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第2章 エンジャラスバレーに眠る彫刻篇
第10話 参加者たち
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私の名はミサキ、エンジャラスバレーのゲームに参加する女の子だ。
あと…世界最強を名乗れる程の力を有している…雇われの殺し屋をしている。
現在、奇妙な街で出会った男、アルツォの家に居る。
「ミサキ、誰が訪ねて来ても確認するまで開けてはダメだ。」
「分かってるわよ。ロクな奴が来ないんでしょ?」
「その通り。誰か来たらルミリィが出る。」
アルツォはそう言うと、バッグの中から盗んで…持ってきた物を棚に仕舞う。
肉みたいなヤツとかジャガイモ…あとは酒、酒、アルコール…まぁ酒だ。
酒は飲むだけでは無く、アルコール洗浄にも使えるので大事らしい、しかし洗浄に使える酒はウィスキーなどのアルコール度数が高い蒸留酒だ。
ちなみに飲めば…多少の痛みは和らぐらしい。
「さて…肉は地下に仕舞って来るから…絶対に開けちゃダメだよ?」
「分かってるって。私は此処でルミリィと一緒に居るわ。」
「それならいい。ルミリィ、そろそろ友達は作った方が良いぞ。」
『はい。』
彼が地下室へ向かったので…この部屋に取り残されたのは…私とルミリィだけ。
彼女は無口なのだ…それに顔面の包帯に血が滲んで痛そうだ。
興味が沸いた私は失礼を承知で聞くことに。
「なぁ…ルミリィ?で良いかしら?」
『かまいませんわ。』
「その…顔、どうしたの?」
『皮膚病です。生まれつき酷くて…包帯を巻かないと血が出てしまいますの。』
「それは…ご愁傷様…聞いてごめん。」
だがルミリィは『気にしないで』と言ってくれた…良い人だ。
それよりも彼女の視線は私の腰…つまり白鞘へ向いている。
「刀が気になるの?」
『あ、その…すみません…』
「良いよ別に。見て見なよ、ホラ。」
『ありがとうございます。』
私はルミリィに白鞘を渡すと…彼女は少しソレを抜き…まじまじと見た。
青く光る刀身、斬りまくったのに一切の曇りも無い刃、綺麗で軽い木材で作られた鞘。
どれを取っても…この白鞘は完璧と言えるものだった…素人が見ても。
『美しい…まさに芸術品ですわ…』
「刀、好きなの?」
『ええ…刃物全般は好きです。特にこのような刀は美しい…』
彼女は鞘を最後まで抜き、刃をじっくりと眺める…その瞳には好奇心の光が灯っている…そしてまた収めようとした時、ルミリィの顔色が変わった。
生気もほんのわずかに揺れている。
「どうかしたの?」
『こ、これは…キジハラの物ですね…』
「キジハラ?誰だソレ…」
『有名な刀工ですわ。彼が造り出す刀は…どれも名刀です…』
そのキジハラと言うのは刀を使う者では知らぬ者は…多く居る刀工。
まさに知る人ぞ知ると言った職人であり、彼の打つ刀は剣士にとっては宝…らしい。
私はそれを殺して奪ったと言う事になるが…まぁ良いでしょう。
逆にそんなに珍しい物なら持っていて良かった。
ルミリィは白鞘を静かに収めると、こちらへ返した。
『こんな凄い刃物…首狩りの鉈依頼ですわ。』
「首狩りの鉈?」
『とある少女が持っていた物です。確か…首狩り族の…物でしたか…』
「そ、それってまさか……待て、名は分かる?」
『確か…リンヤ、だったと思います。』
やっぱりリンヤだったか…まぁあの子の鉈って凄いもんなぁ…
植物をバッサバッサと切り倒し、首をスパン!と斬ってしまう程の鋭利さ。
本人の技量もあるが…あの鉈は確かにスゴイ…でも…始めて出会った時にアレで首を斬られそうになったのだが…正確に言えば,られそうでは無く。
なったのだ、斬られたが…効かなかった…私には。
「あぁ…知り合いだなソレ。」
『まぁそれは…世界は狭いですね…』
「今度会ったら言っとくよ。」
私は白鞘を受け取ると、腰に携えずに座っているソファへ立て掛けた。
もうそろそろアルツォが来るだろう…と思っていたその時、ドアを誰かが叩いた。
「………」
『………』
私とルミリィは黙って…行動に移した。
自分は白鞘を構えて、ルミリィは散弾銃を手に取り、ドアの横の窓から外を見る。
どうやら…知人らしいが…
『誰ですの?』
『ルミゼントか…私だ、ムニマジアだ。』
ムニマジア…確かガッデマン家の長女だったか…ルミリィとは知り合いの様だ。
彼女は散弾銃を構えながら、ドアのチェーンを付けたまま、開ける。
『何の用です?』
「アルツォに用がある。分かるだろ?…なんだ、先客が居るのか?」
『彼女はミサキで旅人よ。貴方とは違うの。』
「へっ良く言うな。お前だって私と同じさ。」
『ッ!黙れ!お前の顔面に撃つぞ!!』
ルミリィとムニマジアは…あまり良い仲には見えないな。
私はそんな光景を黙って見ていた…何か問題を起こすと面倒になるからだ。
ムニマジアが来た理由は分からないが…アルツォに用が有る様だな。
「ムニマジアか?通せ。」
『兄様……分かりました……ッチ…』
「最初からそうしてもらいたいわ、全く。」
アルツォはいつの間にか地下室から戻っており、彼が通せと言ったので…ムニマジアは家の中へ入って来る。
彼女の顔は…何と言うか、普通だ…良くも悪くも一般人だ。
アルツォの元へ行くと思ったのだが…彼女は私の所へやって来た。
なんだよ…と思いながら…黙って見ていたのだが…
「…アンタ、胸無いわね。」
「な!気安く触るな!」
「ムニマジア、彼女に触るな。ミサキは客人だ。」
「フフ、分かってるわよ。さぁ行きましょ?」
彼女はアルツォと奥の部屋へ行った…何をするのだろうか…
一方でルミリィは…ドアを閉め、散弾銃を扉の横へ置いて…ぎこちない動きで椅子へ座った。
『はぁ…』
「なぁルミリィ…彼女は何なんだ?」
『アイツはムニマジア、淫売女ですわ。兄様とセックスする代わりにお金や物資を得ているの…本当に汚くて…最低の女です。』
「そうなの…」
そんな奴に…ルミリィは…心底嫌そうな目つきをして…奥の部屋を見た。
部屋からチュプチュプと言った液体の様な音や…生々しい音、夜伽声が聞こえる。
まぁよくも…私や妹が居る家で出来るな…
「……ちょっと出かけて来ても良いかな?」
『!…駄目ですわ!外は危ないですし…』
「私なら平気だよ。ドアはマズいから…私は煙突から出て煙突から入るよ。」
私は出掛けることにした…どうにもこの街を知っておきたいのだ。
煙突から出入りすれば良いだろう、私は飛べるし、煙突も小柄な人間が1人入れるぐらいの大きさだし…問題はない。
慌てるルミリィに行って来るとだけ伝え、私は煙突から外へ出た。
そのせいで…服は黒いが…勢いよく回れば落ちる。
「小さな集落ね…まぁそれも納得できるわね。」
自分はもうちょっと上へ飛んで街を見下ろそうとした…が。
「あだ!?な、なによ…」
なんだ…空に天井が?そう思ったが…違う、これは天井では無い!地面だ!
私はいつの間にか地面へ頭を向け、落ちていたのだ!何故だ!?
待て…ちょっとめまいがしただけかもしれない…もう1回上へ飛んでみよう。
「ビューン!飛んで…下を見れば地面が…」
無い、私の足元に広がるは…くすんだ空!そして頭上には硬い地面!
何故…まさか、逃げられない?いや、そんなハズは…だったら街の外へ出てみよう。
今度は町の外に向かって、カッ飛んだ!流石に前を向いていれば良いだろう!
しかし、街の外へ出ても…見えるのはくすんだ霧のみ…何処を見ても霧だけ。
「随分と進んだハズだが…」
後ろを振り返ってみれば…とっくの内に過ぎたはずの…街の入り口に居た。
ハハハ、やっぱり逃げられないみたいね…最強の名が廃るってもんだけど…
良いだろう、このゲーム…参加してやろう…しかし!勝つのは私だけどね!
自分は…アルツォ家へ戻る前に…他の連中にも声を掛けることにした。
まずはこの家…ポストを見るからにナジィード家だな。
「すいません!ちょっと!」
『だ、誰ですか!何しに来たんですか!』
「怪しいもんじゃ無いわよ。挨拶しに来ただけ。」
『あ、挨拶?』
ドアが開くと…中から出て来たのは牛刀…つまり包丁を持った男だった。
この人がナジィードと言うらしい…初対面の人に向かって包丁を向けるとは…まぁ事態が事態だし、しょうがないか。
「誰ですか貴方は…見ない顔ですが…」
「旅人のミサキよ。参加する事になったからシクヨロってこと。」
「そ、そうですか…私はナジィードです………それじゃ。」
ナジィードはそう言うと、直ぐに戸を閉めてしまった…余程怖いのだろう。
私にはこういうことに対する恐怖はあまり無いので…奴らの事は分からない。
だけど、いつ死ぬか分からないという時こそ、人間は残酷に、恐ろしくなれるのだ。
私は次なる家へ行き、戸を叩いた…此処はボンデベラ家だな。
「はい?どちら様で?……これはお嬢ちゃん、何処から?」
「お嬢ちゃんって…私はミサキ…貴方は…」
「ナーグスと申します。」
「(ボンデベラの母親か…)」
ナーグスは異様に明るく、そして…何と言うか能天気な感じだ。
私が旅人と言っても…「まぁそうなの」としか言わない…そして…
外から見える部屋の奥には頭を抱えた夫婦が暗い部屋で座っていた。
あの2人こそがボンデベラとラブンダー夫妻かぁ。
「それで…お嬢ちゃんは何処から来たの?」
「遠い所よ。山から来たの。」
「へぇ~そうなの…で?何処の娘さんかしら?」
「旅人よ。」
「それは…で、お嬢ちゃんの名前は?」
「ミサキよ…ミサキ!ミサキです!」
その後もナーグスは何度も…何処から?何処の娘さん?名前は?を繰り返した。
しかも挙句には…
「ねぇボンデベラ?ガッデマンさんの家の子が来たわよ。」
「もう…ミサキだってば!ちゃんとしてよ!」
「私はちゃんとしてるわよ…もう…もう…何度も…」
話が通じないと悟った私は…その場を後にした。
あのお婆さんは…ダメだな、と思いつつも…今日は一旦帰ることに。
帰る時も煙突からだ、私しか通れないし、入れない。
私はもぞもぞと…ゆっくり、煙突を通って中へ入ったが…
「(ふぅ…煤だらけ…)」
『ん…んぅ…』
「ル、ルミリィ?」
『キャァァ!?いや…あ、こ、こん…』
部屋の中ではルミリィが居たが………その、自慰に励んでいた様だ。
悪い事をしてしまった…
「すまない、その…邪魔して…」
『いえ、私も…あぁ!その…ごみんなさい…んう…』
頼むから話すときは手を止めようよ…と言いたかったが、ソレは本人の勝手だ。
ルミリィは最後までやって良いですか?と…律義に聞いて来たので…
私はもちろん、「良いよ」と答えたら…本当に始めやがった…いや、始めたと言うよりかは…続けたと言った方が正しいかもしれない。
「(よくやるなぁ…兄も妹も…)」
『あぁ…んぎぃ……いゃ…見ないで…うっ…うぅぅ…』
見ないでと言っているが、私は恐ろしい程に目が離せなかった。
ルミリィの秘所に指があてがわれる度に彼女の身体弓の様にしなり、苦しそうな声を漏らす………この描写、大丈夫なのだろうか…アルファポリスのR18って初めてだから…基準がよく分からない。
ええい!もしダメだったら消せば良いだけ!このまま書くしかない!
「(自慰ってああやってやるのか…)」
『や、やめて…そんなに……んぅう!!見ないで!ひゃぁぁ!!…はぁ…はぁ…』
「(今のは…果てた…で良いのか?)」
彼女はビックン!と身体を反り、しばらくちょっとビクビクしながら…落ち着いた。
男はともかく、女が”イク”ところを見たことが無いので…分からない。
まぁ…やり切った感があるので…終わったのだろう…
『す、すいません…お見苦しいところをお見せ…してしまって…』
「気にしないでよ。別にどうとも思って無いから。」
『そうですか…すいません…ちょっと…お手洗いに行ってきます…』
「い、行ってらっしゃい…」
本当に今日は色々ある日だなぁ…そう思いながら私は今度の事を考えた。
少しぎこちないルミリィの動きが…さらにぎこちなくなっているのを見て…
ちょっと変な気持ちになった。
生存者残り、5家族、15人。
つづく
あと…世界最強を名乗れる程の力を有している…雇われの殺し屋をしている。
現在、奇妙な街で出会った男、アルツォの家に居る。
「ミサキ、誰が訪ねて来ても確認するまで開けてはダメだ。」
「分かってるわよ。ロクな奴が来ないんでしょ?」
「その通り。誰か来たらルミリィが出る。」
アルツォはそう言うと、バッグの中から盗んで…持ってきた物を棚に仕舞う。
肉みたいなヤツとかジャガイモ…あとは酒、酒、アルコール…まぁ酒だ。
酒は飲むだけでは無く、アルコール洗浄にも使えるので大事らしい、しかし洗浄に使える酒はウィスキーなどのアルコール度数が高い蒸留酒だ。
ちなみに飲めば…多少の痛みは和らぐらしい。
「さて…肉は地下に仕舞って来るから…絶対に開けちゃダメだよ?」
「分かってるって。私は此処でルミリィと一緒に居るわ。」
「それならいい。ルミリィ、そろそろ友達は作った方が良いぞ。」
『はい。』
彼が地下室へ向かったので…この部屋に取り残されたのは…私とルミリィだけ。
彼女は無口なのだ…それに顔面の包帯に血が滲んで痛そうだ。
興味が沸いた私は失礼を承知で聞くことに。
「なぁ…ルミリィ?で良いかしら?」
『かまいませんわ。』
「その…顔、どうしたの?」
『皮膚病です。生まれつき酷くて…包帯を巻かないと血が出てしまいますの。』
「それは…ご愁傷様…聞いてごめん。」
だがルミリィは『気にしないで』と言ってくれた…良い人だ。
それよりも彼女の視線は私の腰…つまり白鞘へ向いている。
「刀が気になるの?」
『あ、その…すみません…』
「良いよ別に。見て見なよ、ホラ。」
『ありがとうございます。』
私はルミリィに白鞘を渡すと…彼女は少しソレを抜き…まじまじと見た。
青く光る刀身、斬りまくったのに一切の曇りも無い刃、綺麗で軽い木材で作られた鞘。
どれを取っても…この白鞘は完璧と言えるものだった…素人が見ても。
『美しい…まさに芸術品ですわ…』
「刀、好きなの?」
『ええ…刃物全般は好きです。特にこのような刀は美しい…』
彼女は鞘を最後まで抜き、刃をじっくりと眺める…その瞳には好奇心の光が灯っている…そしてまた収めようとした時、ルミリィの顔色が変わった。
生気もほんのわずかに揺れている。
「どうかしたの?」
『こ、これは…キジハラの物ですね…』
「キジハラ?誰だソレ…」
『有名な刀工ですわ。彼が造り出す刀は…どれも名刀です…』
そのキジハラと言うのは刀を使う者では知らぬ者は…多く居る刀工。
まさに知る人ぞ知ると言った職人であり、彼の打つ刀は剣士にとっては宝…らしい。
私はそれを殺して奪ったと言う事になるが…まぁ良いでしょう。
逆にそんなに珍しい物なら持っていて良かった。
ルミリィは白鞘を静かに収めると、こちらへ返した。
『こんな凄い刃物…首狩りの鉈依頼ですわ。』
「首狩りの鉈?」
『とある少女が持っていた物です。確か…首狩り族の…物でしたか…』
「そ、それってまさか……待て、名は分かる?」
『確か…リンヤ、だったと思います。』
やっぱりリンヤだったか…まぁあの子の鉈って凄いもんなぁ…
植物をバッサバッサと切り倒し、首をスパン!と斬ってしまう程の鋭利さ。
本人の技量もあるが…あの鉈は確かにスゴイ…でも…始めて出会った時にアレで首を斬られそうになったのだが…正確に言えば,られそうでは無く。
なったのだ、斬られたが…効かなかった…私には。
「あぁ…知り合いだなソレ。」
『まぁそれは…世界は狭いですね…』
「今度会ったら言っとくよ。」
私は白鞘を受け取ると、腰に携えずに座っているソファへ立て掛けた。
もうそろそろアルツォが来るだろう…と思っていたその時、ドアを誰かが叩いた。
「………」
『………』
私とルミリィは黙って…行動に移した。
自分は白鞘を構えて、ルミリィは散弾銃を手に取り、ドアの横の窓から外を見る。
どうやら…知人らしいが…
『誰ですの?』
『ルミゼントか…私だ、ムニマジアだ。』
ムニマジア…確かガッデマン家の長女だったか…ルミリィとは知り合いの様だ。
彼女は散弾銃を構えながら、ドアのチェーンを付けたまま、開ける。
『何の用です?』
「アルツォに用がある。分かるだろ?…なんだ、先客が居るのか?」
『彼女はミサキで旅人よ。貴方とは違うの。』
「へっ良く言うな。お前だって私と同じさ。」
『ッ!黙れ!お前の顔面に撃つぞ!!』
ルミリィとムニマジアは…あまり良い仲には見えないな。
私はそんな光景を黙って見ていた…何か問題を起こすと面倒になるからだ。
ムニマジアが来た理由は分からないが…アルツォに用が有る様だな。
「ムニマジアか?通せ。」
『兄様……分かりました……ッチ…』
「最初からそうしてもらいたいわ、全く。」
アルツォはいつの間にか地下室から戻っており、彼が通せと言ったので…ムニマジアは家の中へ入って来る。
彼女の顔は…何と言うか、普通だ…良くも悪くも一般人だ。
アルツォの元へ行くと思ったのだが…彼女は私の所へやって来た。
なんだよ…と思いながら…黙って見ていたのだが…
「…アンタ、胸無いわね。」
「な!気安く触るな!」
「ムニマジア、彼女に触るな。ミサキは客人だ。」
「フフ、分かってるわよ。さぁ行きましょ?」
彼女はアルツォと奥の部屋へ行った…何をするのだろうか…
一方でルミリィは…ドアを閉め、散弾銃を扉の横へ置いて…ぎこちない動きで椅子へ座った。
『はぁ…』
「なぁルミリィ…彼女は何なんだ?」
『アイツはムニマジア、淫売女ですわ。兄様とセックスする代わりにお金や物資を得ているの…本当に汚くて…最低の女です。』
「そうなの…」
そんな奴に…ルミリィは…心底嫌そうな目つきをして…奥の部屋を見た。
部屋からチュプチュプと言った液体の様な音や…生々しい音、夜伽声が聞こえる。
まぁよくも…私や妹が居る家で出来るな…
「……ちょっと出かけて来ても良いかな?」
『!…駄目ですわ!外は危ないですし…』
「私なら平気だよ。ドアはマズいから…私は煙突から出て煙突から入るよ。」
私は出掛けることにした…どうにもこの街を知っておきたいのだ。
煙突から出入りすれば良いだろう、私は飛べるし、煙突も小柄な人間が1人入れるぐらいの大きさだし…問題はない。
慌てるルミリィに行って来るとだけ伝え、私は煙突から外へ出た。
そのせいで…服は黒いが…勢いよく回れば落ちる。
「小さな集落ね…まぁそれも納得できるわね。」
自分はもうちょっと上へ飛んで街を見下ろそうとした…が。
「あだ!?な、なによ…」
なんだ…空に天井が?そう思ったが…違う、これは天井では無い!地面だ!
私はいつの間にか地面へ頭を向け、落ちていたのだ!何故だ!?
待て…ちょっとめまいがしただけかもしれない…もう1回上へ飛んでみよう。
「ビューン!飛んで…下を見れば地面が…」
無い、私の足元に広がるは…くすんだ空!そして頭上には硬い地面!
何故…まさか、逃げられない?いや、そんなハズは…だったら街の外へ出てみよう。
今度は町の外に向かって、カッ飛んだ!流石に前を向いていれば良いだろう!
しかし、街の外へ出ても…見えるのはくすんだ霧のみ…何処を見ても霧だけ。
「随分と進んだハズだが…」
後ろを振り返ってみれば…とっくの内に過ぎたはずの…街の入り口に居た。
ハハハ、やっぱり逃げられないみたいね…最強の名が廃るってもんだけど…
良いだろう、このゲーム…参加してやろう…しかし!勝つのは私だけどね!
自分は…アルツォ家へ戻る前に…他の連中にも声を掛けることにした。
まずはこの家…ポストを見るからにナジィード家だな。
「すいません!ちょっと!」
『だ、誰ですか!何しに来たんですか!』
「怪しいもんじゃ無いわよ。挨拶しに来ただけ。」
『あ、挨拶?』
ドアが開くと…中から出て来たのは牛刀…つまり包丁を持った男だった。
この人がナジィードと言うらしい…初対面の人に向かって包丁を向けるとは…まぁ事態が事態だし、しょうがないか。
「誰ですか貴方は…見ない顔ですが…」
「旅人のミサキよ。参加する事になったからシクヨロってこと。」
「そ、そうですか…私はナジィードです………それじゃ。」
ナジィードはそう言うと、直ぐに戸を閉めてしまった…余程怖いのだろう。
私にはこういうことに対する恐怖はあまり無いので…奴らの事は分からない。
だけど、いつ死ぬか分からないという時こそ、人間は残酷に、恐ろしくなれるのだ。
私は次なる家へ行き、戸を叩いた…此処はボンデベラ家だな。
「はい?どちら様で?……これはお嬢ちゃん、何処から?」
「お嬢ちゃんって…私はミサキ…貴方は…」
「ナーグスと申します。」
「(ボンデベラの母親か…)」
ナーグスは異様に明るく、そして…何と言うか能天気な感じだ。
私が旅人と言っても…「まぁそうなの」としか言わない…そして…
外から見える部屋の奥には頭を抱えた夫婦が暗い部屋で座っていた。
あの2人こそがボンデベラとラブンダー夫妻かぁ。
「それで…お嬢ちゃんは何処から来たの?」
「遠い所よ。山から来たの。」
「へぇ~そうなの…で?何処の娘さんかしら?」
「旅人よ。」
「それは…で、お嬢ちゃんの名前は?」
「ミサキよ…ミサキ!ミサキです!」
その後もナーグスは何度も…何処から?何処の娘さん?名前は?を繰り返した。
しかも挙句には…
「ねぇボンデベラ?ガッデマンさんの家の子が来たわよ。」
「もう…ミサキだってば!ちゃんとしてよ!」
「私はちゃんとしてるわよ…もう…もう…何度も…」
話が通じないと悟った私は…その場を後にした。
あのお婆さんは…ダメだな、と思いつつも…今日は一旦帰ることに。
帰る時も煙突からだ、私しか通れないし、入れない。
私はもぞもぞと…ゆっくり、煙突を通って中へ入ったが…
「(ふぅ…煤だらけ…)」
『ん…んぅ…』
「ル、ルミリィ?」
『キャァァ!?いや…あ、こ、こん…』
部屋の中ではルミリィが居たが………その、自慰に励んでいた様だ。
悪い事をしてしまった…
「すまない、その…邪魔して…」
『いえ、私も…あぁ!その…ごみんなさい…んう…』
頼むから話すときは手を止めようよ…と言いたかったが、ソレは本人の勝手だ。
ルミリィは最後までやって良いですか?と…律義に聞いて来たので…
私はもちろん、「良いよ」と答えたら…本当に始めやがった…いや、始めたと言うよりかは…続けたと言った方が正しいかもしれない。
「(よくやるなぁ…兄も妹も…)」
『あぁ…んぎぃ……いゃ…見ないで…うっ…うぅぅ…』
見ないでと言っているが、私は恐ろしい程に目が離せなかった。
ルミリィの秘所に指があてがわれる度に彼女の身体弓の様にしなり、苦しそうな声を漏らす………この描写、大丈夫なのだろうか…アルファポリスのR18って初めてだから…基準がよく分からない。
ええい!もしダメだったら消せば良いだけ!このまま書くしかない!
「(自慰ってああやってやるのか…)」
『や、やめて…そんなに……んぅう!!見ないで!ひゃぁぁ!!…はぁ…はぁ…』
「(今のは…果てた…で良いのか?)」
彼女はビックン!と身体を反り、しばらくちょっとビクビクしながら…落ち着いた。
男はともかく、女が”イク”ところを見たことが無いので…分からない。
まぁ…やり切った感があるので…終わったのだろう…
『す、すいません…お見苦しいところをお見せ…してしまって…』
「気にしないでよ。別にどうとも思って無いから。」
『そうですか…すいません…ちょっと…お手洗いに行ってきます…』
「い、行ってらっしゃい…」
本当に今日は色々ある日だなぁ…そう思いながら私は今度の事を考えた。
少しぎこちないルミリィの動きが…さらにぎこちなくなっているのを見て…
ちょっと変な気持ちになった。
生存者残り、5家族、15人。
つづく
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