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第1章 十七番街の主、燭台篇
第8話 風光明媚
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私の名はミサキ、数多の生命が棲むこの星で…世界最強の力を持った女の子だ。
前回、結構おいしいラーメン屋の屋台で私は食事を摂った…がしかし!
それはマフィア、バダルファミリーの幹部、的屋のカシオトが仕組んだ罠であった!
だが…最強の私に敵うワケでも無く、相手はボコされ、簡単にアジトをゲロった。
どうやらファミリーの連中は南のバッティングセンターに潜伏しているらしい。
しかし今日は遅い…明日の朝、潰しに行ってやろう。
私はビジネスホテルの一室へと戻った。
「今日も1日、最悪な日だったわ…」
手甲とスネ当て、安全靴と上着を脱ぎ捨てると…衣類も全て脱ぎ、ベッドへ入った。
普段は全裸で寝ているワケでは無い、今回はだるかっただけだ。
本当に何も着ていない状態じゃないと眠れない程…疲れている…色々あったからな。
1日目にしてマフィアの幹部3人とやり合った…常人なら一生もんの体験だ。
「ふぁぁ~…」
大きなあくびをして眠気を刺激させると…私は直ぐに眠ってしまった。
・・・
「うぅ~ん……はぁ…もう…朝ね…」
やはり…普段から硬めの布団で寝ていると…こういった物では逆に安眠出来ないな。
如何せんサラサラ過ぎて…ちょっと変な気持ちになる。
気持ちが悪いというほどでは無いが…かと言って良いものでもない…変な感じ。
私は気怠そうにベッドから出ると、全裸のままユニットバスへ向かった。
向かったと言っているが…同じ部屋にある、外へ出たわけでは無い。
「(うぅ…臭い…昨日の煮込みのせいだな…)」
大と小を済ませ、拭くとトイレを流して洗面器で身支度を済ませる。
アメニティの歯ブラシを使って歯を磨き、顔を洗い…そして鏡を睨む…
うーん…今日も私って怖い…睨むだけで人を殺せちゃいそう。
「さーてと……あぁ…時刻は午前9時か…寝過ぎね。」
少し寝過ぎたが…まぁ良いだろう、アイツ等は逃走なんてしないと思う。
マフィアなどの反社会組織は舐められたら終わる、だから逃げはしない。
私はゆっくり巫女服へ着替えると、ゲートルを巻き、ベルトも着け、白鞘も装備。
手甲とスネ当ても装備して、ついでにアメニティの肝油ドロップを口に入れ、口内で転がしながら部屋を出た…待ってろよバダルファミリー…今行くからな。
「行ってらっしゃいませ。」
「おう、いっえうう…」訳:おう、行って来る
「(…?)」
南のバッティングセンターだな…ところでバッティングセンターってなんだろう。
バッティングって…何だ?何をするんだ?マフィアの根城だと言うのなら…
恐ろしい場所かもしれない、血で血を洗うような…殺戮が繰り広げられる殺伐とした戦場…それがバッティングセンター…!(多分ね。)
ちょっと進めば…デカデカとバッティングセンター!と書かれた場所を見つけた…
「こ、此処が?とても怖そうには見えないわね…」
なんと言うか…ゴルフ場みたいだ…或いは潰れかけでボロボロの工場。
中へ入ればそこがどう言う所なのかは…よく分からなかった。
壁には『正しく遊ぼう!』と書かれているので、遊ぶところなのだろう…ちょっとやってみるか?
「1ゲーム300円?25球って書いてあるけど…意味不明ね。」
此処は無人なので誰かに聞くという事も出来ない…が!初心者用の遊び方が書いてあるじゃないか!
えーっとなになに…カードを買って機械に入れれば球が飛んで来るから…それをバットで打つと…なんだベースボールだったの。
ルールは打てば良いだけなので簡単だ、私でも出来る。
しかもホームランにすれば景品だって貰える!凄く良心的だ。
「1ゲームやって行くか…カードを買えば良いのね。」
自動販売機でカードを買うと…バットを網の持って中へ入った。
速さは…高ければ良いや!ストレート190キロという物にしておいた…
さて…ゲームが始まるわけだが…
「……ッ!は、速いわね…」
いきなり球はドビュン!!と発射され…私は打つことなく、その速さを感じた。
いや…待てよ?このぐらいの速さだったら…
「……う!!よ、よし…掴める。そんなに速くないな…」
余裕で片手で掴むことが出来る…掴んだこれを…上に投げれば!!
やった!ホームランの演出が入った!なんだ、景品ぐらい簡単にゲットできるじゃん。
この調子でドンドン行けば…グフフ…私って天才だなぁ…
【ちょっと、ズルはダメよ。】
「う…出たわね、エレキ〇ガイ。」
いつの間にか後ろに居たのは昨日戦った魔族の女、ネライドだった。
コイツはヤバイ、全身を電気状にすることが出来る…肉弾戦では不利…
だとしたら魔法…しかし、私が使えるの最初級のシールドのみ…しかも弱い。
【来な、ミサキ…アンタをバダル様に会わせるわけにはいかないのよ。】
「フン…面白い。良いわよ、そこの広い所に行きなさい。」
【此処?】
「もうちょっと左。」
ネライドはまんまと左に動くと…剛速球がネライドの背中をバシィィン!!と強打する!
バカだなコイツ…本当に、魔族だから頭が少ないのか?
【うごふッ!アンタねぇ…】
「アッハハハハ!イヒヒッヒヒヒヒヒ!!ヒャッハハハハハ!!」
【き、貴様ァ…笑うな!!何がおかしい!!】
「ハハハハハ!アッハハハハッハハハ!ヒハハハハハ!」
まんまと騙され、背中を抑えて悶えるネライドを見て私はひたすら…馬鹿笑いした。
一度笑えば沸点は異常に低くなる…涙が頬を伝い、腹部がジンワリ痛む。
手を叩いたり、相手を指さしたり…不快にさせるのはどうしてこんなに楽しいのか。
それを考えてみれば、さらに笑えた、自分では一生答えが出せないからだ。
しばらく笑った後…笑い過ぎにより不意に屁が出て…また素で笑った。
「フフフ…」
【ぐぅぬぬ…ぶっ殺す!!】
「はぁ~あそれしか出来ないのね、アンタ。」
全身に電気を帯びて襲い掛かって来たネライドを横へ躱すと、バットを投げつけた。
しかし、金属バットなど直ぐに弾かれ、明後日の方向へ飛んで行く。
【ハッハハ!そんなもの効くか!!大人しく焼け焦げな!!】
「ふーんじゃ、コレ出しちゃお。」
私が抜いたのは…怪しく光る白鞘…昨日はコレを使って奴を撃退した。
当たり前だが効くとは思っていない、今回は投げないし、相手は身体を電気にできる。
魔法に物理は効かないのが鉄則だ…魔法に効くのは同じ魔法のみ。
(なんかポケ〇ンのゴーストタイプみたいだなぁ)
【もうその手は食わん!!死ねいミサキ!!】
「投げたりしないわよ!ぶった切るのよ!!アンタを!!」
白鞘を逆手で持つと、お互いに通り過ぎる様に相手の脇腹辺りを斬り裂いて通過した。
【うっぶぁ!!】
「え?マジ?普通に斬れちゃった…」
【なーんてね!斬れないわよ!】
やっぱりアイツの身体…キレて無いですよってか…面白くないな。
話を戻すが、ネライドはやはり身体を電気にしているので物理は効かない様だ…いや、電気も物理なのだが、魔法で作り出した電気は魔法電気だ。
だから物理は干渉しない、魔法でのみ攻撃できる。
【いきなりマックスで行くわよ?烏龍茶は貰えないから覚悟しなさい!】
「面白いわね、だったら私も全力出しちゃおうかな?」
【何を言うか…本当はもう…全力なんだろ!ミサキィィ!!】
「ええ、そうよ。貴方を倒すと言う気持ちだけは…マジの全力よ!!」
私は激しい電気を帯びてやって来る相手へ、白鞘で迎撃する事にした。
魔法は魔法でしか干渉できない、だったら最弱のシールドでも役に立つハズ!
刃にシールドを密着させる!さすれば出来あがるは…
【バカめ!!刀ではワタシの身体は斬れんぞ!!】
「それは…どうかしらねぇ!!」
【……ッ!?】
魔法の力を持つ刀……いや、そうはならんやろってなる人はファンタジー向いてないね。
魔法なんて分からない物を現す言葉だ、コレを魔法と言わずして…何と言う?
戯言?アホらしい?違うね!!貴様等が理解できてないだけだ!自分の価値観を押し付けるなよ!ネライド!!……なんか今日の私ちょっとおかしくない?
【あッがぃッ!!!】
「まさにジャブローね…美しく散りなさい。」
斬り裂かれたのはネライドの腹部…上半身と下半身が…2つに分かれてしまっている。
勝ったな………ところでさっきから球がボンボンうるさいんだけど。
【ガハァァ!ワ、ワタシは…死ぬのか…こんなクズに斬られて…】
「……ネライド…アンタってザコね。ザーコ!世界のゴミクズ!死んでしまえ!」
【うぅ…うぅぅ…酷いぃ…】
「あっれぇ!?泣いちゃうの?ねぇ?痛いでちゅねー悔しいでちゅねー」
私はムカついていたので、足は出せないネライドを出来るだけ煽った。
しかしコイツ…魔族っぽいので下半身を斬られたぐらいでは死なない。
こうなってしまえば私の独壇場!俎板の上のコイ!蟻と角砂糖ゥゥ!!ヒャッハー!手も足も出せない奴をバカにするのは気持ちが良いねぇ!!スカッとする!!
なぜこんなに気持ちいいのだろう………本当に何故だろう…
「ザァーコ!何も出来ないゴミ!生きてる意味あんの?帰りなよ…あ!脚無いんだったぁ!」
【うっ…うぇぇ…うっうっ…】
「泣くなよ!私が居るよ?あの世までの引導は渡してあげるって。」
はぁ~あ…胸がスカッとした…さて、飽きたし殺すか。
私は刀を持って徐々に近づいて行き…ネライドの頭の方まで来ると…首を斬り落とした。
首はバシュン!と取れ…ゴロゴロ転がる…
「はぁ…進むか。」
ネライドは死んだ、もうこの場所に用など無い。
そう悟った私はバッティングセンターの中をウロチョロ回り、怪しい場所を探した。
しばらく探したのち…スタッフルームに地下への扉を見つけた。
なんか…もっとこう…あるでしょう?エレベーターとか…地下への扉って…THEダンジョンじゃん…ゾンビとか中でうろついてそうだよ。
「ま、進むんだけどね。」
めちゃくちゃ怪しいけど、この先へ進まなければいけない、奴等はこの先に居る。
地下への階段は普通の階段だし、通路も…なんか普通って感じね。
「うわ!?だ、誰だ!?」
「ハイヤァ!!」
「あぎゅう!」
危なかった…バレる前に斬れてよかった…奴の遺言であるダレダとは何だろう…
咄嗟に白鞘でぶった斬ってしまったが…このまま抜刀しておくか、そっちの方が良いだろう、一々抜くのも面倒だ。
「うお!?侵入」
「ケイァァ!」
「あっひゃお!?」
【なんだこの女!?】
「死ねい!」
【あぐぁぁああああ!!】
「ソイソイ~♪」
「死んで♪」
「なんでぇぇぇぁぁああああッ!?」
ふぅ…どうしよう、ついノリで殺しちゃったけど…殺す必要あったかな?
でもバダルファミリーはクズ同然、死ねばこの世も広くなり、地獄も圧迫されると言う物。
私はさらに…さらにさらに奥へ進んだ…もちろん敵を殺しながら。
見つけた奴は手当たり次第に斬り裂いて行った…女も男も関係なし!全員殺す!
【大変です!侵入者がぁぁあぁああ!!】
『な、なんだ!?誰だ!貴様は!』
「フッフッフ。この世に舞い降りし、純白の仕置き人さ。」
『血で真っ赤じゃねぇか…さては貴様、逆卍教団の手先だな。』
なんだバレてたのか…コイツがそうだな…バダル・マシンザ・チェーンハット。
奴は純機械と言ったロボットであった、高そうなソファに座って温かい紅茶を嗜んでいる…ロボットなのに。
「アンタロボットなのに紅茶飲むのね。」
『今の言葉、ロボット運動家に殺されるよ?そう言うの世間では先入観って言うぞ。』
「偏見の間違いじゃ無くて?」
『それもあるな。まぁ私は人間だ…元の話だがな。』
奴はダラダラと身の上話を始めやがった…長くなりそうだなこれは。
自分は高そうなソファにふんぞり返って話を聞くことに。
『元々私はイギリス人の海兵だったんだ…だがある日、どうでも良くなった。』
「どうでも?何が原因で?」
『この世さ。偏見、差別、戦争…そんな事がいつ起きてもおかしくない…そんな状況で正気を保っていられる方が狂人と言うのだろう。』
確かにその通りかもしれない、人間は知的生命体と言うには野蛮過ぎる。
自身で環境を壊し、それを守ろうと言ったり、肌の色で格差や種類を分けたり。
鶏も色だって分ける種族だ、ロクな奴等では無い。
『此処に来て全てが変わった…此処には無いんだ。常識が。』
「常識ならあるわよ。私みたいに強い奴が作るの。」
『そうなのか?』
「そうなのよ。」
法律や常識は常に強い奴が決める…それがこの世の鉄則と言う物だ。
猿山のボス、ライオンの群れのオス、ワニの上下関係…全ては恐怖による支配。
結局この世は力を持つ者がは弱者を伏せる…例えば私みたいな強者がね。
コイツみたいな弱者をぶっ殺す!のが私が考えるこの世の摂理だ。
『それに此処は…おかしい!私の知る正史と違うのだ。』
「正史?何の歴史よ。」
『色々さ!例えば戦争!第二次世界大戦で勝ったのは何処だ?言ってみろ。』
バカにしないでほしい、それくらいは知っている…何故かね。
「アメリカ、日本、中国が同盟を組んでイギリス、フランス、ロシアを潰したのよ。」
『そこがおかしいんだ!俺の知る歴史では英国、ソ連、米国が勝っている!』
奴の話す事は全てがおかしかった…何と言うか…あり得ないのだ。
日本のナガサキとヒロシマに爆弾が落とされたりだとか、中国とアメリカは敵同士だとか…それに英と米が組んでいるのは明らかに私の記憶と違う。
「あぁ…話通じなさそうね。殺すわ、死ね。」
『止めろ!いくらで雇われたんだ?その5倍出すから見逃してくれ!』
「まだ貰って無いの。そうね…憶兆万円くれたら良いよ。」
『子供かッ!』
「ええそうよ、私は子供、罪も知らぬ子ども…だから死んで。」
『ま、待っ』
私は奴が何かを言い終える前に首を白鞘で斬り落とした…今日はよく斬るな。
それにしてもコイツの能力は何だったのだろうか…いや、コイツは燭台か?
本当にコイツが燭台なら紙に色が付くはず!さぁどうだ…
「………おお!付いた!色が!!」
なんと紙に描かれた六芒星の一角、燭台の部分に青く色が付いたのだ!凄いぞ!
なんか知らんが達成感がすごく良い!!最初の仕事はコレで片付いた!
私はコンビニのスタンプラリーを集める子供の様にはしゃぎながら外へ出て、教会へ一直線に向かった…
つづく
前回、結構おいしいラーメン屋の屋台で私は食事を摂った…がしかし!
それはマフィア、バダルファミリーの幹部、的屋のカシオトが仕組んだ罠であった!
だが…最強の私に敵うワケでも無く、相手はボコされ、簡単にアジトをゲロった。
どうやらファミリーの連中は南のバッティングセンターに潜伏しているらしい。
しかし今日は遅い…明日の朝、潰しに行ってやろう。
私はビジネスホテルの一室へと戻った。
「今日も1日、最悪な日だったわ…」
手甲とスネ当て、安全靴と上着を脱ぎ捨てると…衣類も全て脱ぎ、ベッドへ入った。
普段は全裸で寝ているワケでは無い、今回はだるかっただけだ。
本当に何も着ていない状態じゃないと眠れない程…疲れている…色々あったからな。
1日目にしてマフィアの幹部3人とやり合った…常人なら一生もんの体験だ。
「ふぁぁ~…」
大きなあくびをして眠気を刺激させると…私は直ぐに眠ってしまった。
・・・
「うぅ~ん……はぁ…もう…朝ね…」
やはり…普段から硬めの布団で寝ていると…こういった物では逆に安眠出来ないな。
如何せんサラサラ過ぎて…ちょっと変な気持ちになる。
気持ちが悪いというほどでは無いが…かと言って良いものでもない…変な感じ。
私は気怠そうにベッドから出ると、全裸のままユニットバスへ向かった。
向かったと言っているが…同じ部屋にある、外へ出たわけでは無い。
「(うぅ…臭い…昨日の煮込みのせいだな…)」
大と小を済ませ、拭くとトイレを流して洗面器で身支度を済ませる。
アメニティの歯ブラシを使って歯を磨き、顔を洗い…そして鏡を睨む…
うーん…今日も私って怖い…睨むだけで人を殺せちゃいそう。
「さーてと……あぁ…時刻は午前9時か…寝過ぎね。」
少し寝過ぎたが…まぁ良いだろう、アイツ等は逃走なんてしないと思う。
マフィアなどの反社会組織は舐められたら終わる、だから逃げはしない。
私はゆっくり巫女服へ着替えると、ゲートルを巻き、ベルトも着け、白鞘も装備。
手甲とスネ当ても装備して、ついでにアメニティの肝油ドロップを口に入れ、口内で転がしながら部屋を出た…待ってろよバダルファミリー…今行くからな。
「行ってらっしゃいませ。」
「おう、いっえうう…」訳:おう、行って来る
「(…?)」
南のバッティングセンターだな…ところでバッティングセンターってなんだろう。
バッティングって…何だ?何をするんだ?マフィアの根城だと言うのなら…
恐ろしい場所かもしれない、血で血を洗うような…殺戮が繰り広げられる殺伐とした戦場…それがバッティングセンター…!(多分ね。)
ちょっと進めば…デカデカとバッティングセンター!と書かれた場所を見つけた…
「こ、此処が?とても怖そうには見えないわね…」
なんと言うか…ゴルフ場みたいだ…或いは潰れかけでボロボロの工場。
中へ入ればそこがどう言う所なのかは…よく分からなかった。
壁には『正しく遊ぼう!』と書かれているので、遊ぶところなのだろう…ちょっとやってみるか?
「1ゲーム300円?25球って書いてあるけど…意味不明ね。」
此処は無人なので誰かに聞くという事も出来ない…が!初心者用の遊び方が書いてあるじゃないか!
えーっとなになに…カードを買って機械に入れれば球が飛んで来るから…それをバットで打つと…なんだベースボールだったの。
ルールは打てば良いだけなので簡単だ、私でも出来る。
しかもホームランにすれば景品だって貰える!凄く良心的だ。
「1ゲームやって行くか…カードを買えば良いのね。」
自動販売機でカードを買うと…バットを網の持って中へ入った。
速さは…高ければ良いや!ストレート190キロという物にしておいた…
さて…ゲームが始まるわけだが…
「……ッ!は、速いわね…」
いきなり球はドビュン!!と発射され…私は打つことなく、その速さを感じた。
いや…待てよ?このぐらいの速さだったら…
「……う!!よ、よし…掴める。そんなに速くないな…」
余裕で片手で掴むことが出来る…掴んだこれを…上に投げれば!!
やった!ホームランの演出が入った!なんだ、景品ぐらい簡単にゲットできるじゃん。
この調子でドンドン行けば…グフフ…私って天才だなぁ…
【ちょっと、ズルはダメよ。】
「う…出たわね、エレキ〇ガイ。」
いつの間にか後ろに居たのは昨日戦った魔族の女、ネライドだった。
コイツはヤバイ、全身を電気状にすることが出来る…肉弾戦では不利…
だとしたら魔法…しかし、私が使えるの最初級のシールドのみ…しかも弱い。
【来な、ミサキ…アンタをバダル様に会わせるわけにはいかないのよ。】
「フン…面白い。良いわよ、そこの広い所に行きなさい。」
【此処?】
「もうちょっと左。」
ネライドはまんまと左に動くと…剛速球がネライドの背中をバシィィン!!と強打する!
バカだなコイツ…本当に、魔族だから頭が少ないのか?
【うごふッ!アンタねぇ…】
「アッハハハハ!イヒヒッヒヒヒヒヒ!!ヒャッハハハハハ!!」
【き、貴様ァ…笑うな!!何がおかしい!!】
「ハハハハハ!アッハハハハッハハハ!ヒハハハハハ!」
まんまと騙され、背中を抑えて悶えるネライドを見て私はひたすら…馬鹿笑いした。
一度笑えば沸点は異常に低くなる…涙が頬を伝い、腹部がジンワリ痛む。
手を叩いたり、相手を指さしたり…不快にさせるのはどうしてこんなに楽しいのか。
それを考えてみれば、さらに笑えた、自分では一生答えが出せないからだ。
しばらく笑った後…笑い過ぎにより不意に屁が出て…また素で笑った。
「フフフ…」
【ぐぅぬぬ…ぶっ殺す!!】
「はぁ~あそれしか出来ないのね、アンタ。」
全身に電気を帯びて襲い掛かって来たネライドを横へ躱すと、バットを投げつけた。
しかし、金属バットなど直ぐに弾かれ、明後日の方向へ飛んで行く。
【ハッハハ!そんなもの効くか!!大人しく焼け焦げな!!】
「ふーんじゃ、コレ出しちゃお。」
私が抜いたのは…怪しく光る白鞘…昨日はコレを使って奴を撃退した。
当たり前だが効くとは思っていない、今回は投げないし、相手は身体を電気にできる。
魔法に物理は効かないのが鉄則だ…魔法に効くのは同じ魔法のみ。
(なんかポケ〇ンのゴーストタイプみたいだなぁ)
【もうその手は食わん!!死ねいミサキ!!】
「投げたりしないわよ!ぶった切るのよ!!アンタを!!」
白鞘を逆手で持つと、お互いに通り過ぎる様に相手の脇腹辺りを斬り裂いて通過した。
【うっぶぁ!!】
「え?マジ?普通に斬れちゃった…」
【なーんてね!斬れないわよ!】
やっぱりアイツの身体…キレて無いですよってか…面白くないな。
話を戻すが、ネライドはやはり身体を電気にしているので物理は効かない様だ…いや、電気も物理なのだが、魔法で作り出した電気は魔法電気だ。
だから物理は干渉しない、魔法でのみ攻撃できる。
【いきなりマックスで行くわよ?烏龍茶は貰えないから覚悟しなさい!】
「面白いわね、だったら私も全力出しちゃおうかな?」
【何を言うか…本当はもう…全力なんだろ!ミサキィィ!!】
「ええ、そうよ。貴方を倒すと言う気持ちだけは…マジの全力よ!!」
私は激しい電気を帯びてやって来る相手へ、白鞘で迎撃する事にした。
魔法は魔法でしか干渉できない、だったら最弱のシールドでも役に立つハズ!
刃にシールドを密着させる!さすれば出来あがるは…
【バカめ!!刀ではワタシの身体は斬れんぞ!!】
「それは…どうかしらねぇ!!」
【……ッ!?】
魔法の力を持つ刀……いや、そうはならんやろってなる人はファンタジー向いてないね。
魔法なんて分からない物を現す言葉だ、コレを魔法と言わずして…何と言う?
戯言?アホらしい?違うね!!貴様等が理解できてないだけだ!自分の価値観を押し付けるなよ!ネライド!!……なんか今日の私ちょっとおかしくない?
【あッがぃッ!!!】
「まさにジャブローね…美しく散りなさい。」
斬り裂かれたのはネライドの腹部…上半身と下半身が…2つに分かれてしまっている。
勝ったな………ところでさっきから球がボンボンうるさいんだけど。
【ガハァァ!ワ、ワタシは…死ぬのか…こんなクズに斬られて…】
「……ネライド…アンタってザコね。ザーコ!世界のゴミクズ!死んでしまえ!」
【うぅ…うぅぅ…酷いぃ…】
「あっれぇ!?泣いちゃうの?ねぇ?痛いでちゅねー悔しいでちゅねー」
私はムカついていたので、足は出せないネライドを出来るだけ煽った。
しかしコイツ…魔族っぽいので下半身を斬られたぐらいでは死なない。
こうなってしまえば私の独壇場!俎板の上のコイ!蟻と角砂糖ゥゥ!!ヒャッハー!手も足も出せない奴をバカにするのは気持ちが良いねぇ!!スカッとする!!
なぜこんなに気持ちいいのだろう………本当に何故だろう…
「ザァーコ!何も出来ないゴミ!生きてる意味あんの?帰りなよ…あ!脚無いんだったぁ!」
【うっ…うぇぇ…うっうっ…】
「泣くなよ!私が居るよ?あの世までの引導は渡してあげるって。」
はぁ~あ…胸がスカッとした…さて、飽きたし殺すか。
私は刀を持って徐々に近づいて行き…ネライドの頭の方まで来ると…首を斬り落とした。
首はバシュン!と取れ…ゴロゴロ転がる…
「はぁ…進むか。」
ネライドは死んだ、もうこの場所に用など無い。
そう悟った私はバッティングセンターの中をウロチョロ回り、怪しい場所を探した。
しばらく探したのち…スタッフルームに地下への扉を見つけた。
なんか…もっとこう…あるでしょう?エレベーターとか…地下への扉って…THEダンジョンじゃん…ゾンビとか中でうろついてそうだよ。
「ま、進むんだけどね。」
めちゃくちゃ怪しいけど、この先へ進まなければいけない、奴等はこの先に居る。
地下への階段は普通の階段だし、通路も…なんか普通って感じね。
「うわ!?だ、誰だ!?」
「ハイヤァ!!」
「あぎゅう!」
危なかった…バレる前に斬れてよかった…奴の遺言であるダレダとは何だろう…
咄嗟に白鞘でぶった斬ってしまったが…このまま抜刀しておくか、そっちの方が良いだろう、一々抜くのも面倒だ。
「うお!?侵入」
「ケイァァ!」
「あっひゃお!?」
【なんだこの女!?】
「死ねい!」
【あぐぁぁああああ!!】
「ソイソイ~♪」
「死んで♪」
「なんでぇぇぇぁぁああああッ!?」
ふぅ…どうしよう、ついノリで殺しちゃったけど…殺す必要あったかな?
でもバダルファミリーはクズ同然、死ねばこの世も広くなり、地獄も圧迫されると言う物。
私はさらに…さらにさらに奥へ進んだ…もちろん敵を殺しながら。
見つけた奴は手当たり次第に斬り裂いて行った…女も男も関係なし!全員殺す!
【大変です!侵入者がぁぁあぁああ!!】
『な、なんだ!?誰だ!貴様は!』
「フッフッフ。この世に舞い降りし、純白の仕置き人さ。」
『血で真っ赤じゃねぇか…さては貴様、逆卍教団の手先だな。』
なんだバレてたのか…コイツがそうだな…バダル・マシンザ・チェーンハット。
奴は純機械と言ったロボットであった、高そうなソファに座って温かい紅茶を嗜んでいる…ロボットなのに。
「アンタロボットなのに紅茶飲むのね。」
『今の言葉、ロボット運動家に殺されるよ?そう言うの世間では先入観って言うぞ。』
「偏見の間違いじゃ無くて?」
『それもあるな。まぁ私は人間だ…元の話だがな。』
奴はダラダラと身の上話を始めやがった…長くなりそうだなこれは。
自分は高そうなソファにふんぞり返って話を聞くことに。
『元々私はイギリス人の海兵だったんだ…だがある日、どうでも良くなった。』
「どうでも?何が原因で?」
『この世さ。偏見、差別、戦争…そんな事がいつ起きてもおかしくない…そんな状況で正気を保っていられる方が狂人と言うのだろう。』
確かにその通りかもしれない、人間は知的生命体と言うには野蛮過ぎる。
自身で環境を壊し、それを守ろうと言ったり、肌の色で格差や種類を分けたり。
鶏も色だって分ける種族だ、ロクな奴等では無い。
『此処に来て全てが変わった…此処には無いんだ。常識が。』
「常識ならあるわよ。私みたいに強い奴が作るの。」
『そうなのか?』
「そうなのよ。」
法律や常識は常に強い奴が決める…それがこの世の鉄則と言う物だ。
猿山のボス、ライオンの群れのオス、ワニの上下関係…全ては恐怖による支配。
結局この世は力を持つ者がは弱者を伏せる…例えば私みたいな強者がね。
コイツみたいな弱者をぶっ殺す!のが私が考えるこの世の摂理だ。
『それに此処は…おかしい!私の知る正史と違うのだ。』
「正史?何の歴史よ。」
『色々さ!例えば戦争!第二次世界大戦で勝ったのは何処だ?言ってみろ。』
バカにしないでほしい、それくらいは知っている…何故かね。
「アメリカ、日本、中国が同盟を組んでイギリス、フランス、ロシアを潰したのよ。」
『そこがおかしいんだ!俺の知る歴史では英国、ソ連、米国が勝っている!』
奴の話す事は全てがおかしかった…何と言うか…あり得ないのだ。
日本のナガサキとヒロシマに爆弾が落とされたりだとか、中国とアメリカは敵同士だとか…それに英と米が組んでいるのは明らかに私の記憶と違う。
「あぁ…話通じなさそうね。殺すわ、死ね。」
『止めろ!いくらで雇われたんだ?その5倍出すから見逃してくれ!』
「まだ貰って無いの。そうね…憶兆万円くれたら良いよ。」
『子供かッ!』
「ええそうよ、私は子供、罪も知らぬ子ども…だから死んで。」
『ま、待っ』
私は奴が何かを言い終える前に首を白鞘で斬り落とした…今日はよく斬るな。
それにしてもコイツの能力は何だったのだろうか…いや、コイツは燭台か?
本当にコイツが燭台なら紙に色が付くはず!さぁどうだ…
「………おお!付いた!色が!!」
なんと紙に描かれた六芒星の一角、燭台の部分に青く色が付いたのだ!凄いぞ!
なんか知らんが達成感がすごく良い!!最初の仕事はコレで片付いた!
私はコンビニのスタンプラリーを集める子供の様にはしゃぎながら外へ出て、教会へ一直線に向かった…
つづく
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