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トーコ

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歩くこの場所から、背筋を伸ばして、一歩一歩、先へ、未来へ、重なっていく雪と温かい涙の器に、注がれたディナーをとるのは、あまりにも、遅い気がして、気がつかない所で、慰め合っている、乳房のさわりに、浮いた跡が、下がっては上がっていく外気温の健気な、メーターに、明太子の包まれたぷつりとする舌触り、お前の舌の感触を思い出して、投げるキスの、閃光に、痺れる、直感のパラサイトが、走っていくこの地面をける、トーコひたすらに愛を語るのは、お前を抱きしめる運命以上に、そばで、語らう、秀麗な眉が、そっとうつろに、ゆがむなら、快楽のサディズムが、清廉な蝋燭に、吹き消えることのない瞬間のマッチを擦る、こすりつける肉体に、香る淫靡な朝、もたれかかるお前の肩に、突っついた二の腕の音が、何度も張り裂ける胸を開いて、心を信じた俺とお前は、最愛以上に最新のメイクをする、デートの日には、きっと、待っている、ライトの下で重ねる手に、白々と感覚ひたす、水の反射に、顔を映して、泣く前に、言いたい。
俺とお前の体は、溶けるまで、溶かす。
傷ついた心が、はっと失う、テンポを愛する俺の、足が、躓いたときは、何か、皮肉を言って、戸惑わせる、螺旋のような階段で、空を抜ける、お前の顔で抜く俺の肉体が、何度も、射精したまで、日の昇る温かい場所で、声と声、シックな夢が、病的な窓に、落胆の落雁を頬張る、すると、トーコ、君の赤裸々なシャッター、裸の庭で、取り続ける後のアートーコ。
見果てぬ公園のベンチで、見晴らしの良い景色に問い詰める君の眼は、何か曇天のカラス、始まりの今が、終わりを予感しない、ほら、トーコだよという声が、俺の、耳に寂しく梟のような穏やかさで、樹の幹から飛び立つまで、君を抱きしめている。
抱き寄せる腕に、ぬくもる陽だまりの影、雨が降るまで、二人きり。
暗い影が、差しこんだ公園から抜け出るそう、下を向く君に光る世界を見せてやれるなら、俺の鼓動は、今でも、そのままで、たち続けるバランスをとったポールに咲きかけた花の名前が知らないから、知っていることは、ミステリーのまま、置き忘れて、そのバッグを開ける、まで、隠していて、君の涙を。
トンネルのようなところで、抜けるトーコ、暗い眼が俺に向いて、明かりを探したダウンライトエンジェル。
暗がりに、語り掛ける、このまま、消えるか、しかし、詩の感覚がお前を現す。
見ていてくれと息巻いて、逆さ睫毛に光る雫に脱ぎ取るハンカチが、黒なら俺はお前に透明のハンカチを差し出した。
すると、お前の唇が上がって、そっと俺を包み込む。
温かい光の中で、起立する樹の幹に、穿たれる空洞から流れる蜜が、俺の顔を撫でる。
またトーコ、君の夢を見た。
語るには惜しいカタルシスのシックな肉体が、ドレスを脱いで、野原で放つ咆哮は、白き叫び声。
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