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街角のループスカイ

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奇跡の時、目に映る街は、きらきらとしている涙の河が、渡る、通り道。
桟橋を渡って、孤独に酔うウイスキーは、あの、傾けた数だけ出会った天使の思い出。
空は、繰り返す、時に激しく、時に狂おしく、叫んでいた青春の雨、雲間を割って、
さり気ないイアリング、右耳につけたあの子は、着飾るモーションで、投げる野球のボールのように、振り返った思い出に、浸る、煙草は、静かな夜更け、追想のパッション。
まだ髪が、長い、君が、俺に言ったこと、それは、切ってほしい、切れるだけ、失恋の痛みが、追ってくる、あどけない笑顔に潜む、希望落日パーカッション。
吹いているサックス、流れる瞳のブルーライン、車のサイドミラーに映る影は、青い群像、人影もない雨上がりのアスファルト。
水が、跳ねる、少女は怒って、運転手に言った言葉、「私は、デート。お前は、デッド」
中指を立てる仕草に驚いた交差点、車のヘッドライトが、彼女を照らす。
クラクションの雨に雨の音が混ざって、虹を待っていたあの子が、ふいに涙をこぼす、バケツにある清水は、躓いた君の足を取って、ばらまかれた真実の被写体。
シャッターを切る、風を切る、心を切って、髪を切ったあの子の前髪は、涼し気なボーイ、まるで大人びたその口元に浮かべる微笑に、耐えかねた俺は、横へ行って、耳元に口を近づけた。
さり気ないイアリングはイルカの形をしていて、小指で触れる、胸が震えた、帰り道の道路は、旅模様の水玉。
君のブラウスが、白いまま、泥をはねたその場所にキスをしたい、願うことは、そういつもそればかりだった。
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