父を助けに18年

クルミ

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第37話

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「でも、どうしてその場所に行けば何か分かるかも知れないの?10年くらい前の事件なんだよね?」

私は聞いた。

総治さんが頭が良いとはいえ、10年経った今になって現場に行って私達に分かることなんてあるのだろうか?

「あの事件は僕もテレビで見たけど、警察と地元の消防団が100人体制で捜索もしたし、さんざん捜査もしたけど、何の手掛かりも見つからなかったんだよね?
それを高校生の僕達が今になって現場に行った所で何か分かるとは思えないんだけど…。」

パパは真剣な顔で言った。

私もそう思う。

あれ?でも、考えてみれば私も現代からはある意味で突然、消えたことになるんだよね…?
私がこの時代に居る間も、現代では時間が経っているはずだから、仮に現代で警察がどれだけ私を捜しても見つかるはずはないからね…。

「もし、その男の子がタイムスリップしたと仮定すると、その場所の何かか男の子自身か、もしかしたら両方に何かの力が働いてタイムスリップした可能性があるんだ。
警察がいくら捜査したと言ってもタイムスリップした可能性なんて、まず考えないし検証もしないだろう?」

総治さんが言った。

「確かに今のところタイムスリップ自体が科学的に認められてはいないから、警察もその線では捜査はしないだろうね…。
でも、仮にその場所にある何かの力で男の子がタイムスリップしたのだとしても、その場所に行って分かるものなの?」

パパは言った。

「それは、どちらにしてもその場所まで行ってみないと分からないよ。
行ってみたら分かるかも知れない、としか今は言いようがないよ。」

総治さんは言った。

「男の子が居なくなった山は確か月下山(げっかざん)だったはずだけど、月下山のどの辺りで居なくなったのか、詳しい場所とかは分かっているの?」

パパは言った。

月下山は現代でも私は1度も言ったことが無いな。

「詳しい場所は僕も知らないから、行くにしても事件のことについてはよく調べてからにした方が良さそうだね。
同じ県内とはいえ、ここからはけっこう距離もあるし、場所も郊外で公共交通機関で行くのも難しい場所だから、行く方法も含めてきちんと計画を立てた方が良いね。」

総治さんが言った。

「車なら軽で良かったら俺が出すよ。4人までなら乗れるぞ。」

将也さんが言った。

「ありがとう!助かるよ!
この中で車の免許を持っているのは将也君だけだからね。」

総治さんが言った。

「そんなに高い山ではないはずだけど、一応は山だから登山もするわけだし、そのための準備も必要だね。」

パパが言った。

「家族連れで子供も一緒にハイキングに行くくらいの山だから、登山と言えば大げさかも知れないけど、一応は山だから油断はできないし準備はしておいた方が良いね。」

総治さんが言った。

「じゃあ、僕はそろそろ仕事に戻るよ。
この話は明日にでも改めてしよう。」

パパは言った。

「分かった。
明日もここに来るから改めて話そう。
それまでに出来るだけ調べておくよ。」

総治さんが言った。

「うん!分かった!」

そう言うとパパは自分の食べたラーメンの食器をお盆にのせて
テーブルを拭いてから、調理場へ戻って行った。
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