龍崎専務が誘惑する

白亜凛

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3.飼うならかわいい猫がいい

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 アキラさんから聞いた話と考え合わせると、色々と合点がいく。

 縁談に悩む真面目な女の子が、ハロウィンの力を借りて冒険に出たものの失敗し、おとなしくお見合いをした。

 順番的にそんなところだろう。

 その見合いは結局失敗に終わったらしいがハロウィンの夜遊びの件は、恐らくアキラさんは知らない。

 あの子がもしハロウィンで会った男の背中の入れ墨の話をしていれば、アキラさんなら俺だとすぐにわかるはずだし、なにか言ってくるに違いない。ましてや家政婦などやらせるはずもないから、小恋は言っていないのだろう。

 バレたところでキスしかしてないし、ヤッたわけじゃないから一発殴られるくらいで済むだろうが――。

 結構危なかったからな……。

 バレンタインの再会。ダイニングテーブルで向かい合い、久しぶりにあの唇を目の前にして、思わず苦笑した。

 どういうわけだか無性に欲情させる、純情娘。

 あのまま雇い続けて、この先ずっと、なにもしないでいる自信はない。

 さて困ったなと考えるうち、思い出したのは秘書の件だった。

 いいかもしれないと思った。

 オフィスに森村小恋がいる様子を想像するとしっくりきた。

 この子なら気を遣わずに済むだろう。いったん家政婦をクビにして、正規のルートで採用すれば問題ない。

 さすがに会社であいつを犯そうとまでは思わない。家に小恋がいるのとオフィスにいるのでは違う。

 アキラさんには、秘書の採用試験のことを話し、あの子の未来のためにも家政婦より正社員のほうがいいだろうと説明した。本人が龍崎組は嫌だと言った場合は、仁が必ずいいところを見つけてくれるからと。

 ただし、あいつは俺がヴァンパイアだと気づいたはずだ。俺が怖ければ断って他社に行くだろう。小恋が秘書を選ばなければ今度こそ縁が切れる。その時はやむなしと思ったが――。

 そうか、小恋は来たか。

 なあ、小恋よ。

 三度目の縁となれば、これはもう運命だよな。
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