学級委員長だったのにクラスのおまんこ係にされて人権がなくなりました

ごみでこくん

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本編5話(修学旅行編 二日目)

高瀬くんの修学旅行①

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世にも恥ずかしい一夜が明け、修学旅行二日目の朝。だんだんと頭が冷えて正気になってくればくるほど、昨日脳イキとかいうプレイの一環で自分が言わされたあれやこれやを思い出しては、一日中布団を被ってダンゴムシのように過ごしたいほどの羞恥に苛まれた。昨日のアレは本当に僕と柏木だったのか?違う、あんなの僕じゃない、あんなこと思ってもいない、言わされただけ、嘘だ、まぼろしだ。あんな、あんな。柏木だって、あんな奴じゃない。もっと明るくて、バカで、テキトーで、まあ、誰とでも仲良くできて、猛獣をあしらうのは上手いけど、あんな、あんな。

『男を意識する練習ってのは、高瀬の場合、抱かれる側、オンナノコとしてだよ?いかに自分が男に弱くて、男が好きで、男がいないと生きていけないオンナノコかを意識して、自覚して、身体だけじゃなくて心の底から男に堕ちる練習をしろって言ってんの』

昨日の夜、柏木に言われたことを思い返すと、ぷしゅうぅ……と頬が熱くなってくる。違う、僕はオンナノコなんかじゃない、男に弱くもないし、好きでもないし、男なんかいなくたって全然生きていける。昨日は、柏木の作る変なムードに呑まれて、軽い催眠状態で、ちょっとおかしくなってしまっていただけだ。

『弱いものイジメしてた元委員長様だけど、本当は自分より強い男にイジメられるのがだーいすきなの』

『ヤダヤダ言いながら喜んで股開いてちんぽ咥えるのも高瀬の長所なんだから別に隠さなくていいんだよ』

「…………」

ホテルから京都駅へ向かうバスの中も、京都駅で班ごとに解散してから濁水寺へ向かうバスの中も、僕の頭の中は昨日柏木からプレゼントされた厭らしい言葉の数々でいっぱいだった。当の柏木はあっけらかんとした様子で、尾形と駄弁っているのがまた悔しい。こんなの、僕だけが男を意識してしまっているみたいだ。

しかし、濁水寺に着いたからには、さすがに僕も気持ちを切り替えなくてはならない、と襟を正す。今日の予定は、京都駅で買った市バスの一日乗車カードを使って京都の観光名所を一通り回ることになっていた。

のだが。

「丹羽くん、大丈夫なんでしょうか……」
「あ、LIME返ってきた。『俺のことはいいから先に行け』って、強キャラの死亡フラグみたいなの立ってんだけど、これは大丈夫じゃないやつだなー……」
「食当たり?あいつなんか買い食いしてたっけ?」
「いや、普通にバス酔いでしょ。言われてみれば、バスの中で丹羽ずっと静かだったことない?」
「全然気付けなくて、俺、親友失格です……」
「本人も先に行けって言ってんだし、濁水寺は俺らだけで回ろうぜ。戻ってくる頃には復活してるだろ」
「うーん、でも、明らかに体調悪いやつをトイレに一人で置いてくってのもなぁ。高瀬はどう思う?」

そう。着くなり、ちょっと気分が悪いからと言って、トイレに行った丹羽が一向に戻ってこないのだ。柏木に届いたLIMEでは先に行け、と言っているらしいが、病人を一人で放っておけないのは僕も同意である。

「丹羽の体調不良がバス酔いなんだとしたら、これ以上、あいつをバスで移動させるのは無理だな。班行動じゃなくなっちゃうけど、ここで二手に分かれよう。僕はここに残って、丹羽がトイレから出てくるのを待って、その後の予定を考える。しんどそうだったら一度ホテルに戻るし、ちょっと休んで元気になったら、バスじゃなくて電車とか徒歩で回れそうなところ回ったり。お前ら三人は、せっかく一日乗車カードも買ったから、三人で元々の予定通りに回れ。丹羽には、トイレから出てきたらちゃんと話しておくから」

僕が言うと、真っ先に同意してくれたのは、件の柏木だ。

「さっすが元委員長。やっぱり昼の高瀬はしっかりしてるよなー。こっちの二人は俺にお任せあれ!」
「昼の、は余計だよっ」
「あのっ……せっかくの提案ですけど、俺は丹羽くんが心配なので、高瀬様と一緒に残ります……!」
「俺も。別に京都観光がしたいわけじゃないから」
「あのな、まず、尾形。お前はダメ。お前がいたら、丹羽の体調、よくなるものもよくならないだろ。あと、西田もあっち。お前は、優しいし気ぃ遣いすぎるから丹羽がお前に心配かけまいと逆に気を遣うの」
「「む~…………」」
「ほら、おがちゃんも西田も、そうと決まったら行くよー。高瀬、丹羽が思いのほかヤバそうだったり、一旦ホテル戻るとかだったら、一応俺に連絡して」
「分かった。じゃあ、そっちはよろしくな。お前ら、ちゃんとはぐれないように柏木についてくんだぞ」
「瑞葵ぃ……」
「高瀬様ぁ……丹羽くんに、くれぐれも無理しないようにだけは伝えてください……」
「なんか高瀬がお母さん、俺がお父さんでこいつらが手のかかる次男三男みたいだね。丹羽が長男」
「っ、僕をすぐオンナノコにしようとするなっ!」
「いや、それはお前……意識しすぎだろ」

全く柏木のやつ、油断も隙もありゃしない。
僕は踵を返してトイレまで戻り、近くのベンチに腰掛けて一人、丹羽が出てくるのを待った。
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