7 / 28
過ぎたるは及ばざるが如し1
しおりを挟む
店はマンションの一階のテナントにあった。そこから上階の亮の部屋へ移った。ベッドとソファと壁掛けの液晶テレビくらいしかない、やけに生活感のない部屋だった。
冴子の住む1Kの部屋には、ベッドと、化粧台と食卓とサイドテーブルを兼ねたローテーブル、備付けのクローゼットに入りきれなかった衣装が掛かったパイプハンガー。物は増やさないようにして慎ましく暮らしているが、キッチン周り(調味料や調理器具)やベランダの洗濯機だったりという、そんな生活感が、この部屋には全くない。
薄ら嫌な想像が胸によぎる。ここはそういう部屋なのかも、と少し冷めつつ、久しぶりの他人の熱に、身体はすっかりその気になっている。
なにより、ずっと想ってきた相手というのが、かなりのウエイトを占めている。今、亮の眼差しは冴子だけに注がれている。彼女に触れる指や掌からは壊れ物を扱うかのような注意深さすら感じられる。
穿った思考はこの際、隅にしまってしまおう。冴子の戸惑いや不安さえも亮の勢いに押されていく。
もう、大人だし。
そんな脈絡のない言い訳を頭の中で自身にしながら、亮に服を脱がされ、口づけを受ける。互いに服を脱がせ、浴室に入った。
シャワーで濡れた亮の身体は想像以上に筋肉質で、反り立った自身は冴子に衝撃を与えた。遠い記憶が閃光を焚いたように蘇る。人は生命の危機を感じると、過去の記憶から生存方法を手繰り寄せると聞いた事がある。冴子の理性がこれは無理なのでは、と警鐘を鳴らしている。
「冴子ちゃん……、好きだよ」
亮は冴子の首すじから鎖骨へと唇を這わせていく。与えられる感覚が嫌ではない。だが、へその辺に押しつけられた昂りは、ほぼ凶器だ。
「亮さん、あの……」
「ん? どうした?」
「あの、その……、」
もじもじしている間に冴子の身体は泡だらけにされている。
「えっと、あの……」
乳房を持ちあげられ、やわやわと揉まれる。泡のすべりと乳首へのフェザータッチに神経が持っていかれる。
「あっ……、んッ、」
ぴくんと体が跳ねる。丹田の辺りを亮の固いもので押されていると、中がきゅんと窄まるのがわかった。摘んだりせずに、泡と手のひらで乳首を転がされる。片手は太ももからおしりを撫でまわし、抱き込み、肌と肌を擦り合わせるようにして全身を洗いながら、確実に冴子の性感を刺激してくる。
「んん……っ、んう。り、亮さん……、まって」
「どうした? おしっこ?」
子供に訊ねるようなおおらかさで言われ、再び衝撃を受けた。性感帯への刺激で蕩けていた頭がサッと起動した。
「いやっ、違う、そうじゃないの」
「そう? おしっこならここでしちゃってもいいよ」
「す、する訳ないじゃない!! お風呂場でおしっこなんか!」
「おしっこくらいでそんなムキにならなくても……」
「普通に繰り返すのやめて!」
「ごめんごめん。あ、誤解しないでね。おれ別に愛好家とかじゃないから。放尿くらいなら大丈夫ってだけで」
「変態……!」
「うそ!? 飲ませてとかかけてとか言ったわけじゃないのに?!」
「変なこと言わないで!」
「変なこと言うつもりなくて、おれはたださえちゃんに心置きなく気持ちよくなってもらおうと思って」
「でも、だからって……」
「そうか。おれの力不足だった。まずはちゃんと気持ちよくさせてからじゃないと説得力ないよね」
「いや、そうじゃなくて。私はただ、その、亮さんのソレが大きすぎてムリって言おうと……」
「そんな、大きすぎるだなんて照れるじゃん。つーか、これも人の範囲内だから」
「私の範囲内じゃない」
「じゃ今から範囲内にしていこ」
と、冴子を抱き込み、軽いキスをする。この男を本気で嫌になれない自分が悔しい。
冴子の住む1Kの部屋には、ベッドと、化粧台と食卓とサイドテーブルを兼ねたローテーブル、備付けのクローゼットに入りきれなかった衣装が掛かったパイプハンガー。物は増やさないようにして慎ましく暮らしているが、キッチン周り(調味料や調理器具)やベランダの洗濯機だったりという、そんな生活感が、この部屋には全くない。
薄ら嫌な想像が胸によぎる。ここはそういう部屋なのかも、と少し冷めつつ、久しぶりの他人の熱に、身体はすっかりその気になっている。
なにより、ずっと想ってきた相手というのが、かなりのウエイトを占めている。今、亮の眼差しは冴子だけに注がれている。彼女に触れる指や掌からは壊れ物を扱うかのような注意深さすら感じられる。
穿った思考はこの際、隅にしまってしまおう。冴子の戸惑いや不安さえも亮の勢いに押されていく。
もう、大人だし。
そんな脈絡のない言い訳を頭の中で自身にしながら、亮に服を脱がされ、口づけを受ける。互いに服を脱がせ、浴室に入った。
シャワーで濡れた亮の身体は想像以上に筋肉質で、反り立った自身は冴子に衝撃を与えた。遠い記憶が閃光を焚いたように蘇る。人は生命の危機を感じると、過去の記憶から生存方法を手繰り寄せると聞いた事がある。冴子の理性がこれは無理なのでは、と警鐘を鳴らしている。
「冴子ちゃん……、好きだよ」
亮は冴子の首すじから鎖骨へと唇を這わせていく。与えられる感覚が嫌ではない。だが、へその辺に押しつけられた昂りは、ほぼ凶器だ。
「亮さん、あの……」
「ん? どうした?」
「あの、その……、」
もじもじしている間に冴子の身体は泡だらけにされている。
「えっと、あの……」
乳房を持ちあげられ、やわやわと揉まれる。泡のすべりと乳首へのフェザータッチに神経が持っていかれる。
「あっ……、んッ、」
ぴくんと体が跳ねる。丹田の辺りを亮の固いもので押されていると、中がきゅんと窄まるのがわかった。摘んだりせずに、泡と手のひらで乳首を転がされる。片手は太ももからおしりを撫でまわし、抱き込み、肌と肌を擦り合わせるようにして全身を洗いながら、確実に冴子の性感を刺激してくる。
「んん……っ、んう。り、亮さん……、まって」
「どうした? おしっこ?」
子供に訊ねるようなおおらかさで言われ、再び衝撃を受けた。性感帯への刺激で蕩けていた頭がサッと起動した。
「いやっ、違う、そうじゃないの」
「そう? おしっこならここでしちゃってもいいよ」
「す、する訳ないじゃない!! お風呂場でおしっこなんか!」
「おしっこくらいでそんなムキにならなくても……」
「普通に繰り返すのやめて!」
「ごめんごめん。あ、誤解しないでね。おれ別に愛好家とかじゃないから。放尿くらいなら大丈夫ってだけで」
「変態……!」
「うそ!? 飲ませてとかかけてとか言ったわけじゃないのに?!」
「変なこと言わないで!」
「変なこと言うつもりなくて、おれはたださえちゃんに心置きなく気持ちよくなってもらおうと思って」
「でも、だからって……」
「そうか。おれの力不足だった。まずはちゃんと気持ちよくさせてからじゃないと説得力ないよね」
「いや、そうじゃなくて。私はただ、その、亮さんのソレが大きすぎてムリって言おうと……」
「そんな、大きすぎるだなんて照れるじゃん。つーか、これも人の範囲内だから」
「私の範囲内じゃない」
「じゃ今から範囲内にしていこ」
と、冴子を抱き込み、軽いキスをする。この男を本気で嫌になれない自分が悔しい。
0
お気に入りに追加
39
あなたにおすすめの小説
寡黙な彼は欲望を我慢している
山吹花月
恋愛
近頃態度がそっけない彼。
夜の触れ合いも淡白になった。
彼の態度の変化に浮気を疑うが、原因は真逆だったことを打ち明けられる。
「お前が可愛すぎて、抑えられないんだ」
すれ違い破局危機からの仲直りいちゃ甘らぶえっち。
◇ムーンライトノベルズ様へも掲載しております。
【R18】寡黙で大人しいと思っていた夫の本性は獣
おうぎまちこ(あきたこまち)
恋愛
侯爵令嬢セイラの家が借金でいよいよ没落しかけた時、支援してくれたのは学生時代に好きだった寡黙で理知的な青年エドガーだった。いまや国の経済界をゆるがすほどの大富豪になっていたエドガーの見返りは、セイラとの結婚。
だけど、周囲からは爵位目当てだと言われ、それを裏付けるかのように夜の営みも淡白なものだった。しかも、彼の秘書のサラからは、エドガーと身体の関係があると告げられる。
二度目の結婚記念日、ついに業を煮やしたセイラはエドガーに離縁したいと言い放ち――?
※ムーンライト様で、日間総合1位、週間総合1位、月間短編1位をいただいた作品になります。
異常性癖者たちー三人で交わる愛のカタチー
フジトサクラ
恋愛
「あぁぁッ…しゃちょ、おねがっ、まって…」
特注サイズの大きなベッドに四つん這いになった女は、息も絶え絶えに後ろを振り返り、目に涙を浮かべて懇願する。
「ほら、自分ばかり感じていないで、ちゃんと松本のことも気持ちよくしなさい」
凛の泣き顔に己の昂りを感じながらも、律動を少し緩め、凛が先程からしがみついている男への奉仕を命じる。
ーーーーーーーーーーーーーーー
バイセクシャルの東條を慕い身をも捧げる松本と凛だが、次第に惹かれあっていく二人。
異常な三角関係だと自覚しつつも、三人で交わる快楽から誰も抜け出すことはできない。
複雑な想いを抱えながらも、それぞれの愛のカタチを築いていく…
ーーーーーーーーーーーーーーー
強引で俺様気質の東條立城(38歳)
紳士で優しい松本隼輝(35歳)
天真爛漫で甘えんぼな堂坂凛(27歳)
ドSなオトナの男2人にひたすら愛されるエロキュン要素多めです♡
孤独なメイドは、夜ごと元国王陛下に愛される 〜治験と言う名の淫らなヒメゴト〜
当麻月菜
恋愛
「さっそくだけれど、ここに座ってスカートをめくりあげて」
「はい!?」
諸般の事情で寄る辺の無い身の上になったファルナは、街で見かけた求人広告を頼りに面接を受け、とある医師のメイドになった。
ただこの医者──グリジットは、顔は良いけれど夜のお薬を開発するいかがわしい医者だった。しかも元国王陛下だった。
ファルナに与えられたお仕事は、昼はメイド(でもお仕事はほとんどナシ)で夜は治験(こっちがメイン)。
治験と言う名の大義名分の下、淫らなアレコレをしちゃう元国王陛下とメイドの、すれ違ったり、じれじれしたりする一線を越えるか超えないか微妙な夜のおはなし。
※ 2021/04/08 タイトル変更しました。
※ ただただ私(作者)がえっちい話を書きたかっただけなので、設定はふわっふわです。お許しください。
※ R18シーンには☆があります。ご注意ください。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
【R18】さよなら、婚約者様
mokumoku
恋愛
婚約者ディオス様は私といるのが嫌な様子。いつもしかめっ面をしています。
ある時気付いてしまったの…私ってもしかして嫌われてる!?
それなのに会いに行ったりして…私ってなんてキモいのでしょう…!
もう自分から会いに行くのはやめよう…!
そんなこんなで悩んでいたら職場の先輩にディオス様が美しい女性兵士と恋人同士なのでは?と笑われちゃった!
なんだ!私は隠れ蓑なのね!
このなんだか身に覚えも、釣り合いも取れていない婚約は隠れ蓑に使われてるからだったんだ!と盛大に勘違いした主人公ハルヴァとディオスのすれ違いラブコメディです。
ハッピーエンド♡
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる