スペーシアフォース

山ピー

文字の大きさ
上 下
2 / 16
宇宙の勇者

第2話「水の惑星」

しおりを挟む
アレンは壊滅的な被害を受けたリザルトの街を眺めていた。

「クソッ…」
(アレン、敵は何者なのかわかるか?)
「ああ…この所、周辺の宇宙で暴れ回ってる暗黒帝国軍の奴らだ…」
(暗黒帝国軍…それが宇宙に脅威をもたらす者…か…俺はソイツらと戦う為に来たんだ。協力してくれるか?)
「ああ…勿論だ」
(長く険しい旅になるぞ)
「だとしても、奴らを放っておけない」
(君も、この星の戦士って訳だな…船はあるか?)
「ああ、俺達の基地に戻れば宇宙戦闘用の船がある」
(よし…じゃあ行くか!)
「おう!」
ぐぅ~…
「あっ…」
アレンの腹が鳴った。
(ハハッ、腹が減っては戦は出来ん。出発は明日にして食事と睡眠でしっかり体力を回復しろよ!)
「ああ…すまん…」

アレンはリザルト警備団の基地に戻る。

基地に戻ると改めて失った仲間の事を思い出す。
「隊長、皆…」
(すまん…俺がもっと早く来れてれば…)
「いや、コスモのせいじゃないよ…コスモのお陰で俺は助かったんだし」
そんな話をしながらアレンは備蓄用の非常食を探した。
「あったあった」
アレンはそれを食べ始める。
「ところで、コスモは何か食べなくていいのか?」
(ああ、俺は今、君と一心同体になってるからな、君が食べる事で俺のエネルギーにもなる)
「へぇ~便利だな」

アレンはそのまま基地で一晩明かした。

-翌日-

アレンは基地の地下深くに格納されている宇宙船の元に向かった。

リザルト警備団が誇る宇宙戦闘用大型母艦《アドベンチャー号》がそこにはあった。

「コイツを動かす時が来た…」
(凄い船だな!ここまでの技術力とは…驚いた)
「ああ…行こう!」
アレンは早速アドベンチャー号に乗り込む。
中に入ると広いコックピットが中央にあった。

アレンはアドベンチャー号を起動させる。
「皆…行って来る」
アレンはアドベンチャー号の操縦席に座りレバーを引いた。
すると、基地のシステムと連動し、アドベンチャー号は地上へと上がって行く。
「アドベンチャー号…発進!!」
後部に備え付けられたブースターが起動しアドベンチャー号は離陸する。

そのまま上昇し僅か数分で宇宙へ出た。

「よし…宇宙に出れば後は自動操縦だ…コスモ、どこを目指せばいい?」
(そうだな…ちょっと待ってくれ…)

その頃…
-水の惑星·アクア星-

ここには水棲生物が進化した様な姿の宇宙人達が暮らしていた。
その一人ドルフィーは若く勇敢なこの星の戦士だ。
ドルフィーはイルカの様な姿の人型宇宙人だ。

海辺では子ども達が楽しそうに遊んでいた。

「うんうん、今日も平和だ」
ドルフィーは子ども達を見守りながらそう呟いた。
「ドルフィー兄ちゃーん!兄ちゃんもこっちで一緒に泳ごうよー!」
そう呼ぶのはドルフィーの弟のルカーだった。
「ルカー!兄ちゃんはお前達を見守るのが仕事なんだ、兄ちゃんの事は気にしないで遊んで来い!」

ドルフィーとルカーはとても仲の良い兄弟だった。

しかし、突如空が暗雲に覆われた。
「何だ?」
その時、急いで誰かがドルフィーの元にやって来た。
「ドルフィーさん!大変です!」
「どうした?」
「あの暗雲はこの星全体を覆ってます。そこで、対策の為に長老がすぐに来て欲しいと」
「分かった、直ぐ行く」
ドルフィーは長老の元へ急ぐ。

長老はナマズの姿をしていた。
「長老、お呼びですか?」
ドルフィーが尋ねる。
「おお!来たかドルフィー…この星に災いが来る…一刻も早くこの星の脱出の準備を進める。君達は戦いに備えて居てくれ」
「分かりました。しかし、その災いとは?」
「暗雲帝国軍…奴らがとうとうこの星にも攻め込んで来たんじゃ…」
「暗雲帝国軍…じゃあ、噂はやはり本当だったのですね…」

長老の助言でドルフィー達戦士は戦いの準備、他の者は避難の準備を始めた。

しかし、暗雲帝国軍は直ぐに攻めて来た。

暗雲兵団が降り立ち暴れ始めた。
ドルフィー達戦士は必死に戦った。
多くの同胞達が死に生き残った者達は星を脱出し、この星は死の星と化した。

この戦いは数日間に及び生き残った戦士達も残り僅か…。
だが、ドルフィー達は疲弊しきっていた。

「クソッ…アイツら…俺達の武器じゃ全く歯が立たない…このまま…死ぬしかないのか…」
ドルフィー達戦士は戦いを諦め掛けていた。

-アドベンチャー号-

アレンは宇宙の旅を続けていた。
(!!アレン、邪悪な闇の力を感じた!)
「どこだ?」
(11時の方向…大きめの惑星だ!)
「分かった…じゃあ向かうぜ!」
アレンはアドベンチャー号を11時の方向に柁を切り向かわせた。

-アクア星-

また、暗黒兵団が攻めて来た。
「クソッ…奴らめ…また来たか」
ドルフィー達は戦闘体勢に入る。

しかし、今度は暗黒兵団に加え、暗黒魔獣も現れた。
暗黒魔獣ヘルゲリアが出現。
ヘルゲリアはグレゴリスと違い四足歩行の魔獣だった。
「くっ…新たな敵か…」
ヘルゲリアは口から毒液を吐き海を汚染して行った。
「うわっ!?コイツ…俺達の海を…」

このままでは海がどんどん汚染され、生き物が死に絶えてしまう。
そうなればこの星全体の生命が脅かされる。
何としてもそれを阻止したいドルフィーは無謀にもヘルゲリアに立ち向かって行った。

しかし、ヘルゲリアに気付かれドルフィーは毒液の標的になってしまう。
「ぐっ…」
ヘルゲリアはドルフィーに向かって毒液を吐いた。
「うわっ!?」
ドルフィーはその攻撃をギリギリ避けたが、毒に触れた近くの植物は急速に枯れてしまった。
「お…恐ろしい毒だ…だが、負ける訳には行かない…」
ドルフィーは槍状の武器をヘルゲリアに向かって投げつけた。

しかし、そんな物ではヘルゲリアは全く動じなかった。
「クソッ…」
ヘルゲリアが再びドルフィーに迫る。
(ここまでか…)

ドルフィーが死を覚悟したその時!

空からアドベンチャー号がやって来た。
「喰らえ!!」
アレンがアドベンチャー号に装備されている武器でヘルゲリアに集中攻撃。
ヘルゲリアが一瞬怯んだ。

「アレは…?」
ドルフィーが地上から眺めている。

アレンはアドベンチャー号を自動操縦に切り替えた。
(よし!行くぞアレン!)
「ああ!」
アレンは『コスモスパーク』を上に掲げた。
すると、アレンの体は光に包まれ変身した。

コスモが登場。
アクア星に降り立ったコスモの姿を見てドルフィーも遠くで見ていた長老も驚いた。
「ああ、アレは!宇宙を救うと言われる伝説の光の勇者…」
「光の勇者?長老、それってまさかあの?」
長老に付き添っていた村の若者が尋ねる。
「ああ…お前達も子どもの頃から聞かされていただろう…《この宇宙に危機が迫る時、光輝く勇者が宇宙を救う》と」
「じゃあ、あれが…」


コスモはヘルゲリアの前で構える。
そして、コスモとヘルゲリアの戦いが始まる。
ヘルゲリアは毒液をコスモに向かって吐く。
コスモはそれを避ける。
だが、毒液はコスモの後ろの木々を枯れさせた。
「毒液か…コイツは厄介そうだな…」
コスモは一気に距離を詰め接近戦に持ち込む。
コスモはヘルゲリアの口を抑え毒液を吐かせない様にした。
しかし、ヘルゲリアも必死に抵抗。
コスモを振りほどく。
「うわっ!?」
そして、コスモが離れた隙に毒液を吐いた。
「うわぁぁぁ!?」
コスモはヘルゲリアの毒液の直撃を喰らい苦しむ…。
「まっ…まずい…」
ヘルゲリアは更に毒液を吐きコスモに襲い掛かる。
コスモのエネルギーが消耗し、胸の『スターシグナル』が青から黄色に変わる。
「まずい…エネルギーが…」
(え?何の事だ?)
「胸のスターシグナルはエネルギーの消耗を知らせる為の物なんだ…黄色に変わったからもうエネルギーが少ない…」
(何だって!?)

コスモの体はヘルゲリアに毒液に犯されエネルギーが著しく消耗した。

このままでは、コスモは倒されてしまう…。

続く…。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

性転換マッサージ

廣瀬純一
SF
性転換マッサージに通う人々の話

高校生とUFO

廣瀬純一
SF
UFOと遭遇した高校生の男女の体が入れ替わる話

Eterno@insurrecto

逢結 環
SF
隕石の衝突によって人類が滅亡した未来。 旧人類の遺産、人工生命体「アルマ」が作り出す戦闘用アンドロイドと、突然変異で生まれた新人類が星を取り戻すために始めた戦争が1000年続いていた。

後悔と快感の中で

なつき
エッセイ・ノンフィクション
後悔してる私 快感に溺れてしまってる私 なつきの体験談かも知れないです もしもあの人達がこれを読んだらどうしよう もっと後悔して もっと溺れてしまうかも ※感想を聞かせてもらえたらうれしいです

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

ステージの裏側

二合 富由美
SF
環境破壊と異常気象により、人類は自らの遺伝子に手を加える決断を下す。  国の存亡に関わる事態に、ヒーローとして持て囃される者が居るのと同時に、遺伝子組み替えを軍事利用するらしき動きが日本国内にも見られた。  国に認められた試験的な新人類/ニューフェイスは、自らが先頭に立って、犯罪行為に立ち向かう事を表明する。  この小説はフィクションであり、登場する団体や個人名は現実のものと一切関係はありません。  不定期連載となります。御了承ください。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれた女子高生たちが小さな公園のトイレをみんなで使う話

赤髪命
大衆娯楽
少し田舎の土地にある女子校、華水黄杏女学園の1年生のあるクラスの乗ったバスが校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれてしまい、急遽トイレ休憩のために立ち寄った小さな公園のトイレでクラスの女子がトイレを済ませる話です(分かりにくくてすみません。詳しくは本文を読んで下さい)

処理中です...