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コテンノメルナ

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メルナ、愛の抱擁は、若い月の影に、十八の頃、空に向かう翼が、イカロスのように、羽ばたけない、独りの時に、打ちひしがれた膝を抱えて、ベッドのある窓から、外を眺めながら、煙草をふかし、もみ消した数だけ、思いが、募る、そんな晩にカーテンを引いて、思いにふける、たなびいたそよぐ風に、額が濡れた初夏の恋。
勉強の合間に開く、心のよりどころ、天使のような羽をもつ、美しい存在、それはメルナ、貴女です。
見えない影におびえながら、今を生きることが苦しくて、すべてから忘れ去られる恐れに、独り膝を抱えて、学校にも行かなくなった、行方知らずのこの苦しみは、絶えることのない性の目覚めた、幻想に住む天使がそう、そばにいてくれる、いつも、心の対象で、浮かんでは消えていく、夜雲、霧が出る朝、独り散歩に出かけて、公園の木々を眺めるソメイヨシノ、青々とした彼女の幹に手を触れた、なぜか天使の夢を見た、コテンノメルナ。
琥珀の瞳、流れる髪を一つに束ねて、清潔な香りは、まるで夏の果実、柑橘のレモン。
好きという思いを伝えて、帰ってくるまで、公園のベンチに座った、誰もいない午前四時、涙があふれた、すべてから消えた見捨てられた世界が背を向ける、夜明けまで、じっと、仲間はいない、いるのは牛と気の早い小鳥と、揺れる緑と草の間に住む虫、鳴き終わったカエルの声。
僕は、腰を上げて、所在なく木々の間の月を、西にある月を、眺めた、その眼は透明なあの子の瞳を想い、東の方にある希望とは遠い光を、見つめた、潤むように滲んだ雲に、揺れ隠れる彼女のその睫毛が、涙にはねる、露知らず、どこに行くにもあなたを想う、いつも僕のそばにいてくれたコテン姉ちゃん。
好きとは違う、でも、僕の手を握ってくれた、貴女だけが、僕の支えだったという気が今ではしています。
性ではない星のために生きた僕は夢追い人。
でも、孤独が僕を苦しめて、息もつけないこの朝に、死を願った、再生はあなたの体、その胸の奥、秘めている恋心をひた隠して、囁くようにあなたが耳元で、生きる勇気をくれた。
ああ、こんな素敵なことが、親を知らない僕に、夢をくれた貴女。
死が訪れて、いつか世界とサヨナラしたら、その前に、この公園で、キスをしたい。
憧れのあなた、メルナ様。
ずっとそばにいて、離れたくなかった。例え、貴女に嫌われても、ずっとあなたの優しい手にしがみついていたかった。
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