悪公爵令嬢は憎い伯爵令嬢を虫にかえる

荒井 恵美

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公爵家のラリデーヌお嬢様、ざまぁ

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カフェテリアの前を通りかかった。「ブラッキー!テラスでティータイムにするわ」
「かしこまりました。ラリデーヌお嬢様」

ラリデーヌは気分良くテラスでお茶を飲んでいた。テーブルの上にはマーガレットの蝶々が置かれていた。横目でチラリと観察すると、マーガレットは震えていた。やっと、置かれている状況がわかったのかしら?ラリデーヌは、口角をらあげた。

通りの道が、賑やかになった。何か始まったらしい。大きな声がきこえる。「このクリスタル王子に傷を、つけたものには金貨100枚渡そう。傷をつけられなければ金貨20枚いただく。さぁ、挑戦者はいないか?」
クリスタル王子は、全身がクリスタルで出来た化物だった。力自慢の男がやってきた。クリスタル王子に挑戦し、素手でなぐったがびくともしなかった。
「なんてことだ。俺の手のほうがやられちまった」
力自慢の男は負けた。
「武器を使ってもいいかしら?クリスタル王子様?」
ラリデーヌが声をかけた。ラリデーヌは楽しくてしかたがなかった。
「もちろん、武器でも大丈夫さ。こちらは剣を使わせてもらうよ」
クリスタル王子は、答えた。ラリデーヌはブラッキーに声をかけた。
「ブラッキー!鞭をお使いなさい」
「かしこまりました。ラリデーヌお嬢様」

ブラッキーとクリスタル王子の戦いが始まった。ブラッキーは、おもいっきり力をこめて鞭を、しならせた。クリスタル王子は剣で鞭をからめとり、防御する。何度か鞭はクリスタル王子にあたっているはずだった。ブラッキーの額には汗が流れていた。
「何やってるの!ブラッキー、しっかりなさい」
おもわずラリデーヌはブラッキーの後ろに立った。

その時だった。クリスタル王子の両目が太陽の光に反射してかがやいた。ブラッキーとラリデーヌは驚いて一歩後ずさった。

クリスタル王子の両目の光は、ラリデーヌが持つマーガレットの蝶々にそそがれた。するとマーガレットの姿が美しくうつしだされた。マーガレットの花がマーガレットを包み込むように咲いている。なんて美しい女性なのだろう、一目で、クリスタル王子は恋をした。
「マーガレットの花がよく似合う。そうら貴女はマーガレットだ。マーガレット、愛しています。どうか結婚してください」
クリスタル王子はそう言うと、ひざまずいた。

すると、クリスタル王子とマーガレットは二人そろって、虹色の光に包まれた。マーガレットは本来の姿をとりもどした。クリスタル王子のクリスタルで出来た皮膚も人間のものに、変化して行き美しい王子が姿を現した。

このクリスタル王子も、やっかいな闇の魔法がかかっていたのだ。元の人間に戻るには、純粋な娘に一目惚れをして愛の告白をすること、しかもその娘は闇の魔法がかけられていなければならない。とゆうものだった。

クリスタル王子は、長い旅をしてやっと、マーガレットにめぐりあえたのだ。クリスタル王子とマーガレットは、手をとりあった。マーガレットもクリスタル王子に恋をした。
「私でよければ、喜んでおうけします」
マーガレットは答えた。

「私はクリスタル王国の王子なのです。国で幸せになりましょう」
クリスタル王子の声は晴々としていた。

クリスタル王子の側にひかえていた、光の魔法使いは、クリスタル王子とマーガレットに光のカゴの魔法をかけた。もう二度と闇の魔法がかからないように。

光の魔法使いは、クリスタル王子とマーガレットに声をかけた。
「さあ、魔法でクリスタル王国まで、もどりますよ?」
三人の姿は呪文とともに消えた。

残されたのは、膝からくずれおちたラリデーヌと、汗びっしょりのブラッキーだった。
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