本物の聖女が現れてお払い箱になるはずが、婚約者の第二王子が手放してくれません

井之口みくに

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※求め合う

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 心臓が壊れそうなほどバクバクと激しく脈打っている。真っ赤な顔の僕を見下ろして、殿下が満足げに口角を上げた。

「マコト」
「っ……ぁ、んむ……」

 柔らかな感触が唇に触れた瞬間、思考がドロドロに溶けて何も考えられなくなった。殿下の首に腕を回せば応えるように口づけが深くなる。

「ん……ふ、は……」

 クチュクチュと音を立てて舌が絡み合う。飲み込みきれない唾液が顎を伝って、その感触にも体が震えた。

「ぁ……は、んぅ……」
「逃げるな」
「ンゥ、ぁ、ふ……っ」

 舌が絡み合う度に甘い疼きが広がっていく。初めての感覚に怖くなって、殿下の首に縋りついたまま身動ぎした。でもすぐに気づいた殿下に舌を絡めとられて、熱い吐息ごと飲み込むように深く口づけられた。

「ンン……ッ」

 上顎を舐め上げられて思わず腰が跳ねる。その拍子に緩く勃ち上がった陰茎が殿下の下腹に触れて、慌てて腰を引いた。
 唇が離れて、銀の糸が僕たちを繋ぐ。

「っ、すみませ」
「隠さなくていい」
「あ……っ」

 飲みきれなかった唾液を拭う余裕もなく乱れた呼吸を繰り返していると、殿下が僕の足を割り開いた。

「っ……で、殿下」
「俺から離れるな」

 お互いの下肢を触れ合わせるようにして腰を引き寄せられる。ピタリと密着した状態で口づけられて、下腹に当たった硬い感触にドキリとした。それは僕以上に熱を持っていて、ドクンドクンと脈打っていっている。
 ─フェリクス殿下も、僕で興奮してくれているんだ。
 その事実にごくりと喉が鳴る。思わず手を伸ばして、形をなぞるようにその昂りに触れていた。

「おっき、ぃ……」

 ほとんど無意識に呟いていた。
 手の中で熱く脈動する陰茎は太く長く硬い。恵まれた体躯に見合った長大さで、僕のモノと比べると一回り近く大きく感じられた。

「は……っ」

 殿下が熱く掠れた吐息を漏らして、その瞳に情欲の炎が宿ったのが見えた。
 美しくしなやかで、けれど男らしく骨ばった手がお互いの陰茎を重ねるようにして握り込む。そのままゆるゆると上下に扱かれて、たまらず腰が浮いた。

「ぁ、あっ……フェリクス、殿下……っ」
「腰が引けているぞ」
「あ……っ」

 叱責するように軽くお尻を叩かれて、その刺激にすら感じてしまった。

「もっと近くへ来い」
「は、い……っ」

 快感を堪えながら必死に頷けば、満足そうに微笑んで口づけられた。

「ふ、ン、んぅ、ンン……ッ!」

 キスに夢中になっているうちに、手の動きが激しくなって水音が大きくなっていく。グチュグチュと響くいやらしい音が耳まで犯されているようでゾクゾクと背筋が震えた。

「は、んぅ……ッ」
「マコト、いいか?」
「い、ぃ……ッ、それ、ぁ、イィ、ひ、アァ……ッ」

 腰が砕けそうなほどの快感に頭が真っ白になっていく。一纏めに握られた陰茎を激しく扱かれて、お互いの先端が擦れ合うたびに堪えきれない声が漏れた。

「ひぁ……っ!」

 不意に殿下の手が僕の胸の突起に触れた。そのまま指先で弄られて、ピリピリと甘い痺れが走った。

「んン……! あぅ……ッ」

 柔くつままれたかと思えば優しく押し潰されて、ジンと快感が広がった。

「だめ、ですっ、そこ……アァ……ッ」
「嫌か?」
「わかんなぃ、です……! 変な感じがして……!」
「そうか」

 僕の表情を観察するように静かに見つめていた殿下が、不意に胸板に顔を埋めた。

「あ……っ、ン、んぅ……ッ」

 ちろりと赤い舌が覗く。殿下の薄い唇に胸の突起が飲み込まれていく光景に、頭がクラクラした。

「あっ、や……ぁっ!」

 口の中で転がされながら時折軽く歯を立てられる。その度にビクビクと腰が跳ね上がって、胸を押し付けるように背を仰け反らせてしまう。
 くちゅくちゅと口内で乳首を愛撫されながら、裏筋を擦り合わせるようにして陰茎を扱かれて、同時に与えられる快感に理性はドロドロに溶かされていった。

「あぅ……ッ、んぅう……!」

 殿下の手の動きに合わせて腰を揺らすと、自分のものとは思えないほど甘えた声が漏れた。
 恥ずかしくて止めたいのに、それを咎めるようにひときわ強く乳首を吸い上げられてまた嬌声が上がった。

「ゃ……っ、あぅ……っ」
「……愛いな」

 殿下が何か言った気がして顔を上げたけど、快楽に溶けた頭ではよく聞き取れなかった。
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