醒めているのか?

露利

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醒めているのか?

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ああ、よく寝た。
重い瞼を開きぼやけた視界で時計を確認すると針は正午を指していた。
今日も遅刻か、誰に言うわけでもなく呟きゆっくり起き上がる。
どくんどくんと跳ねる心臓は起きた体に血をめぐらせていく。
もともと目覚めのいい方ではないが、その日はいつもよりもひどく頭が痛み上体を起こすだけでもクラクラしてくる。

頭を覚ますためテレビの電源をつけた。平日の昼の放送なんてたいして代わり映えがしないから結局眠くなってくるんだよななんて考えていると映像がうつる。いわゆる家庭の医学といわれる番組のようだ。
睡眠の病気を紹介している。

夢遊病の一種。夢と現実の境がぼやけて起きていても常に眠く気づいたら寝てしまい、夢である事に気づかず現実の続きをしていたら目が覚めて、現実と夢の中の記憶で混乱して夢の中に閉じこもってしまう。睡眠時間の長い人、寝起きの悪い、すっきり起きられない人に多く発症する。

眠たい頭で聞いている割には内容が頭に入っていた。

考える。そんな病気、もし発病したとて気付かないだろう。
社会に急かされる人間は起き上がればやれ支度、やれ出勤通学、勉学仕事を終えて帰宅、制服を脱げば泥のように眠る、この繰り返しの途中で寝てしまっても夢の中で同じことを続ける。起きて多少記憶にズレが生まれても夢でも現実でもやっている事は変わらない。深く考えず支度を始めるのだ。
夢と現実の区別などない。なんならこの現実が夢ではないとは言いきれない。この夢が現実では無いとは言いきれない。現実で生きていることに意味などない、夢の中でもぐるぐると同じ「生きること」を続けられるのならば現実に生きていることに意味などないのだ....

思考が堂々巡りを始めたところで意識が重くなり始めた。

寝起きで力の入らない体は重力になすがまま引っ張られていく。

起き上がった体で健気に活動していた心臓は体が横になって静かになっていく。

まぶたが重くなる。

意識が遠くなっていく。 


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