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復活

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眼が見えない、目が見えた、視線を絡めて、緑の瞳が、炎上した大地に轟く砲撃の後の不穏な静けさ。
鎧を脱いで、世にも美しい君が、まるでむき身の卵のようになでらかな、きゅっきゅっとした君の上の白い電子皮膚。
培養した細胞は悲しみの分裂を繰り返し、心理学せきらら、扉を開けて、入ってくる、隙間風、建付けの悪い黒い鍵穴、鍵盤をすべる人工の指、漏れる鼻歌は媚びを知らない冷たい息、しかし、感情は麻痺、砲撃のさなかに受けた傷、乙女の君は、本を読みたがっていたけれど、現実に怒りの火が、燃え映る君の大事なハートリーダーに。
星が落ちていくたびに、駆けていく日常の終わり、戦争は激化し、風、死を運ぶ風は、機械のあなたを殺していく、何より、仲間の戦士が、その哀れな野蛮な邪さ、憐憫してしまうことはない、しかし、そんな者たちにあきれ返る、憎しみさえも、凍える、夏の吹雪。
いつもの君を詩にしたい。
いつもの君、ジョーロで花に水をやる。
いつもの君、虫の世話をしている、そのハレモノのような心、悲しみに煙る、煙草を吸って、コーヒーを飲んで、君の横顔を見ている、着物の奥は見えないけれど。
ああ、黄金のリバーブルース・音が流れるきらりきらり光る水面、映り込む君の顔は、もう人間の顔をしていた。
持ち歩く君の夢は、歩調を合わせて、恋人と歩くこと。
その歩幅を図って、まるで一緒に落ちていくように、死んでいこうね。
きっと流れる星々は、心の中に兆していく予感、素敵な毎日、さようなら、冬の日差し。
デュエット、メヌエット、天使になりたい、でも天国はない。美しい言葉「この世界に天国はない」。
今を生きていく速さで、物事を信じる優しさで、立ち向かっていくハープの調べ、穏やかな風、もう死毒の風は額を撫でて、優しく涙を拭いてくれる希望の復活トランペット。
高らかなファンファーレ
さあ、生まれ変わった女よ、私が神になろう。恋人になろう。友達になろう。そして、希望になろう。
もう一度生きようね。
もう一度、何度でも、永遠に、一瞬に、息をして、息を止めて、キスをして、抱きしめる腕に震えながら、夜明けを待たないで、別れないで、臭くなって、キスの味が体液に変わる頃、夢見る年ごろを過ぎたら、スロット・マシーン&ヒューマン・アライブ。
復活はあった。そう、そして、ロボットは、愛するロボットになった。
きっと、私はそんなあなたをこう呼びたい。
「人間」と。でも、君はこう言い張る。
私は苦しみを乗り越えて、愛を持つ真実の歌を歌っていきたい。だから人間なんて言わないで。
私はもうあなたの未来に生きているんだから。
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