真実はふたつ、誰も知らない。

マジカル

イケメンすぎた男

　大阪北区皆実町二丁目において殺人事件が起こった。殺害されたのは、京都市生まれの28歳の女性。丸井和美。某デパート勤務だ。彼女には恋人がいた。二股だった。
　一人は、年配の男。もう一人は、三歳年下の男。名は、上村国保、田中肇。
　上村は、警察官だ。田中は、石油元売会社に勤務。
　あくまでも遊びのつもりだった。上村は真面目だが、成り行きで、丸井和美と付き合っていた。すぐに別れるつもりだった。第一彼には妻がいる。それに可愛い孫もいるのだ。
　しかし、事件に巻き込まれた。
　薬の売人でもある、田中に因縁をつけられたのがキッカケだった。
　田中は逮捕され、丸井和美は何も知らない様で白と判断され、田中が実刑判決を受けたのだ。
　そして２７年が過ぎた。
　上村は、警察を辞めた後、弁当屋に身を転じ、財を成していた。財産は、二億円越えしていた。上村の75歳の誕生日、上村は一人で書斎にいた。
　その後銃声が鳴り響いた。
　遺書はなかった。おそらく自殺だろう。
　田中も、獄中で死んでいる。心筋梗塞だ。
　何も無いはずだった。しかし一人の男には、それで十分だった。
　手に入るはずのない大金が転がってくるのだから。
　丸井和美の弟、賢治は、姉の死に疑問を抱いていた。
　犯人は、行きずりの男、菅原の犯行ということで落ち着いていたが、拭いきれないのだ。
　姉は淫らな女性だが、殺されるほどひどくは無いはずだからだ。
　そのことがキッカケで、二億の大金が手に入るのだ。上村は、姉の良い人だ。そして遺書が見つかった。
　姉の弟である賢治に、財産を分けてくれたのだ。
　魔術なぞ、この世に無いはずだ。
　しかし、賢治は、魔導書に出会っていた。
　魔道の力を使い、金を手に入れたのだ。
　そして、さらなる殺人が、起きたのだ。
　日本橋筋で、白昼堂々と、人殺しが起きたのだった。
　一人の女子高校生をめぐり口論となり、頭に血が上った高橋が、西村を殺害。
　高橋はすぐに自首したので罪は軽くて済んだのだ。
　賢治は魔道の力を使い、殺人を楽しみながら財産を増やしていった。
　その結果、二十五億の財を足遂げたのだ。
　それからも人の死が生み出す、お金は巨額だ。
　昨日も人が死んだ。その結果、遺産相続が発生した。二十一億だ。金持ちのお父さんが死んだ。名前は、村瀬号蔵。本屋を営んでいた。小さな書店だが、確実に金を生んでいた。
　相続人の息子にとったら、運が良かった。しかし、ワルはいる。村瀬氏の隠し子がやって来た。
　名前は晶、女の子だ。まだ、4歳だ。何もわからないまま、母親のいう通りにしている。
　しかし遺言書には、名前は載っていない。裁判をやっても勝ち目はない。
　隠し子騒動は、続き続け、7人の子がやって来た。
　村瀬氏には、隠し子がいるはずが無い。しかし七人もやって来た。
　息子の長男の隆には、親父は真面目で、浮気なんかする訳が無い。そう信じていた。
　しかし二十一億だ。諦め切れるわけもなく。しつこかった。
　隠し子が過ぎた後は、借金騒動だ。ほとんど、オンパレードだった。
　結果的には、丸井健治が相続したのだ。何処をどうやってかは知らないが、相続したのだ。
　本人に言わせれば、魔法だそうだ。