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◆うまくいかない * 尊

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 夜、ホテルでひとりになるとホッとした。

 弥衣が来てからの一週間。気を使っているつもりはなかったが、それでもひとりだと思うだけで肩の力が抜ける気がする。

『お互いに安らげる伴侶が一番です』

 春海の言う通りなら、俺たちは当てはまらないな。

 シャワーを浴びて、バスローブの紐も縛らず丸出しのままソファーに腰を下ろすと、心から自由になった気がした。

 ルームサービスで頼んだ夕食も、嫌いなものは心置きなく残せる。

 生のピーマン、火が通って甘くなった人参。
 無理をすれば食べられなくもないが、はっきり言って好きじゃない。

 タコとピーマンだけのマリネはさすがにつらくて、残したピーマンをちょっとだけ捨てたが、あの時以外はほぼ食べている。
 弥衣がよそ見をしている間に弥衣の皿に移したりしたあれは、弥衣も気づいていないだろう。

 ペアの食器も、勢いで買ったはいいが別に使いたいわけじゃない。

 あいつ、ひとりだと何を食べているんだろうな?

 別になんでもいいが。
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