本物の聖女が現れてお払い箱になるはずが、婚約者の第二王子が手放してくれません

すもも

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※貴方だけ

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「んんっ……ふっ、ぁっ」

 何度も角度を変えて貪られて、息継ぎの合間に必死に呼吸した。
 フェリクスの舌は火傷しそうなくらい熱く感じる。くちゅくちゅと水音が響く度に、脳髄まで蕩けてしまうような錯覚を覚えた。

「は、あっ……フェリクスッ……」

 長い口づけの後、ゆっくりと唇が離れていった。
 名残惜しくてついその唇を目で追ってしまう。フェリクスは無言のまま、濡れた唇で僕の首元に触れた。皮膚の薄い首筋を舌でなぞられて、ゾクゾクと熱いなにかが背筋を這い上がる。

「ふッ……あ、フェリクスっ……」

 ぎゅっとフェリクスの頭をかき抱けば、首筋にチクリとした痛みが走った。

「あっ……!」

 同じ場所にがぶりと噛みつかれて、びくんと腰が跳ねた。逃がさないというように僕の腰を抱き寄せながら、フェリクスの舌が噛み跡をなぞっていく。

「ん、フェリクス……」

 ゆっくりと顔を上げたフェリクスの頰は上気していて、艶のある目は欲に濡れて潤んでいる。
 情欲を隠しもしない眼差しで射抜かれて、ぞくぞくしたものが背中を駆け上がった。

「フェリクス、いいよ」

 こんな貧相な身体で君が満足できるかどうかわからないけど。

「君の好きにして」

 その言葉に、フェリクスが何かを堪えるように眉を寄せた。

「優しくさせろ」
「ん……っ」

 耳元で囁かれた言葉にドキリとしたのも束の間。耳の縁を舌でなぞられて、濡れた音がダイレクトに響いた。

「は、ぁ、や……っ」

 熱い舌が這い回る感触に首を竦めると、不意に耳の中に舌を挿し入れられた。

「ン……あっ、やっ……」

 耳の穴に舌が出し入れされる度にぐちゅぐちゅと卑猥な水音が響いて、ぞわぞわとした快感が這い上がる。
 耳の裏をなぞった唇に柔く耳たぶを食まれて、堪らずに身を捩った。

「ふ、あ……っ、フェリクスッ」

 泣きそうな声で名前を呼べば、柔らかく頰に口づけられた。あやすようなその仕草とは裏腹に、フェリクスの手は僕の胸元を暴いている。露になった胸の先端に、フェリクスの指先が触れた。

「あっ……んンッ」

 両方の乳首を指の腹でくりくりと弄られる。爪の先で先端を弾かれる度に声が漏れてしまう。
 じっと僕の反応を窺っていたフェリクスが、戯れのように唇に噛み付いてきた。

「ふ……はっ、んンッ……ふっ」

 熱い舌に口内を犯されながら両胸を刺激されて、快感の逃し場所がない僕は必死にフェリクスに縋りついた。
 最初は壊れ物でも扱うように優しく触れてくるだけだったのに、徐々に刺激の強さが増していく。先端を摘まれて指で捏ねられて、じんとした痺れが身体中を駆け巡った。

「ふ……ぁ、あッ……」

 硬く立ち上がった先端を押し込むように擦られて、じくじくと腹の奥が疼くような感覚を覚えた。

「ひあっ」

 不意にぎゅっと引っ張られて、高い声が口から飛び出した。
 背中が反って胸を突き出すような格好になってしまう。目の前に差し出されたそこにフェリクスが顔を寄せる。
 赤い舌が覗いて、包み込むようにして先端を口に含まれた。

「や、あぁっ……ふッ……」

 熱い口内で突起を舐め回されて、ちゅうっと吸われる。その度にビクビクと身体が跳ねた。

「あ、あっ……フェリクスっ……」

 反対側の乳首も指で虐められて、声が抑えられない。快感がどんどん腰に溜まっていく。

「マコト……」

 顔を上げたフェリクスが熱の籠もった目で僕を見下ろす。その唇が唾液で濡れていて、酷くいやらしいものに見えてしまう。なんだか無性にいたたまれなくなって、近くにあったシーツを手繰り寄せて顔を隠した。
 そんな僕の挙動にフェリクスが小さく笑った気がしたけど、それどころじゃない僕は気づかないフリをした。

「顔を隠すな」
「あ……」

 両手を絡め取られてシーツに縫い付けられる。
 隠すもののなくなった僕の顔を真上から見下ろして、フェリクスがぞくっとするほど妖艶に笑んだ。

「俺から目を逸らすな」
「っ……」
「お前も、俺だけを見ていろ」
「っ、フェリクスだけだよ。もうずっと、君だけだ」

 ずっと、ずっと。もう君を知らなかった頃には戻れない。
 僕の返事に満足そうに目を細めたフェリクスが、今度は僕の両脚の間に手を差し込んだ。

「やっ……」

 慌ててフェリクスの手を掴むと、少し不満げな目で見下ろされた。

「なんだ」
「あの……僕、男だけど、平気?」
「……今更だ」
「そうなんだけど、ほら、女の人の身体とは全然違っ……」
「もういい」

 少し苛立ったように息を吐いたフェリクスが、僕の両膝を掴んで大きく左右に開いた。驚いて足を閉じようとするけど、間髪入れずにフェリクスの身体が割って入ってくる。

「ずっとお前を見てきたんだ。マコト、お前が思うよりずっと、俺はお前を知っている」

 フェリクスの目は真っ直ぐで、その目は確かに僕を見てくれていた。

「男でも女でも関係ない。俺が欲しいと思ったのは、お前だけだ」

 じわりと目頭が熱くなる。
 ああ、僕はやっぱり君が好きだ。性別も歳も身分も関係なくて、ただ君という人が好きなんだ。

「マコト、俺に全て寄越せ」

 フェリクスが僕の頰に口づけた。
 低く囁く声に小さく頷いて、広い背中に腕を回した。

「うん……僕も、君が欲しい」

 フェリクスの足に腿を絡めれば、腰の辺りに熱く硬いものが当たるのが分かった。

「っ……」

 フェリクスが息を詰める。少し顔を赤くしたその頰に小さく口づけた。

「ね、フェリクス」
「なんだ」
「僕が、脱がしてもいい?」

 一瞬固まった後、フェリクスが小さく頷いた。
 僅かに上体を起こしたフェリクスが僕を見下ろす。張り出た喉仏が大きく上下する様に、思わず生唾を飲み込んだ。
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