【R18作品】善悪虐殺伝「ミサキ」

蛾脳シンコ

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第2章 エンジャラスバレーに眠る彫刻篇

第12話 雪月風花

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私の名はミサキ、世界最強の女の子。
今ちょっと…いや、かなりヤバめな状況に瀕している。
私は早くゲームを終わらそうと、ナジィード家とジョゴン家を壊滅させた。
しかし…その事がルミリィにバレ、彼女は兄のアルツォにもその事を伝えた。

「何故そんな事を…人を殺して何とも思わないのか!」
「当たり前よ、自分以外の生命を奪うのは当たり前の事よ。」

食事だって呼吸だって飲水だって…どれも大量の生命が失われている。
人を殺すのではない、生命を途切らせると言えば良い…罪は無い。

『あ、悪魔よ…人間じゃ無いわ…』
「今更遅いわ、そんな事も見抜けなかったの?」
「こ、この!ルミリィには手を出すなよ!」

アルツォは立ち上がり、猟銃を私へ向けた…そんな事は無駄だと分かっていながらも。
昨日、私は撃たれたが…痛い以外に何も感じることは無かった…そりゃビックリもしたけども…それでも銃は効かないと知っているハズだ。

「それを降ろしなさい、いくら死なないと言っても不快な気持ちになるわ。」
「くっ…こ、この…」
「それに…効かないのは知っているハズよ。」

私がそう言うとアルツォは銃を降ろして、席へ着いた…それで良い。
銃口を向けられていい気持ちになる奴なんてこの世に少ないだろう。
(もし居るとしたら、よっぽどの変態だと思う)

「な、何を…企んでいるんだ…」
「分からないの?これを終わらせるのよ、私は急いでるの。」
『だからって…』
「あのね?このままでもいつか死ぬの…だったら…今殺せば良いじゃない。」

どうせ最後の家族になるまで誰かが死んだり変貌するんだ、良いじゃないか。
私が殺せばこの家族…アルツォとルミリィは生還が可能。
何もおかしいことは無い…少々人道から外れているが…それぐらいだ。
夜も眠れるだろう。
そんな事を思っていた矢先…戸を物凄い勢いで叩く者が1人…

「……出なよアルツォ、客人よ。」
「…だ、誰だ…」

扉の奥から聞こえてきた声は…

『私よ!ムニマジアよ!早く入れて!』
「待ってろ、今開ける。」

どうやらムニマジアの様だ…アルツォが戸を開けると入って来たのは、右腕から出血しているムニマジアであった…
それを見たルミリィは少し笑った。

「な、何が…」
「ぐぅぅ…ラブンダーが…」

彼女の話を聞いたところ、ボンデベラ家の妻、ラブンダーの仕業らしい。
元々のストレスに義母であるナーグスの認知症、それに殺人の不安が重なり…発狂したと…そして外に居たところを襲われ、怪我をしたらしい。
アルツォは彼女を私が寝ていたソファに座らせ、治療しようとした。
しかし…

「ムニマジア!!出て来い!ぶっ殺してやる!」
「ヒィィ…き、来た…」
「ラブンダーさん…大分気が立ってるな…」

カッターナイフを持ったラブンダーがこちらへゆっくり踏みよって来ている。
歩き方を見るからに…足を負傷している…捻挫かな?
ちなみに私は完全に蚊帳の外だ…ルミリィもね。

「ラブンダーさん、お引き取り願いたい。」
「アルツォ…!そこを退け!!ムニマジアを…あのアバズレを出せ!!」
「すみません…」
「な、何を…じゅ、銃なんて…」

アルツォはラブンダーへ猟銃を向けると彼女はすっかり大人しくなった。
当たり前だ、カッターナイフがライフルに勝てるハズが無い。
例えるとするならばフルパワーフ〇ーザVSラデ〇ッツみたいなもの。
(ドラゴン〇ールファンの皆様、本当に申し訳ございません。)

「こんの……クソガキャァァ!!」
「……」
「がふぅあ!!うぅうう…うぅぅぅぅぅうう…」

アルツォは一切の躊躇も無しに彼女へ発砲した…スパァン!と乾いた音が響く…
ライフル弾はラブンダーの右脇腹を直撃し、彼女は衝撃で仰向けに倒れ込んだ、しかし…まだ動いて、アルツォに睨みを効かせる。

「ひ、人殺しめ…」
「黙れよ。」

そう言って弾丸を装填すると…今度はラブンダーの額へ弾を発射した。
彼女は「ごぉッ」と変な声を出して絶命した…そして2発の発砲音は他の生存者たちの注目を集めるには十分過ぎた。

「ふぅ……おいムニマジア、治療するから奥の部屋へ行こう。」
「え、ええ…分かったわ。」
『…ッチ……』
「(大分荒れてんなぁ…この家………私のせいか。)」

ムニマジアとアルツォは奥の部屋へ入って行った…しかしルミリィの怒りは頂点だ。
こりゃヤバいな…と思っていた矢先、ルミリィは玄関、横の散弾銃を取り、アルツォの部屋の扉を撃ち飛ばした!これは面白い展開になって来たぞ!
私は蚊帳の外で観戦する事に…

「ど、どうしたルミリィ!」
『この……ぐぁ!!このクソッタレ女ァ!!」
「ッキャアアアア!?」
「死ねぇ!!」

なんとルミリィは顔の包帯をベリベリ剥がすと、爛れた顔を露わにし、銃口を2人へ向ける…いや若干、ムニマジア寄りだから彼女を殺す気だ。
言わなくとも知っていた展開だな。

「お、おお…落ち着きなさいルミリィ…ね?銃を置いて…」
「黙れ!兄様から離れろこのクズ!」
「やめろルミゼント!」
「だ、誰かこのき〇がいを止めてぇぇ!!」

ルミリィは、怯えて逃げようとするムニマジアの顔面に散弾を撃ち込んだ。
バッギャァッ!と肉が弾ける音がすると、色々な物が飛び散り、ムニマジアは死んだ。
人殺しと私の事を言っておきながら…この兄妹、早速人を殺しているじゃない。
よく私の事を非人道的だなんて言えたものだ。

「ル、ルミリィ…何を…」
「黙れ!アルツォ!もうお前に従うのは止めだ!」
「ミサキ!止めてくれ!」
「気になるから放置しとくわ。」

私はこのまま見る事にした、だって面白そうじゃない?

「アルツォ…お前は生かしといてあげる…そこに居ろ!」
「ルミゼント…い、良いのか…そんな口を聞いて…」

ルミゼントは散弾銃で猟銃を撃ち抜き、破壊した…ついでにアルツォの右手も巻き込み、重傷を負わせる…アレは痛そう…指先は神経が集中しているからね。

「あぐぁ…ごの……俺の…手を…」
「ミサキ、付いて来て。」
「何処に?なんで?」
「良いから付いて来るの!!」
「は、はい…」

彼女の気迫に圧倒され、私は鍵が掛かった地下室までついて行くことにした。
一応、白鞘を持って行った…武器が無いと安心できない。
そしてルミゼントは錠前を開け、2人で地下室まで降りて行くと…

「こ、これは…化け物が…地下に…誰よコイツは…」
「ルミリィよ。アルツォの本当の妹。」
「はぁ?ルミリィはアンタでしょ。」
「私はルミゼント…全然違う他人よ。」

そこに居たのは、鎖で繋がれ、口を縫われた化け物…
ルミゼントが言うには、この化け物こそがルミリィであり、ルミゼントは元々アルツォの友達らしい。
そしてある日の吹雪、ルミリィが化け物へ変貌したが…アルツォは現実を受け入れずに地下へ監禁、そして名前が似てるからという理由でルミゼントが代わりをさせられていたと。
(ひどい展開…)

「なんで従うのよ。」
「皮膚病の薬を没収されているの…」
「ふーん…じゃ、薬を取り戻したらアイツ殺すの?」
「いや…もう遅いわ…私達は死ぬのよ…ミサキも…私も…」
「な、なんで…私まで…」
「昨日のシチュー…あれに化け物の肉が入ってるわ。」

やっぱり昨日のアレは…気のせいでは無かったのだな…
あの肉を食すとジワジワと身体中に毒が回り、やがて死ぬらしい。
なんとも…何と言うか…変な設定だ。

「だけど私は…毒なんかで死なないわ…自分で死にたいの…」
「あ、そう。どうぞご勝手に。」
「ミサキ、アンタは毒で死ぬ気?」
「いや私は死なないから。肉は捨てたし、食べても死なないと思う。」

私の話を聞いた彼女はため息をついて…銃口を己の額に向けた。
うーん…ここで殺して良いのだろうか…だがどうしようもないし…見送ろう。
生まれるのも勝手だが、死ぬのも人の勝手だからね。

「それじゃ…さよなら………がぅあ!?だ、誰…」
「アルツォ!!」
「はぁ…よくも…俺の手を撃ちやがって…」

その時、ルミゼントの身体は後ろから刺された…犯人はもちろんアルツォだ。
右手がグチャグチャになりながらも…キッチンナイフを持って此処までやって来たようだ…ルミゼントは銃を何もない場所へ発砲すると…そのまま亡くなってしまった。
私は白鞘を抜いて構えたが…素手で充分かもしれない。

「ミ、ミサキ…お前は分かってくれるよな?理解してくれるよな?」
「近寄らないで変態、私の前で息しないで、存在しないで。」
「チクショウ…こ、殺してやる…ぶ…ぶっ殺して…やる!!」
「どうやって?」

アルツォが持っているのはキッチンナイフ、こちらが持っているのは白鞘。
これは爪楊枝と御柱みたいなもの…勝ち目は無いね、2秒で殺せる。
だけど…ただ殺すだけでは面白くない…コイツには妹の責任も負ってもらおう。
私は白鞘で化け物を縛っていた鎖を断ち斬り、口の糸を解いた。
化け物は…私に向かって襲う事なんてしない…なぜなら…もう居るから…標的がな!!

【オッゴォ!!ンギュギゴォォォ!!】
「うわぁああ!!ぐぁああ!!ほうあぁか!!助けてくれ!ミサキ!!」
「………」
「た、助け…」

化け物は実の兄であるアルツォの足へ真っ先に喰らい付いた。
ベギベギと骨と肉を咀嚼する音が聞こえて来る…よほど空腹なのだろう。
当然…アルツォは私に救いを求めて来たが…冷たい目を浴びせるとそれが無駄な事で…自分がどうなるかをよーく分かっただろう。

「あああ!!うわぁああああ!!んっぐぉ!!んんん!!」
【ギョッゴギィ…】
「うぇぇ…最悪ね…」

ルミリィはアルツォを完全に飲み込んだ…中からは彼のくぐもった声が響く。
彼はさておき、ルミリィをこのまま生かしておくのは可哀想だと思い、刀を向けた…化け物は特に…何もしなかった…死を受け入れるのだろう。
もしかしたら…自我があるのかもしれない…少しは。

「フンッ!」
【ぐっごぉぁあ!】
「………中の奴もついでに刺しちゃったわ…」

刀を突き立てると、刃はズブズブと深く刺さり…中のアルツォまで到達した。
大好きな妹と一緒に死ねるんだ…ありがたく思え。

「さぁ…もうこうなりゃ他の奴等も皆殺しだ…」

そうと決まれば善は急げ!すぐに階段を昇ったが…
私は何か…焦げ臭い嫌な匂いを感じ取った…急いで上へ行くと、アルツォの部屋が燃えている!アイツめ!最後の抵抗に私を丸焼きにしようと企んだな!
しかし火の回りは遅い…今のうちに去ろうとしたが…

「あ、アレは…ガスタンク!!なんであんな所に…!!」

アルツォの部屋にはガスタンクが置かれている!マズイアレが爆発したら流石に…
・・・

「はぁ…はぁ…うぅぅう…ハッ!」

目を覚ますと、私は雪上に横たわって空を見上げていた。
爆発した時に意識でも無くなったか?と思っていたのだが…無くなっていたのは意識では無い、街だ……エンジャラスバレーは見るも無惨に廃れていた。
廃墟だらけの街と言えば良いのだろうか…街の看板もボロボロだ。

「ど、どうして……足元に何か…うわぁぁ!?」

状況が飲み込めずに立とうとすると、足元に何か転がっていた。
ソレは…生首!焦げてボロボロの生首であった…こ、これが…天使の首?
だとしたらますます理解が出来ない…ひとまずこの首は破壊しておくか。
私は首を両手で押しつぶすように木端微塵にした。

「そうすると紙に色が…付いた!何故!?」

紙の六芒星の一角、彫刻の部分が黄色に染まった。
い、意味が分からない…もしかして私が見ていたのは…幻?それとも夢?
それか両方の幻夢か…うわぁぁああ!!もうわけが分からないよ…

【ヘイ、お嬢ちゃん、こんな所でキャンプか?】
「え?いや…この街は?」

しばらく唖然としていると、空から通りすがりのガーゴイルが降り立って来た。
此処にあった街は?と聞くと…随分前に怪死事件が相次いで廃れたと言った…も、もしかして…いや…

「ハハハ…アハ、アッハハハハハ!!」
【おい?大丈夫か?脳に雪でも入ったんじゃないか?】
「アハハハハ!!……はぁ…帰る。」
【そうした方が良いぜ。】

ヤバイ!こんな所に1秒も居たくない!
私はすっかり怖くなってその場を逃げるように後にした。
早く教会に行こう!

つづく(投げやりでごめんなさい)
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