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バレてるの?
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「ちょっと距離が近過ぎじゃないですか?」
マネージャーの佐久間さんに言われて、真横を見たら、めちゃくちゃ間近に深緑さんの顔があった。
僕の肩を抱き、くっつけるみたいに顔を近付けてみんなの話を聞いているという、今の状況って…確かにちょっと違和感があるのかな?
佐久間さんが動画を撮ってるから、画面越しだと余計に気付いたのかもしれない…
「んぁ?なに?離れた方が良いの?」
深緑さんの声色は、少し不機嫌な感じを醸し出していた。
「あー、いや、まぁ仲良しって事でいいのかなぁ?」
深緑さんの低い声に押される佐久間さんが慌てて答えた時、フォローみたいに
「コイツらは、いつもこんな感じだよ~」
と、潤さんが答えてくれた。
良かった、なんか僕は離れた方が良いのかなって、ビクビクしたから。
僕達の関係をオープンにする訳にはいかないし、そもそもこれについては、僕だけの話では無くて、深緑さんはもちろんだけど、グループでの活動にも影響するだろうから、僕としては、隠していくつもりでいた。
他人から見ても近いって思われるのは、マズイと思う…
数日後、渋い顔をした佐久間さんがやってきて一言
「深緑さんと紫央さん、今後は他の皆と同じ距離感でお願い出来るかな?」
「はぁ?」
またもや、怪訝な顔をするのは深緑さん。
「ちょっと、コレを見て」
そう言うって佐久間さんが見せてくれたのは、動画のコメント欄だった。
《MIROKUとSIOは、カップルみたい!》
《なんか、距離感バグッてる二人はデキテル?》
などと…どうやら、僕と深緑さんの事を付き合ってるんじゃないか…的なコメントを書いてる人が多数、コメントを寄せていた。
「んなわけねぇじゃんな~」
神楽さんが僕を見て言うので、どうにか頷いたけど、心の中は心臓が掴まれたみたいにヒヤリとなっている。
パッと深緑さんを見ると、いつも通りの綺麗な顔で、平然としていて、僕には彼の想いが推し量れない。
「戯言だよね~」
潤さんが言うと、蒼さんも鼻で笑っていた。
「まぁ、皆がそう言うなら安心なんだけど、こういう売り方をしたい訳じゃないから、ウチとしては、正統派のダンスグループとして売っていきたいんだよ」
まぁ、そうだよね。
僕もその意見には賛成だ。
「分かった、なるべく、距離感には気をつけます」
深緑さんは、アッサリと、そう言い切った。
それなのに…
その言葉は何処へやら、全く変わらない深緑さんは、今も僕にくっ付いて笑ってる。
おーい、深緑さん…と目線を送るも、ジッと見つめ返され、僕の方が目線を外す羽目になる。
動画のコメント欄は、相変わらずだし、マネージャーの佐久間さんからは、たまに注意され、その時だけは、離れる深緑さん。
そんなある日、来瑠さんが皆に声を掛ける
「今日は佐久間さんも居ないし、ちょっと、メンバーだけで話したいんだけど良いかな?」
練習中での中断は、ダンスの鬼番長には珍しいので、皆が集まって来た。
「何?」
深緑さんの表情は少し硬いが、来瑠さんへの視線は外さず、見据えている。
「あのさ、深緑…単刀直入に聞くよ?」
「うん、何?」
「お前と紫央はさぁ…付き合ってんの?」
「うん、そうだよ」
一呼吸の間もなく、深緑さんはサラリと言った。
えーーーー!!と、蒼さんと神楽さんは雄叫びを挙げたが、潤さんだけは、不安そうに僕らを交互に見た。
「皆には、隠したくないから、言うけど…俺は紫央に告白して、OK貰った。だけど、それを世間にオープンするのは今では無いと思ってる。俺らが認められ、押しも押されないようなグループになった時に、その時に、ぶっちゃけたい!俺はね」
フッと最後に僕を見た、その視線は優しくて、思わずジワリと泣きそうになった。
けど、泣いてる場合じゃない…グッと拳を握りしめ、お腹に力を入れ
「僕も同じ意見です」
ここは、ちゃんと言わないといけないと、正面を向いた。
「分かった…じゃ、リーダーの俺からは一つだけ…深緑も紫央もおめでとう!お前らがお互いを想ってるのは分かってたから、ちゃんと幸せになりなさい」
「えっ?!ちょっと待ってください!反対じゃないんですか?」
僕は思わず来瑠さんを見つめる
「なに?反対して欲しいわけ?」
笑ってる来瑠さん、他のメンバーを見ると、一緒に笑っていて、誰も反対してるなんて雰囲気は1ミリも無かった。
「僕は分かってたから!」
潤さんに至って、ドヤ顔だ。
「迷惑かけるかもしれないのに…」
僕は、とうとう…グズグズと泣き出してしまった。
「大丈夫、俺らは、簡単に消される存在じゃないし、お互いへの揺るぎない信頼と尊敬だけはあるんだよ、な?」
深緑さんは、僕の肩を抱きながら、みんなを見渡していた。
「あっ!提案~!僕らも、イチャイチャしたら、良いんでしょ?僕は得意だよ!」
潤さんが神楽さんを抱きしめている。抱きしめられている神楽さんは、苦笑いだけど、少しだけ嬉しそうでもある。
「あー、仲の良い、距離感バグってるグループって事か、それでいこう!悪くない!」
来瑠さんが大口を開けて笑っている。
「好きにしてくれ…」
クールな蒼さんだけは、仕方ないって顔だけど、来瑠さんがギュ~っと抱きしめると、照れたみたいに笑った後、お返しだ!と抱きしめ返していた。
「それでも、本物のカップルの出す雰囲気には負けると思うから、特に紫央は表情管理に気をつけてな~」
最後に蒼さんからは、軽く注意を受けた。
そうだよな、深緑さんは、結構隠せる人だと思うから、肝心かなめなのは、僕だよ。
恋愛経験も無い上に、好きな相手に一直線、ダダ漏れな目線と表情を…何とかしなくては…
一人で色々考えている僕の耳元に小声が…
「大丈夫、イチャイチャしまくって、すぐに慣れさせてやるから」
深緑さんから怖い発言が出たのだった。
マネージャーの佐久間さんに言われて、真横を見たら、めちゃくちゃ間近に深緑さんの顔があった。
僕の肩を抱き、くっつけるみたいに顔を近付けてみんなの話を聞いているという、今の状況って…確かにちょっと違和感があるのかな?
佐久間さんが動画を撮ってるから、画面越しだと余計に気付いたのかもしれない…
「んぁ?なに?離れた方が良いの?」
深緑さんの声色は、少し不機嫌な感じを醸し出していた。
「あー、いや、まぁ仲良しって事でいいのかなぁ?」
深緑さんの低い声に押される佐久間さんが慌てて答えた時、フォローみたいに
「コイツらは、いつもこんな感じだよ~」
と、潤さんが答えてくれた。
良かった、なんか僕は離れた方が良いのかなって、ビクビクしたから。
僕達の関係をオープンにする訳にはいかないし、そもそもこれについては、僕だけの話では無くて、深緑さんはもちろんだけど、グループでの活動にも影響するだろうから、僕としては、隠していくつもりでいた。
他人から見ても近いって思われるのは、マズイと思う…
数日後、渋い顔をした佐久間さんがやってきて一言
「深緑さんと紫央さん、今後は他の皆と同じ距離感でお願い出来るかな?」
「はぁ?」
またもや、怪訝な顔をするのは深緑さん。
「ちょっと、コレを見て」
そう言うって佐久間さんが見せてくれたのは、動画のコメント欄だった。
《MIROKUとSIOは、カップルみたい!》
《なんか、距離感バグッてる二人はデキテル?》
などと…どうやら、僕と深緑さんの事を付き合ってるんじゃないか…的なコメントを書いてる人が多数、コメントを寄せていた。
「んなわけねぇじゃんな~」
神楽さんが僕を見て言うので、どうにか頷いたけど、心の中は心臓が掴まれたみたいにヒヤリとなっている。
パッと深緑さんを見ると、いつも通りの綺麗な顔で、平然としていて、僕には彼の想いが推し量れない。
「戯言だよね~」
潤さんが言うと、蒼さんも鼻で笑っていた。
「まぁ、皆がそう言うなら安心なんだけど、こういう売り方をしたい訳じゃないから、ウチとしては、正統派のダンスグループとして売っていきたいんだよ」
まぁ、そうだよね。
僕もその意見には賛成だ。
「分かった、なるべく、距離感には気をつけます」
深緑さんは、アッサリと、そう言い切った。
それなのに…
その言葉は何処へやら、全く変わらない深緑さんは、今も僕にくっ付いて笑ってる。
おーい、深緑さん…と目線を送るも、ジッと見つめ返され、僕の方が目線を外す羽目になる。
動画のコメント欄は、相変わらずだし、マネージャーの佐久間さんからは、たまに注意され、その時だけは、離れる深緑さん。
そんなある日、来瑠さんが皆に声を掛ける
「今日は佐久間さんも居ないし、ちょっと、メンバーだけで話したいんだけど良いかな?」
練習中での中断は、ダンスの鬼番長には珍しいので、皆が集まって来た。
「何?」
深緑さんの表情は少し硬いが、来瑠さんへの視線は外さず、見据えている。
「あのさ、深緑…単刀直入に聞くよ?」
「うん、何?」
「お前と紫央はさぁ…付き合ってんの?」
「うん、そうだよ」
一呼吸の間もなく、深緑さんはサラリと言った。
えーーーー!!と、蒼さんと神楽さんは雄叫びを挙げたが、潤さんだけは、不安そうに僕らを交互に見た。
「皆には、隠したくないから、言うけど…俺は紫央に告白して、OK貰った。だけど、それを世間にオープンするのは今では無いと思ってる。俺らが認められ、押しも押されないようなグループになった時に、その時に、ぶっちゃけたい!俺はね」
フッと最後に僕を見た、その視線は優しくて、思わずジワリと泣きそうになった。
けど、泣いてる場合じゃない…グッと拳を握りしめ、お腹に力を入れ
「僕も同じ意見です」
ここは、ちゃんと言わないといけないと、正面を向いた。
「分かった…じゃ、リーダーの俺からは一つだけ…深緑も紫央もおめでとう!お前らがお互いを想ってるのは分かってたから、ちゃんと幸せになりなさい」
「えっ?!ちょっと待ってください!反対じゃないんですか?」
僕は思わず来瑠さんを見つめる
「なに?反対して欲しいわけ?」
笑ってる来瑠さん、他のメンバーを見ると、一緒に笑っていて、誰も反対してるなんて雰囲気は1ミリも無かった。
「僕は分かってたから!」
潤さんに至って、ドヤ顔だ。
「迷惑かけるかもしれないのに…」
僕は、とうとう…グズグズと泣き出してしまった。
「大丈夫、俺らは、簡単に消される存在じゃないし、お互いへの揺るぎない信頼と尊敬だけはあるんだよ、な?」
深緑さんは、僕の肩を抱きながら、みんなを見渡していた。
「あっ!提案~!僕らも、イチャイチャしたら、良いんでしょ?僕は得意だよ!」
潤さんが神楽さんを抱きしめている。抱きしめられている神楽さんは、苦笑いだけど、少しだけ嬉しそうでもある。
「あー、仲の良い、距離感バグってるグループって事か、それでいこう!悪くない!」
来瑠さんが大口を開けて笑っている。
「好きにしてくれ…」
クールな蒼さんだけは、仕方ないって顔だけど、来瑠さんがギュ~っと抱きしめると、照れたみたいに笑った後、お返しだ!と抱きしめ返していた。
「それでも、本物のカップルの出す雰囲気には負けると思うから、特に紫央は表情管理に気をつけてな~」
最後に蒼さんからは、軽く注意を受けた。
そうだよな、深緑さんは、結構隠せる人だと思うから、肝心かなめなのは、僕だよ。
恋愛経験も無い上に、好きな相手に一直線、ダダ漏れな目線と表情を…何とかしなくては…
一人で色々考えている僕の耳元に小声が…
「大丈夫、イチャイチャしまくって、すぐに慣れさせてやるから」
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