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腕枕…
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「まずは一回聞いて。あと、みんながどう歌うかは、配られた紙を見てくれ。パート分けしてある。それから…コンテストに併せて、3週間後に動画をアップするから」
皆が蒼さんから貰った紙を見ている中
「えっっ?!」
僕だけが大きな驚きの声を上げたのに、皆は、普通にしてる。
という事は、知らなかったのは、僕だけなのか…
「紫央、悪いけど、これは応募の決まりなんだ。再生回数も得点に入る。大丈夫、紫央、むしろ…お前、普段長~い前髪で顔半分隠してるし、ヘアセットとメイクで、本人だと分からないようにするから」
もう、ここまできたら、受け入れるしかないと、腹を括る僕。
「分かりました」
半分は、どうにでもなれという気持ちで答えた。
「じゃ、流すよ」
皆が耳を澄ませる。
曲の初めから、耳に残る独特のメロディー、次にカッコいいラップパート、ダンスが映えそうなリズミカルなサウンド。
そして、サビ部分は、メインボーカルの深緑さんと神楽さんのラップの競演。
とにかく、めちゃめちゃカッコいい。
静と動のハッキリとした曲に、一度で惹き込まれる。
これは、本当に天才というか…
高校生が、ここまでサウンドを弄ったり出来るのか?
異次元の才能を見せて貰って、本当に感動していた。
ただ、1つだけ気になったのは、曲の出だしのパートが僕だということ。
もはや、反論なんて出来そうに無いから…
飲み込むしか無いんだけど。
まさかの、僕の歌声から…始まる曲だった。
「ダンスの振り付けは、俺が考えたけど、意見があればドンドン言って欲しい、皆で良いものを作りたい」
ダンス番長の来瑠さんは、もちろん、グループの振り付け師としても活躍するみたいだ。
それにしても…
高校生なのに、オリジナルの楽曲に、オリジナルの振り付け。
この人達のポテンシャルには、計り知れないものを感じる。
そんな人達の中に加えて貰った事は、奇跡みたいだ。
蒼さんの作ってくれた、皆が歌う為の曲だと思うと、凄く気合いが入った。
しかも、ちゃんと僕の声に合わせて作ってくれたというパート部分は、凄くしっくりきた。
下手な僕でも歌いやすいのに、カッコイイ。
動画撮影まで。3週間しかないというのは、焦りでしか無かったけど…
ここまで、鬼指導を受けてきたお陰なのか、割りとすんなり喉が開き、歌うことが出来たのには、僕自身が一番驚いた事。
そして、なんといっても、皆で合わせて歌の練習を重ねるのは、どんどん曲の完成度が増していく過程を実感できて、凄く楽しかった。
特に、深緑さんの低い低音は、僕の耳を溶かすようで…
思わず歌っている姿を見つめてしまう。なんて素敵な声なんだ…と。
低くて渋いのに、透明感もあって…
僕の中では、深海低音と勝手に名付けていた。
潤さんの高音も、蒼さんの耳に残る特殊な声も、神楽さんのラップも、来瑠さんのリズミカルな声も、最高に痺れた。
僕だけが、何の変哲もない声で、申し訳無くて、せめて、一語一句間違えないようにだけはしよう…と、眉間に皺を寄せ、歌詞を凝視していると…
「俺は好きだよ…紫央の声」
「えっ?」
前を見ると、至近距離に深緑さんが居た。
こんな事を、極上の笑みと共に言われて、照れないなんて無理だ。
「やめてください」
僕の心を読むのが得意なのか、僕が分かりやすい表情をしているのか…気持ちが落ちているタイミングで、よく声をかけてくれる、深緑さん。
「照れてるのも、可愛いな」
普通の事のように甘い台詞を放つ…天性のアイドル気質なのか?
この人は、本当に人を惑わすような事を、極々自然に、やってしまう。
他のメンバーは、慣れてるのか…
こんなにも魅力的な人に、甘い言葉を掛けられて、みんなは、平気なのかな?さすがだな…
なんて思って、みんなと深緑さんとの会話を集中して聞いてみるんだけど、意外にも深緑さんは、面と向かって褒めたりしてないんだよな…
まさか、僕にだけ?
そんな訳は、ないよな…
思い過ごしもいいところだ。
なんて自惚れてるんだ…と、自分を戒戒めた。
まだ、一緒に過ごした時間は少ないのに、僕は、かなり…深緑さんを頼るようになっていて…頼り過ぎてはイケナイと分かっているけど。
いつもいつも
「大丈夫?」
って、声をかけてくれる。
僕が不安そうにしている時を、確実に拾ってくれる。
そんな人は、初めてだった。
ポツンと一人で過ごすだろうと思っていた僕の高校生活は、180度反対の物になった。
食堂へのご飯も、誘ってくれる…
僕が、1人にならないように。
食堂へ行けば、メンバー皆が僕に、話しかけてくれ、席を取って置いたから…なんて言ってくれる。
それだけで、僕は、実は天にも昇る気持ちになる。
目立つグループだから、他の寮生達から、見られてるのが分かって、少しだけ恥ずかしいけど、俯くと、みんなに悪いから、最近は、なるべく背筋を伸ばすようにしてる。
そもそも、来瑠さんから、普段の姿勢も気を付けるよう言い渡されているから…腹筋にチカラを入れる。
インナーマッスルを鍛えよ!
というのが、ダンス番長の指導方法の一つだ。
「あの、手を上に挙げてから、流すような振りのとこ、これはどう?」
指先の伸ばし方一つも拘り、話し合うのは、深緑さんと来瑠さん。
食事中も、話の中身は、歌とダンスについてだった。
みんなは、普段は結構ふざけあっているのに、音楽の話となると、急に真剣モードになる。
オンとオフが出来ていて、その上みんなは、結構勉強も出来るらしい。
特に、ラップ担当の神楽さんに至っては、どうやら、学年3位以内と聞いて驚いた。
そもそも、うちは進学校なので、かなり偏差値は高い方だから…
東大にも入れる知能を持つ男として、有名らしい。
確かに、三年生で既に大学入試に向けての猛勉強を始めなくてはイケナイ時期だ。
それなのに、単語帳一つ持ってるのを見たことが無い。
そんな神楽さんは、勉強よりも、青春が大事とか言っていた気がする…意外とロマンチストぽいな。
ーーーーーー
僕は、他人と風呂が同じになるのだけは、まだまだ苦手なので、いつも、寮生の入浴時間ギリギリに駆け込むようにしている。
なのに、今日は…数人の寮生が居て、失敗した…と思ったけど、見た感じは真面目なタイプの人達だったから、逆に安心して入ろうとすると
「人気者はお前じゃなくて、周りだからな…」
ボソリと一人が言うと、クスクスと数人の笑い声が聞こえた。
あまりに突然の一言に唖然とした。
でも、当然の事で…
僕だって、そんなことは、分かっている!
そう強く言いたかったけど、人見知りの残る僕は、言葉を飲み込んだ。
泣きそうになるのを唇をギュッと噛んで、髪を洗い、身体を洗い、湯船には浸からず、逃げるように浴場から出た。
タオルを頭から被り、部屋へと急ぐ。
早くベッドに潜ってしまいたかった。
傷付く必要なんて無い、本当の事だから…と、何度も自分に言ったのに、落ちた気持ちが戻って来ない。
部屋戻ると、部屋から出ようとした深緑さんとぶつかりそうになった。
「ん?あれ?紫央、その唇どうした?」
どうやら、唇に歯を立てたままでいたせいで、内出血でもしてるのか…
「いえ、何でも無いです」
下を向いて、通り過ぎようとしたけど、ガシリと腕を捕まれた。
僕は、深緑さんのベッドに座らされ
「とりあえず、髪乾かそ?」
ドライヤーで、僕の髪を丁寧な乾かしてくれる。
何も言わずに、髪をすいてくれる手があまりに優しくて…込み上げてくるものがあった。
俯いていたら、重力に従って…ポトリと落ちた涙が、フローリングに溜まった髪の滴と重なった。
ドライヤーのスイッチが切られ
「紫央…どうした?言ってみ?」
甘く優しい歌声は、僕を正直にさせた。
「あの…さっき、お風呂で…お前が凄いんじゃなくて、周りの皆が凄いんだみたいな事を言われて…分かってるんですけど…僕」
「はぁ?誰だよ?!!なんだソレ!ちょ、めっちゃくちゃ腹立つんだけど俺!言ってくる!」
聞いたことも無い怒り口調の深緑さんは、怖かった。
怒らせてはならない人なんだと思った。
「まっ、待ってください!喧嘩はいけません!」
「俺の紫央が、そんな事言われて泣く必要なんか、一ミリもねぇよ!」
俺の紫央って言った?聞き間違えかな。
「もう、充分です。僕、深緑さんが、怒ってくれて、凄くスッキリしました…それに、僕の努力が足りないだけなんで、もっと頑張って、皆と居ても文句言われ無いようにしますから」
怒りが収まらない様子の深緑さんに、僕は、堂々とした笑顔を向けた。
すると、少しホッとした顔になり、その後、真剣な表情に…
「紫央は、凄い頑張ってるから!ふざけた事言った奴らが、ぐうの音も出ないような音楽を作ろう!なんか、スゲ~気合い入ったわ!」
そういうと、深緑さんは、自分のベッドにゴロリと横になり、座っていた僕を隣に転ばせた。
シングルのベッドは狭いので、自分の腕の上に、僕の頭を寄せる。
いわゆる腕枕というモノをして貰って、落ち着くどころか、ドキドキしてしまう。
上を向いたら、整った顎のラインが見えて、本当に綺麗だと思った。
トントンと僕の身体をメトロノームのように正しいテンポで叩いてくれて、ドキドキしていた筈の僕は、穏やかな気持ちになり、あっという間に眠っていた。
朝起きて、物凄く美しい顔が目の前にあって、ビックリしたのは、言うまでもない。
皆が蒼さんから貰った紙を見ている中
「えっっ?!」
僕だけが大きな驚きの声を上げたのに、皆は、普通にしてる。
という事は、知らなかったのは、僕だけなのか…
「紫央、悪いけど、これは応募の決まりなんだ。再生回数も得点に入る。大丈夫、紫央、むしろ…お前、普段長~い前髪で顔半分隠してるし、ヘアセットとメイクで、本人だと分からないようにするから」
もう、ここまできたら、受け入れるしかないと、腹を括る僕。
「分かりました」
半分は、どうにでもなれという気持ちで答えた。
「じゃ、流すよ」
皆が耳を澄ませる。
曲の初めから、耳に残る独特のメロディー、次にカッコいいラップパート、ダンスが映えそうなリズミカルなサウンド。
そして、サビ部分は、メインボーカルの深緑さんと神楽さんのラップの競演。
とにかく、めちゃめちゃカッコいい。
静と動のハッキリとした曲に、一度で惹き込まれる。
これは、本当に天才というか…
高校生が、ここまでサウンドを弄ったり出来るのか?
異次元の才能を見せて貰って、本当に感動していた。
ただ、1つだけ気になったのは、曲の出だしのパートが僕だということ。
もはや、反論なんて出来そうに無いから…
飲み込むしか無いんだけど。
まさかの、僕の歌声から…始まる曲だった。
「ダンスの振り付けは、俺が考えたけど、意見があればドンドン言って欲しい、皆で良いものを作りたい」
ダンス番長の来瑠さんは、もちろん、グループの振り付け師としても活躍するみたいだ。
それにしても…
高校生なのに、オリジナルの楽曲に、オリジナルの振り付け。
この人達のポテンシャルには、計り知れないものを感じる。
そんな人達の中に加えて貰った事は、奇跡みたいだ。
蒼さんの作ってくれた、皆が歌う為の曲だと思うと、凄く気合いが入った。
しかも、ちゃんと僕の声に合わせて作ってくれたというパート部分は、凄くしっくりきた。
下手な僕でも歌いやすいのに、カッコイイ。
動画撮影まで。3週間しかないというのは、焦りでしか無かったけど…
ここまで、鬼指導を受けてきたお陰なのか、割りとすんなり喉が開き、歌うことが出来たのには、僕自身が一番驚いた事。
そして、なんといっても、皆で合わせて歌の練習を重ねるのは、どんどん曲の完成度が増していく過程を実感できて、凄く楽しかった。
特に、深緑さんの低い低音は、僕の耳を溶かすようで…
思わず歌っている姿を見つめてしまう。なんて素敵な声なんだ…と。
低くて渋いのに、透明感もあって…
僕の中では、深海低音と勝手に名付けていた。
潤さんの高音も、蒼さんの耳に残る特殊な声も、神楽さんのラップも、来瑠さんのリズミカルな声も、最高に痺れた。
僕だけが、何の変哲もない声で、申し訳無くて、せめて、一語一句間違えないようにだけはしよう…と、眉間に皺を寄せ、歌詞を凝視していると…
「俺は好きだよ…紫央の声」
「えっ?」
前を見ると、至近距離に深緑さんが居た。
こんな事を、極上の笑みと共に言われて、照れないなんて無理だ。
「やめてください」
僕の心を読むのが得意なのか、僕が分かりやすい表情をしているのか…気持ちが落ちているタイミングで、よく声をかけてくれる、深緑さん。
「照れてるのも、可愛いな」
普通の事のように甘い台詞を放つ…天性のアイドル気質なのか?
この人は、本当に人を惑わすような事を、極々自然に、やってしまう。
他のメンバーは、慣れてるのか…
こんなにも魅力的な人に、甘い言葉を掛けられて、みんなは、平気なのかな?さすがだな…
なんて思って、みんなと深緑さんとの会話を集中して聞いてみるんだけど、意外にも深緑さんは、面と向かって褒めたりしてないんだよな…
まさか、僕にだけ?
そんな訳は、ないよな…
思い過ごしもいいところだ。
なんて自惚れてるんだ…と、自分を戒戒めた。
まだ、一緒に過ごした時間は少ないのに、僕は、かなり…深緑さんを頼るようになっていて…頼り過ぎてはイケナイと分かっているけど。
いつもいつも
「大丈夫?」
って、声をかけてくれる。
僕が不安そうにしている時を、確実に拾ってくれる。
そんな人は、初めてだった。
ポツンと一人で過ごすだろうと思っていた僕の高校生活は、180度反対の物になった。
食堂へのご飯も、誘ってくれる…
僕が、1人にならないように。
食堂へ行けば、メンバー皆が僕に、話しかけてくれ、席を取って置いたから…なんて言ってくれる。
それだけで、僕は、実は天にも昇る気持ちになる。
目立つグループだから、他の寮生達から、見られてるのが分かって、少しだけ恥ずかしいけど、俯くと、みんなに悪いから、最近は、なるべく背筋を伸ばすようにしてる。
そもそも、来瑠さんから、普段の姿勢も気を付けるよう言い渡されているから…腹筋にチカラを入れる。
インナーマッスルを鍛えよ!
というのが、ダンス番長の指導方法の一つだ。
「あの、手を上に挙げてから、流すような振りのとこ、これはどう?」
指先の伸ばし方一つも拘り、話し合うのは、深緑さんと来瑠さん。
食事中も、話の中身は、歌とダンスについてだった。
みんなは、普段は結構ふざけあっているのに、音楽の話となると、急に真剣モードになる。
オンとオフが出来ていて、その上みんなは、結構勉強も出来るらしい。
特に、ラップ担当の神楽さんに至っては、どうやら、学年3位以内と聞いて驚いた。
そもそも、うちは進学校なので、かなり偏差値は高い方だから…
東大にも入れる知能を持つ男として、有名らしい。
確かに、三年生で既に大学入試に向けての猛勉強を始めなくてはイケナイ時期だ。
それなのに、単語帳一つ持ってるのを見たことが無い。
そんな神楽さんは、勉強よりも、青春が大事とか言っていた気がする…意外とロマンチストぽいな。
ーーーーーー
僕は、他人と風呂が同じになるのだけは、まだまだ苦手なので、いつも、寮生の入浴時間ギリギリに駆け込むようにしている。
なのに、今日は…数人の寮生が居て、失敗した…と思ったけど、見た感じは真面目なタイプの人達だったから、逆に安心して入ろうとすると
「人気者はお前じゃなくて、周りだからな…」
ボソリと一人が言うと、クスクスと数人の笑い声が聞こえた。
あまりに突然の一言に唖然とした。
でも、当然の事で…
僕だって、そんなことは、分かっている!
そう強く言いたかったけど、人見知りの残る僕は、言葉を飲み込んだ。
泣きそうになるのを唇をギュッと噛んで、髪を洗い、身体を洗い、湯船には浸からず、逃げるように浴場から出た。
タオルを頭から被り、部屋へと急ぐ。
早くベッドに潜ってしまいたかった。
傷付く必要なんて無い、本当の事だから…と、何度も自分に言ったのに、落ちた気持ちが戻って来ない。
部屋戻ると、部屋から出ようとした深緑さんとぶつかりそうになった。
「ん?あれ?紫央、その唇どうした?」
どうやら、唇に歯を立てたままでいたせいで、内出血でもしてるのか…
「いえ、何でも無いです」
下を向いて、通り過ぎようとしたけど、ガシリと腕を捕まれた。
僕は、深緑さんのベッドに座らされ
「とりあえず、髪乾かそ?」
ドライヤーで、僕の髪を丁寧な乾かしてくれる。
何も言わずに、髪をすいてくれる手があまりに優しくて…込み上げてくるものがあった。
俯いていたら、重力に従って…ポトリと落ちた涙が、フローリングに溜まった髪の滴と重なった。
ドライヤーのスイッチが切られ
「紫央…どうした?言ってみ?」
甘く優しい歌声は、僕を正直にさせた。
「あの…さっき、お風呂で…お前が凄いんじゃなくて、周りの皆が凄いんだみたいな事を言われて…分かってるんですけど…僕」
「はぁ?誰だよ?!!なんだソレ!ちょ、めっちゃくちゃ腹立つんだけど俺!言ってくる!」
聞いたことも無い怒り口調の深緑さんは、怖かった。
怒らせてはならない人なんだと思った。
「まっ、待ってください!喧嘩はいけません!」
「俺の紫央が、そんな事言われて泣く必要なんか、一ミリもねぇよ!」
俺の紫央って言った?聞き間違えかな。
「もう、充分です。僕、深緑さんが、怒ってくれて、凄くスッキリしました…それに、僕の努力が足りないだけなんで、もっと頑張って、皆と居ても文句言われ無いようにしますから」
怒りが収まらない様子の深緑さんに、僕は、堂々とした笑顔を向けた。
すると、少しホッとした顔になり、その後、真剣な表情に…
「紫央は、凄い頑張ってるから!ふざけた事言った奴らが、ぐうの音も出ないような音楽を作ろう!なんか、スゲ~気合い入ったわ!」
そういうと、深緑さんは、自分のベッドにゴロリと横になり、座っていた僕を隣に転ばせた。
シングルのベッドは狭いので、自分の腕の上に、僕の頭を寄せる。
いわゆる腕枕というモノをして貰って、落ち着くどころか、ドキドキしてしまう。
上を向いたら、整った顎のラインが見えて、本当に綺麗だと思った。
トントンと僕の身体をメトロノームのように正しいテンポで叩いてくれて、ドキドキしていた筈の僕は、穏やかな気持ちになり、あっという間に眠っていた。
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