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第1章 流星の如き転入生編
其の2 入学準備は多忙
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さてさて、マオとザミはとある事情からリセレアと言う慈善団体の運営するモンスターテイマー学園へと入学する事に……1人と1匹はまだ見ぬ友と出会うため、入学準備を進めるのだった…
「スカベンジハウンド?そんな雑種犬を相棒にするのかい?お嬢ちゃん…」
「ザミだってモンスターの端くれだもん。訓練すれば強くなれるもん。」
「そう言う事だ、ウダウダ言わずに早く検査してやってくれ。」
「そう言いますけどね?廃品場の犬ですよ?結構検査や投薬に時間は要しますけど……」
ちらっと全員がザミの方へ視線を向ければ本犬はお股をペロペロしてお手入れ中…
こちらの視線に気づくと【アゥ】と気まずそうに小さく呟いた。
ザミに病気などが無いかチェックする事になったのだが、やはり廃品場に居た犬となればそれなりの病気は持っているだろうと獣医は言う。
さらに寄生虫はもちろんダニなども生息している可能性が高いと…
「まずはスキャンしてみましょう。」
「ねぇ、どんな状態だとマズいの?」
「そうですねぇ、非常に繁殖量の高いジリジリダニや胃腸に住み着くソウメン線虫などが厄介ですねぇ。」
「一番厄介なのは病気の類だね。ラウンテット熱病なんかは人間にも感染するから早急な対応が必要さ。」
ザミは台に乗せられ、ジジジジジと音を立てて変な機械でスキャンされると穴の開いたテープがペロペロと獣医の目の前に置かれた機械から出て来る…
彼がそれにふむふむと目を通すと。
「特に病気の類は見られませんね。ダニや寄生虫も無いようです。」
「凄いな、あんな環境に居て無傷とは…」
「結構強いんだね、ザミって。」
「知能が少し心配ですけどそれ以外は概ね良好、普通の飼い犬より健康ですよこれは。」
ザミに危険が無いと分かってマオとスケロクは一安心。
愛犬に異常が無いと分かれば次に行われるのは飼い主であるマオの健康診断だ、いくら健康そうに見えても内部に潜む危険は多い…
「視力両目共に問題なし、歯は右の上奥歯に虫歯が1本……蟯虫検査の結果は陽性だから薬を飲んで。」
「うぅ……薬やだなぁ…」
「飲まないとお尻が虫らだけになるぞ?」
【ワンワンッ!!】
「それは嫌かも…」
健康診断の結果だが、マオは寄生虫が数匹見つかり、腹痛の正体はシラミダケだと判明…常人なら脱水症で直ぐ死ぬらしいがマオは奇跡的に助かった模様。
やはり身体は強いのかもしれない………虫は居るが…
そして内部の準備が終われば次に外の準備……そう、制服等だ。
ザミには新品の緑色の首輪が着けられ、無駄吠えや噛み付き防止用の口輪とリードがマオへ渡された。
次に制服だが……
「うーん……あなた貧相な身体してるのねぇ?」
「うるさいよ。環境を考えてよ環境を。」
【ガリガリッ!ガリガリッ!!】
制服のサイズを調べるため、マオは身体を測られたが彼女の身体はあまり良い物では無い。
栄養が足りず、平べったい胸やアバラの浮き出る腹…日に焼けた肌は健康的だが……薄緑色の髪の毛はボサボサに伸び放題…
まるで草だ、草そのもの!草生える!
「サイズはSサイズで充分ね。」
「そりゃどーも。ところでなんで仕立て部屋にモンスターが居るの?」
【キピッ!ニンゲッ!モンスターチガッ!オレ、ビスタッッ!!】
「便利なのよ、頭イイから小物取りに。」
「へぇー…」
マオと仕立て屋と共に部屋に居るのはビスタ族と呼ばれるモンスターのような種族。
ダボダボなローブと帽子で姿を隠し、その背丈は最大で1メートルにも満たない……カタコトだが人間の言葉が喋れる模様、偉いものだ。
(ちなみにスケロクとザミは男とオスなので部屋の外……っと言う事はあのビスタ族はメス…?)
「はい、着てみて。」
「おえー!緑色!?」
「文句言わないの!この色が一番安いんだから!」
「理由が悲しいよ…」
【キヒッ!アオクサ!ヤスイヤスイ!!ケーヒサクゲッ!!】
さて下着と優しい白色をした長袖、そしてポケットの多いこれまた黄ばんだ白色のズボン…とポンチョのような深緑色の上着とベルト、さらにはブーツと帽子まで貰ったマオは早速着てみれば少しダボ付いたピッタリ心地。
髪色が明るくて助かったものだ、もし髪の毛まで深緑であれば救いようがなかっただろう。
「あと手袋はたまに着けるらしいから大事に保管してね。」
「はーい」
【マゴニモイショ!】
「うるさいよ」
という事で制服の準備も整ったマオはいよいよ入学準備がほぼ完了。
後は学校へ向かって正式に入学すると書類にサインすれば良いだけ、入学なんて意外と簡単なものだ。
そう思っていたマオだが…
「よし準備が終わったな!後は学校に行くだけだ。」
「学校まではどのくらい?」
「車で15時間ぐらいかな」
「じゅ、15時間!?車で!?」
「まぁ遠いからね。」
スケロクの口から放たれたのは無慈悲な15時間と言う距離。
曰く学校は安全性を重視するために穏やかな森の中にあるらしく、来たの王国側領地に有る森の中まで行かなくてはならない…
いくらだるいと不満を漏らそうが時間は短縮されない……スケロクも内心だるいと感じてる模様。
「明日の朝に出るから今日はゆっくりしてると良いよ。」
「そうしないと耐え切れないよ…」
【ガウアゥ…】
「その気持ち、よく分かるよ。」
明日の朝には出るという事でマオとザミは病室でジーっとしていたが………少し心配気味。
モンスターテイマー学園へ行くことになったは良いものの、マオはザミを立派なモンスターに出来るかが少し心配なのである。
それにマオから見ればザミはかけがえのない唯一の家族で愛するペット、やっぱり戦って欲しくないと思っている…
「ねぇザミ、ザミはどうしたい?強いモンスターになりたいの?」
【ワウッ!】
「そっかぁ……そうだよね…やっぱり強くなりたいんだね!」
だがしかし、ザミはやる気満々で活気に満ち溢れている!
やはり一匹のオスとして強さを追い求めたいのだ、もちろんそのような事を彼が望むのならマオも全力でサポートするのみ!
「よっしゃぁ!どうせなら最強目指そう!ザミなら行けるよ!」
【ガウガウガウ!】
「なら当然学校でも頂点取らないといけないわけだから、気を引き締めて行くよ!」
【アゥウ!】
マオとザミは来るべき時に備え、気を引き締めるのだった…
いよいよ明日に迫る入学……果たして学園の生徒達はどのようなモンスターを従えているのだろうか?マオとザミはドキドキと胸を鳴らした。
つづく(テンポ遅いです、すみません)
・・・
モンスター大図鑑
【スカベンジハウンド】
魔獣類、魔犬科、大型犬属 危険度0(可も無く不可もなく)
有効度:高 知能:ピンキリ
『大昔にアルファハウンドと牧羊犬を掛け合わせ作られたとされている猟犬型モンスターの一種。知能はピンからキリだが平均して普通の牧羊犬より高い。古来より人間と共に生きて来たモンスターの一種で4大家畜モンスターの一角を補っている。肉は固くて不味く、毛皮も上質な物では無いのでやはり愛玩用や牧羊犬として飼われることが多い。最近では様々な犬と交配させた個性豊かな雑種が人気だがその反面捨てられた個体の野生化などが問題視されている。』
【ビスタ族】
魔獣人類、コロニー型、羽織属 危険度1(注意、人を襲う恐れあり)
有効度:中 知能:高 言語:ビスタ語、現代共通語
『独特な言語で話す変わった小型の獣人族。羽織属の特徴として自身を覆い隠す服と帽子を着用しており、これは自分で作ったり、拾ったりなどしている。野生のものは森の中にコロニーを築き、ツリーハウスを作成して暮らしていて1つのコロニーにつき平均20体以上が暮らしている。主食は果実や動物の肉で何でも火を通してから食し、甘いものを好む様子。人間の社会で暮らす者も多く、その場合は言葉を自然と話すようになる。手先が器用で作業に向いているが手癖も悪いのできちんとした躾が必要。肉は弾力があり過ぎ、味は不味い(13探検隊の手記にて)』
「スカベンジハウンド?そんな雑種犬を相棒にするのかい?お嬢ちゃん…」
「ザミだってモンスターの端くれだもん。訓練すれば強くなれるもん。」
「そう言う事だ、ウダウダ言わずに早く検査してやってくれ。」
「そう言いますけどね?廃品場の犬ですよ?結構検査や投薬に時間は要しますけど……」
ちらっと全員がザミの方へ視線を向ければ本犬はお股をペロペロしてお手入れ中…
こちらの視線に気づくと【アゥ】と気まずそうに小さく呟いた。
ザミに病気などが無いかチェックする事になったのだが、やはり廃品場に居た犬となればそれなりの病気は持っているだろうと獣医は言う。
さらに寄生虫はもちろんダニなども生息している可能性が高いと…
「まずはスキャンしてみましょう。」
「ねぇ、どんな状態だとマズいの?」
「そうですねぇ、非常に繁殖量の高いジリジリダニや胃腸に住み着くソウメン線虫などが厄介ですねぇ。」
「一番厄介なのは病気の類だね。ラウンテット熱病なんかは人間にも感染するから早急な対応が必要さ。」
ザミは台に乗せられ、ジジジジジと音を立てて変な機械でスキャンされると穴の開いたテープがペロペロと獣医の目の前に置かれた機械から出て来る…
彼がそれにふむふむと目を通すと。
「特に病気の類は見られませんね。ダニや寄生虫も無いようです。」
「凄いな、あんな環境に居て無傷とは…」
「結構強いんだね、ザミって。」
「知能が少し心配ですけどそれ以外は概ね良好、普通の飼い犬より健康ですよこれは。」
ザミに危険が無いと分かってマオとスケロクは一安心。
愛犬に異常が無いと分かれば次に行われるのは飼い主であるマオの健康診断だ、いくら健康そうに見えても内部に潜む危険は多い…
「視力両目共に問題なし、歯は右の上奥歯に虫歯が1本……蟯虫検査の結果は陽性だから薬を飲んで。」
「うぅ……薬やだなぁ…」
「飲まないとお尻が虫らだけになるぞ?」
【ワンワンッ!!】
「それは嫌かも…」
健康診断の結果だが、マオは寄生虫が数匹見つかり、腹痛の正体はシラミダケだと判明…常人なら脱水症で直ぐ死ぬらしいがマオは奇跡的に助かった模様。
やはり身体は強いのかもしれない………虫は居るが…
そして内部の準備が終われば次に外の準備……そう、制服等だ。
ザミには新品の緑色の首輪が着けられ、無駄吠えや噛み付き防止用の口輪とリードがマオへ渡された。
次に制服だが……
「うーん……あなた貧相な身体してるのねぇ?」
「うるさいよ。環境を考えてよ環境を。」
【ガリガリッ!ガリガリッ!!】
制服のサイズを調べるため、マオは身体を測られたが彼女の身体はあまり良い物では無い。
栄養が足りず、平べったい胸やアバラの浮き出る腹…日に焼けた肌は健康的だが……薄緑色の髪の毛はボサボサに伸び放題…
まるで草だ、草そのもの!草生える!
「サイズはSサイズで充分ね。」
「そりゃどーも。ところでなんで仕立て部屋にモンスターが居るの?」
【キピッ!ニンゲッ!モンスターチガッ!オレ、ビスタッッ!!】
「便利なのよ、頭イイから小物取りに。」
「へぇー…」
マオと仕立て屋と共に部屋に居るのはビスタ族と呼ばれるモンスターのような種族。
ダボダボなローブと帽子で姿を隠し、その背丈は最大で1メートルにも満たない……カタコトだが人間の言葉が喋れる模様、偉いものだ。
(ちなみにスケロクとザミは男とオスなので部屋の外……っと言う事はあのビスタ族はメス…?)
「はい、着てみて。」
「おえー!緑色!?」
「文句言わないの!この色が一番安いんだから!」
「理由が悲しいよ…」
【キヒッ!アオクサ!ヤスイヤスイ!!ケーヒサクゲッ!!】
さて下着と優しい白色をした長袖、そしてポケットの多いこれまた黄ばんだ白色のズボン…とポンチョのような深緑色の上着とベルト、さらにはブーツと帽子まで貰ったマオは早速着てみれば少しダボ付いたピッタリ心地。
髪色が明るくて助かったものだ、もし髪の毛まで深緑であれば救いようがなかっただろう。
「あと手袋はたまに着けるらしいから大事に保管してね。」
「はーい」
【マゴニモイショ!】
「うるさいよ」
という事で制服の準備も整ったマオはいよいよ入学準備がほぼ完了。
後は学校へ向かって正式に入学すると書類にサインすれば良いだけ、入学なんて意外と簡単なものだ。
そう思っていたマオだが…
「よし準備が終わったな!後は学校に行くだけだ。」
「学校まではどのくらい?」
「車で15時間ぐらいかな」
「じゅ、15時間!?車で!?」
「まぁ遠いからね。」
スケロクの口から放たれたのは無慈悲な15時間と言う距離。
曰く学校は安全性を重視するために穏やかな森の中にあるらしく、来たの王国側領地に有る森の中まで行かなくてはならない…
いくらだるいと不満を漏らそうが時間は短縮されない……スケロクも内心だるいと感じてる模様。
「明日の朝に出るから今日はゆっくりしてると良いよ。」
「そうしないと耐え切れないよ…」
【ガウアゥ…】
「その気持ち、よく分かるよ。」
明日の朝には出るという事でマオとザミは病室でジーっとしていたが………少し心配気味。
モンスターテイマー学園へ行くことになったは良いものの、マオはザミを立派なモンスターに出来るかが少し心配なのである。
それにマオから見ればザミはかけがえのない唯一の家族で愛するペット、やっぱり戦って欲しくないと思っている…
「ねぇザミ、ザミはどうしたい?強いモンスターになりたいの?」
【ワウッ!】
「そっかぁ……そうだよね…やっぱり強くなりたいんだね!」
だがしかし、ザミはやる気満々で活気に満ち溢れている!
やはり一匹のオスとして強さを追い求めたいのだ、もちろんそのような事を彼が望むのならマオも全力でサポートするのみ!
「よっしゃぁ!どうせなら最強目指そう!ザミなら行けるよ!」
【ガウガウガウ!】
「なら当然学校でも頂点取らないといけないわけだから、気を引き締めて行くよ!」
【アゥウ!】
マオとザミは来るべき時に備え、気を引き締めるのだった…
いよいよ明日に迫る入学……果たして学園の生徒達はどのようなモンスターを従えているのだろうか?マオとザミはドキドキと胸を鳴らした。
つづく(テンポ遅いです、すみません)
・・・
モンスター大図鑑
【スカベンジハウンド】
魔獣類、魔犬科、大型犬属 危険度0(可も無く不可もなく)
有効度:高 知能:ピンキリ
『大昔にアルファハウンドと牧羊犬を掛け合わせ作られたとされている猟犬型モンスターの一種。知能はピンからキリだが平均して普通の牧羊犬より高い。古来より人間と共に生きて来たモンスターの一種で4大家畜モンスターの一角を補っている。肉は固くて不味く、毛皮も上質な物では無いのでやはり愛玩用や牧羊犬として飼われることが多い。最近では様々な犬と交配させた個性豊かな雑種が人気だがその反面捨てられた個体の野生化などが問題視されている。』
【ビスタ族】
魔獣人類、コロニー型、羽織属 危険度1(注意、人を襲う恐れあり)
有効度:中 知能:高 言語:ビスタ語、現代共通語
『独特な言語で話す変わった小型の獣人族。羽織属の特徴として自身を覆い隠す服と帽子を着用しており、これは自分で作ったり、拾ったりなどしている。野生のものは森の中にコロニーを築き、ツリーハウスを作成して暮らしていて1つのコロニーにつき平均20体以上が暮らしている。主食は果実や動物の肉で何でも火を通してから食し、甘いものを好む様子。人間の社会で暮らす者も多く、その場合は言葉を自然と話すようになる。手先が器用で作業に向いているが手癖も悪いのできちんとした躾が必要。肉は弾力があり過ぎ、味は不味い(13探検隊の手記にて)』
応援ありがとうございます!
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