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近づく距離 執事お嬢様に興味を持つ
episode13 もうすぐ月が綺麗に見える
しおりを挟む私が風邪を引いた時
気にしてくれるのは極一部の使用人さんと
くぅーん‥
と鳴くサブレ。
お見舞いのつもりなのか枕元に上がってきたこのトイプードルくらい。
(心配してくれてるの?)
横にズレてサブレのスペース
を空けてやると軽やかにジャンプしベッドに飛び乗った。
ーーよしよし
と体を撫でてあげる。
彼女に触れると少し元気が出る。
天涯孤独な私にとっては本当に大きな存在になっていた。
屋敷にいる殆どの人は私が風邪を引いている事実も多分知らない。
ひたすら部屋に篭って寝る‥
風邪を引いた時の私のルーティン。
お見舞いなんて絶対ない筈‥なのだが
ーーー今回は違った。
「入るぞ」
挨拶と共に開いたドア。
(‥?)
ドアの前には執事が立っていた。
『え、なんで‥?』
ぼんやりした頭を覚醒させながら首を傾げる。
「洗濯がそのままだったんでな。
メイドに聞いたら風邪引いてるって」
(‥あ)
マリさんに彼の洗濯を頼んでいなかった事に気づいた。
『ごめんなさい。
メイドさんに洗濯頼むの忘れてて‥』
ベットサイドに置いてあるメモに書き込む。
「俺の洗濯もずっとしてたのか?」
『自分の分は元々自分でやってるし、ついで一緒にやってました。』
(屋根裏にいるの良い印象ないよね‥
どう思われてるんだろ‥)
『あの‥汚いとこでごめんなさい。』
といえば
「そんな事はどうだっていい。
俺が今使ってる部屋からこっちに?」
と聞かれる。
回答に困る質問‥
気を使うと思ったから内緒にしておきたかったが、嘘つく訳にもいかない。
『私、あそこしかこの家に部屋なくて。
景吾さん用に部屋貰えば良かったんだけど、模様替えとかしたかった。
ここなら私が使っても絶対に誰も使わないから何も言われないから。』
「‥」
『ここ凄く景色良いし、あんまり誰もこないから気楽です。
お庭もよく見えるし窓から月も見えて綺麗なの。』
「‥」
『その、、、気を使わせてごめんなさい。』
「なぜ‥」
「?」
「何故わざわざ俺の為に移動を?
適当にこの家の主人に言って部屋は無理にでももらえる。洗濯も夜食も‥」
『初めてだったの!私宛に誰か来てくれたのが。だから、凄く楽しみで。部屋気に入ってもらえると嬉しいと思って。』
彼が話している途中だけど、必死で書き込む。
(景吾さん‥申し訳なさそうな顔してる‥)
『‥そんなに気にしないで下さい。』
『正直‥毎日つまらないと思います。
私、こんな体だし。
それに他のお家‥もっといい部屋もらったり大事にしてもらってると思います。
なのに‥
あなたはこんな家でも帰ってきてくれる。それだけで私は嬉しいです。』
(だって‥ずっと独りだったんだよ?
誰かのために何かできる事って
こんなに幸せだって知らなかった。)
ーーだから、そんなに申し訳なさそうな顔しないでください‥
あなたには笑っていてほしい。
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