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仲間として…
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「えっ?いや、絶対に、無理です!!!!」
これは、僕のセリフ。
今、衝撃の言葉を蒼さんから聞いて思わず強めに言葉が出た…
「皆で、一ヶ月後のパフォーマ―・of・JAPANに出るから」
もちろん全力でNO!だと、反対させて頂く僕。
僕は出れる訳が無いし、むしろ、僕が居なければ、間違いなく優勝だと思う。
足を引っ張るしか、出来ない人間を入れようなんて、どれだけ酔狂な考えしてるんだ…
「はぁ?もう俺、紫央を入れた6人パートの歌、完全に仕上げてあるんだけど?何、今からやり直せって言うわけ?」
怖い怖い、めちゃくちゃ怒ってらっしゃる。
こめかみに、青筋立ってます、蒼さん。
「そういうことだから、紫央、出るか、蒼に殺されるか…2択だから」
深緑さんが半笑いで言ってくるんだけど…
嘘でしょ?
なんかの、間違いでしょ?
やっぱり、僕がうっすらと感じていた切迫感は、間違って無かったんだ。
そのコンテストに出場するための練習。
皆の妙な気迫の原因が分かった。
原因が判明したからって、全くスッキリするはずもなくて…
むしろ、恐ろしくて震えてくる。
僕はおずおずと…言葉を選びながら…
「あの、冷静になりましょう。皆さん、優勝狙ってますよね?」
「当たり前じゃん」
潤さんが自信に満ちた顔で、胸をドンと叩いて居る。
「ですよね。じゃあ、やはり僕は入るべきではありません。僕は辞めますから、他の方に加入して貰いましょう」
僕が、至極まともな提案したのに…
「お前マジで言ってんの?ここまでやってきて?お前の声と皆の声のバランスでイメージ膨らませて、作曲と詞まで書いたのに、やり直せってこと?」
オラオラな感じで蒼さん、再び怒りが爆発してる。
「今日は紫央が、良く喋るねぇ」
うんうんと、何故か嬉しそうにするのは、リーダーの来瑠さん。
そんな呑気な空気じゃないのに…なんとなく楽しそうなのは何でだ?
「来瑠さん…いや、蒼さん!そして皆さん!待って。僕の実力分かってますよね?」
僕は必死で訴えたけど…
「知ってるよ、誰よりも努力家で、良い声してて、実はイケメンで、俺らのファンで…俺が見つけた最後の欠片」
深緑さんは、彫刻みたいに整った顔で、最上の笑顔と低く澄んだ声で、とんでもない言葉を放つ。
そして、この台詞に誰一人、反論しない。
おかしいでしょ?
こんなに僕自身が、僕はダメだと分かっているのに、第三者である皆は、ダメだとは言わない。
「僕達はね、割りと早い段階で、紫央の魅力を分かったんだよ。うちは、皆が各々、かなり個性的だから、逆にお互いを自分には無い魅力を見つけて、そこを尊敬しあってると思う。それが、うちの良さだし、強みだ。断言出来るけど、紫央は、深緑と並ぶツートップになるよ」
歌の練習で僕に、あんなにも、連日ダメ出しをしていた潤さんが、更に被せてくる。
深緑さんと並ぶだって?
そんな事、絶対有り得ない。
僕はどうしても納得出来ず…
助けを求めるように、リーダーの来瑠さんを見る。
「踊りはね、確かにまだ拙いトコがあるけど、意外と力強くて芯のあるダンスするんだよ、君は」
なんと、グーサインを、貰ってしまう。
ダメだ…誰も僕の味方は居ないのか?
そうだ、ラップ担当の神楽さんなら…と
「あー、俺見てもダメ。そもそも俺はラップだけで、あとは良く分からん」
ガハハと笑われてしまった。
最後の一人に、逃げられ、僕は追い込まれたネズミの気分で、周りをキョロキョロしてしまう。
どうしよう…
僕は、皆に嫌われたくは無いけど…無理だとしか思えない。
「「「「「紫央!!」」」」」
5人が、笑顔で、僕に手を差し出してくれる。
さっきはオラオラ言ってた蒼さんすらも、笑ってる。
「でも、無理ですってぇ~」
泣き出してしまった。
一粒溢れたら、連なる涙は止めどなくて…ボロボロと。
皆が…こんな僕を何故か信頼してくれたのは、本当に本当に嬉しいけれど、逆にプレッシャーにもなって。
嗚咽をあげて、泣きじゃくる僕…
めちゃくちゃ面倒くさいだろう僕を、深緑さんは、ギュッと抱きしめてくれた。
彼からは、気分を落ち着かせるような良い匂いがした。
「不安かもしれないけど、大丈夫!俺達を信じろ、紫央!」
皆の事は、信じてるけど、僕は、僕自身を信じて無いから…
「練習あるのみ!一ヶ月後、どうしても無理!ってなったら、俺が蒼に殴られてでも、編曲してって土下座するから、とりあえず、頑張ってみてくれよ、なっ?」
深緑さんが、僕の耳元で言う。
どうやら、既に皆の意見は纏まっていて、意思の固いアーティスト達は、全く諦めてくれそうに無い。
僕が死ぬほど練習したとして、皆の足を引っ張らない訳ないのに。
絶対って言葉がつく程、時間を無駄にさせてしまうだろうに…
「もう、仲間だから!紫央がいて俺らは完成したんよ?また練習しよ?」
来瑠さんからそんな事を言われて、練習に連日付き合ってくれてた光景がバッと頭に浮かんだ。
こうなったら…やるしか無いのか…?
限界を決めるのは自分自身って、誰の台詞だったかな…
最後の一押しは、深緑さん
「なぁ、紫央をスカウトした、この俺を信じれないの?」
「くぅ~!カッコい~い!今世紀最大のイケメンが言ってるよ~?」
潤さんが、からかっている。
張りつめていた場が一気にフワッと和んだ。
急に僕の肩のチカラが抜けて…
「分かりました……僕、精一杯やります!でも、皆さんの邪魔になれば、絶対に切ってください!それだけは、本当に本当にお願いします!」
ハイハイ、とばかりに、皆が苦笑いをしていた。
「はいっ!それでは~メンバーが揃ったところで!!グループ名を決めよう!」
来瑠さんが音頭を取ると
「おおお~!」
なんだか凄く盛り上がり始めた皆。
僕だけは、まだ、現実味が沸かなくて、眺めていたけど。
そこへ、スっと手を挙げて、前に出たのは深緑さんだった。
「ずっと、これでやりたいって、言葉があるんだけど…いいかな…」
深緑さんから提案があるみたいで、皆が静かになり、注目した。
「alright 。問題無いとか、大丈夫って意味の」
「えっ、良いじゃん!」
来瑠さんがそういうと、みんながウンウンと頷いた。
アッサリと、グループ名が決定してしまった。
もしくは、皆、グループ名自体への拘りは、そんなに無くて、活動するメンバーへの拘りだけだったのかもしれない。
僕達は
『alright』として、スタートする事にした。
「あとさぁ、一つだけ提案なんだけど、各々の名前をそのまま使うより、名前をアルファベット表記で使うの、良くないかな?俺は蒼のAO」
これも、満場一致で可決された。
これからの活動についての話は、明るい未来へと変わる何かを皆で出していく。
意見の交換は、寮の娯楽室へと場所を変えて夜遅くまで続いたのだった。
これは、僕のセリフ。
今、衝撃の言葉を蒼さんから聞いて思わず強めに言葉が出た…
「皆で、一ヶ月後のパフォーマ―・of・JAPANに出るから」
もちろん全力でNO!だと、反対させて頂く僕。
僕は出れる訳が無いし、むしろ、僕が居なければ、間違いなく優勝だと思う。
足を引っ張るしか、出来ない人間を入れようなんて、どれだけ酔狂な考えしてるんだ…
「はぁ?もう俺、紫央を入れた6人パートの歌、完全に仕上げてあるんだけど?何、今からやり直せって言うわけ?」
怖い怖い、めちゃくちゃ怒ってらっしゃる。
こめかみに、青筋立ってます、蒼さん。
「そういうことだから、紫央、出るか、蒼に殺されるか…2択だから」
深緑さんが半笑いで言ってくるんだけど…
嘘でしょ?
なんかの、間違いでしょ?
やっぱり、僕がうっすらと感じていた切迫感は、間違って無かったんだ。
そのコンテストに出場するための練習。
皆の妙な気迫の原因が分かった。
原因が判明したからって、全くスッキリするはずもなくて…
むしろ、恐ろしくて震えてくる。
僕はおずおずと…言葉を選びながら…
「あの、冷静になりましょう。皆さん、優勝狙ってますよね?」
「当たり前じゃん」
潤さんが自信に満ちた顔で、胸をドンと叩いて居る。
「ですよね。じゃあ、やはり僕は入るべきではありません。僕は辞めますから、他の方に加入して貰いましょう」
僕が、至極まともな提案したのに…
「お前マジで言ってんの?ここまでやってきて?お前の声と皆の声のバランスでイメージ膨らませて、作曲と詞まで書いたのに、やり直せってこと?」
オラオラな感じで蒼さん、再び怒りが爆発してる。
「今日は紫央が、良く喋るねぇ」
うんうんと、何故か嬉しそうにするのは、リーダーの来瑠さん。
そんな呑気な空気じゃないのに…なんとなく楽しそうなのは何でだ?
「来瑠さん…いや、蒼さん!そして皆さん!待って。僕の実力分かってますよね?」
僕は必死で訴えたけど…
「知ってるよ、誰よりも努力家で、良い声してて、実はイケメンで、俺らのファンで…俺が見つけた最後の欠片」
深緑さんは、彫刻みたいに整った顔で、最上の笑顔と低く澄んだ声で、とんでもない言葉を放つ。
そして、この台詞に誰一人、反論しない。
おかしいでしょ?
こんなに僕自身が、僕はダメだと分かっているのに、第三者である皆は、ダメだとは言わない。
「僕達はね、割りと早い段階で、紫央の魅力を分かったんだよ。うちは、皆が各々、かなり個性的だから、逆にお互いを自分には無い魅力を見つけて、そこを尊敬しあってると思う。それが、うちの良さだし、強みだ。断言出来るけど、紫央は、深緑と並ぶツートップになるよ」
歌の練習で僕に、あんなにも、連日ダメ出しをしていた潤さんが、更に被せてくる。
深緑さんと並ぶだって?
そんな事、絶対有り得ない。
僕はどうしても納得出来ず…
助けを求めるように、リーダーの来瑠さんを見る。
「踊りはね、確かにまだ拙いトコがあるけど、意外と力強くて芯のあるダンスするんだよ、君は」
なんと、グーサインを、貰ってしまう。
ダメだ…誰も僕の味方は居ないのか?
そうだ、ラップ担当の神楽さんなら…と
「あー、俺見てもダメ。そもそも俺はラップだけで、あとは良く分からん」
ガハハと笑われてしまった。
最後の一人に、逃げられ、僕は追い込まれたネズミの気分で、周りをキョロキョロしてしまう。
どうしよう…
僕は、皆に嫌われたくは無いけど…無理だとしか思えない。
「「「「「紫央!!」」」」」
5人が、笑顔で、僕に手を差し出してくれる。
さっきはオラオラ言ってた蒼さんすらも、笑ってる。
「でも、無理ですってぇ~」
泣き出してしまった。
一粒溢れたら、連なる涙は止めどなくて…ボロボロと。
皆が…こんな僕を何故か信頼してくれたのは、本当に本当に嬉しいけれど、逆にプレッシャーにもなって。
嗚咽をあげて、泣きじゃくる僕…
めちゃくちゃ面倒くさいだろう僕を、深緑さんは、ギュッと抱きしめてくれた。
彼からは、気分を落ち着かせるような良い匂いがした。
「不安かもしれないけど、大丈夫!俺達を信じろ、紫央!」
皆の事は、信じてるけど、僕は、僕自身を信じて無いから…
「練習あるのみ!一ヶ月後、どうしても無理!ってなったら、俺が蒼に殴られてでも、編曲してって土下座するから、とりあえず、頑張ってみてくれよ、なっ?」
深緑さんが、僕の耳元で言う。
どうやら、既に皆の意見は纏まっていて、意思の固いアーティスト達は、全く諦めてくれそうに無い。
僕が死ぬほど練習したとして、皆の足を引っ張らない訳ないのに。
絶対って言葉がつく程、時間を無駄にさせてしまうだろうに…
「もう、仲間だから!紫央がいて俺らは完成したんよ?また練習しよ?」
来瑠さんからそんな事を言われて、練習に連日付き合ってくれてた光景がバッと頭に浮かんだ。
こうなったら…やるしか無いのか…?
限界を決めるのは自分自身って、誰の台詞だったかな…
最後の一押しは、深緑さん
「なぁ、紫央をスカウトした、この俺を信じれないの?」
「くぅ~!カッコい~い!今世紀最大のイケメンが言ってるよ~?」
潤さんが、からかっている。
張りつめていた場が一気にフワッと和んだ。
急に僕の肩のチカラが抜けて…
「分かりました……僕、精一杯やります!でも、皆さんの邪魔になれば、絶対に切ってください!それだけは、本当に本当にお願いします!」
ハイハイ、とばかりに、皆が苦笑いをしていた。
「はいっ!それでは~メンバーが揃ったところで!!グループ名を決めよう!」
来瑠さんが音頭を取ると
「おおお~!」
なんだか凄く盛り上がり始めた皆。
僕だけは、まだ、現実味が沸かなくて、眺めていたけど。
そこへ、スっと手を挙げて、前に出たのは深緑さんだった。
「ずっと、これでやりたいって、言葉があるんだけど…いいかな…」
深緑さんから提案があるみたいで、皆が静かになり、注目した。
「alright 。問題無いとか、大丈夫って意味の」
「えっ、良いじゃん!」
来瑠さんがそういうと、みんながウンウンと頷いた。
アッサリと、グループ名が決定してしまった。
もしくは、皆、グループ名自体への拘りは、そんなに無くて、活動するメンバーへの拘りだけだったのかもしれない。
僕達は
『alright』として、スタートする事にした。
「あとさぁ、一つだけ提案なんだけど、各々の名前をそのまま使うより、名前をアルファベット表記で使うの、良くないかな?俺は蒼のAO」
これも、満場一致で可決された。
これからの活動についての話は、明るい未来へと変わる何かを皆で出していく。
意見の交換は、寮の娯楽室へと場所を変えて夜遅くまで続いたのだった。
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