アイドルだって恋してる!!ダメ?

あさぎ いろ

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新曲始動!

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友達以上恋人未満がテーマの新曲のプロジェクトが始動した。

るい君の恋人宣言を鎮静化する為に、社長が出した案だ。 
ジャケットも、今までのアイドル風なのを一新して、オシャレな感じのジャケットにするらしい。

ハグした2組のジャケットは、表面は俺とミナミ君がこっちを向いてて、後頭部だけで向こう向きの2人、るい君ととおる君は、裏面から見える仕掛け。
両面で魅せるジャケットに決まった。
眼力のある、美しいるい君の写真を見てると、思わず顔が赤くなった。


続いて、振り付けの練習が始まった。
最初は、俺とミナミ君、るい君ととおる君の2組で踊る。
しかし、嫉妬の炎を燃やしたるい君と、とおる君が、僕とミナミ君を引き離して、互いの我が腕の中に抱きしめる。
そんな振り付け。 
もちろん、かっこよく踊るシーンもあるし、ドラマチックな振り付けを、僕らは、とても気に入った。

るい君が、切なげに俺の目を見つめて来るので、振り付けなんだと分かっているのに、なかなか慣れない。
毎回ドキドキを抑えるのに必死だった。  
まぁ、とおるくんには、バレてるみたいだから、時々ニヤニヤされちゃうんだけど…

今回は、キスシーンは無しにしたらしいと聞いて、ホッとしたけど、実は、ほんの少~しだけ残念だった。

毎回だと、飽きられる可能性があるから…と提案したのは、マネージャーの寺田さんだと聞いた時、俺はピンときた。
やっぱり…
ミナミ君と、寺田さんは…怪しい。
あの抱き合う二人の雰囲気は、普通では無かった。
甘いというか…熱いというか。
二人だけの世界が完全に出来上がっていた。
しかも、寺田さんは、俺に向かって、秘密だよ…というポーズ付き。

あまり触れてはイケナイ雰囲気に、あれから何も聞いたりは、しなかったけれど…
ミナミ君がとおる君とキスするのが…寺田さん的に嫌だったんじゃないかなぁ…と一人考察した。 
るい君と人気女優の三栗屋あかりさんとキスシーンのあるドラマを手配しておいて…ちょっとズルいなぁとは、思ったけど、俺らの関係を知らなかったんだから、そこは仕方ないよな。

ミナミ君が最近…時々、寺田さんを見つめてるのを知ってるよ、俺。
あれは、愛しい人を見る目だと…思う、多分。
俺も、るい君に対して、あんな目で見つめてるのかと思ったら、気をつけなくてはイケナイ気持ちになった。
だって、本人は自覚無いんだろうけど、バレバレだったから。

多分…勘が良いとおる君は、ミナミ君の気持ちも、なんなら寺田さんのきもちまでも分かってる気がする。
だって、今回の新曲の振り付けにキスシーンを入れなかった事に、全くの無反応だったから。
当たり前だよな…的な。
リーダーは、ちゃんと皆んなを見てる。

るい君は、そもそも…自分で言うのもなんだけど…興味の対象が狭くて、俺だけを見てるんだよなぁ。
愛されてるというか…
意外にも独占欲が強いんだと、知ったのは、ここ最近の事。


 新曲のPVも、出来上がった。
振り付けをそのまま、更にドラマ仕立てにした感じ。
4人で見たけど、めちゃかっこよかった。

テレビで新曲を初披露する日も近い。

ドキドキしてきた。
しかも生放送らしいから…
ミスが出来ない…って事で、更なるプレッシャーがかかる。
毎日遅くまで練習する俺を、るい君は心配顔で見てるのは分かったけど、止められない。
満足のゆくまで練習するのは、いつもの事だから、それを知ってるるい君は、止めたりはしない。
ただ、俺が倒れたりしないように、水分補給のタイミングを見て、必ず飲ませる。
しかも…なんと、口移し。

最初、まだ飲み物要らないって踊り続けたら、突然、抱き寄せられ、口移しで飲まされたのだ。

「倒れたら、元も子もないから。練習したいなら、ちゃんと水分取って」
真剣な顔で言われると、俺は、従うしか無くて…
スタジオに2人きりで良かったと思った。
るい君も練習はするけど、覚えも早いし、何より動きが綺麗なんだよな。
小さい頃から、ダンス教室に通ってた彼にとって、踊りを習得するのは、お手の物らしい。
一方、この世界に入ってから、ダンスを始めた俺は、毎回ついて行くのに必死で。
ファンの前で、無様な踊りは出来ないから、めちゃくちゃ頑張ってるけど…
今も、るい君の3分の1も上手く踊れない。
時々、動きのアドバイスはしてくれるけど、ほぼ、見てるだけで、ダメ出しとかは、全くされない。
甘いんだよなぁ…

「大丈夫だよ…ダンスって、綺麗に踊れたら良いんじゃないから…リヒトには、愛嬌がある、見ていて誰より引き寄せられるよ」
それは、るい君が俺を好きだから…
技術も表現も足りない自分を情けないと思っている。
せめて、ファンが好きだと言ってくれる笑顔と元気さだけは、忘れない。

「るい君…ありがとう…好き」
身体中の水分が無くなり、頭がボーッとしたからか、最後の言葉は、心に留めたつもりが…ハッキリと出ていた。

「リヒト…ここでソレ言っちゃう?襲っちゃおうかなぁ…」
「いや、もう、体力無いんで…ごめんなさい」 
「分かってるよ…身体だけが目的じゃ無いから…エロいリヒトは、好きだけど、頑張るリヒトも好きだよ」

こういうとこ…
本当、出来すぎた彼氏というか。
欲しい言葉をくれる。
俺は、何も与えられないのに…あ、身体だけは…与えちゃうけど、それも、この所は、ご無沙汰だし。

どうしても、挿入される側は、負担がかかるからって、かなりセーブしてくれてるのを知ってる。
触れ合って、抜き合うだけのエッチも確かに好きだけど…
やっぱり、繋がりたいと思ってしまう。
溶けるくらい、気絶するくらい…どこまでも…るい君とは、そんな繋がりが欲しい。
どうしよう…俺、こんな淫乱だったかな…めちゃくちゃにして欲しいとか。

「リヒト…だから、その顔やめて…めちゃくちゃエロい顔してる…」
俺、欲しがってる顔してたらしい。

「ごめん…ちょっとしたい気もするけど、もう、本当…ギブ」
俺はフラリとるい君の方に倒れた。

そのまま…気付いたら、るい君のベットに、キチンとパジャマを着せられた状態で転がっていた。
しかも、身体はスッキリで、汗でベタベタとかじゃない。
清拭してくれたのか… 
優しい過ぎる。

「起きた?」
隣に寝ていたるい君が、俺を見つめていた
「うん、ごめんね…俺…寝ちゃって」
「大丈夫…結構楽しませて貰ったから」
は?
ん?なんか、身体の至る所が、ヒリッと熱い…ような。
まさか、と思ってパジャマのボタンを2個外し…
胸を開くと…赤い印が点々と…

そういう事か。

「ご馳走様」
一言、言われたのだった。
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