3 / 6
虫を愛する者なんていない
しおりを挟む
やったわ。マーガレットを虫にかえてやったわ。ラリデーヌの心は晴れやかだった。クリスタルケースに入った蝶々、これがマーガレット。そう思うと嬉しくて、ダンスを踊りたくなるほどだった。
闇の魔法使いの言葉を、思い返していた。「ラリデーヌお嬢様、魔法が解けてしまう方法があるから、お気をつけて。マーガレットが、虫でいる間は皆の記憶からマーガレットが消える。しかし、まことの恋ごころをいだいている男性から虫に向かって「マーガレット、愛してる」と声をかけられるようなことがあれば、虫から元の姿に戻ってしまうからね」
虫に向かって、愛してるだなんて言う男性が、いるはずもないわと考えて、肩をすくめた。
ご機嫌で町を歩いていると、バタバタと走りよって来る者がいる。「お探ししましたよ。お嬢様、このブラッキーを連れずお一人で外出なさるなんて、危険ではございませんか!その髪の毛はどうされたのですか?」
ブラッキーは腰の剣に手をかけた。「何でもないわ、ブラッキー。髪屋で髪の毛を売って、この蝶々をてにいれたの」
「このブラッキーに一言おっしゃってくだされば、虫を買いに行きましたのに。お嬢様の髪の毛を売るなんてことをされなくても」
ブラッキーは力なく答えた。「どうしても自分でてに入れたかったのよ、髪の毛ならお母様のカツラコレクションから、どれかお借りするわ」
ラリデーヌはご機嫌で答えた。
お屋敷に戻ってきたラリデーヌの姿を見て、両親ともに闇の魔法使いの所へ行ったと、すぐに気がついた。あの魔法使いは髪の毛を、ほしがる。そして、独特の薬品の匂いをまとわせていたからだ。父親は「次回からは一緒に行くから、声をかけるように」
と、一言言われただけだった。母親は「さすが、私の娘ね、カツラは好きな物をお使いなさいね」
と言った。叱られなかったことに、拍子抜けしたが、ラリデーヌはいそいで自分の部屋に向かった。蝶々をじっくり見たかったのだ。部屋につくなり、クリスタルケースを取り出して、テーブルに置いた。
闇の魔法使いの言葉を、思い返していた。「ラリデーヌお嬢様、魔法が解けてしまう方法があるから、お気をつけて。マーガレットが、虫でいる間は皆の記憶からマーガレットが消える。しかし、まことの恋ごころをいだいている男性から虫に向かって「マーガレット、愛してる」と声をかけられるようなことがあれば、虫から元の姿に戻ってしまうからね」
虫に向かって、愛してるだなんて言う男性が、いるはずもないわと考えて、肩をすくめた。
ご機嫌で町を歩いていると、バタバタと走りよって来る者がいる。「お探ししましたよ。お嬢様、このブラッキーを連れずお一人で外出なさるなんて、危険ではございませんか!その髪の毛はどうされたのですか?」
ブラッキーは腰の剣に手をかけた。「何でもないわ、ブラッキー。髪屋で髪の毛を売って、この蝶々をてにいれたの」
「このブラッキーに一言おっしゃってくだされば、虫を買いに行きましたのに。お嬢様の髪の毛を売るなんてことをされなくても」
ブラッキーは力なく答えた。「どうしても自分でてに入れたかったのよ、髪の毛ならお母様のカツラコレクションから、どれかお借りするわ」
ラリデーヌはご機嫌で答えた。
お屋敷に戻ってきたラリデーヌの姿を見て、両親ともに闇の魔法使いの所へ行ったと、すぐに気がついた。あの魔法使いは髪の毛を、ほしがる。そして、独特の薬品の匂いをまとわせていたからだ。父親は「次回からは一緒に行くから、声をかけるように」
と、一言言われただけだった。母親は「さすが、私の娘ね、カツラは好きな物をお使いなさいね」
と言った。叱られなかったことに、拍子抜けしたが、ラリデーヌはいそいで自分の部屋に向かった。蝶々をじっくり見たかったのだ。部屋につくなり、クリスタルケースを取り出して、テーブルに置いた。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。
「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?

不機嫌な悪役令嬢〜王子は最強の悪役令嬢を溺愛する?〜
晴行
恋愛
乙女ゲームの貴族令嬢リリアーナに転生したわたしは、大きな屋敷の小さな部屋の中で窓のそばに腰掛けてため息ばかり。
見目麗しく深窓の令嬢なんて噂されるほどには容姿が優れているらしいけど、わたしは知っている。
これは主人公であるアリシアの物語。
わたしはその当て馬にされるだけの、悪役令嬢リリアーナでしかない。
窓の外を眺めて、次の転生は鳥になりたいと真剣に考えているの。
「つまらないわ」
わたしはいつも不機嫌。
どんなに努力しても運命が変えられないのなら、わたしがこの世界に転生した意味がない。
あーあ、もうやめた。
なにか他のことをしよう。お料理とか、お裁縫とか、魔法がある世界だからそれを勉強してもいいわ。
このお屋敷にはなんでも揃っていますし、わたしには才能がありますもの。
仕方がないので、ゲームのストーリーが始まるまで悪役令嬢らしく不機嫌に日々を過ごしましょう。
__それもカイル王子に裏切られて婚約を破棄され、大きな屋敷も貴族の称号もすべてを失い終わりなのだけど。
頑張ったことが全部無駄になるなんて、ほんとうにつまらないわ。
の、はずだったのだけれど。
アリシアが現れても、王子は彼女に興味がない様子。
ストーリーがなかなか始まらない。
これじゃ二人の仲を引き裂く悪役令嬢になれないわ。
カイル王子、間違ってます。わたしはアリシアではないですよ。いつもツンとしている?
それは当たり前です。貴方こそなぜわたしの家にやってくるのですか?
わたしの料理が食べたい? そんなのアリシアに作らせればいいでしょう?
毎日つくれ? ふざけるな。
……カイル王子、そろそろ帰ってくれません?

【完結】転生悪役令嬢は婚約破棄を合図にヤンデレの嵐に見舞われる
syarin
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢として転生してしまい、色々足掻くも虚しく卒業パーティーで婚約破棄を宣言されてしまったマリアクリスティナ・シルバーレーク伯爵令嬢。
原作では修道院送りだが、足掻いたせいで色々拗れてしまって……。
初投稿です。
取り敢えず書いてみたものが思ったより長く、書き上がらないので、早く投稿してみたくて、短編ギャグを勢いで書いたハズなのに、何だか長く重くなってしまいました。
話は終わりまで執筆済みで、雑事の合間に改行など整えて投稿してます。
ギャグでも無くなったし、重いもの好きには物足りないかもしれませんが、少しでも楽しんで頂けたら嬉しいです。
ざまぁを書きたかったんですが、何だか断罪した方より主人公の方がざまぁされてるかもしれません。
平和的に婚約破棄したい悪役令嬢 vs 絶対に婚約破棄したくない攻略対象王子
深見アキ
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢・シェリルに転生した主人公は平和的に婚約破棄しようと目論むものの、何故かお相手の王子はすんなり婚約破棄してくれそうになくて……?
タイトルそのままのお話。
(4/1おまけSS追加しました)
※小説家になろうにも掲載してます。
※表紙素材お借りしてます。

【完結】悪役令嬢の反撃の日々
くも
恋愛
「ロゼリア、お茶会の準備はできていますか?」侍女のクラリスが部屋に入ってくる。
「ええ、ありがとう。今日も大勢の方々がいらっしゃるわね。」ロゼリアは微笑みながら答える。その微笑みは氷のように冷たく見えたが、心の中では別の計画を巡らせていた。
お茶会の席で、ロゼリアはいつものように優雅に振る舞い、貴族たちの陰口に耳を傾けた。その時、一人の男性が現れた。彼は王国の第一王子であり、ロゼリアの婚約者でもあるレオンハルトだった。
「ロゼリア、君の美しさは今日も輝いているね。」レオンハルトは優雅に頭を下げる。

そのハッピーエンドに物申します!
あや乃
恋愛
社畜OLだった私は過労死後、ガチ恋相手のいる乙女ゲームに推しキャラ、悪役令嬢として異世界転生した。
でも何だか様子が変……何と私が前世を思い出したのは大好きな第一王子が断罪されるざまあの真っ最中!
そんなことはさせない! ここから私がざまあをひっくり返して見せる!
と、転生ほやほやの悪役令嬢が奮闘する(でも裏では王子も相当頑張っていた)お話。
※「小説家になろう」さまにも掲載中
初投稿作品です。よろしくお願いします!

婚約者に選んでしまってごめんなさい。おかげさまで百年の恋も冷めましたので、お別れしましょう。
ふまさ
恋愛
「いや、それはいいのです。貴族の結婚に、愛など必要ないですから。問題は、僕が、エリカに対してなんの魅力も感じられないことなんです」
はじめて語られる婚約者の本音に、エリカの中にあるなにかが、音をたてて崩れていく。
「……僕は、エリカとの将来のために、正直に、自分の気持ちを晒しただけです……僕だって、エリカのことを愛したい。その気持ちはあるんです。でも、エリカは僕に甘えてばかりで……女性としての魅力が、なにもなくて」
──ああ。そんな風に思われていたのか。
エリカは胸中で、そっと呟いた。

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる