母からの贈り物は超不良執事。女垂らしで妖艶な彼と一つ屋根の下で同棲生活

酸っぱい苺

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純白が紅く染まる時

episode36 少女が泣いた日 後編

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ドンッ!!
「‥いたっ!!」
(‥あいつの他に誰かいるのか?)
誰かが転倒する音が聞こえた。
「その傷、昔から思ってるけど気持ち悪いのよ。」
「‥‥ごめんなさい。」
「ほんとよね。どうせ授業も全部同じようにできないんだし早く学園辞めたら?」
「‥‥‥」
「あなた汚いのよ。私達とは不釣り合いっていうか‥学園の質が下がる。」
(あいつ‥!やられてるのか!?)
謝罪する声が聞こえたので、足を早めようとしたが時
カラーーーン。カラーン。
「もうすぐ授業始まっちゃうわ!そんな子、放っておいて早く行きましょう。」
「ええ。そうね。この子のせいで遅刻とかしたら最悪すぎるもの。」
走っていく足音が遠ざかっていった。
(いったか‥‥)

「大丈夫か?」
「あ‥」
「怪我はないか?倒されてたろ?
あー、、擦りむいてるな。水道で洗うぞ。痛いが我慢しろよ?」
「‥ごめんなさい。迷惑かけて。」
「気にするな。それより悪かった。もっと早く来れてたら」
「そんな!私のことは気にしないで。君があの子達に見つからなくて本当に良かった。」
と彼女はいった。

(いつも一方的にやられても我慢して、端の方で静かにしてるんだろうな‥)
なんとなく彼女の学園生活が想像できた。
お互いに何を話せば良いのか分からなかったのだろう。沈黙の時間が数分続いた後、俺は口を開いた。

「なぁ‥化け物ってお前のことか?」
「‥うん。」
「話したくないならいいが、なんでそういわれてるんだ?」
彼女は少し躊躇ったのか、一瞬の間があったのち
「私‥手術してて体に傷があるの。泊まりとかそういう時に目に付くみたいで‥」
と話した。
「それだけであんな事されてるのか?理由になってないだろ。」
「え‥でも、自分でも見たら気持ち悪くなるからいわれても仕方ないし、ここにくる人って場を乱しちゃうと嫌がるでしょ?」
ーーーそれに、ここ以外の人も見た人は嫌な顔するから。
と彼女は悲しそうに俯いた。

「そうか?傷があってもお前はお前だ。俺は気にしないけどな。」
「君は傷見たことないからそういうんだよ‥実際見たら私のこと嫌いになると思う。」
「嫌いにならないよ。」
「いや‥‥なるよ。」
「なら、今ここで確かめるか?」
「‥え。いや、いい!!」
「嫌なのか?残念だな。」
「そんな‥本気にならなくても‥」
「ははっ。冗談だ。からかったんだ。」
「‥からかったの!?」
「はははっ。お前がくだらない事いうからだ。」
「‥‥意地悪。」
顔が上がった彼女の顔に流れる涙を拭う。
「泣くな。お前は汚くない。」
「‥え」
「顔だって不細工じゃない。」
ーーぽたぽた
折角拭ったのに、彼女の目から溢れる雫は大きくなる。
「俺は何を見てもお前の事、絶対嫌いにならない。だから泣くな。」
「‥っ」
「また泣くのか。不器用だが一生懸命で優しいのもお前と過ごして分かってる。そんな傷があったくらいで嫌わない。だから、安心しろ。」
「‥‥っ‥うん」

これが彼女と会った最後の日‥
あの後、何度か中庭に足を運んだが彼女に会えることはなかった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

(なんで来なくなったんだろうな‥)
流れていく景色を車窓から眺めながら、不思議に思っていると気がつけば屋敷に着いていた。

(ちゃんと水置いてくれてるのか。)

"遅くなるので夜食は用意しなくて良い"
あらかじめ伝えておいた。
食べ物はなかったが、きちんと水は置かれている。

あいつも‥こんな風に不器用で優しかった。

ーー記憶の中の少女と主人を重ねて眠りについた。




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