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動画完成!鑑賞会は膝の上?!
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「来て来て!完成したらしいよ~!!」
潤さんが、自室で勉強していた僕を呼びに来た。
どうやら、潤さんと神楽さんは、同室らしいのだ。
神楽さんは毎日遅くまで作業してるから、パソコン画面明るくて寝れない…頑張ってくれてるから、文句は言えないんだけど、美容に悪い…と潤さんはボヤいていた。
コンコン
「紫央です。失礼しますね」
ノックの後、ゆっくりとドアを開ける
「いつも通り礼儀正しいなぁ…」
そう笑う神楽さんの目の下には、寝不足を物語る深いクマがくっきりと出来ていた。
「本当にご苦労さまです」
僕は、潤さんに呼ばれて、急いで掻き集めてきたお菓子を差し出す。
神楽さんは、バリッとポテチの袋を破り、栄養補給とばかりに、無言のままバリバリと食べ始めた。一袋をあっという間に平らげ、ゴミを捨てると
「紫央は、ほんと気が利くな…お前だけだ、お菓子を差し入れてくれたのなんて…」
「じゃ、僕はギュッ~してあげる~」
潤さんが笑顔でバックハグしてるけど、半笑いの神楽さんは
「食べ物の方が良い…」
ボソリと言った。
クスクスと笑う僕を見て、急に真剣な面持ちになった神楽さんは
「紫央、お前は…良くやったよ」
「えっ?」
これって、ダメだったけど、努力は認める的な、慰めの言葉なのかな…
なんて思って俯いたら…
「なんて顔してんだよ!違うからな!褒めてるんだよ、神楽は」
既に、部屋に居たらしい…深緑さんが言う。
そうなのか…と、ホッとした僕はペタンと地べたに座った。
「お待たせ」
蒼さんと来瑠さんがやって来て、2人用の狭い部屋は、箱詰め状態になった。
深緑さんが、狭いからって…
自分の膝の上に、僕を誘導した。
凄く凄く…落ち着かないんだけど…
しかし、僕の推しのする事に拒否も出来なかった。
もう最近は、美しい物を否定したり、抗うような無駄な事はスッパリと諦め、深緑さんを推しだと思う自分を許容していた。
そして、なんでもないって顔をする事にも、やっと慣れてきた僕は、なるべく無表情を貫く。
それでも、頬に力を入れてるから、変な顔になってるのか?潤さんが、僕を見てニマニマしてるのが気になるんだけど…
「それじゃ、再生するからな」
僕は、膝に置いた手に力が入り、親指の爪が皮膚に食い込むほどに握る。
ふわりとその上から、深緑さんの手が被さり、さすってくれる…
なんですか、コレ!?甘いですーーーー!心の中だけで叫んだ僕。
全身の感覚を鈍らせないと、この状態には、どうにも耐えれそうにない…
なんとか、目だけは画面に向けると、大きなデスクトップのモニターに、海辺に佇む僕が映されたまま、画面が静止していた。
神楽さんがマウスを動かすと、遂に再生された。
え?あれ?僕は、こんな表情をしていたのか?と思う程、ちゃんとそれらしく演技が出来ていて、 とても不思議な感覚だった。
緩やかな笑顔とか…寂しげな顔とか…したかな?無表情だと言わてきた僕には、信じられない位、豊かな表情。
皆が僕を連れて行ってくれるシーンは、観ていて泣きそうだった。
現実も、本当にそうだったから。
ついこの間の事だから、鮮明に思い出せる。
みんなが僕を、新しい仲間として、迎えたくれた日を…僕は一生忘れないと思う。
サビになると、揃ってのダンスシーンから、個別パートになり、普通の少年達が、ガラリと変わってハードなダンスを踊りながら歌う…という流れ。
静と動がハッキリとしていて、とにかくカッコ良くて。
そして、時々挟まれるのは、いつの間に撮られて居たのだろうか、ダンスの練習や歌の練習をする、制服姿の僕や皆。
スローになったり、アップになったり…モノクロになったり、カラーになったり。
本物のアーティストのMVを観てるみたいだった。
様々な加工がされ、こんな事が出来るなんて…
「神楽さん、天才…」
思わず声に出てていた。
照れたのか、神楽さんから、バシッと肩を叩かれる。
あと…何より、アップで映された深緑さんのキメ顔が、本当に良すぎて…
何度も永遠に、再生して欲しいと思った。
僕は、本当に深緑さんの美しい顔が好きなんだよな…そんな人の膝の上に座って居るのは現実で、夢じゃない。
しかも、時々、耳元で
「紫央、頑張ったね」
なんて呟かれる。
失神しなかった僕を、是非とも褒めてやりたい。
僕のアップになると、つい顔を背けたのに、後ろから深緑さんに、向き直された。
しっかり観ろって事だよな…
僕の表情はどれも、そんな顔をした記憶が無い。
そうか!これって、神楽さんが、加工してくれたのかな?と思っていると…
「ほら~紫央の顔、みんな観た?」
「なんか、蒼がシーンを増やそうって言った意味分かった…紫央って、天性のタラシ?」
「上手い事言うな~そう!そういう感じ!カメラ回った時の表情、ヤバいだろ?なんか、惹き込まれるというか…」
潤さんと蒼さん、神楽さんが話している。
「だから、言ったじゃん、紫央は、才能持ってるって…」
皆の会話を聞きながら、深緑さんは、とても満足そうだった。
そして、ヨシヨシと僕の頭を撫でてくれた。
「とりあえず、あの、正直恥ずかしいです…でも、もの凄くカッコ良く加工して下さって、ありがとうございました!」
床に頭をつけて、隣の技術者へお礼を伝えた。
「いや!加工じゃないから!!笑顔の加工なんて、出来んから(笑)」
神楽さんからは大爆笑されてしまった。
その後も皆で、何度も何度も観た…
「これでOKなら、YouTubeに流すよ?どう?」
来瑠さんから言われ、ふと、疑問を口にした。
「あの…学校とかに許可要らないんですか?制服のシーンもありますし…」
「あー、それは、大丈夫!神楽が校長に、活動させてくれないなら、大学進学しない…って言ったら、即OK出たんよなぁ」
誰もが認める頭脳をチラつかせるなんて、どんな脅し方なんだ。
「それより、俺らは、親の許可貰ってるけど…紫央は、確認大丈夫か?」
心配顔で言ってくれる来瑠さん。
僕の家族は、僕のやる事には、あまり興味が無い。
勉強して、進学さえしてくれれば良いという感じで…
それ以上でも、それ以下でも無い。
寂しい気もするけど、幼い頃から、ずっとそんな感じだから、もう慣れた。
「大丈夫です」
と答えると、凄くホッとした空気が流れた。
そこで、皆が僕を気にしてくれてたのが分かり、温かな感情が広がった。
「ではっ!みんなで声を合わせて~」
来瑠さんの声に、皆がお互いに目を合わせ、頷いた。僕の後ろの深緑さんは、OKサインとして、僕の背中をトントンと叩いた。
『alright!!!』
カチッという音と共に、僕らの動画がアップされた。
これが、どんな結果になるかは…
まだこの時の僕は知らない。
潤さんが、自室で勉強していた僕を呼びに来た。
どうやら、潤さんと神楽さんは、同室らしいのだ。
神楽さんは毎日遅くまで作業してるから、パソコン画面明るくて寝れない…頑張ってくれてるから、文句は言えないんだけど、美容に悪い…と潤さんはボヤいていた。
コンコン
「紫央です。失礼しますね」
ノックの後、ゆっくりとドアを開ける
「いつも通り礼儀正しいなぁ…」
そう笑う神楽さんの目の下には、寝不足を物語る深いクマがくっきりと出来ていた。
「本当にご苦労さまです」
僕は、潤さんに呼ばれて、急いで掻き集めてきたお菓子を差し出す。
神楽さんは、バリッとポテチの袋を破り、栄養補給とばかりに、無言のままバリバリと食べ始めた。一袋をあっという間に平らげ、ゴミを捨てると
「紫央は、ほんと気が利くな…お前だけだ、お菓子を差し入れてくれたのなんて…」
「じゃ、僕はギュッ~してあげる~」
潤さんが笑顔でバックハグしてるけど、半笑いの神楽さんは
「食べ物の方が良い…」
ボソリと言った。
クスクスと笑う僕を見て、急に真剣な面持ちになった神楽さんは
「紫央、お前は…良くやったよ」
「えっ?」
これって、ダメだったけど、努力は認める的な、慰めの言葉なのかな…
なんて思って俯いたら…
「なんて顔してんだよ!違うからな!褒めてるんだよ、神楽は」
既に、部屋に居たらしい…深緑さんが言う。
そうなのか…と、ホッとした僕はペタンと地べたに座った。
「お待たせ」
蒼さんと来瑠さんがやって来て、2人用の狭い部屋は、箱詰め状態になった。
深緑さんが、狭いからって…
自分の膝の上に、僕を誘導した。
凄く凄く…落ち着かないんだけど…
しかし、僕の推しのする事に拒否も出来なかった。
もう最近は、美しい物を否定したり、抗うような無駄な事はスッパリと諦め、深緑さんを推しだと思う自分を許容していた。
そして、なんでもないって顔をする事にも、やっと慣れてきた僕は、なるべく無表情を貫く。
それでも、頬に力を入れてるから、変な顔になってるのか?潤さんが、僕を見てニマニマしてるのが気になるんだけど…
「それじゃ、再生するからな」
僕は、膝に置いた手に力が入り、親指の爪が皮膚に食い込むほどに握る。
ふわりとその上から、深緑さんの手が被さり、さすってくれる…
なんですか、コレ!?甘いですーーーー!心の中だけで叫んだ僕。
全身の感覚を鈍らせないと、この状態には、どうにも耐えれそうにない…
なんとか、目だけは画面に向けると、大きなデスクトップのモニターに、海辺に佇む僕が映されたまま、画面が静止していた。
神楽さんがマウスを動かすと、遂に再生された。
え?あれ?僕は、こんな表情をしていたのか?と思う程、ちゃんとそれらしく演技が出来ていて、 とても不思議な感覚だった。
緩やかな笑顔とか…寂しげな顔とか…したかな?無表情だと言わてきた僕には、信じられない位、豊かな表情。
皆が僕を連れて行ってくれるシーンは、観ていて泣きそうだった。
現実も、本当にそうだったから。
ついこの間の事だから、鮮明に思い出せる。
みんなが僕を、新しい仲間として、迎えたくれた日を…僕は一生忘れないと思う。
サビになると、揃ってのダンスシーンから、個別パートになり、普通の少年達が、ガラリと変わってハードなダンスを踊りながら歌う…という流れ。
静と動がハッキリとしていて、とにかくカッコ良くて。
そして、時々挟まれるのは、いつの間に撮られて居たのだろうか、ダンスの練習や歌の練習をする、制服姿の僕や皆。
スローになったり、アップになったり…モノクロになったり、カラーになったり。
本物のアーティストのMVを観てるみたいだった。
様々な加工がされ、こんな事が出来るなんて…
「神楽さん、天才…」
思わず声に出てていた。
照れたのか、神楽さんから、バシッと肩を叩かれる。
あと…何より、アップで映された深緑さんのキメ顔が、本当に良すぎて…
何度も永遠に、再生して欲しいと思った。
僕は、本当に深緑さんの美しい顔が好きなんだよな…そんな人の膝の上に座って居るのは現実で、夢じゃない。
しかも、時々、耳元で
「紫央、頑張ったね」
なんて呟かれる。
失神しなかった僕を、是非とも褒めてやりたい。
僕のアップになると、つい顔を背けたのに、後ろから深緑さんに、向き直された。
しっかり観ろって事だよな…
僕の表情はどれも、そんな顔をした記憶が無い。
そうか!これって、神楽さんが、加工してくれたのかな?と思っていると…
「ほら~紫央の顔、みんな観た?」
「なんか、蒼がシーンを増やそうって言った意味分かった…紫央って、天性のタラシ?」
「上手い事言うな~そう!そういう感じ!カメラ回った時の表情、ヤバいだろ?なんか、惹き込まれるというか…」
潤さんと蒼さん、神楽さんが話している。
「だから、言ったじゃん、紫央は、才能持ってるって…」
皆の会話を聞きながら、深緑さんは、とても満足そうだった。
そして、ヨシヨシと僕の頭を撫でてくれた。
「とりあえず、あの、正直恥ずかしいです…でも、もの凄くカッコ良く加工して下さって、ありがとうございました!」
床に頭をつけて、隣の技術者へお礼を伝えた。
「いや!加工じゃないから!!笑顔の加工なんて、出来んから(笑)」
神楽さんからは大爆笑されてしまった。
その後も皆で、何度も何度も観た…
「これでOKなら、YouTubeに流すよ?どう?」
来瑠さんから言われ、ふと、疑問を口にした。
「あの…学校とかに許可要らないんですか?制服のシーンもありますし…」
「あー、それは、大丈夫!神楽が校長に、活動させてくれないなら、大学進学しない…って言ったら、即OK出たんよなぁ」
誰もが認める頭脳をチラつかせるなんて、どんな脅し方なんだ。
「それより、俺らは、親の許可貰ってるけど…紫央は、確認大丈夫か?」
心配顔で言ってくれる来瑠さん。
僕の家族は、僕のやる事には、あまり興味が無い。
勉強して、進学さえしてくれれば良いという感じで…
それ以上でも、それ以下でも無い。
寂しい気もするけど、幼い頃から、ずっとそんな感じだから、もう慣れた。
「大丈夫です」
と答えると、凄くホッとした空気が流れた。
そこで、皆が僕を気にしてくれてたのが分かり、温かな感情が広がった。
「ではっ!みんなで声を合わせて~」
来瑠さんの声に、皆がお互いに目を合わせ、頷いた。僕の後ろの深緑さんは、OKサインとして、僕の背中をトントンと叩いた。
『alright!!!』
カチッという音と共に、僕らの動画がアップされた。
これが、どんな結果になるかは…
まだこの時の僕は知らない。
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