
地面に座ってガタガタ震えていたり、ゲロを吐いたり、笑っていたり…きっと麻薬中毒者だろう。
私は足を速め、例の店の前へ行くと、入ろうとした。
【ちょっとちょっと!人間の子は募集してないよ、ウチ。】
「………働きに来たように見える?」
【いや…すみません…】
入り口で従業員らしき人物に声を掛けられたが、働きに来たと思われたらしい。
自分はこんな身なりだ、人間以前に身体を売れるほど綺麗ではない。
従業員を黙らせて中へ入ると…此処が普通のストリップバーでは無いと悟った…そうか、あの従業員も人間は募集していないと言っていた。
此処は悪魔や魔族専用の店という事か…気色悪いな。
「(すっげぇ見られてるわ…やっぱり浮くか…)」
当たり前だが、女性、人間、巫女服の3連コンボを満たした自分に客とストリッパーの視線が集まる…速いトコ、ドラメーガを探し出そう。
きっと奥の部屋だ…入りたいが警備が居る…退かすか。
「ねぇ警備さん、ちょっと。」
【…なんだ?】
「アッチの方に居る汚い悪魔、シコッてたわよ。」
【ッチ…何度言ったら分かるんだアイツ…】
咄嗟の出まかせだったが…上手く行ったようだ。
警備の悪魔は罪の無い奴へ近付き、大声で口論すると…外まで連れて行く。
他の警備が見ていない隙に私は素早く、部屋へ入った。
入った先は…部屋というより、裏と言った方が良いだろう、ステージの裏方と呼ばれる場所…ストリッパーや従業員たちが居る。
【わっ…なんだお前…勝手に入るんじゃねぇ!】
「失礼ね、ドラメーガの知り合いよ。」
【な、なんだ…すみません…支配人はこちらです。】
従業員は警戒していたものの、私が嘘をつくと、直ぐに奴の部屋へ案内した。
バカで助かった…本当に。
【支配人、客人が来ています。】
『通せ。』
【では…】
「案内ご苦労ね。」
私を案内した従業員が行ったのを確認すると、部屋の中へと入った。
中に居たのは…予想していた通り、悪魔…低級では無い、結構な高級悪魔…
普通の人間なら手こずるだろう。
【誰だ貴様は?俺の知り合いにお前みたいなのは居なかったハズだが。】
「一度、顔を合わせたらもう知り合いよ。本題に行きましょうか。」
私は懐から拳銃を取り出すと、直ぐに奴へ向けた。
そして、後ろの扉の鍵を閉めた…これで直ぐには入って来れないし、出られない。
【……何処の奴だ?】
「…ラーテゲムファミリーよ。」
【裏切りやがったな…アイツ等め…】
敢えて自分はマジコファミリーとは名乗らなかった、どうせならややこしくして、2つの勢力を潰し合おう…これからコイツは死ぬので意味は無いが。
「死にたく無かったら、この店の権利を私に頂戴。(どうせ殺すけど)」
【……良いだろう。こんな店、すぐガサが入る。くれてやるよ。】
「物分かりが良くて助かったわ。」
【ホラ、早くこの書類にサインしろ。】
机の上にダンッ!と乱暴に置かれた書類へサイン…しようとした。
だはその書類には『ラーテゲムの奴隷になります』と書いてある…おのれ、コイツ、私を騙そうとしている!…待てよ…これって、他人の名前書いたらどうなるんだろう…
好奇心に駆られた私は興味本位で『ギサキ』と書いてみた。
「ホラ。」
【素晴らしい…今日からお前は俺の奴隷だ!!】
「………」
【………】
当たり前だが…何も起きない…起きるはずが無い。
少しの間…気まずい空気が部屋に流れた…
【あれ……奴隷!こっちへ来い!】
「ふぁ~…ねみぃ…」
【な!?何故……あ!貴様!さては自分の名前を書いて無いな!】
「当ったりぃ、良くできたわね。花丸あげちゃう。」
どうやら契約は架空の名前では出来ず、書く者が実際に会っている、そしてその者を指す名前であればあだ名や偽名でも通るとのこと。
そして…通ってしまったらしい…ギサキ、ごめん…
【おのれぇ!!ええい!ギサキ!出て来い!】
「うわぁぁ!?な、なんだ!?ミサキ?ちょっと待って…」
「本当に出て来た…」
ドラメーガがギサキを呼ぶと、本当に彼女はやって来た。
ビショビショで頭が泡だらけなので…お風呂に入っていたっぽいな。
【ギサキ!奴を殺せ!】
「え?嫌だけど。てか寒いよ…うぅぅ…」
「ちょっと、可哀想よ。帰してあげなさいな。」
【黙れ!直接ぶっ殺してやる!!】
奴はギサキを元の場所へ帰すと、大口径の拳銃を抜き、私の眉間を撃ち抜いた。
バジュゥゥウン!!と爆音と共に…私は撃たれた衝撃で仰向けに倒れた…痛い…死んでは無いが…痛い!!よくもやりやがったなこのクソ!!
「何すんのよこのウンコタレ!!」
【ッチ…アレを喰らってくたばらないとは…】
私は起き上がると直ぐに、拳銃で相手をハチの巣にした!
奴はいくら悪魔と言えども…あの数の銃弾には敵わなかった様だ…動かなくなってしまった…いや、動かなくしたと言った方が正しい。
「ふぅ……さて、権利書を頂いて帰りましょうか。」
『おい!中で何やってやがる!』
「(マズイ!さっさと権利書を取って帰ろう!」
扉の外で何かを察したであろう部下達がドアを破ろうとしている!
金庫を殴り壊すと、中からそれっぽいファイルを拝借すると、直ぐに窓から飛び立った!ふぅ…危なかった…もう戻ろう、長居すると怪しまれる。
私はマジコ達が居るバーまで飛んで行った。
つづく(^V^)
此処がロムズタウン…うーん…石造りの建物が並ぶ、良い街並みだ。
ドンパチが無ければの話だが。
「(到着して早々、銃撃戦に巻き込まれるとは…)」
どうやらマフィアと警察の撃ち合いのようだ…仲が良いと聞いたのだけど…
まぁ悪くなる時もあるってワケね。
とりあえず…撃ち合うのを止めて欲しい、痛いじゃないの。
「いったぁ!?よくも…やったわね!!」
「なんだテメェ!何処の組の…」
「誰でも無いわ!人に向かって銃を撃つんじゃねぇ!!」
こちらへ発砲してきた奴に向かって、拳銃を取り出し、眉間を撃ち抜いた。
まったく…最近のマフィアはそう言う事も教育されてないの?普通、一般人は撃っちゃダメって教わらないの?
とりあえず…終わるまで何処かで休むか…
あの路地裏なんて人っ気が少なくて良いと思う。
「やぁやぁ!見てましたよ!お嬢さん!」
「な、誰よアンタ…」
面倒事は御免だと、路地裏へ避難した…が早々に変な奴が話しかけて来た。
見たところ…この女、悪魔と人間とハーフだろうか?人間にしては肌が青い。
しかし…格好が怪しすぎる…白いTシャツに緑のストライプのネクタイなんて、今ドキ詐欺師ですらもっとマシな身なりをする。
話し方も怪しさ満点だし。
「あんな弾丸が飛び交う中を普通に歩くなんて…タダ者じゃありませんね?」
「もちろんよ。で、なんで私の質問に答えないわけ。」
「これは失礼…アタシはマジコと言います。貴方の名を聞いても?」
「私は…ミサキよ。覚えときなさい。」
この類の悪魔は契約が好きだと聞いた…しかし、名を聞いたくらいでは何も出来んだろう。
だから自分の名ぐらい名乗っても悪い事は起きない。
「ミサキだね?いやぁ…アタシ、君と仲良くなりたいなぁ…」
「仲良く?良いわよ、ヤッツィ―とシャットザボックス、どっちがいい?」
「うーん…クラップス。」
「フッ…気に入った、話は聞いてあげる。」
「そりゃ良かった!じゃあこちらに。」
私はこの変な悪魔の話を聞くことにした、もし敵だったら殺せば良い。
マジコの後を付いて行き、路地裏の方を進んで行くと、とあるバーへ到着した。
中に入れば…なんとも暗い雰囲気のジメジメした内装…客も3人しか居らず、バーテンも見当たらない。
「ようお前等、客人を連れて来たぞ。もてなせよ。」
「ボスの辞書には無茶ぶりという言葉を追加した方が良いケ。」
【バーテンはお前だろ、ボス。】
「………」
このバーに居るのはどうやらこのマジコの手下らしい。
ケッケとうるさいのは右腕が無いカタワの女で人間、ラゲッフ。
純悪魔っぽいのはガンマンのセータイ、男。
そして店の奥で何も言わずにボーっとしてるのが…
「キジハラ、ちゃんと挨拶しろ!」
「………ぉう…」
「キ、キジハラ?それって刀工のキジハラ?」
「そうそう、確かそんな奴の…孫だったかな…」
あそこでボーっとしてるのは病伝キジハラの孫、病伝キジハラ…同名かい。
いや、襲名制なのかもしれない…一応、彼も優れた刀工らしいが…
アル中でいつもあんな感じとのこと…刀工だけあって刀を2本持っている。
大きいのと小さいの…
「なるほど、女にガンマンに剣士ね…ル○ンかアンタは…」
「いや、アタシは怪盗じゃなくてマフィアのボスだよ。」
「ふーん…」
私はカウンターに案内されると、お酒を注いでもらった。
だが…これはビールじゃなくて…よく似た、ただのサイダー…甘い。
「んで…私に何か用?」
「そうそう…君の力を借りたくてね…ウチに入らないかい?」
「はぁ?なんでそんな事しなくちゃいけないの。」
「マフィアとして他の勢力を潰すのは当たり前のことだけどね。」
マジコは私の力を借り、他のファミリーをぶっ潰したいらしい。
さすればチョコの売り上げも良くなって……うん?チョコ?チョコレート?
「チョコ?それって米軍にねだるアレ?」
「それそれ、ギブミ―のアレ。」
「でもただのチョコじゃないケ。」
マジコがカウンターから取り出したのはJAZZと書かれた板チョコ。
包装が汚いので手作りだろうが…大きさも見た目もただのお菓子だ。
だが…このジャズにはヘロインが混入しているらしい。
そのため、値段は1枚5万、10枚から販売しているとのこと。
私はもちろん断った、いらないし金の無駄だ。
「甘い、怪しくない、高く売れるから良い金策でね。」
【だが他の組もやってるワケだ。しかもウチより安い。】
「そのせいで売り上げが落ちちゃってさ…」
「しかも子供もハマって警察も動き出す始末ケ。」
確かに…ここのは高いが、他だと1枚1000円ぐらいで買えると…そうなれば思春期の子は当然、手を出すだろう。
そうなれば警察も黙って無いのも頷ける。
「まぁ話は分かったわ……断る。」
「えぇぇぇ!!そ、そんなぁ…お願いしますよ?ね?ね?」
「ダメダメダメ、私には関係無いし、やらなきゃいけない事があるの。」
私は現在、聖書の暗示を持つ者を探すと言う大事な任務の途中である。
だからこんな奴らに構って、時間を無駄にするのは良くないザンス。
「やらなきゃいけない事って?」
「人探しよ。変な力を持ってる人を探さなくちゃいけないの。」
「変な力?じゃあ…その人を探せば手伝ってくれのかい?」
「ええ…まぁそれなら。」
マジコはそれを聞くと奥から何かのファイルを取り出して探り始めた。
顧客名簿っぽいが………見つからない様だ、他のメンツも知らないと。
それなら此処に居る意味がない…私は行かせてもらおう…だが。
「……暗示…」
「知ってるの!暗示を持つ者を!」
隅っこに居たキジハラが突如、暗示の事だろうと言い出した。
1人だけ心当たりがあるらしい…
「聖書が何とかって……話さ…」
「それよそれ!教えて!それって何処の誰なの!」
「………ボスの命令が無きゃ言えん。」
「えぇ!!マジコ、早くこのキジハラに命令して!」
「手伝ってくれたらね。」
「チクショォォォオォオオ!!」
こうなる事は目に見えていた…だが私はほんの少しの希望に賭けたかったんだ…しかし、どうやらこいつ等の手伝いをしないと、いけないらしい。
しょうがない…やってやろう、どうせすぐ終わる。
なんたって最強の私が付いてるんだから、当然よ。
「……手伝うわよ。」
「よっしゃ!んじゃミサキ、今日からコードネームは…チートで良いか?」
「嫌よ、別に不正に強いわけじゃ無いし…ミサキで良いわ。」
「ふはははは!!ミサキが加わったからには百人力だな!」
私はマジコファミリーに入り、彼女等の戦いに参加する事に。
まず最初に説明を受けた、潰すべきものは3つあると。
1つ目はラーテゲムファミリー、首領のラーテゲムが指揮するマフィアでここら辺で一番、幅を利かせているらしい、チョコの販売も一番だとか。
2つ目はセガッタンファミリー、セガッタンがボスのマフィア…ラーテゲムとは手を組んでいるがちょくちょく、いざこざを起こしている。
3つ目は警察の警備ロボットのテイションズシリーズ。
6体のロボットで構成される特殊部隊で非常に手強い相手…潰して良いの?ソレ…
「まずはセガッタンファミリーを潰そうじゃないか。」
【あそこならドラメーガ辺りが仕留めやすいな。】
「見せしめに殺…何でも良いっす…」
にしてもこのマフィアは色物揃いだ…人数も少ないし。
それはさておき、まずはセガッタンファミリーのドラメーガと言う奴を見せしめに殺すことに…
彼を恨む人物は多いので、いつ死んでも不思議ではないらしい。
「ドラメーガの始末は…」
「私が行くわ。初仕事ね。」
「ならミサキで。」
新人なら仕事を受けるのは普通の事だ…力を見せつけるには絶好のチャンスでもある。
コイツ等との力の差を思い知らせておこう。
「仲間も不要よ。1人で片付けるから。」
【ほう…頼もしいな。先輩困っちゃうぜ、仕事が無くて。】
「此処に居て埃被ってな。銃でも磨きながらさ。」
【よく言うぜチビ。あんまり小さいから目線も合わせらんないな。】
「ケッケ!セータイも言うケ!」
「デカいのも勘弁ね。図体がデカいと良い的よ?」
ちょっとこの悪魔とは仲良くなれなさそうね…物言いが強すぎる。
とりま、この仕事は私が引き受けるとして、奴の居場所を聞いた。
ドラメーガはストリップバーの経営もしているため、そこに良く居る…もし奴を始末したのなら、この組は注目されるし、食い扶持も増える。
「んじゃ、行ってくるわ。」
「良い結果を期待してるよ…ミサキ。」
「へいへい。」
私はバーを出て、そのストリップバーへ向かった。
外の銃撃戦は止んでおり、辺りに散らばるは血痕と死体…あと肉片。
それを警察が片付けているが…特に隠そうともしないし、だれも見ようともしない…この街の住人はほとんど…自分の生きる道しか興味が無いのだから。
「(暗い顔の奴等が多いわね…)」
歩道の上には数々の人や悪魔が居る…だが、全員…浮かない顔である。
地面に座ってガタガタ震えていたり、ゲロを吐いたり、笑っていたり…きっと麻薬中毒者だろう。
私は足を速め、例の店の前へ行くと、入ろうとした。
【ちょっとちょっと!人間の子は募集してないよ、ウチ。】
「………働きに来たように見える?」
【いや…すみません…】
入り口で従業員らしき人物に声を掛けられたが、働きに来たと思われたらしい。
自分はこんな身なりだ、人間以前に身体を売れるほど綺麗ではない。
従業員を黙らせて中へ入ると…此処が普通のストリップバーでは無いと悟った…そうか、あの従業員も人間は募集していないと言っていた。
此処は悪魔や魔族専用の店という事か…気色悪いな。
「(すっげぇ見られてるわ…やっぱり浮くか…)」
当たり前だが、女性、人間、巫女服の3連コンボを満たした自分に客とストリッパーの視線が集まる…速いトコ、ドラメーガを探し出そう。
きっと奥の部屋だ…入りたいが警備が居る…退かすか。
「ねぇ警備さん、ちょっと。」
【…なんだ?】
「アッチの方に居る汚い悪魔、シコッてたわよ。」
【ッチ…何度言ったら分かるんだアイツ…】
咄嗟の出まかせだったが…上手く行ったようだ。
警備の悪魔は罪の無い奴へ近付き、大声で口論すると…外まで連れて行く。
他の警備が見ていない隙に私は素早く、部屋へ入った。
入った先は…部屋というより、裏と言った方が良いだろう、ステージの裏方と呼ばれる場所…ストリッパーや従業員たちが居る。
【わっ…なんだお前…勝手に入るんじゃねぇ!】
「失礼ね、ドラメーガの知り合いよ。」
【な、なんだ…すみません…支配人はこちらです。】
従業員は警戒していたものの、私が嘘をつくと、直ぐに奴の部屋へ案内した。
バカで助かった…本当に。
【支配人、客人が来ています。】
『通せ。』
【では…】
「案内ご苦労ね。」
私を案内した従業員が行ったのを確認すると、部屋の中へと入った。
中に居たのは…予想していた通り、悪魔…低級では無い、結構な高級悪魔…
普通の人間なら手こずるだろう。
【誰だ貴様は?俺の知り合いにお前みたいなのは居なかったハズだが。】
「一度、顔を合わせたらもう知り合いよ。本題に行きましょうか。」
私は懐から拳銃を取り出すと、直ぐに奴へ向けた。
そして、後ろの扉の鍵を閉めた…これで直ぐには入って来れないし、出られない。
【……何処の奴だ?】
「…ラーテゲムファミリーよ。」
【裏切りやがったな…アイツ等め…】
敢えて自分はマジコファミリーとは名乗らなかった、どうせならややこしくして、2つの勢力を潰し合おう…これからコイツは死ぬので意味は無いが。
「死にたく無かったら、この店の権利を私に頂戴。(どうせ殺すけど)」
【……良いだろう。こんな店、すぐガサが入る。くれてやるよ。】
「物分かりが良くて助かったわ。」
【ホラ、早くこの書類にサインしろ。】
机の上にダンッ!と乱暴に置かれた書類へサイン…しようとした。
だはその書類には『ラーテゲムの奴隷になります』と書いてある…おのれ、コイツ、私を騙そうとしている!…待てよ…これって、他人の名前書いたらどうなるんだろう…
好奇心に駆られた私は興味本位で『ギサキ』と書いてみた。
「ホラ。」
【素晴らしい…今日からお前は俺の奴隷だ!!】
「………」
【………】
当たり前だが…何も起きない…起きるはずが無い。
少しの間…気まずい空気が部屋に流れた…
【あれ……奴隷!こっちへ来い!】
「ふぁ~…ねみぃ…」
【な!?何故……あ!貴様!さては自分の名前を書いて無いな!】
「当ったりぃ、良くできたわね。花丸あげちゃう。」
どうやら契約は架空の名前では出来ず、書く者が実際に会っている、そしてその者を指す名前であればあだ名や偽名でも通るとのこと。
そして…通ってしまったらしい…ギサキ、ごめん…
【おのれぇ!!ええい!ギサキ!出て来い!】
「うわぁぁ!?な、なんだ!?ミサキ?ちょっと待って…」
「本当に出て来た…」
ドラメーガがギサキを呼ぶと、本当に彼女はやって来た。
ビショビショで頭が泡だらけなので…お風呂に入っていたっぽいな。
【ギサキ!奴を殺せ!】
「え?嫌だけど。てか寒いよ…うぅぅ…」
「ちょっと、可哀想よ。帰してあげなさいな。」
【黙れ!直接ぶっ殺してやる!!】
奴はギサキを元の場所へ帰すと、大口径の拳銃を抜き、私の眉間を撃ち抜いた。
バジュゥゥウン!!と爆音と共に…私は撃たれた衝撃で仰向けに倒れた…痛い…死んでは無いが…痛い!!よくもやりやがったなこのクソ!!
「何すんのよこのウンコタレ!!」
【ッチ…アレを喰らってくたばらないとは…】
私は起き上がると直ぐに、拳銃で相手をハチの巣にした!
奴はいくら悪魔と言えども…あの数の銃弾には敵わなかった様だ…動かなくなってしまった…いや、動かなくしたと言った方が正しい。
「ふぅ……さて、権利書を頂いて帰りましょうか。」
『おい!中で何やってやがる!』
「(マズイ!さっさと権利書を取って帰ろう!」
扉の外で何かを察したであろう部下達がドアを破ろうとしている!
金庫を殴り壊すと、中からそれっぽいファイルを拝借すると、直ぐに窓から飛び立った!ふぅ…危なかった…もう戻ろう、長居すると怪しまれる。
私はマジコ達が居るバーまで飛んで行った。
つづく(^V^)
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