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◆真実 * 尊
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しおりを挟む「兄さんがツキシロに就職した智子さんを見初めて、結婚したが。私の両親が、尊のおじい様とおばあ様がね、大反対だったそうだ。資産家の令嬢でもないし、そんな父親がいるんだ。反対も当然だろう。でも兄さんはその反対を押し切って結婚した」
叔父は話を中断して、喉を潤すようにグラスの水を飲む。
俺は喉の奥が苦しくなり、大きく息を吸った。
母が令嬢ではないというのは想像できていたが、そんな父親がいたとなるとさぞかし肩身が狭かったに違いない。
祖母は――、プライドが高く何事にも厳格な祖母は、そんな状況を許すはずはないから。
「智子さんの父親は、案の定月城家に金の無心に現れては智子さんを苦しめていたらしい。必死で兄がかばっていたが、おじい様とおばあ様がね、許せなかったらしい。父親に会いに行った智子さんに離婚届にサインを迫って、そのまま追い出したんだ」
――え? 嘘だろ?
「智子さんがいなくなってしばらくしてから、俺は兄に聞かされた。このまま月城にいては、彼女は不幸だと。だから彼女のためにあきらめたと言っていたよ。兄さんはそれからも智子さんが金には困らないように援助を続けたらしいが、間もなく智子さんの父親は急性アルコール中毒で死んだそうだ。飲み屋で倒れてあっけなくね。智子さんは兄さんが渡したはずの口座の通帳カード一式を送り返してきて。一銭も使ってはいなかったらしい。尊をお願いしますとメモがあったそうだ」
「どうして」
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