夢の様なお話し

ニャンコ従業員

文字の大きさ
上 下
2 / 7
第一章

僕は、今を生きている。

しおりを挟む
 客はやってきた、夢屋に依頼したからだ。あっさりと商品を買い込むお客さま。たいていが食べ物だ。しかし一つだけちょっと違う物をお買い上げだ。
 昔ながらの香炉で、香を炊くためのものだ。この香炉には不思議な力があり、香を炊くと夢が見られるのだ。ただそれだけなのだが。
 そして夢は予知夢である。未来がわかるのだ。優れものだ。
 三万円で売りに出している。買い手がついたので一安心だ。
 店番のバイトである虞さんに、言わせると、あなた変わり者との答えが返ってくるのだ。理由を聞いてみると、誰もこんなもの売らないとの答えだった。
 「はは」と笑って誤魔化したのだ。でも面白いと思うのだが。
 今日は雨降りだ。仕方ない、雨も降らないと農作物に被害が出るからだ。今の時期だと、枝豆を植える時期だ。それにさつま芋だ。
 夏が近づくと、薄着になるのだが、クーラーの為か少し余分に上着を着込んでいる方もいる。枝豆が食卓に並ぶと、いつも思い出す。スイカの漬物である。母が大好きだからだ。大抵独り占めしている。
 今、午前十時だ。コーヒーでも淹れて飲む時間だ。おやつには、クッキーか、大福なんかもいいかも知れない。
 お客は順調に来てくれている。すでに7人目だ。もう一つの目玉商品が、小さな鉄の塊だ。これには魔除けの力があり、運気を上げてくれる。以前、聴いた話では、宝くじが、少額ではあるが当たったそうだ。その人は、初めての当選だったらしい。
 この店には、怪しげなアイテムが数多くあるのだ。
 午後十一時二十三分、時計の針が止まっている。コレも、曰く付きのアイテムだ。何せ人を若返らせる力があるらしいのだ。その代わりに、健康が一部損なわれるのだという。
 とにかく怪しい品物ばかりだ。
 しかし魅力的だ。
 虞さんは外人だから、日本人の好みはわからないと思うが、怪しいものが好きな方、いわゆる好事家という人たちが購入するのだ。そして彼らは皆金持ちだ。
 順調に進んでいる。しかし飾り気がないのは寂しい。もう一人、花形美人店員を入れることにした。いわゆる看板娘である。
 早速、夢屋に電話を入れる。しかし番号を知らなかった。
 虞さんに店を任せて、夢屋にまで車で走る。
 夢屋には、電話は設置していないのだと言われ少しがっくりした。
 注文は、看板娘を一人、和服の似合う方で、三十才くらいの方をお願いした。料金は、二十五万七千円。高いが夢屋は確かだ。あっさりと神様から借りたお金で支払う。
 そして2日後には、和服美人がやって来た。名前は椎名一葉らしい。
 美人が二人、両手に花である。
 でもやはり男気がないのも、寂しい。バイトの張り紙をすることにした。時間給八百五十円。勤務時間は八時間。休憩含むである。実質七時間である。それ以外にも賄いもつけることにした。自分としては、まずまずである。
 そして二ヶ月後には、田村店長に虞さん、一葉の3人で店を切り盛りしてもらっていた。
 利益はあまり上がってないが。今の所、十一万の赤字だ。総売り上げはかなり伸ばしはしたものの。しかし客足は順調だ。今度は、さらにメキシコからの曰く付き物品を購入するつもりだ。
 何せ触ると肌がすべすべに、なるらしいという怪しな物だ。
 2000ドルは、要るらしいが。高いのだが、日本円で三十五万で売れば元は取れる。そう思い購入した。
 そしてさらに隕石のかけららしき物を、購入した。しかしコレは安く、二千円だ。どういう基準で、値打ちが付いてるのかわからないが、これも購入した。
 見た目はただの石だ。
 そうこうするうちに、五ヶ月が過ぎた。売り上げは、順調だが仕入が高いため、利益は少ししかなく、なんとか五千円プラスだ。
 店は、上手くいっている。
 気持程度しか儲からないが、それでも俺は楽しかったのだ。新たなアルバイトが、飛び込んできたのだ。
 彼女に言わせるとココしかない、と言われ、どうしても雇って欲しいとのことだ。利益は出てないのに、雇うなぞ無理だ。しかし押し切られた。
 そしてバイトは、3人。正社員は一人、俺の給料は食えるだけだ。
 しかしながらに、頑張っている。今月は目標、利益を四十万に設定して、皆で頑張った。
 届きはしなかったが、三十二万の利益を出したのだ。その結果、一葉さんが病にかかり、二ヶ月間の入院を余儀なくされたのだ。新入りバイトの彼女は、三神タツナ、話によると五百年未来から来たらしいのが、記憶がないそうだ。でも西暦二千五百年の新聞を持っていたから事実なのだろう。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

野球部の女の子

S.H.L
青春
中学に入り野球部に入ることを決意した美咲、それと同時に坊主になった。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

【ショートショート】雨のおはなし

樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
青春
◆こちらは声劇、朗読用台本になりますが普通に読んで頂ける作品になっています。 声劇用だと1分半ほど、黙読だと1分ほどで読みきれる作品です。 ⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠ ・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します) ・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。 その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

13歳女子は男友達のためヌードモデルになる

矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。

幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。

スタジオ.T
青春
 幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。  そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。    ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。

処理中です...