(ちょっと不思議な)先輩と、後輩の○○な日常

鬼丸

文字の大きさ
上 下
1 / 1
序章

始まりな日常

しおりを挟む
始まりな日常
_________________________綺麗だ
黒い髪の女の子が此方に振り向いてニカッと笑う。目線の先は恐らく自分ではない。しかし、その目にはすべてを引き寄せるような魅力が……………。
そんなことを考えていると不意に視界がぼやけて白い世界に包まれた。あぁ、そうだ。これは

過去の夢だった。

カーテンの隙間から漏れている朝日とケータイのアラームに僕は起こされた。自分以外誰もいない京都の一角にあるマンションの自室は静まり返って、早朝ということもあり信号機の音がよく聞こえる。
またあの夢を見た。忘れられない瞬間トキの初恋の思い出。
「忘れられたと思ったんだけどなぁ」
ふと思った声が漏れ出て、響いて消える。あの頃は勇気も何もなくて告白どころか、真ともに話すことさえできなかった。初恋の子は一つ下の部活の後輩で、別々の高校ということもあり、中学卒業以降会うことはなかった。やっと忘れられたと思えば久々にこの夢を見た。もう、会うことは無いのに、過去の恋を忘れられない。
あぁ、そうだ。僕は如月飛鷹。大学に通いながら、大学の仲間と一緒に建てた会社の副社長を務める普通の21歳。会社とはいっても大企業ではなく、少し大きめの中小企業といった所だろう。昼は授業で忙しいから朝のうちに出勤して仕事を終わらせる訳だ。
チーン
トースターのパンを焼き終わった音がした。卵焼きを食パンに乗せて一気に口に突っ込む。急いでYシャツに着替え、バッグを引っ掴んで、時計の針を見る。
ちょうど5時。いつもより少し早いが、ゆっくりはしていられない。家の鍵を閉めて急いでマンションのエレベーターに乗って、駐輪場に止めてあるロードバイクに跨る。さぁて出勤だ。
家があるマンションは都大路に隣接しており、利便性はかなり高い。朝の冷たい都大路の空気を掻き分けて、会社に向かう。この時間が至福であり、毎朝こうやって通勤する理由で____________________。
キイィィ。
道を歩く人の中に、見覚えのある顔があった。そう、あの忘れられない中学の初恋の子だ。僕は急いでロードバイクをUターンさせて、路側帯から片時も忘れたことのないあの子の名前を呼ぶ。
「天宮さん?」
人は合っていたようで、振り向いて驚いた顔をする。ただ、少し声が大きすぎたようで辺りに声が響き、周囲の人にも振り向かれる。この際気にしないでおこう。うん、それがいい。
「あの、何処かでお会いしましたっけ?」
少しびくついており、恐怖すら感じているようにも思える。まぁ、そらこういう反応だろうな。容易に予想できた反応だ。此方は印象深かったかもれないが、相手からすればただの話したこともない部活の先輩。覚えているわけが無い。
「陸奥中学校の時の1学年上の如月って覚えてないかな?」
街路樹の隙間からロードバイクを歩道に入れながら聞く。このままだと何故か名前を知っている変態だからな。覚えていなかったとしても一応言っておかないと。
「んー。あっ!思い出した無口で飛鷹先輩ですよね!大学京都だったんですね」
少し考える仕草をとった後、思い出したようで、途端に明るい顔になった。この子記憶力良いなぁ。よく覚えている。しっかし、無口……。そんな覚え方されていたとは。
「おっ、良かった。覚えてくれてたんだ。ありがと。天宮さんも大学京都なの?」
「はい!そうなんです。来年度からこっちの大学で、引っ越し先を探すために一度京都に!なんですけど…………。」
僕が聞くとなんの躊躇いも無く嬉しそうに答える。ほとんど話したこと無いのに、凄いな。陽キャってやつか。しかし、途中で何かを思い出したように一気に声のトーンが下がる。
「どうかした?僕でよければ話聞くよ?無理には喋らなくてもいいけど」
一、二秒前とは打って変わって暗い空気に包まれている天宮さんにそう言うと、何かが切れたように、泣き始めた。あ、完全にやらかしてしまったようだ。
「ごめん。デリケートな話だったよね。僕の配慮が足りなかった」
流石に僕も焦って、背中を撫でて、落ち着かせようとする。周りで歩いている人たちがかなり冷たい目線を送ってくる。泣かせかけているからなぁ。
「大丈夫です。嬉しかったんです。重い話にはなるんですけど聞いてもらえますか?」
ポケットから出したハンカチで涙を拭い、天宮さんはやっと落ち着く。あぁ、良かった。初恋の人に完全に嫌われるかと思った。
 そのあと、道端で話を聞くのもどうかと思うので、僕達の会社の応接室に一度通した。社員には彼女だと誤解されてしまった訳だけど。ただ、もしその誤解が真実だったならと、思ってしまう自分もいて、諦めきれない自分に何処か醜さも感じた。
「ひゃあぁ、飛鷹先輩って会社経営なんてしてたんですね。あれ?大学生じゃないんですか?」
会社のビルと応接室を見て腰を抜かしてしまったのだろう。信じられないとでも言うかのような顔をしている。そりゃそうだわな。大学生だと思ってた人が小さめとは言えどもビルで会社経営してます~とか言っても信じられないか。
「まぁ、一応ね。会社経営といっても大学の仲間と一緒に始めたから僕一人の功績ではないんだけど」
本当に僕の功績では無い。この会社は弁護士や税理士、司法書士等の士業系の集まる会社だ。
僕は入学当初から仲の良かった経営学部数人と法学部数人とで会社を設立した。経営学部は経営に、僕を含む法学部は依頼の解決等の実務を担当し、事業をどんどん拡大していった。
僅か二年とちょっとで従業員も雇って、ビルも借りられるようになるとは思わなかったけど。特に経営学部の才能と努力は凄まじかった。どんどん顧客を開拓して、どんどん信頼を勝ち取って、どんどん事業を拡大していく。僕達士業の資格を持つ実務班のおかげだって彼らはいうが、僕たちも彼らがいなければここまで来れていないだろう。
っと、少し回想に浸りすぎた。天宮さんの話を聞くために応接間に来たんだった。
「実は親の反対を振り切って、京都の大学に来たんです。親は地元の大学にしろ、って言ってきたんですけど、どうしても都会に出てみたくって」
「成程。それで出てきたは良い物の住む所も無くて、困っていた。ってところかな?」
僕は凡その推論を告げたが一応合っていたようで大きく首を縦に振っていた。ちょっと失礼だけどゆるキャラみたいでなんだか可愛いな。
「一応貯金はあったので、ビジネスホテル拠点にして住まい探ししていたんですけど、なかなか条件に合う家が無くて……。」
「ふむふむ、どんな条件?」
「そうですね。まず警備がしっかりしてて、交通の便が良くて、綺麗なところで、お風呂とかは共同じゃなくて、駐輪場があって、高く無くて_________________。」
その後もかなりの量の条件を呪文のように言い続け、やっと収まった。
「………、流石にその条件の家は無いかなぁ。」
仕事柄、不動産を見ることもよくあるが、そんな条件の家は見た事が無い。田舎でも無いだろうに地価が高い都会となれば0%だろう。一応見た事のある物件を思い出してみるが全くもって思い当たる物は無い。
 天宮さんはというと、住まい探しが上手くいっていないからか、家族との仲違いを気にしてなのか、落ち込んだ表情になっていた。     「やっぱり、無いですよね。ただ、一人で見知らぬ土地に住むのが不安で……。」
そして、少し黙ったあと、天宮さんは決心したように言い出した。
田舎出身には都会暮らしは向いて無かったみたいです。親とのこともありますし、地元に帰って、地元の大学を受けなおそうと思います。ご迷惑おかけしました。」
そう言って、天宮さんは立ち上がって部屋から出ようとする。本当に僕はこれでいいのだろうか。恐らくあれは天宮さんの本心では無い。けど、親という縛りによってこういった決断を余儀なくされている。それを助けなくいいのか?
 それに、このままだと偶々京都であったただの先輩だ。踏ん張れよ。先輩として何か。何か、何か打開策を_________。
「天宮さん、僕の家ならその条件、全て可能だ。」
部屋から出ていこうとする天宮さんの腕を掴んでそう告げる。天宮さんは少し驚いた顔で此方を振り向く。
 やらかした。ほぼ初対面レベルの男が家に来い。頭が馬鹿げている。こりゃ気持ち悪い先輩認定だな。
「え?いいんですか!」
駄目だ。この子警戒心というものがまるでない。発案者の僕もどうにかしているけど。
「まぁ、天宮さんが良いならね。部屋開いてるし。家賃も要らないかな。」
「ありがとうございます!是非そちらに引っ越してもいいですか?」
目を輝かせ、神に祈るかのように僕を見る。まさかそこまでして京都に出たかったとは。恐るべし、天宮さん。
「僕は良いんだけど、僕男だよ?流石に無いとは思うけど、襲って来たらどうするの?」
「大丈夫です!その時は家賃として受け入れます!」
「・・・・・・・」
その笑いながら言う言葉によって僕は虚無に包まれる。この子、思っていた以上に大胆且つ肝が据わっている。
「受け入れちゃダメでしょ!警察呼んで!」
やっと正気に戻った僕は天宮さんにツッコミを入れる。ただ、その反応を待つまでも無く僕は違う者に目が移った
「へー。ふーん。飛鷹彼女いたんだ。大親友の僕に言わないなんて酷いなぁ」
応接室の外で今にも吹き出しそうな顔で笑っているコイツはこの会社の創立メンバーの一人であり、経営学部の皇天弥(スメラギ テンヤ)。特に仲の良い一人なのだが、よく僕に万年彼女がいないことを煽ってくる野郎だ。くっ、このリア充め。
「はっ、御生憎様。中学校の時の後輩だ。彼女じゃなくてすまんかったな。」
嫌味も少し交えながら僕は天弥に説明する。その説明を聞いた途端に期待外れだとでも言うような顔になってこちらを見てくる。ほんとに顔に出やすいなコイツ。
「残念だ。非常に残念だよ。飛鷹。煽り散らかしてあげようと思ったのに。」
「勝手に期待して、勝手に失望してるんじゃねぇよ。しかも煽り散らかすな」
僕と天弥で煽りと嫌味の押収をしているその横では天宮さんが顔を火照らせてフリーズしていた。この子も表情豊かだなぁ。
「わ、わたゃしがひだかしぇんぱいのかのじょ………。」
「天宮さんは僕の彼女じゃないよ~」
天弥の言葉をなぜか真に受けている天宮さんを宥めるように少し中腰になって頭を撫でる。こうやって宥めていると不意に昔のことを思い出した。たしか幼稚園くらいだったろうか。近所のよく虐められている一つ年下の女の子をよく宥めていた。その女の子は僕が小学校に上がるときに何処かに行ってしまったたけど。名前も忘れてしまったけど、元気かなぁ。
「そういう才能はあるんだけどなぁ。まっ、今日は会社休んでその子手伝ってやりな。」
「内容盗み聞きしていたのか。まぁ、良い。大学今日は休む。」
天弥は訳の分からないことを言い残して去っていった。その後何とかフリーズした天宮さんを斜め四十五度から叩いて直し、一旦天宮さんを連れてバスに乗って家まで帰った。
「え、このマンションですか?」
怖気づいている天宮さんの前には客観的に見れば高級住宅街であろうマンションがそびえ立っていた。高さこそ規制もあり高くはないが、そのデザイン、三階までにある商業施設の内容を見れば確かに高級住宅街と言えるのかもれない。
「会社の顧客さんがここのオーナーでね。安くで紹介してもらえたんだ。」
そう、僕は決してお金持ちでは無い。(普通の大学生に比べたらお金持ちだけど)顧客さんが偶々此処のオーナーだっただけ。うちの会社をかなり気に入ってもらえたようで、一般的な賃貸とほぼ同じくらいの値段で貸してもらっている。まだまだお金が厳しい大学生にとっては最高ともいえるだろう。
「中も凄いですね。どのお店もハイブランド系。気軽にお買い物できないです。毎日お買い物できると思ったのにぃ。」
「あはは、ここらはブランド系列を集めている所だから。普通のお店もあるから気軽に行けるよ。」
ほっぺたを膨らませる天宮さんも可愛いななどと思いながら、商業施設を見て残念がる天宮さんを宥める。
今思えば、数時間前までは中学生の瞬間の想い人とこんな風に此処を歩くなんて思っていなかった。もう忘れたい思い出だったから、顔の特徴こそ覚えていたけど、細かなところまでは覚えていなかった。それに、中学のときは好きだったけど、もう今は何か違う物に変形してしまっているような気がする。「普通」の対応ができたのもそのせいだろう。
 「こっちだよ。天宮さん。」
服屋を見つけて引き寄せられるように歩いていく天宮さんを制止して、マンションの入り口に向かう。数個ほど入り口はあるがそのうちの一つと此処だ。商業施設を訪れただけの人からすれば不思議な場所でしかないだろうが。
「おっ、如月さん。女の子連れ込んでどうするつもりじゃね?」
 ダンディな感じの白髪のポロシャツをきた此方の男性は住人の柊岳弥(ヒイラギ タケヤ)さん。隠居しているが、企業の社長さんだった人だ。
 「連れ込んではいないですよ。万年彼女いないのにそんなに簡単に女の子連れ込めないですよ」
 「はっはっはっ、確かにそうじゃな。」
そういって柊さんは去っていく。あるいみ否定欲しかったくらいだが、誤解されるよりはマシだ。そう思っておく。
「ひゃあ、外観も凄かったですけど、内装も凄いですね。こんなにいい部屋に住ませてもらっていいんですか?」
「大丈夫、大丈夫。丁度一部屋空いてるんだ。そこ自由に使ってもらって構わないよ。」
そういって僕は自室とは丁度反対向きにある窓辺の部屋を指す。客が来た時に使ってもらっている部屋だが、ほぼ客など来ることもなく、完全に持て余していた。使わないと勿体ないうえにホコリが溜まるばかりなので僕からしても丁度良かった。
こうして僕と元後輩の不思議な日常は始まったのだった

しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

包んで、重ねて ~歳の差夫婦の極甘新婚生活~

吉沢 月見
恋愛
ひたすら妻を溺愛する夫は50歳の仕事人間の服飾デザイナー、新妻は23歳元モデル。 結婚をして、毎日一緒にいるから、君を愛して君に愛されることが本当に嬉しい。 何もできない妻に料理を教え、君からは愛を教わる。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

本日、訳あり軍人の彼と結婚します~ド貧乏な軍人伯爵さまと結婚したら、何故か甘く愛されています~

扇 レンナ
キャラ文芸
政略結婚でド貧乏な伯爵家、桐ケ谷《きりがや》家の当主である律哉《りつや》の元に嫁ぐことになった真白《ましろ》は大きな事業を展開している商家の四女。片方はお金を得るため。もう片方は華族という地位を得るため。ありきたりな政略結婚。だから、真白は律哉の邪魔にならない程度に存在していようと思った。どうせ愛されないのだから――と思っていたのに。どうしてか、律哉が真白を見る目には、徐々に甘さがこもっていく。 (雇う余裕はないので)使用人はゼロ。(時間がないので)邸宅は埃まみれ。 そんな場所で始まる新婚生活。苦労人の伯爵さま(軍人)と不遇な娘の政略結婚から始まるとろける和風ラブ。 ▼掲載先→エブリスタ、アルファポリス ※エブリスタさんにて先行公開しております。ある程度ストックはあります。

百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話

釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。 文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。 そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。 工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。 むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。 “特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。 工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。 兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。 工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。 スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。 二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。 零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。 かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。 ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。

社畜だったボクは豊穣の女神とゆったり農業生活をすることにした

中七七三
キャラ文芸
社畜だったボクは、今日も深夜バスで帰宅。 泊まりじゃないだけラッキーという会社に勤務している。 で、夜中に「祠」を見つけ、お祈りすると、女神様のいる神域に呼ばれた。 そして、農業生活をすることになった。 ちなみに、自宅から通うのだ。 ボクと女神様の農業スローライフの開始。

教え子に手を出した塾講師の話

神谷 愛
恋愛
バイトしている塾に通い始めた女生徒の担任になった私は授業をし、その中で一線を越えてしまう話

処理中です...