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【歪み】とは
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時間は朝の四時。
まだまだ街も人もまどろみの中だ。
窓の外では冷たい風が吹いている。
彼、藤原源平のアパートにはまともな暖房設備も無く、寒さをしのぐ方法と言えば布団にくるまる他にはなかった。
布団も良い具合に温かくなり、彼もまたまどろみの中にいた。
一度眠ってしまえば、薄い壁を挟んで左隣に住んでいるカップルのお盛んな声も、右隣に住んでいる社畜のかけた目覚まし時計の音も関係はなかった。
しかし、自分のスマホが鳴っているとなれば話しは別だ。
繰り返すが時間は朝の四時。
電話の主はよく面倒な依頼をしてくるクライアントで、こんな時間に掛かってくる電話なんてロクでもない内容に決まっている。
しかし、ボロアパートに住んでいる彼には二束三文であっても金になる電話を無視出来なかった。
「...もしもし...藤原警備です...」
『ようやく出たか...東地区の三丁目で放火事件が起きている。鎮火と犯人の確保を頼みたい』
「いつから119当番で俺のケータイに繋がるようになったんだ?」
『消防に頼んで済むならそうしている。【歪み】による犯行だ』
「だろうなぁ...東地区の四丁目だったか?家から20キロはある。行くのに20分は掛かるぞ?」
『三丁目だ。5分で来い』
「はいはい...深夜手当と急行手当ても申請するからな」
『申請するだけならタダだ。通るとは思えんが。せいぜい面倒な書類を作るのに時間が無駄になるくらいか』
「はぁ...足元見やがって...俺が断ったらどうすんだ?」
『別に断っても構わんぞ?別の会社に頼むだけだ。二度とお宅には電話を掛けんが構わんな?』
「ッチ...依頼は受けるよ」
『3分で来い。無駄話をしていて時間が無くなった』
「無茶言うなよ」
『私は不可能な依頼や命令はしない。来れるだろう?』
「...まあな。んじゃ、犯人を引き渡す時の人員の手配だけはしといてくれ。あと金はいつもの口座な」
『ああ。報告の電話も必要ない。こんな時間に叩き起こされたものでな。もう一眠りする。邪魔をするな』
「てめぇ...はぁ...了解」
彼は電話を切った。
電話をしながらも彼は着替えを続けていた。
適当なパーカーを羽織ってデニムパンツを履いただけのラフな格好だった。
火災の現場に行く格好としてはふさわしくないし、そもそも季節は冬。
季節感の無視も良いところだ。
そんな格好で玄関の戸を開ると冷たい風が玄関から部屋の中へと吹き抜けた。
本格的に行くのが嫌になったが引き受けた後だし、金も欲しい。
いよいよ覚悟を決めて部屋を出て鍵をかけた。
三階建てのアパートで彼が住んでいるのは二階。
彼は一階には向かわず、むしろ逆に、屋上に登ることにした。
階段を使わずに。
彼の周囲の空間が一瞬、波打つように歪んだ。
すると彼はフワリと、まさに宙を舞い、空を飛ぶようにして屋根の上に降り立った。
「おお、風強ぇ...寒...」
再び空間が歪む。
「はぁーあったけー...【歪み】の無駄使いだな...さてさて現場はあっちの方だったと思うけど...ってうわぁ、真っ赤じゃん。煙すげぇ...」
アパートの周りには他の建物もあり見晴らしが良いとは言えない場所だったが、現場の方角に炎の赤色と煙が確認できた。
「分かりやすくて助かる。さーて仕事仕事。仕事場までぇ、じゃーんぷ」
適当に彼は独り言をこぼした。
そんな適当な言葉ではあったが、それは現実になる。
空間が歪むと同時、彼は20キロの距離を一回のジャンプで跳んで行った。
音もなく、時間にして3秒程度の出来事だった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
場所は変わって東地区3丁目。
普段は閑静な住宅街だが、突如起こった火事により住民は混乱の最中だった。
消防車やパトカーのけたたましいサイレンの音とモノの燃え崩れる音、そして一人の男の狂声のみが響き渡っている。
「燃えろ!燃えろ!ふっはははは...ひはははははははは!」
放火魔の周辺の空間が歪むと同時に、凄まじい熱量の炎が吹き荒れる。
赤熱したアスファルトやアイスクリームの様に溶けていく鉄骨が炎の熱量を物語っていた。
消防もあまりの熱に近付くことはできず、放水も焼石に水だ。
「このまま全てを燃やし尽くそう!国も人も世界も!目に見える全てのモノを!」
全てを燃やし尽くす。
それを実現させるだけの熱が放火魔にはあった。
放っておけば世界の全ては灰になってしまうだろう。
しかしそうはならない。
彼が来たからだ。
「はい、とうちゃーく。こんばんはお兄さん。火遊びが過ぎるんじゃない?」
突如空から降りてきた藤原を目にして、放火魔はひどく動揺した。
「!!?な、なんだお前は!?俺の炎が熱くないのか!?」
鉄骨を溶かす灼熱のど真ん中に藤原は降り立った。
にも関わらず火傷はおろか、服も全く燃えていないのだ。
藤原の周辺の空間が激しく歪んでいる。
「お前、お前も【歪み】なのか?」
「せいかーい。つか当たり前だろ。俺じゃなかったら死んでるぞ?ってか近付けもしねぇよ。いやぁ、お兄さん中々【歪ん】でるねぇ」
「てめぇ...邪魔をするのか?俺の復讐を!何にも知らねぇくせによぉ...すっこんでろ!」
放火魔は今までの炎とは違う、赤色ではなく白色の、目が眩む程の炎を放った。
炎というよりはむしろレーザー。
レーザーは藤原へと一直線に進んでいく。
しかし...
「はいはい、無駄無駄」
藤原は相変わらずの無傷だった。
「何故だ...何故燃えない!?お前、どんな【歪み】方をしている!?」
「さてさて、俺がどんな【歪み】なのかは置いといて...お兄さん?まだ続ける?」
「あ、当たり前だ!こんなところで終わらない!燃えろ!燃えろぉおお!」
炎が藤原を包み込む。
「だから、無駄なんだって。しょうがないなぁ...歯食いしばれ。舌噛むぞ?」
藤原の周辺の空間が歪む。
それが放火魔が最後に見た景色だった。
さっきまで炎に照らされ、熱を帯びたアスファルトや鉄骨の赤熱で明るかった街が暗闇に包まれた。
光と、そして熱も消えてしまい、放火魔は状況に着いていけず、口をパクパクとするしかなかった。
そして...
ずっぱぁぁぁあああんんん!!!
強い衝撃を放火魔は受け、軽く20m吹き飛び、気を失った。
ついでに舌も噛みちぎってしまった様だった。
吹き飛ばした張本人の藤原は、気を失った放火魔に近付き、その顔を持っていたジッポーライターで照らした。
「だから歯を食いしばれって言ったのに...痛そー。死んでないよね?これ?ってか中々に強烈な【歪み】だったなぁ。炎系統の【歪み】の中だったらトップクラスだったし、【政府】の審査にも勉強さえすれば通ったんじゃないのか?勿体ない」
彼は適当に呟いた。
独り言が多いのは彼の悪い癖ようだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
人は誰しも大なり小なり心に傷を持っている。
失敗をしたり、ペットが死んでしまったり、裏切られたり...
その形は様々で、感じ方も様々だ。
例えば「親が死んでしまった」と言っても、簡単に立ち直れる者もいれば一生立ち直れない者もいる。
それでも色々な方法でそれをどうにかして人は生きていく。
蓋をして見ないようにしたり、向き合って乗り越えたり。
それが出来ないとき、出来なかっとき、人は死んでしまう。
首を括って、手首を切り裂いて...
しかし、それすら出来なかった者がこの世界にはいた。
【歪み】
彼らはそう呼ばれる。
痛みを乗り越え生きていくことも出来ず、しかし目を反らすことも出来ず、向き合うことも出来ず、痛みから逃れて死ぬことも出来なかった。
では彼らは心の傷をどうしたのか?
彼らは心の傷を世界に押し付けた。
悲しみや憎しみ、絶望や失意。
そういう自分でどうにかしなくてはならない感情を自分の心から切り離して、世界に押し付けたのだ。
しかし世界というモノは完成している。
物体は上から下に落ちるし、無から有は生じないし、光速を越えることは出来ない。
全てが科学的に解明された訳ではないが、この世界は物理法則というルールに基づいて完成している。
満たされている、と言ってもいい。
そんな満たされた世界に、感情を無理やり押し付ける。
世界は感情を押し付けられた分だけ【歪ん】でしまう。
結果、あり得ない現象が起こる。
物体が下から上に落ちることがあるし、無から有が生じるし、光速を越えることがある。
何も無いところから超高熱の炎が放たれることもある。
【歪み】とは、心の傷を世界に押し付け物理法則を歪ませ、歪ませるコツを掴んだ者のことだ。
それゆえ、【歪ま】せた結果起きる現象は【歪み】方によってそれぞれだ。
炎を操る者もいれば、雷を操る者もいる。
さて、藤原源平はどのような【歪み】方をしているのだろうか?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
藤原は放火魔を退治した後、その身柄を警察に引き渡す必要があった。
来たのは顔馴染みのベテランと最近警官になったらしい若い女だった。
「これ、犯人ね」
「協力に感謝します!」
「元気いいねぇ...おねーさん。こんな朝っぱらから。てか感謝するならさぁ、なるべく早くお金振り込んでよ?あんたら公務員からの依頼はお金入るのいっつも遅いんだよね」
「現場に来るだけの俺達にそんな事を言われてもなぁ...部署が違う」
「お役所仕事め...」
「それより先輩。容疑者の身元分かったんですか?」
「......赤城達雄、42歳、無職、というよりも無職になった。経営していた工場が原因不明の火事で全焼し、職を無くした代わりに借金が出来た。家族にも逃げられたようだ」
「あーそれで【歪ん】だか」
「だろうな。問題は【獣】がまだ確認されていない事だ」
「はぁ?マジで?これで仕事終わりじゃないのかよ...」
「...?先輩、ケモノってなんですか?」
「おい、警官ならそれぐらい知っておけ。ってか試験で出ただろ。どうやって警官になったんだお前は...」
「おねーさん...そりゃないぜ...」
「そ、そんな事言わないでくださいよぅ...私だって試験通ったの奇跡だって自覚あるんですからぁ」
「「自覚あるのかよ」」
「ふぇぇ...」
「俺はこれから容疑者を移送しなくてはいかん。北条、藤原に着いていけ。藤原にはこれからもう一仕事してもらう」
「ちょっと待て、【獣】と戦うんだぞ?こんなの任されても迷惑なんだが?」
「め、めいわく...ひどい...」
「まあそう言ってくれるな。俺も退職が近い。代わりに北条と顔を合わせる機会も増えるはずだ。親睦を深めておけ」
「は?マジで?おやっさん退職すんの?」
「もう俺も年だしな...っと、時間だな。それじゃ北条を頼んだぞ」
ベテランの警官は気を失った放火魔をパトカーに詰め込むと行ってしまった。
「あの、それで藤原さん。ケモノってなんですか?」
「俺はあんたの先輩でも先生でもないんだが...」
「いいじゃないですか。教えてくださいよぅ」
「はぁ...移動しながら話すぞ。あんた【歪み】がどうやって世界を【歪ま】せるかは知ってるよな?」
「言葉の上では。感情を世界に押し付けて【歪ま】せるって教わってます」
「その通り。俺達は感情を世界に押し付ける。じゃあ押し付けた感情はどうなると思う?」
「どうなる、ですか?ええ?んー...」
「まあ分からんよな。順を追って説明するけどな、まず大前提として、世界がそのまま感情を受け入れてくれるなんてことはあり得ない」
「というと?」
「押し付けられた感情なんて、世界からしたら異物も良いところだ。だから後々になったら世界から吐き出されるんだよ」
「吐き出される...」
「吐き出された感情はどうなると思う?持ち主から切り離されて、世界に押し付けられて、世界からすら拒絶された感情は?」
「分かりません」
「ちょっとは考えろよ...切り離された感情は元の持ち主のところに帰ろうとするんだよ」
「でも、【歪み】の方々って感情を切り離したんですよね?結局戻って来てしまうんですか?」
「戻って来るんだけど、それを拒否するんだよ。【歪む】ような奴はな、その感情が嫌で嫌で仕方がないんだ。世界を【歪め】てしまう程に」
「それじゃあ結局感情はどうなるんですか?」
「人から拒絶され、世界から拒絶された感情は【獣】と呼ばれるエネルギーとして現れる」
「ここでケモノが出てくるんですか」
「【獣】は感情の成れの果てのエネルギー、その塊だ。【獣】とは言うけど意思をもった生き物ではない。動物とかの形を取ることが多いけど」
「その【獣】って暴れるんですか?」
「大暴れする。さっきから感情って言ってるけど、もっと言えば負の感情だからな。世の中だったり人だったりに向けられる怨みや絶望って感情がエネルギーになったモノだ。【獣】はその怨みや絶望の示すままに大暴れする」
「つまり、誰かへの怨みの感情が【獣】になったら、誰かへの怨みを果たそうとするってことですか?」
「そういう事だ。例えばAさんがBさんにイジメられて【歪ん】だ場合、そのAさんの感情から産まれた【獣】はBさんをぶち殺そうとする」
「そ、そんな...じゃあ、その、怨みが晴れたらどうなるんですか?」
「そこまで来てようやく感情は消えてなくなる」
「先輩が言ってたもう一仕事ってもしかして...」
「さっきの放火魔、赤城って言ったか?【獣】が確認できてないなら、あいつが【歪ん】だのはさっきの事件の数分前だろうな。そろそろあいつの【獣】が出るぞ。どういう出方をするか分からん。火事で借金があるって言ってたよな。赤城は何を怨んでいる?借金先の金融か?それとも救ってくれない社会に対して?自分を捨てた家族?それとも自分自身?」
「ちょっと待ってください!暴れるんですよね?そもそも【獣】がどこから現れるか分かってるんですか?なんだか適当に移動してさっきの現場からどんどん離れてますけど...」
「いや、それは大丈夫。別に適当に移動してる訳じゃない。なんとなく分かるんだよ。俺も【歪み】だからな」
「【獣】が出たらどうするんですか?」
「戦って倒す。【獣】ってのは感情の成れの果てでエネルギーの塊って言ったろ?。エネルギーを使い果たさせてやればいい」
「そんなことできるんですか?」
「できる。赤城の【獣】だから燃やそうとしてくるだろうけど、そういうタイプの【獣】ならなんとかなる」
「......藤原さんも【歪み】なんですよね?藤原さんの【獣】も誰かに倒してもらったんですか?」
「......ノーコメント、かな。さて、ここら辺だな」
藤原と北条が着いたのは廃墟だった。
火事があったようで、どこを見ても真っ黒だ。
「ここってもしかして...」
「ああ...おそらくは赤城の工場だろうな...」
北条は現場に着いてから冷や汗が止まらなかった。
いつどこから、炎が吹き出てくるか分からないからだ。
自然と藤原の背中に隠れるように、無意識にしがみついてしまっていた。
(おお、中々の巨乳だ...)
「藤原さん、いつ出てくるかも分かるんですか?」
「.........」
「藤原さん?」
「お、おお悪い。なんだ?」
「だから、【獣】がいつ出てくるか分かるんですかって」
「ああ、【獣】な。出てくるのは...
どっかああああああああああああん!!!!!
「ほら今出てきた。って聞いてないか」
北条は気絶していた。
続く
まだまだ街も人もまどろみの中だ。
窓の外では冷たい風が吹いている。
彼、藤原源平のアパートにはまともな暖房設備も無く、寒さをしのぐ方法と言えば布団にくるまる他にはなかった。
布団も良い具合に温かくなり、彼もまたまどろみの中にいた。
一度眠ってしまえば、薄い壁を挟んで左隣に住んでいるカップルのお盛んな声も、右隣に住んでいる社畜のかけた目覚まし時計の音も関係はなかった。
しかし、自分のスマホが鳴っているとなれば話しは別だ。
繰り返すが時間は朝の四時。
電話の主はよく面倒な依頼をしてくるクライアントで、こんな時間に掛かってくる電話なんてロクでもない内容に決まっている。
しかし、ボロアパートに住んでいる彼には二束三文であっても金になる電話を無視出来なかった。
「...もしもし...藤原警備です...」
『ようやく出たか...東地区の三丁目で放火事件が起きている。鎮火と犯人の確保を頼みたい』
「いつから119当番で俺のケータイに繋がるようになったんだ?」
『消防に頼んで済むならそうしている。【歪み】による犯行だ』
「だろうなぁ...東地区の四丁目だったか?家から20キロはある。行くのに20分は掛かるぞ?」
『三丁目だ。5分で来い』
「はいはい...深夜手当と急行手当ても申請するからな」
『申請するだけならタダだ。通るとは思えんが。せいぜい面倒な書類を作るのに時間が無駄になるくらいか』
「はぁ...足元見やがって...俺が断ったらどうすんだ?」
『別に断っても構わんぞ?別の会社に頼むだけだ。二度とお宅には電話を掛けんが構わんな?』
「ッチ...依頼は受けるよ」
『3分で来い。無駄話をしていて時間が無くなった』
「無茶言うなよ」
『私は不可能な依頼や命令はしない。来れるだろう?』
「...まあな。んじゃ、犯人を引き渡す時の人員の手配だけはしといてくれ。あと金はいつもの口座な」
『ああ。報告の電話も必要ない。こんな時間に叩き起こされたものでな。もう一眠りする。邪魔をするな』
「てめぇ...はぁ...了解」
彼は電話を切った。
電話をしながらも彼は着替えを続けていた。
適当なパーカーを羽織ってデニムパンツを履いただけのラフな格好だった。
火災の現場に行く格好としてはふさわしくないし、そもそも季節は冬。
季節感の無視も良いところだ。
そんな格好で玄関の戸を開ると冷たい風が玄関から部屋の中へと吹き抜けた。
本格的に行くのが嫌になったが引き受けた後だし、金も欲しい。
いよいよ覚悟を決めて部屋を出て鍵をかけた。
三階建てのアパートで彼が住んでいるのは二階。
彼は一階には向かわず、むしろ逆に、屋上に登ることにした。
階段を使わずに。
彼の周囲の空間が一瞬、波打つように歪んだ。
すると彼はフワリと、まさに宙を舞い、空を飛ぶようにして屋根の上に降り立った。
「おお、風強ぇ...寒...」
再び空間が歪む。
「はぁーあったけー...【歪み】の無駄使いだな...さてさて現場はあっちの方だったと思うけど...ってうわぁ、真っ赤じゃん。煙すげぇ...」
アパートの周りには他の建物もあり見晴らしが良いとは言えない場所だったが、現場の方角に炎の赤色と煙が確認できた。
「分かりやすくて助かる。さーて仕事仕事。仕事場までぇ、じゃーんぷ」
適当に彼は独り言をこぼした。
そんな適当な言葉ではあったが、それは現実になる。
空間が歪むと同時、彼は20キロの距離を一回のジャンプで跳んで行った。
音もなく、時間にして3秒程度の出来事だった。
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場所は変わって東地区3丁目。
普段は閑静な住宅街だが、突如起こった火事により住民は混乱の最中だった。
消防車やパトカーのけたたましいサイレンの音とモノの燃え崩れる音、そして一人の男の狂声のみが響き渡っている。
「燃えろ!燃えろ!ふっはははは...ひはははははははは!」
放火魔の周辺の空間が歪むと同時に、凄まじい熱量の炎が吹き荒れる。
赤熱したアスファルトやアイスクリームの様に溶けていく鉄骨が炎の熱量を物語っていた。
消防もあまりの熱に近付くことはできず、放水も焼石に水だ。
「このまま全てを燃やし尽くそう!国も人も世界も!目に見える全てのモノを!」
全てを燃やし尽くす。
それを実現させるだけの熱が放火魔にはあった。
放っておけば世界の全ては灰になってしまうだろう。
しかしそうはならない。
彼が来たからだ。
「はい、とうちゃーく。こんばんはお兄さん。火遊びが過ぎるんじゃない?」
突如空から降りてきた藤原を目にして、放火魔はひどく動揺した。
「!!?な、なんだお前は!?俺の炎が熱くないのか!?」
鉄骨を溶かす灼熱のど真ん中に藤原は降り立った。
にも関わらず火傷はおろか、服も全く燃えていないのだ。
藤原の周辺の空間が激しく歪んでいる。
「お前、お前も【歪み】なのか?」
「せいかーい。つか当たり前だろ。俺じゃなかったら死んでるぞ?ってか近付けもしねぇよ。いやぁ、お兄さん中々【歪ん】でるねぇ」
「てめぇ...邪魔をするのか?俺の復讐を!何にも知らねぇくせによぉ...すっこんでろ!」
放火魔は今までの炎とは違う、赤色ではなく白色の、目が眩む程の炎を放った。
炎というよりはむしろレーザー。
レーザーは藤原へと一直線に進んでいく。
しかし...
「はいはい、無駄無駄」
藤原は相変わらずの無傷だった。
「何故だ...何故燃えない!?お前、どんな【歪み】方をしている!?」
「さてさて、俺がどんな【歪み】なのかは置いといて...お兄さん?まだ続ける?」
「あ、当たり前だ!こんなところで終わらない!燃えろ!燃えろぉおお!」
炎が藤原を包み込む。
「だから、無駄なんだって。しょうがないなぁ...歯食いしばれ。舌噛むぞ?」
藤原の周辺の空間が歪む。
それが放火魔が最後に見た景色だった。
さっきまで炎に照らされ、熱を帯びたアスファルトや鉄骨の赤熱で明るかった街が暗闇に包まれた。
光と、そして熱も消えてしまい、放火魔は状況に着いていけず、口をパクパクとするしかなかった。
そして...
ずっぱぁぁぁあああんんん!!!
強い衝撃を放火魔は受け、軽く20m吹き飛び、気を失った。
ついでに舌も噛みちぎってしまった様だった。
吹き飛ばした張本人の藤原は、気を失った放火魔に近付き、その顔を持っていたジッポーライターで照らした。
「だから歯を食いしばれって言ったのに...痛そー。死んでないよね?これ?ってか中々に強烈な【歪み】だったなぁ。炎系統の【歪み】の中だったらトップクラスだったし、【政府】の審査にも勉強さえすれば通ったんじゃないのか?勿体ない」
彼は適当に呟いた。
独り言が多いのは彼の悪い癖ようだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
人は誰しも大なり小なり心に傷を持っている。
失敗をしたり、ペットが死んでしまったり、裏切られたり...
その形は様々で、感じ方も様々だ。
例えば「親が死んでしまった」と言っても、簡単に立ち直れる者もいれば一生立ち直れない者もいる。
それでも色々な方法でそれをどうにかして人は生きていく。
蓋をして見ないようにしたり、向き合って乗り越えたり。
それが出来ないとき、出来なかっとき、人は死んでしまう。
首を括って、手首を切り裂いて...
しかし、それすら出来なかった者がこの世界にはいた。
【歪み】
彼らはそう呼ばれる。
痛みを乗り越え生きていくことも出来ず、しかし目を反らすことも出来ず、向き合うことも出来ず、痛みから逃れて死ぬことも出来なかった。
では彼らは心の傷をどうしたのか?
彼らは心の傷を世界に押し付けた。
悲しみや憎しみ、絶望や失意。
そういう自分でどうにかしなくてはならない感情を自分の心から切り離して、世界に押し付けたのだ。
しかし世界というモノは完成している。
物体は上から下に落ちるし、無から有は生じないし、光速を越えることは出来ない。
全てが科学的に解明された訳ではないが、この世界は物理法則というルールに基づいて完成している。
満たされている、と言ってもいい。
そんな満たされた世界に、感情を無理やり押し付ける。
世界は感情を押し付けられた分だけ【歪ん】でしまう。
結果、あり得ない現象が起こる。
物体が下から上に落ちることがあるし、無から有が生じるし、光速を越えることがある。
何も無いところから超高熱の炎が放たれることもある。
【歪み】とは、心の傷を世界に押し付け物理法則を歪ませ、歪ませるコツを掴んだ者のことだ。
それゆえ、【歪ま】せた結果起きる現象は【歪み】方によってそれぞれだ。
炎を操る者もいれば、雷を操る者もいる。
さて、藤原源平はどのような【歪み】方をしているのだろうか?
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藤原は放火魔を退治した後、その身柄を警察に引き渡す必要があった。
来たのは顔馴染みのベテランと最近警官になったらしい若い女だった。
「これ、犯人ね」
「協力に感謝します!」
「元気いいねぇ...おねーさん。こんな朝っぱらから。てか感謝するならさぁ、なるべく早くお金振り込んでよ?あんたら公務員からの依頼はお金入るのいっつも遅いんだよね」
「現場に来るだけの俺達にそんな事を言われてもなぁ...部署が違う」
「お役所仕事め...」
「それより先輩。容疑者の身元分かったんですか?」
「......赤城達雄、42歳、無職、というよりも無職になった。経営していた工場が原因不明の火事で全焼し、職を無くした代わりに借金が出来た。家族にも逃げられたようだ」
「あーそれで【歪ん】だか」
「だろうな。問題は【獣】がまだ確認されていない事だ」
「はぁ?マジで?これで仕事終わりじゃないのかよ...」
「...?先輩、ケモノってなんですか?」
「おい、警官ならそれぐらい知っておけ。ってか試験で出ただろ。どうやって警官になったんだお前は...」
「おねーさん...そりゃないぜ...」
「そ、そんな事言わないでくださいよぅ...私だって試験通ったの奇跡だって自覚あるんですからぁ」
「「自覚あるのかよ」」
「ふぇぇ...」
「俺はこれから容疑者を移送しなくてはいかん。北条、藤原に着いていけ。藤原にはこれからもう一仕事してもらう」
「ちょっと待て、【獣】と戦うんだぞ?こんなの任されても迷惑なんだが?」
「め、めいわく...ひどい...」
「まあそう言ってくれるな。俺も退職が近い。代わりに北条と顔を合わせる機会も増えるはずだ。親睦を深めておけ」
「は?マジで?おやっさん退職すんの?」
「もう俺も年だしな...っと、時間だな。それじゃ北条を頼んだぞ」
ベテランの警官は気を失った放火魔をパトカーに詰め込むと行ってしまった。
「あの、それで藤原さん。ケモノってなんですか?」
「俺はあんたの先輩でも先生でもないんだが...」
「いいじゃないですか。教えてくださいよぅ」
「はぁ...移動しながら話すぞ。あんた【歪み】がどうやって世界を【歪ま】せるかは知ってるよな?」
「言葉の上では。感情を世界に押し付けて【歪ま】せるって教わってます」
「その通り。俺達は感情を世界に押し付ける。じゃあ押し付けた感情はどうなると思う?」
「どうなる、ですか?ええ?んー...」
「まあ分からんよな。順を追って説明するけどな、まず大前提として、世界がそのまま感情を受け入れてくれるなんてことはあり得ない」
「というと?」
「押し付けられた感情なんて、世界からしたら異物も良いところだ。だから後々になったら世界から吐き出されるんだよ」
「吐き出される...」
「吐き出された感情はどうなると思う?持ち主から切り離されて、世界に押し付けられて、世界からすら拒絶された感情は?」
「分かりません」
「ちょっとは考えろよ...切り離された感情は元の持ち主のところに帰ろうとするんだよ」
「でも、【歪み】の方々って感情を切り離したんですよね?結局戻って来てしまうんですか?」
「戻って来るんだけど、それを拒否するんだよ。【歪む】ような奴はな、その感情が嫌で嫌で仕方がないんだ。世界を【歪め】てしまう程に」
「それじゃあ結局感情はどうなるんですか?」
「人から拒絶され、世界から拒絶された感情は【獣】と呼ばれるエネルギーとして現れる」
「ここでケモノが出てくるんですか」
「【獣】は感情の成れの果てのエネルギー、その塊だ。【獣】とは言うけど意思をもった生き物ではない。動物とかの形を取ることが多いけど」
「その【獣】って暴れるんですか?」
「大暴れする。さっきから感情って言ってるけど、もっと言えば負の感情だからな。世の中だったり人だったりに向けられる怨みや絶望って感情がエネルギーになったモノだ。【獣】はその怨みや絶望の示すままに大暴れする」
「つまり、誰かへの怨みの感情が【獣】になったら、誰かへの怨みを果たそうとするってことですか?」
「そういう事だ。例えばAさんがBさんにイジメられて【歪ん】だ場合、そのAさんの感情から産まれた【獣】はBさんをぶち殺そうとする」
「そ、そんな...じゃあ、その、怨みが晴れたらどうなるんですか?」
「そこまで来てようやく感情は消えてなくなる」
「先輩が言ってたもう一仕事ってもしかして...」
「さっきの放火魔、赤城って言ったか?【獣】が確認できてないなら、あいつが【歪ん】だのはさっきの事件の数分前だろうな。そろそろあいつの【獣】が出るぞ。どういう出方をするか分からん。火事で借金があるって言ってたよな。赤城は何を怨んでいる?借金先の金融か?それとも救ってくれない社会に対して?自分を捨てた家族?それとも自分自身?」
「ちょっと待ってください!暴れるんですよね?そもそも【獣】がどこから現れるか分かってるんですか?なんだか適当に移動してさっきの現場からどんどん離れてますけど...」
「いや、それは大丈夫。別に適当に移動してる訳じゃない。なんとなく分かるんだよ。俺も【歪み】だからな」
「【獣】が出たらどうするんですか?」
「戦って倒す。【獣】ってのは感情の成れの果てでエネルギーの塊って言ったろ?。エネルギーを使い果たさせてやればいい」
「そんなことできるんですか?」
「できる。赤城の【獣】だから燃やそうとしてくるだろうけど、そういうタイプの【獣】ならなんとかなる」
「......藤原さんも【歪み】なんですよね?藤原さんの【獣】も誰かに倒してもらったんですか?」
「......ノーコメント、かな。さて、ここら辺だな」
藤原と北条が着いたのは廃墟だった。
火事があったようで、どこを見ても真っ黒だ。
「ここってもしかして...」
「ああ...おそらくは赤城の工場だろうな...」
北条は現場に着いてから冷や汗が止まらなかった。
いつどこから、炎が吹き出てくるか分からないからだ。
自然と藤原の背中に隠れるように、無意識にしがみついてしまっていた。
(おお、中々の巨乳だ...)
「藤原さん、いつ出てくるかも分かるんですか?」
「.........」
「藤原さん?」
「お、おお悪い。なんだ?」
「だから、【獣】がいつ出てくるか分かるんですかって」
「ああ、【獣】な。出てくるのは...
どっかああああああああああああん!!!!!
「ほら今出てきた。って聞いてないか」
北条は気絶していた。
続く
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