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2人っきりの配信
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「じゃあね~またねっ!みんな!おやすみ~」
「ありがとう!バイバイ~」
ふう~っと、二人同時に息を着く。
今日は、るい君と俺の二人配信の日で…
俺は、るい君の自宅にお邪魔してる。
もう、何度も来てるこの部屋。割とシンプルで、あまり物は置いてないけど、アンティークが好きだと言う彼の部屋には、お気に入りだと言う趣味の良い家具が置かれており、穏やかな…とても寛げる空間が広がっている。
なんだか懐かしいような感覚の部屋だ。
けど…るい君への感情を自覚してしまって、彼を意識し始めてからは……
来る度に、2人きりになる事が本当に落ち着かなくて…… つい、他のメンバー2人を探したくなる。
「んじゃ、お疲れ~俺帰るわ……」
「え、なんで?もう遅いし、泊まってけばいいじゃん。明日は、10時から打ち合わせ入ってるし、そのまま一緒に事務所行こうよ~」
はいっ!と、赤いチェックのパジャマをポンと渡される。
何度目かのお泊まりの時、似合いそうだから買っといた~と、不意に渡された物で…
何故か、そのまま、るい君家に保管されている…俺のパジャマ。
あんまり物を増やすのが好きじゃない…と言う、るい君なのに。わざわざ、俺のパジャマを置いてくれてる…と思うと、なんだか胸がギュッとなる。
パジャマを抱きしめるように胸に持つと
「じゃ…お言葉に甘えて~シャワー借りるな…ありがとう」
照れながら……バスルームに向かう。
いいえいいえ~と笑いながら答える声が後ろから聞こえた。
ふんわりと湯気に包まれ、柔軟剤の良い香りのするパジャマに袖を通すと、柔らかなタオルで髪の雫を押さえながら出る
「はい、ここ座って~」
るい君が自分の前の場所をポンポンと叩いている……そして、手にはドライヤー。
これは、乾かしてくれると?
「お願いしますっ」
と、チョコンと彼の前に座る。
人に髪を乾かして貰うのって…好きかも…くすぐったくて……でもって、ちょっと緊張する。
時々、耳に擦れる指や、髪の間を滑る手のひら…
「リヒトの髪は柔らかだな~」
と言われると……少し嬉しくなった。
よしっ!と、すっかり髪は乾き、解放される。
俺は照れたように笑うしか無くて…
ありがとうと小さく伝えると…
なんとなく俯いてしまう。
そんな俺の反応を他所に、んじゃ、交代でお風呂入ってくる~と、俺を一人残して、さっさとバスルームに、るい君は消えた。
俺はソファに座ってテレビを付ける。バスルームからは、シャワーの音がしてきて……つい、その姿を想像してしまった。
俺は慌てて、その音を消すため……少しだけボリュームを上げた。
膝を抱えるように座ると、画面を見つめる。
ふぅ~って言いながら、るい君が出てきた。ホカホカの彼は、頬を赤く染めていて、ちょっと可愛い。
俺は待ち構えたかの様に、ドライヤーを手に振る。
「はい、交代ですよ」
「よろしくぅ~」
と、るい君は、トンっと軽やかに俺の前に座る。
俺よりかなり背の高い彼だから、見上げるようになる。
ドライヤーのスイッチを入れると、弛緩した彼の身体が俺に少しもたれてきた。
「なんか、乾かして貰うのって……気持ち良いな~」
満足そうな声が聞こえてくるので、俺は嬉しくなって、彼の髪をすいて、ドライヤーを当てながら
「暑かったり、痒かったりしないですか?お客様ぁ~」
口調を少しかしこまって話してみる
「ふふふっ、サロンごっこ?……大丈夫です。凄く気持ち良いです、さすがプロですね!」
「ええ、こちとら、これでメシ食ってますからねぇ~オホホホッ」
「なんだよ、それ。急に…フフフッ」
このままずっと、じゃれていたかったけど、乾いてしまったので、ゆっくりとブラッシングしてから終わりにした。
「ありがとうな~よし、今日も頑張ったし!じゃ、ちょっと飲むかぁ~」
と、キッチンへ行くるい君を見て、
俺も、持ってきたつまみを出そうと、自分のリュックを置いてあるとこに向かう。
リュックを手に取ると……
あれ?
なんか……黄色い…物が。
ん?
るい君をデフォルメされたキャラクターの、ぬいキーホルダーが、俺のリュックに付けられていた
「るい君?これ?え?えっ?いつの間に?」
キッチンから少し大きめの返事が返ってくる。
「見つけたぁ?へへへっー。あ~、それな~、さっきリヒトがお風呂入ってる時に付けた!担推しでよろしく!外したら泣いちゃうぞ」
俺は、そのキーホルダーを見つめる。
可愛いじゃんコレ……
そして、るい君自らが付けてくれた…という事が、驚きと多幸感でいっぱいになる。
思わずニヤケてしまいそうな頬を引き締めると
「外せるワケないよ…」
小さく呟いた。
なぁにぃ~?って、キッチンから聞かれた。
「いや、大事にするよ。ありがとう」
大きめな声で、返事をした。
るい君が、パタパタとこっちにやって来た。
「素直~!リヒト、可愛いな~!良し!もっと、10個くらい?ジャラジャラ付けるか?」
「え?遊んでる?俺で遊んでる?」
「いや?楽しんでるだけ(笑)リヒトのキーホルダーも一緒に付けたら…動く度に、チュッってするんじゃない?!それは、うん、なかなか萌えるな!」
と、顎に手を当てて、納得顔のるい君。
それも悪くないかも……と、俺も一瞬は、思ったけど……
揺れる2人のキーホルダーを想像したら、恥ずかしいから……
てか、バレバレになるじゃん!
それは無理だと思った
「いや、それは……あの、遠慮します。じゃ、今度、俺の特大ぬいを持ってきたげるよ……ぜひとも抱いて寝てくれ!」
「あ、あ、あ、ア、リガトウ……」
「なんだよぉ~俺からは、要らないって、どゆこと?」
「ハハハッ、いや、それなら、ぬいより、本物を抱えて寝るわ~」
冗談でも、めちゃくちゃドキッとする事を言ってくる…ズルい。
テーブルの上は、俺が持ってきたお菓子や、つまみと、ビールやら、缶チューハイが並んでる。
カンパーイと言いながら、プルトップを開ける。プシュっと良い音が鳴る。
「お!コレ、好き~上手いよなぁ~」
俺が持ってきたワサビチップスの包装をバリッと開く、るい君。
そう、この間……上手い~って美味しそうな顔で食べてたから……買ってきたんだけど……正解だったな。
俺はワサビとか、辛い系は、少し苦手だから……
お酒でも、チョコレートとか食べる派だからなぁ。
何から食べようかなぁ~って、手を伸ばした俺の目先に…
目が釘付けになる物が1つあった。
ポッキー…そう、ポッキーがある。
この間、チュッてしてしまった事が脳内再生され……一人で慌てる。
冷静になれ、俺。ポッキーは、普通に食べたら良いんだからな…
「何?リヒト、ポッキー見てる?あ?思い出した?この間のゲーム!もうっ、ヤラシイなぁ~」
そんな事言いながら、ポッキーを開封した彼は、1本取り出すと……ポリポリ食べる。
「違うしっ!俺はポッキーが大好きなだけだし~スィーツ男子だもんっ!」
ポッキーゲームしよ?って言われなくて、ホッとしたような……少しだけ残念な気持ちで、俺も1本取ると下を向いてポリポリ食べた。
「ハイッ!」
ん?と、るい君の方を見ると……ポッキーを加えて、ニヤニヤしてる。
「いや、ハイッて…しないよぉ!」
意地を張って、俺はポッキーを手に取りポリポリと食べる。
るい君は、ニヤケたまま、ポッキーを食べながらお酒をぐびぐび呑んでいる。
テレビ画面は、CMになり、ボーッと画面を見つめたままで、ポリポリと食べていると、急に目の前にるい君の顔が現れ、俺の食べてるポッキーの端を咥えられた。
えっ?と思ってると、どんどん食べられて、ギリギリ、唇が重なる手前で、離れて行かれた。
俺は、突然の事への驚きに、目を見開いたまま、るい君を見ていると
「顔真っ赤で、リヒト可愛い過ぎ!油断してただろ?」
笑いながら、口の中のポッキーを咀嚼している。
その後も、俺がポッキーを食べ始めると、横から、不意に咥えてきて、俺のポッキーを奪う…という、なんかゲームみたいになってきて。
取るなよ~!俺のだ!
いや、俺のだ!と、何度もやり取りしてる内に、少し慣れてきて…
完全に油断していた俺は、何度目かの、ポッキーゲームに、またか……と
取られないようにドンドン食べ進めていると、急に唇が重なった。
うわっ!距離間違えた!と、頭を後ろに引こうと思ったのに、るい君の手は、なんと、俺の後ろ頭を抑えていて、重なったままの唇は、一向に離れてくれない。
そのまま……
るい君の舌が、俺の唇を押し開いて挿入されてきた。
俺の頭はパニックになりかけていてるのに、余裕そうなるい君は、俺の口腔内を舐め上げる。
そして、ポッキーの欠片を上手に舌で舐め取られ。
俺の口の中にあったポッキーは、るい君の口の中へと消えた。
チュッっという音と共に……やっと離れた唇。
るい君は、満足そうにポリポリと噛んでいる。
「甘ーいね。ポッキー」
「な、な、何すんだよぅ!!もうっ!るい君。酔ってるのか!?」
「ん~?ちょっとだけ?でも、なんか…リヒト見てたら、チュウしたくなったんたもんっ!」
「だもんっ!って…可愛いく言われてもな…うー…」
自分でも顔が真っ赤になってるのが分かるくらい…頬が熱い。
「ダメ?リヒトの唇、柔らかくて気持ち良い。それに、知ってる?僕…結構キス上手だよ?」
「知らないよ…そんな事、公式のSNSにでも上げてるわけ?」
ワケのわからない会話になってくる。
俺の心臓の音だけが耳に届いてる。
「ううん…リヒトだけに特別に教えてあげようか?」
るい君の目付きは…急に隠猥に光る。
そんな事を言われると思ってなかった俺は、思わず後ろに身体を引く…
が、壁に後頭部が当たり…コツンと音がした。
るい君は、俺を逃がすまいと、片手で壁に肘から手のひらを押し付けた。
いわゆる、壁ドンの洗礼を俺は受けていた。
「え、壁ドン?これって、ファンサ?」
「そ、ファンサ……僕のぬいキーホルダー付けてるの見たよ。キミは、僕のファンなんだろ?」
今度は一体、何ごっこが始まったんだよ…
絶対、コレ酔っ払ってるよ~るい君。
いや、そもそも、キーホルダーを付けたのは、るい君だぞ!
遊びなのか、本気なのか判断がつかない俺は、ようやく答える。
「はいっ!大ファンですっ!」
辛うじて、笑顔を作ると……
ここは、乗ってみるか……と、俺もいつものノリの良さを前に出して言い返す。
「そうかそうか……うんうん。キミは、僕を担推し?」
「はぃっ!るい君、担推しですっ!」
可愛く言ってみる。
顔面偏差値高めのるい君の顔は、真直にあり…
俺は、感情を押し殺しながらも、止まらない心臓をドキドキさせ、見つめていると。
ニヤリと艶やかな笑みを浮かべた、るい君から
「僕のファンだと言うそんなキミに。実は、良いプレゼントがある…」
は?と口を開くと同時に俺の唇は、またもや、るい君の唇で塞がれてしまった。
ヌルヌルと蠢く舌に上顎を舐められた瞬間、甘い声が漏れ出てしまう。
「んんっ」
少し苦い、お酒の味がする……
ちょっと待って……と言いたいのに……
塞がれた口からは
「ちょ、むむっ、んっんっ」
と、曇った声しか漏れない。
グイとるい君の胸を両手で押すが、以外にも強い力と、体格差でビクともしない……
るい君の両手は壁にピタリとくっついたまま……俺を自分の唇で抑え付けて、壁に押してくる。
俺は前にも後ろにも逃げ場が無くなった。
そのまま、唾液が、混ざり合う音が脳内に響くと、何も考えられなくなってくる。
絡められる舌に、俺の意思とは別に、徐々に俺の唇と舌が、るい君に応えようとしてしまう。
ダメ……酔ってる彼のキスを本気にしては…イケナイ、と頭の片隅では思うのに、抗えない。
どのくらい……唇を合わせていただろう。
唇は離れ……彼と繋がる唾液の糸がつーっと伸びたと思うと、プツリと切れた。
愕然とする俺は、抗議の声を上げようとしたが、なんと、るい君は、ソファにパタリと倒れ…
そのまま……るい君は、寝息を立てて、熟睡してしまった。
俺は1人で…さっきの出来事を反芻しては、自分で自分を抱きしめた。
荒くなりそうな息を整え、スヤスヤと眠る、彼を覗き見る。
なんだか、凄く満足気な寝顔に腹が立ってきた。
「おい、起きろ!ベットで、寝ろよ!」
グイグイと揺すり起こすと、
「えぇ、んぁ?」
のそのそとベットに動いていく彼を見て、俺は頭を抱えた。
なんて事してくれんだよ…
キスの感覚を忘れたくても、何度も脳内をしっかりと駆け巡る、さっきの出来事。
俺の片想いは、このまま隠しておけるのか…?
普通に接する事が出来るのか不安になっていた。
翌朝、何事も無かったかのように話するい君を見て、やっぱり忘れたのか…覚えてるのは、俺だけか…と少しだけ寂しい気持ちになった。
昼から打ち合わせで、他のメンバーのミナミ君に、俺はボヤいた
「昨日、るい君、めちゃくちゃ酔っ払ってさ~もう、困ったよ……本人、全然覚えてないんだせ?酷くね?」
それを聞いて、ミナミ君が不思議そうな顔をする
「いや、るい君は……めちゃくちゃ酒強いよ?あー見えて。前後不覚とかなった事無い!って豪語してたんだけどな…んー、おかしいなぁ…何があったん?」
聞かれても答えれるワケが無く……
「あー、い、いや。そう!ゲロ吐かれただけ…」
「えー、最低……るい君」
ドン引きのミナミ君を見て、してやったり!と思ったけど…
あれ?前後不覚にならない?
じゃ、昨日のは?
えーーーー!!は?あれって、酔ったフリ?
いや、これ、どっちなのか…怖くて聞けない…
1人で悶々とする…俺だった。
「ありがとう!バイバイ~」
ふう~っと、二人同時に息を着く。
今日は、るい君と俺の二人配信の日で…
俺は、るい君の自宅にお邪魔してる。
もう、何度も来てるこの部屋。割とシンプルで、あまり物は置いてないけど、アンティークが好きだと言う彼の部屋には、お気に入りだと言う趣味の良い家具が置かれており、穏やかな…とても寛げる空間が広がっている。
なんだか懐かしいような感覚の部屋だ。
けど…るい君への感情を自覚してしまって、彼を意識し始めてからは……
来る度に、2人きりになる事が本当に落ち着かなくて…… つい、他のメンバー2人を探したくなる。
「んじゃ、お疲れ~俺帰るわ……」
「え、なんで?もう遅いし、泊まってけばいいじゃん。明日は、10時から打ち合わせ入ってるし、そのまま一緒に事務所行こうよ~」
はいっ!と、赤いチェックのパジャマをポンと渡される。
何度目かのお泊まりの時、似合いそうだから買っといた~と、不意に渡された物で…
何故か、そのまま、るい君家に保管されている…俺のパジャマ。
あんまり物を増やすのが好きじゃない…と言う、るい君なのに。わざわざ、俺のパジャマを置いてくれてる…と思うと、なんだか胸がギュッとなる。
パジャマを抱きしめるように胸に持つと
「じゃ…お言葉に甘えて~シャワー借りるな…ありがとう」
照れながら……バスルームに向かう。
いいえいいえ~と笑いながら答える声が後ろから聞こえた。
ふんわりと湯気に包まれ、柔軟剤の良い香りのするパジャマに袖を通すと、柔らかなタオルで髪の雫を押さえながら出る
「はい、ここ座って~」
るい君が自分の前の場所をポンポンと叩いている……そして、手にはドライヤー。
これは、乾かしてくれると?
「お願いしますっ」
と、チョコンと彼の前に座る。
人に髪を乾かして貰うのって…好きかも…くすぐったくて……でもって、ちょっと緊張する。
時々、耳に擦れる指や、髪の間を滑る手のひら…
「リヒトの髪は柔らかだな~」
と言われると……少し嬉しくなった。
よしっ!と、すっかり髪は乾き、解放される。
俺は照れたように笑うしか無くて…
ありがとうと小さく伝えると…
なんとなく俯いてしまう。
そんな俺の反応を他所に、んじゃ、交代でお風呂入ってくる~と、俺を一人残して、さっさとバスルームに、るい君は消えた。
俺はソファに座ってテレビを付ける。バスルームからは、シャワーの音がしてきて……つい、その姿を想像してしまった。
俺は慌てて、その音を消すため……少しだけボリュームを上げた。
膝を抱えるように座ると、画面を見つめる。
ふぅ~って言いながら、るい君が出てきた。ホカホカの彼は、頬を赤く染めていて、ちょっと可愛い。
俺は待ち構えたかの様に、ドライヤーを手に振る。
「はい、交代ですよ」
「よろしくぅ~」
と、るい君は、トンっと軽やかに俺の前に座る。
俺よりかなり背の高い彼だから、見上げるようになる。
ドライヤーのスイッチを入れると、弛緩した彼の身体が俺に少しもたれてきた。
「なんか、乾かして貰うのって……気持ち良いな~」
満足そうな声が聞こえてくるので、俺は嬉しくなって、彼の髪をすいて、ドライヤーを当てながら
「暑かったり、痒かったりしないですか?お客様ぁ~」
口調を少しかしこまって話してみる
「ふふふっ、サロンごっこ?……大丈夫です。凄く気持ち良いです、さすがプロですね!」
「ええ、こちとら、これでメシ食ってますからねぇ~オホホホッ」
「なんだよ、それ。急に…フフフッ」
このままずっと、じゃれていたかったけど、乾いてしまったので、ゆっくりとブラッシングしてから終わりにした。
「ありがとうな~よし、今日も頑張ったし!じゃ、ちょっと飲むかぁ~」
と、キッチンへ行くるい君を見て、
俺も、持ってきたつまみを出そうと、自分のリュックを置いてあるとこに向かう。
リュックを手に取ると……
あれ?
なんか……黄色い…物が。
ん?
るい君をデフォルメされたキャラクターの、ぬいキーホルダーが、俺のリュックに付けられていた
「るい君?これ?え?えっ?いつの間に?」
キッチンから少し大きめの返事が返ってくる。
「見つけたぁ?へへへっー。あ~、それな~、さっきリヒトがお風呂入ってる時に付けた!担推しでよろしく!外したら泣いちゃうぞ」
俺は、そのキーホルダーを見つめる。
可愛いじゃんコレ……
そして、るい君自らが付けてくれた…という事が、驚きと多幸感でいっぱいになる。
思わずニヤケてしまいそうな頬を引き締めると
「外せるワケないよ…」
小さく呟いた。
なぁにぃ~?って、キッチンから聞かれた。
「いや、大事にするよ。ありがとう」
大きめな声で、返事をした。
るい君が、パタパタとこっちにやって来た。
「素直~!リヒト、可愛いな~!良し!もっと、10個くらい?ジャラジャラ付けるか?」
「え?遊んでる?俺で遊んでる?」
「いや?楽しんでるだけ(笑)リヒトのキーホルダーも一緒に付けたら…動く度に、チュッってするんじゃない?!それは、うん、なかなか萌えるな!」
と、顎に手を当てて、納得顔のるい君。
それも悪くないかも……と、俺も一瞬は、思ったけど……
揺れる2人のキーホルダーを想像したら、恥ずかしいから……
てか、バレバレになるじゃん!
それは無理だと思った
「いや、それは……あの、遠慮します。じゃ、今度、俺の特大ぬいを持ってきたげるよ……ぜひとも抱いて寝てくれ!」
「あ、あ、あ、ア、リガトウ……」
「なんだよぉ~俺からは、要らないって、どゆこと?」
「ハハハッ、いや、それなら、ぬいより、本物を抱えて寝るわ~」
冗談でも、めちゃくちゃドキッとする事を言ってくる…ズルい。
テーブルの上は、俺が持ってきたお菓子や、つまみと、ビールやら、缶チューハイが並んでる。
カンパーイと言いながら、プルトップを開ける。プシュっと良い音が鳴る。
「お!コレ、好き~上手いよなぁ~」
俺が持ってきたワサビチップスの包装をバリッと開く、るい君。
そう、この間……上手い~って美味しそうな顔で食べてたから……買ってきたんだけど……正解だったな。
俺はワサビとか、辛い系は、少し苦手だから……
お酒でも、チョコレートとか食べる派だからなぁ。
何から食べようかなぁ~って、手を伸ばした俺の目先に…
目が釘付けになる物が1つあった。
ポッキー…そう、ポッキーがある。
この間、チュッてしてしまった事が脳内再生され……一人で慌てる。
冷静になれ、俺。ポッキーは、普通に食べたら良いんだからな…
「何?リヒト、ポッキー見てる?あ?思い出した?この間のゲーム!もうっ、ヤラシイなぁ~」
そんな事言いながら、ポッキーを開封した彼は、1本取り出すと……ポリポリ食べる。
「違うしっ!俺はポッキーが大好きなだけだし~スィーツ男子だもんっ!」
ポッキーゲームしよ?って言われなくて、ホッとしたような……少しだけ残念な気持ちで、俺も1本取ると下を向いてポリポリ食べた。
「ハイッ!」
ん?と、るい君の方を見ると……ポッキーを加えて、ニヤニヤしてる。
「いや、ハイッて…しないよぉ!」
意地を張って、俺はポッキーを手に取りポリポリと食べる。
るい君は、ニヤケたまま、ポッキーを食べながらお酒をぐびぐび呑んでいる。
テレビ画面は、CMになり、ボーッと画面を見つめたままで、ポリポリと食べていると、急に目の前にるい君の顔が現れ、俺の食べてるポッキーの端を咥えられた。
えっ?と思ってると、どんどん食べられて、ギリギリ、唇が重なる手前で、離れて行かれた。
俺は、突然の事への驚きに、目を見開いたまま、るい君を見ていると
「顔真っ赤で、リヒト可愛い過ぎ!油断してただろ?」
笑いながら、口の中のポッキーを咀嚼している。
その後も、俺がポッキーを食べ始めると、横から、不意に咥えてきて、俺のポッキーを奪う…という、なんかゲームみたいになってきて。
取るなよ~!俺のだ!
いや、俺のだ!と、何度もやり取りしてる内に、少し慣れてきて…
完全に油断していた俺は、何度目かの、ポッキーゲームに、またか……と
取られないようにドンドン食べ進めていると、急に唇が重なった。
うわっ!距離間違えた!と、頭を後ろに引こうと思ったのに、るい君の手は、なんと、俺の後ろ頭を抑えていて、重なったままの唇は、一向に離れてくれない。
そのまま……
るい君の舌が、俺の唇を押し開いて挿入されてきた。
俺の頭はパニックになりかけていてるのに、余裕そうなるい君は、俺の口腔内を舐め上げる。
そして、ポッキーの欠片を上手に舌で舐め取られ。
俺の口の中にあったポッキーは、るい君の口の中へと消えた。
チュッっという音と共に……やっと離れた唇。
るい君は、満足そうにポリポリと噛んでいる。
「甘ーいね。ポッキー」
「な、な、何すんだよぅ!!もうっ!るい君。酔ってるのか!?」
「ん~?ちょっとだけ?でも、なんか…リヒト見てたら、チュウしたくなったんたもんっ!」
「だもんっ!って…可愛いく言われてもな…うー…」
自分でも顔が真っ赤になってるのが分かるくらい…頬が熱い。
「ダメ?リヒトの唇、柔らかくて気持ち良い。それに、知ってる?僕…結構キス上手だよ?」
「知らないよ…そんな事、公式のSNSにでも上げてるわけ?」
ワケのわからない会話になってくる。
俺の心臓の音だけが耳に届いてる。
「ううん…リヒトだけに特別に教えてあげようか?」
るい君の目付きは…急に隠猥に光る。
そんな事を言われると思ってなかった俺は、思わず後ろに身体を引く…
が、壁に後頭部が当たり…コツンと音がした。
るい君は、俺を逃がすまいと、片手で壁に肘から手のひらを押し付けた。
いわゆる、壁ドンの洗礼を俺は受けていた。
「え、壁ドン?これって、ファンサ?」
「そ、ファンサ……僕のぬいキーホルダー付けてるの見たよ。キミは、僕のファンなんだろ?」
今度は一体、何ごっこが始まったんだよ…
絶対、コレ酔っ払ってるよ~るい君。
いや、そもそも、キーホルダーを付けたのは、るい君だぞ!
遊びなのか、本気なのか判断がつかない俺は、ようやく答える。
「はいっ!大ファンですっ!」
辛うじて、笑顔を作ると……
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「はぃっ!るい君、担推しですっ!」
可愛く言ってみる。
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ニヤリと艶やかな笑みを浮かべた、るい君から
「僕のファンだと言うそんなキミに。実は、良いプレゼントがある…」
は?と口を開くと同時に俺の唇は、またもや、るい君の唇で塞がれてしまった。
ヌルヌルと蠢く舌に上顎を舐められた瞬間、甘い声が漏れ出てしまう。
「んんっ」
少し苦い、お酒の味がする……
ちょっと待って……と言いたいのに……
塞がれた口からは
「ちょ、むむっ、んっんっ」
と、曇った声しか漏れない。
グイとるい君の胸を両手で押すが、以外にも強い力と、体格差でビクともしない……
るい君の両手は壁にピタリとくっついたまま……俺を自分の唇で抑え付けて、壁に押してくる。
俺は前にも後ろにも逃げ場が無くなった。
そのまま、唾液が、混ざり合う音が脳内に響くと、何も考えられなくなってくる。
絡められる舌に、俺の意思とは別に、徐々に俺の唇と舌が、るい君に応えようとしてしまう。
ダメ……酔ってる彼のキスを本気にしては…イケナイ、と頭の片隅では思うのに、抗えない。
どのくらい……唇を合わせていただろう。
唇は離れ……彼と繋がる唾液の糸がつーっと伸びたと思うと、プツリと切れた。
愕然とする俺は、抗議の声を上げようとしたが、なんと、るい君は、ソファにパタリと倒れ…
そのまま……るい君は、寝息を立てて、熟睡してしまった。
俺は1人で…さっきの出来事を反芻しては、自分で自分を抱きしめた。
荒くなりそうな息を整え、スヤスヤと眠る、彼を覗き見る。
なんだか、凄く満足気な寝顔に腹が立ってきた。
「おい、起きろ!ベットで、寝ろよ!」
グイグイと揺すり起こすと、
「えぇ、んぁ?」
のそのそとベットに動いていく彼を見て、俺は頭を抱えた。
なんて事してくれんだよ…
キスの感覚を忘れたくても、何度も脳内をしっかりと駆け巡る、さっきの出来事。
俺の片想いは、このまま隠しておけるのか…?
普通に接する事が出来るのか不安になっていた。
翌朝、何事も無かったかのように話するい君を見て、やっぱり忘れたのか…覚えてるのは、俺だけか…と少しだけ寂しい気持ちになった。
昼から打ち合わせで、他のメンバーのミナミ君に、俺はボヤいた
「昨日、るい君、めちゃくちゃ酔っ払ってさ~もう、困ったよ……本人、全然覚えてないんだせ?酷くね?」
それを聞いて、ミナミ君が不思議そうな顔をする
「いや、るい君は……めちゃくちゃ酒強いよ?あー見えて。前後不覚とかなった事無い!って豪語してたんだけどな…んー、おかしいなぁ…何があったん?」
聞かれても答えれるワケが無く……
「あー、い、いや。そう!ゲロ吐かれただけ…」
「えー、最低……るい君」
ドン引きのミナミ君を見て、してやったり!と思ったけど…
あれ?前後不覚にならない?
じゃ、昨日のは?
えーーーー!!は?あれって、酔ったフリ?
いや、これ、どっちなのか…怖くて聞けない…
1人で悶々とする…俺だった。
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※番外編を追加しました!(1/3)
4話追加しますのでよろしくお願いします。
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです
おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの)
BDSM要素はほぼ無し。
甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。
順次スケベパートも追加していきます
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
俺以外美形なバンドメンバー、なぜか全員俺のことが好き
toki
BL
美形揃いのバンドメンバーの中で唯一平凡な主人公・神崎。しかし突然メンバー全員から告白されてしまった!
※美形×平凡、総受けものです。激重美形バンドマン3人に平凡くんが愛されまくるお話。
pixiv/ムーンライトノベルズでも同タイトルで投稿しています。
もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿
感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_
Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109
素敵な表紙お借りしました!
https://www.pixiv.net/artworks/100148872
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