真夏の約束

カリナ

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第一話「時を超えて」

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沙苗と圭吾はひたすらにトンネルを走った。

真っ暗な大きなトンネルをただひたすらに。

「はぁはぁ、姉ちゃん大丈夫か?」
圭吾は息を切らして言う。

「私は大丈夫!それよりあのお婆さん言ってた【約束】って…」
沙苗は老婆の言葉が気になっていた。

「それより姉ちゃん!見ろよ!出口だ!」
圭吾が指差す方角に灯りが見える。

「とにかく行きましょう!今はあのお婆さんの言葉を信じて!」
沙苗。

こうして2人はトンネルの出口にやって来た。

その時、トンネルの出口からまばゆい光が2人を包む。

「わっ!なんだこの光!」
圭吾は目を腕で覆った。

「何?この光!…だんだん意識が…」
沙苗は朦朧とした。

まばゆい光が2人を包んだ時、沙苗と圭吾は完全に意識を失って、トンネルを出た所で倒れてしまった。


それからどれくらいの時間が経っただろうか?

倒れた沙苗と圭吾に何者かが近寄る。

「おい!子供が倒れてるぞ?」
1人の農民らしき男。

「なぁんだか妙な格好をしとるな?どっから来たんじゃろか?」
もう1人の農民も首を傾げた。

「とっとにかく、ここは一先ず【万城様】に知らせた方がよくねぇか?」
農民

「んだな!得体の知れねぇよそ者をこのままにしとけねぇ!急いで【万城様】のお屋敷へ運ぶだよ!」
もう1人の農民も言う。


沙苗と圭吾は夢を見ていた。

トンネルの入り口にいた老婆の夢だった。

【未来を変えるんだよ!ペンダントの導くままに生きるんだよ!】

老婆の言葉が遠い意識の中、沙苗と圭吾問いかける。

【…沙苗…沙苗、生きなさい…何があっても強く気高く…】

沙苗の夢の中には温かな女性が言葉をかける。


「…ちゃん…姉ちゃん!沙苗姉ちゃん!!」温かな女性の声が次第に圭吾の声に変わり、沙苗は目を覚ました。

「圭吾!!…ってここは…!?」
沙苗は辺りを見回した。

西洋風の地下室の様だ。

「姉ちゃん!俺たちどうなっちまったんだ?あのトンネルを抜けたらすっげー光に包まれて…」
圭吾。

「…わからないわ。でも私たちまた閉じ込められてるみたいだわね…」

「なんだか古臭い地下室のみたいだな!
ってここ東京だよな!?」

「見て圭吾!ドアは鍵がかかってるし、今時ランプなんてつける?それにここに置いてある本!みんな字が逆さ読みよ!」

「ほんとだ!えっと?「大日本帝国」って書いてあるみたいだ!」
圭吾は一冊の本の文字を読んだ。


その時!!

「あの…あなたたちも捕まった人たち?」

薄暗い地下室の隣の部屋の窓が空き、幼い少女が顔を出した。

「わっ!!誰だよお前!!」
圭吾はビックリして後退りした。

「それはこっちの台詞だよ?あなたたち、妙な格好してるけど、東京の人?」
少女。

「そうよ!私たち東京から来たの!山裏のトンネルをくぐって出口に来たら光に包まれて…あなた、ここどこなのか知ってる?」
沙苗は冷静に言う。

「トンネルって?ここは栃木のはずれの村だよ!
そして私たちが捕らえられてるのは、【万城様】のお屋敷。」
少女は言う。

「とっとっ栃木~??姉ちゃん!どうなってんだよ?」
圭吾は慌てふためいた。

「それもビックリだけど、その【万城様】って一体だれなの?」
沙苗。

「あなたたち【万城様】を知らないの?
帝国陸軍大将様の一家よ。この辺りでは知らない人はいないよ?」
少女は不思議そうに2人を見る。

「は?帝国陸軍?なんだよそれ?」
ちんぷんかんぷんな圭吾。

「…うーん…一つ聞いていいかしら?」
沙苗。

「なぁに?おねえちゃん?」
少女。

「…今、何年の何月何日かわかる?」
沙苗。

「変なこと聞くのね?今年は大正十二年だよ?今日は確か五月三日かな。」
少女。

「はい?大正って…姉ちゃん俺訳がわからない!」
圭吾。

「…どうやら私たち、過去の時代に飛ばされちゃったみたいね…」
沙苗は冷静に分析する。

「まっ、マジ?俺たちタイムスリップしちゃったわけ??」
圭吾。

「そう考えればこの地下室や本やランプも理解できるわ…所であなた名前は?」
沙苗。

「私は千鶴だよ。今年で6歳だよ。おねえちゃんたちは?」
この少女は千鶴というようだ。
可愛らしい顔をしている。

「私は水野沙苗!15歳よ!」
沙苗は黒髪にロングヘアーの現代風な可愛い少女。

「俺は水野圭吾!よろしくな!千鶴!」
圭吾は活発な端正な顔立ちをしている。

「沙苗ちゃん、圭吾くん。よろしくね。」
千鶴が笑顔を見せた。

その時!!
地下室の階段から足音がする!

「誰か来るわ!」
沙苗は焦った表情をみせる。

沙苗と圭吾の捕らえられた地下室のドアの前に何者かが!!

どうなる?沙苗、圭吾、千鶴!!

続く
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