熊さんちのすずらん姫

べす

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3、同室の魔族?

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これから生活する場所だと案内された部屋はどうやら二人部屋らしい。
ただでさえ気の抜けない生活なのに、部屋でもそれが続くのかと思うと憂鬱になる。
しかし超ド新人が一人部屋にしてくれなんて言える訳もなく、僕は取り敢えず魔族らしからず挨拶してみる事にした。

「はじめまして、僕レンファ。宜しくね?」
「…。」
「…。」
「…。」

え?まさかの無視?
人間って挨拶さえしとけば好印象って聞いたのに!嘘だったの!?

そこで僕は相手の青年を見てハッする。

黒い濡れ羽色の髪に鋭い紅い目。
肌は褐色で人間というより魔族の配色である。
…あれ?もしかして人間じゃない?
魔族なら挨拶とかあんまりしないって兄様言ってたもんね。
挨拶するより会って二秒で殴り合いが普通だって。
僕友達居ないから分かんないけど。

見れば見るほど魔族にしか見えなくて、僕はもうほぼ確信しながら一応問いかけてみた。

「君…もしかして魔族?」
「ッ!?」
「あっ、やっぱりそう!?良かったぁ、実は僕も魔族でね?一人で人間界でやってかなきゃいけないって思って不安だったんだぁ。仲間がいるなら心強いよ。あっ、でも殴らないで!僕あんま強くないから…。あっ、良かったらこれどうぞ!魔界まんじゅう!こっちでおやつに食べようと思っていっぱい持ってきたんだぁ。」

そう言って亜空間からまんじゅうを取り出して渡すと、青年の目が見開かれる。

あっ、もしかして魔法は苦手なのかな?
魔族でも魔法が苦手って人も居るもんね。

「あ、もしかしてこっちのスペースが僕の陣地?お風呂は確か共同浴場なんだよね?僕屋敷では使用人にやってもらってたからなぁ、一人で入れるかなぁ。」

同室が同郷の仲間だと思うとついつい口が軽くなる。
するとここまで一切喋らなかった青年がぎょっとして叫んだ。

「風呂は駄目だ!部屋にシャワーがあるからお前はそっちにしろ。」
「わっ、びっくりした!急に叫ばないでよ~。え、でも僕お風呂入りた…」
「よせ、碌なことにならんから共同浴場には行くんじゃない。分かったな?」

何だか分からないが物凄く止められたので渋々頷いておく。
でもシャワーの使い方も分かんないんだよな。
後で一緒に入って教えてもらおう。

「ね、名前教えて?名前が分かんないと用があっても呼び止められないし。」
「…ベリルだ。」
「ベリル!わぁ、陛下と同じ名前なの!?いいなあ、僕陛下大好きなんだぁ。格好良いよねぇ?あっでも陛下と同じ名前を呼び捨てには出来無いなぁ…ベルって呼んでいい?」
「…好きにしろ。」
「うん。僕の事も好きに呼んでいいからね!」

僕はホクホクしながら自分の寝る予定のベッドや床に浄化を掛ける。
ついでにベルの方にも掛けてあげると目を丸くしていたけど、一応お礼を言ってもらえたから喜んでいたと思う。

それにしても、魔族と同室なんてラッキーだったなぁ。
これならある程度部屋でも気が抜けそうだ。
良かった良かった。
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