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ライバルは後輩 side足立

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クラス替えなんて…クソだ。

2年に上がり、オレは七瀬と違うクラスになってしまった。
毎日、授業中にコッソリ眺める事が出来ない…
こんな残念な事があっていいのか?
片時も離れたくないのに…
救いがあるとしたら、隣のクラスだから、体育の合同とかはあるらしい。
だとしても、同じクラスだった事に比べたら、雲泥の差だ。
酷く落胆するオレを、七瀬は一所懸命に慰めてくれた。
部活終わりに待っていてくれ、帰り際、離れる時、七瀬は、周りを警戒するように、キョロキョロしたかと思うと、チュッと唇にキスをくれた。
ほんの一瞬の出来事に夢かと思った程の、フレンチ・キス。
その後、真っ赤になる七瀬と夕暮れの太陽は、同じ色だった。

家庭科準備室や階段下の隙間で、忍者ばりの警戒をしながら、早業のキスをくれる七瀬が可愛くて、段々とオレの気持ちは持ち上がってきた。
離れたからこそ…の良さもあるかもしれないと思えてきた。

が、それは…甘かった…

「蛍先輩~!」
はぁ?今なんつった?
コイツは…確か、七瀬の新しく出来た後輩…興味が無かったから、名前なんて知らないが…七瀬の下の名前を恋人のオレの目の前で、気軽に呼ぶとは、いい度胸してるな後輩よ。

「どうした?矢長」
七瀬が柔らかに笑顔をたたえて、応えてやってる。ヤナガ…か、即インプットした。
七瀬に憧れを持ち、この高校まで追いかけて来たという矢長を睨むように見据えた。
爽やかな笑顔には、何か裏がありそうで、ガン見する
「足立…美形が怖い顔すると、迫力が凄いな。矢長が怖がってるぞ…」
「怖い~蛍先輩、助けてください~」
七瀬の後ろに隠れ、肩に手を置いてるのがまた許せない。触るんじゃねぇ…マジでシバくぞ…と言いたいのを抑え
「とりあえず、消えろ、矢長。目障りだ」
なんなんだろうか…この感じ。
榊原が七瀬に取るスキンシップはそれ程までに、腹が立たないのに、コイツは違う。
何か危険だとオレの中で警告が鳴っている。
しかも、七瀬は、全く気付いていない。

矢長は、何度オレが、失せろと言っても
「僕は陸上部で、七瀬先輩の後輩なんで~足立先輩に言われても、何ともありませんよ?」
なんて、爽やかに笑ってくる。
かなり手強い奴だ。
後輩の癖に、物怖じしない性格で、天真爛漫な感じでグイグイ来る。
その上、七瀬自身は、憧れを持たれている事に、とても嬉しそうだった…
あんまり矢長にキツく言うと、オレが悪者になって七瀬に嫌われてしまう…それはダメだ。
でも、どうしても不機嫌さは、表に出てしまう。

今日もせっかく七瀬が家に来てくれてるのに…ムスッとしてしまうオレ。
しかも、間の悪い事に、母親が下の階に居るので…手出しができない。
さすがのオレも、そこは分かっている。七瀬が本気で嫌がる事はしたくない。
本当なら、七瀬をどこまでも喘がせ…今こそ、自分のモノだと確認したいのに…

「なんで、矢長の奴に優しくするんだよォ」
なるべく感情を抑え、責める口調には、ならないように気をつける
「いや、アイツは別に俺の事好きな訳じゃないよ?足立だって、女の子に一方的にキャーキャー言われても、ほおってるだろ?」
ちょっぴり、怒ったように言い返してくる七瀬。
違う、オレのと七瀬のは、根本的に違う。
オレは…好きでも無い女子に愛想は振りまいたりしないし、オレが側に置いても良いと思う奴しか、置かない。
本当は、七瀬だけで良いと思ってるけど、それは…さすがに人としてダメだと思うから、友達も無くさないよう努力してるけど。
オレは好いてくれてるからって…優しくしたりはしない。というか…出来ない。
逆に、七瀬は、好意を持ってくれる相手を無下にはできないタイプだ。
だから心配なんだよ…
伊藤さんに不意打ちのキスをされてしまって、ショックを受けていた七瀬が脳裏に浮かぶ。
まぁ、オレもアレは、めちゃくちゃショックだったけど。
伊藤さんは、一時だけで、オレという恋人が居ると分かると引いてくれた。今は…どうやら七瀬への気持ちは収まったみたいだし、なんなら、榊原との方が仲が良さげで、むしろ、オレと七瀬の恋を応援してくれてる雰囲気がある。

「伊藤さんの時の不意打ちもあるし、矢長になんかされんじゃないかって…」
オレの言わんとする事が分かったのか、七瀬のプチ怒りみたいなのは、あっという間に消えた。
これからは気をつけるし、好きなのは、オレだけだと言ってくれる七瀬に…
めちゃくちゃ抱きしめたいと思ってしまった。
触れたら止められる自信が無いから、今日は、距離を置いておこうと思っていたのに…
七瀬から「好きだ」なんて言われると、一気に体温が上がってしまうオレ。

「こっちに来て」 
拒否する事も無く、オレの前にちんまりと座ってくれた。
可愛い…本当に、オレだけのモノにしたい。
閉じ込めてしまいたい…という気持ちで手の鎖を七瀬の身体に巻き付けた。
何もしないと言いながら、彼の赤くなる耳元が、可愛くて、思わず唇を寄せた。
すると、七瀬は…巻き付けたオレの腕に唇を落としてくる…思わず
「誘ってんの?」
と聞いてしまった。怒りを沈めているんた…という彼に
「七瀬には怒ってないよ」
と伝えると、しばらくの沈黙の後…

「足立も…俺の事、名前で呼ぶ?」 
今度はオレが言葉を止める。
既に…矢長が、下の名前で呼んでいて、オレが後からなのが腹が立つ。
同じように呼ぶのも嫌だ。オレは七瀬との繋がりが特別だと思いたい。
出した答えは
「“七瀬”って呼ぶと中学の時の感覚になって…なんか良いんだよ、もう少し先にする」
そう…七瀬と呼ぶ時、中学の頃、憧れから好意に変わった感覚が蘇る…
伝えたくても伝えられなかったあの頃、好きだと叫びたくなるあの切ない感じ。
“七瀬”と呼ぶたび、様々な感情が混ざるから…オレはまだ、七瀬のままでいい。
下の名前は…これからのお楽しみとして、とっておく。
そんな事を考えながら、オレの手は勝手に七瀬の服の中へと侵入していた。
既にピンと上を向いたものが、手のひらに触れる。
「んんっ…ダメ」
ダメと言われても…こんな可愛い声を聞かされて、これは止められない。
それに、バレンタインの時にも言ってたし…触られると、下腹に響くって。試したくなるじゃないか…

「ねぇ、オレの事…愛してる?」
メンヘラな質問してんな…と思ったけど
「やっ、アッ…とりあえず、手を…」
もちろん、オレは止めない。
返事は別に要らないっちゃあ…要らない。
オレが愛してるだけで、同じだけ返して貰おうとは思っていないから
「オレは、愛してるよ?」
伝えたいだけだった
「俺も…」
言葉は最後まで聞けなかったけど、俺も…の後に続くのは、アイシテルの言葉だと解釈し、気を良くしたオレは
「証明見せて」 
と言った。
七瀬の愛情を試すつもりは、更々無くて…
ただ単に、彼が恥ずかしがりながらも、卑猥になる姿が見たい欲望だけが起き上がる。
変態だよな…と思う、我ながら。

七瀬を壁に持たれかけさせ、目の前に座る。
「自分で胸、弄って」
驚いた七瀬は、本気か?と問うので、逆に、本気を見せて…と言った。
じっと見つめて待っていると、彼は下を向いたまま、服の中へと手を差し入れた。
モゾモゾと動く腕の膨らみをTシャツ越しに見ていると、たまらなくなって、七瀬のTシャツを捲り上げた。

「ちゃんと弄って」
怯える眼を向けてくるが、手は止めず、オレに魅せてくれる。
七瀬が身体をビクリとさせ、時折、ベッドが、きしんだ。
チラチラとオレの方を見てくる七瀬は、オレがどんな表情をしているのかを見ては、更に欲に落ちていく。
下へと視線を落とすと、硬くなるモノが布を押し上げて膨れているのが分かった。

「下も触って…オレに全部見せて」
声が出るから…と言うので、オレの指を咥えさせた。
オレの眼を見つめながら、オレの指を必死にペロペロと舐め、指先から根元まで舌を絡ませ咥える様子は、あまりに色っぽ過ぎた。
まるで七瀬の舌が、自分のモノに絡んでいるような感覚へと陥る。
もちろん、勃ってしまう…痛い程。

もっと乱れる姿が見たいと思い、彼のズボンと下着をずらすと、途端に、天井へと向かうモノがブルンと出てきた。
先からは、次々に露を垂らす。
本当はめちゃくちゃ恥ずかしいのだろう、七瀬は眼を更に硬く閉じたが、動かす手は止めない。

オレは、目の前の光景を眼に焼き付ける。
七瀬は恍惚の表情でオレの指を舐め、口端からは涎、滾りからは露をも垂らしている。片手で胸の突起を弄りながら…もう片方の手で滾りを擦る彼は、恥ずかしさと欲望を行き来していて、とんでもなくエロかった。

「今日の七瀬…特別感ある…応えてくれるのがマジで…嬉しい」
心からの笑顔がやっと出る。
彼はオレの嫉妬や焦りを咎める事無く、全身で…大丈夫だと表現してくれようとしていたから。
今この時だけは、オレの心も溶ける。

「そのまま…瞳を開いて、オレを見つめて…そう、もっと、オレを煽って」
視姦するように…熱に浮かされた視線を彼へと向ける。
七瀬は応えるようにゆっくりと瞳を開け、オレと眼を合わせてくれた。
指を必死に舐め、オレ自身を感じさせようとしてくれてる。
逆に下へと伸ばした手が止まっていたから、オレは、彼の手の上に自分の手を添えた。
一気に攻め上げる。七瀬の弱いところは、既に分かっている。
「んぐっ、アッ、んっあっ、ンンッ」
指を咥えているのに、漏れ出てしまう声は止めどなく…
オレは、自分の唇で、彼の口に蓋をする事にした。
舌を捻じ込み、絡めていると、あっという間に、七瀬は達してしまった。


今日、優しく無かったことを詫びると
「ちょっと意地悪な足立も悪くないよ?俺ってMなのか…」
なんて、笑ってくれる
「オレ…成長しないと、七瀬に振られる」
本気で思う…なんか…マジで、顔以外良いとこ無しの典型的なダメ男じゃねぇか?
この間までは、とにかく七瀬だけを追いかけたら良かったのに、ライバル出現で焦りまくるオレは、本当にカッコ悪いと思う。

もう、振ったりしないから安心しなよ…って七瀬は言ってくれたけど、オレは、全然安心できなかった。
やっぱり、まだしばらくは…大人になれそうにない、ごめん。
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