熊さんちのすずらん姫

べす

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12、思い出しました

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ベルとリアムについての誤解も解け、恋人のベルとの仲も良好、僕ってば順風満帆じゃん!
なんて思いながら過ごす事数日。

すっかり忘れてたけど、僕別に人間界に恋人探しに来たんじゃないんだよね。
武力調査に来たんじゃん!
やっと思い出したよ。

本来の目的を思い出した僕は、残り二日となったファルバン王子の警護の最中またもやイグニス王子に出くわした。

「兄上、レンファが警護に付くのもあと二日で終わりらしいですね!?兄上だけ独占するなんてズルいですよ!あと二日しかないんですから、僕の元に付けてください!」

そう、この二週間近く僕はアルベールとずっとペアのままファルバン王子の警護を続けている。
それはファルバン王子に言われたからだが、他の見習いは満遍なく順番に配置されていると言うのに僕だけ特別扱いで、ぶっちゃけ他の奴らからやっかみを食らっていた。

「あと二日しか無いなら、尚更私の側に侍らせるに決まってるじゃないか。これが終われば第二~第七に送り出さねばならないんだぞ?」
「それは見習いなら当たり前ですって!じゃあ魔法師団にも見習いとして寄越して下さいよ!」
「何故そうなる。そもそもレンファ自ら騎士団に志願したのだぞ。」

そこで話の矛先が僕へと移り、イグニス王子がグルンとこちらを向く。
げ、とすぐさま視線を逸らすもイグニス王子はすでに目の前までやって来ていた。

「レンファ、君どうして騎士団の入団試験を受けたのさ!魔法が苦手な訳じゃないでしょ!?」

イグニス王子の言う通り、僕はどちらかと言えば魔法の方が得意だ。
魔界において僕の強さなど下の下だが、魔法であれば中の中位はイケる気がする。

僕が騎士団の入団試験を受けたのはただ単にその時募集してたのが騎士団だったからであり、ぶっちゃけどちらでも構わないのだが…。

「なに、兄上の前だから答えづらいの?じゃあ聞き方を変えよう。剣と魔法ならどっちのが好き?」
「それは…魔法ですね。」
「ほらーーーーッ!!!兄上、聞きました!?レンファは魔法の方が好きなんですって!」
「だから何だ?別に騎士団でも魔法は使うだろう。」

騎士団での魔法と言えば主に攻撃とバフである。
僕はどちらかと言えば補助系が得意なので、改めて考えると騎士団に入ったのは間違いだったような気もしないでもない。
でも結果的にベルと出会えた訳だし、どうせ人間界の魔法なんて大した事ないだろう…と思っていると、イグニス王子から爆弾発言が飛び出した。

「チッチッチ。兄上、騎士団で使う魔法と僕ら魔法師団の使う魔法を一緒にしないで下さい!つい先日、新たに魔界から魔族を召喚し強制的に使役する誓約魔法を編み出したんですよ!これは全世界初!魔法使い垂涎物の新魔法ですよ!」

いや、それマズイやつ!!!

もしかして陛下と父様が言ってたのってこの事!?
え、じゃあ僕やっぱ魔法師団に入団しなきゃ駄目だったんじゃん!
やば~…どうしよ、今からでも異動できるかな?

誓約魔法の話が出てからソワソワしだした僕に、イグニス王子がにんまり笑う。

「ほらほら~レンファもやっぱり興味あるんでしょ?実は~今日これから実際に魔族を召喚して誓約魔法を使ってみようって事になってるんだよね~。どうする?気になる?見に来ちゃう?」
「い、行きたいです!」

前のめりな僕の返事にイグニス王子は満足そうに微笑むと、ファルバン王子を見る。

「兄上、可愛いレンファが魔法師団の魔法を見たいそうですよー?今ここで許可を出して好感度を上げるか、却下して嫌われるか、どっちを選択するんです?」

僕はファルバン王子の前で手を組むと、上目遣いでじっと見詰める。
徐々に赤くなっていくファルバン王子は、最後には目元を手で覆いハァーと大きく溜息を吐いた。

「…そんなにキラキラした顔で上目遣いされたら許可しない訳にいかないだろう。分かった。ただし、私も見学する。レンファは私の護衛として参加すること。いいね?」
「はいっ!」

ファルバン王子、チョロいな!
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