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第8章 美奈子と拓也
第40話 専用装備
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現実世界の私達にそっくりと言っても、精度はさほど良くない。全体的にボヤケている感じだ。おそらく、初めてユーザ登録した際のデフォルトアバターを生成するために行われた、身体の簡易スキャンのデータを用いたのだろう。
それでも、である。
だっ
「早速攻めて来やがったな! こいつらも要連続攻撃か?」
「でしょうね。先に私がいくよ!」
ガキンッ
キン、キンキンキンッ
ざざっ
「うわあ…」
「姉さん、これでよくわかったろ?」
「はい、とりあえずダイエットに励みます。何あれ、みっともない…」
「そんな感想かよ。でも姉さんって、腰回りから痩せるタイプだって言ってなかったか?」
「それでもなの!」
なんか、もうね、揺れてんのよ。体育の時とかは、ひたすら邪魔という認識しかなかったけど。いやいやもう、これはないわー。
「ふんっ」
どすっ
「やった! 憎いあいつらにクリティカルヒット! 今よ!」
「ミリアナの姿でそれ言うと、ひがみに聞こえる…おっと、『ファイヤーボール』!」
ぼうっ
うおおおお…
「よし、あとひとり! …うっ」
「俺にそっくりだから斬れないとか言うなよ?」
「拓也くんにそっくりだから斬れない!」
「あんがとよ! しょーがねえ、『サンドブラスト』!」
びゅおおおおっ
ばりばりばりっ
拓也くんもどきのNPCが砂嵐に巻き込まれ、身動きがとれなくなる。
「ほら、剣を突き出すだけでいいから」
「んぐっ…。えいっ」
しゅばっ
ぱあああああっ…
「はあ、拓也くん…」
「俺はここにいるぞ」
「そだね」
ぎゅっ
「おお、なんか新鮮…。はー、落ち着く」
「うう、やっぱり痩せよう。ヘラルド…拓也くんが、腕を抱きしめても騒がないし」
「判断基準がおかしい。ほら、なんかドロップするみたいだぞ…っとと!?」
ぎゅいんっ
ひゅっ
目の前に光が集まり始めたと思ったら、手に持っていた武器が光に引き寄せられ、吸い込まれる。
ぽんっ
「…指輪?」
「指輪、だね…」
ペアとなっていた武器が変換されたのだろうか、青い宝石がはめ込まれた指輪がふたつ、光の中から飛び出してきた。
【『双輪の迷宮』が達成率100%でクリアされました。また、特殊アイテム『蒼瞳シンフォニア』をドロップしました】
特殊アイテムか…。よし、『鑑定』っと。
【名称】蒼瞳シンフォニア
【効果】伝心スキル付与(専用装備)
えええ…。
『スキル』って書いてあるけど、そんなスキル、『ファラウェイ・ワールド・オンライン』にはなかったよねえ。文字ベースのフレチャとかはあるけど。
「ん? どうした?」
「…『鑑定』してみれば、わかる」
「どれどれ…。えっ」
どうしよう、これ。
【なお、クリアしたアバターにちなみ、『蒼瞳シンフォニア』は、現実世界に転移させることができるようになりました】
ひさしぶりですね、どこの誰だかわからない存在からの言葉! っていうか、本当にどうしよう!?
◇
『…聞こえるか、美奈子姉さん』
『聞こえるよ、とっても良好に』
『そっか。俺もだ』
『そう…』
ログアウトし、そのまま現実世界の自宅のそれぞれの部屋でくつろぐ。ていうか、もう布団の中だ。
『どっちかが顕現すると、もう一方にも現れるのは便利だな』
『あと、こういうアイテムのせいか、口に出して呼び出す必要がないのもいいね』
『そだな。こっそりひっそり使える携帯電話ってか』
『視覚イメージなんかも伝わるのかな?』
『それは…できてもあんまり使わない方が…』
『?』
『あ、今、首をかしげるような疑問のイメージが伝わってきた。やべえ』
『うわあ』
という感じで、会話(?)のやりとりをする私達。
『ところで、なんでよりにもよって、左手の薬指に顕現するのかね?』
『あの特殊イベントの、対象者設定のせいじゃない?』
『…ああ、そうかもな』
『…うん』
『『………』』
『俺、寝るわ。おやすみ』
『ああ、うん、おやすみ』
今更ながら、とっても恥ずかしくなってきた…。
それでも、である。
だっ
「早速攻めて来やがったな! こいつらも要連続攻撃か?」
「でしょうね。先に私がいくよ!」
ガキンッ
キン、キンキンキンッ
ざざっ
「うわあ…」
「姉さん、これでよくわかったろ?」
「はい、とりあえずダイエットに励みます。何あれ、みっともない…」
「そんな感想かよ。でも姉さんって、腰回りから痩せるタイプだって言ってなかったか?」
「それでもなの!」
なんか、もうね、揺れてんのよ。体育の時とかは、ひたすら邪魔という認識しかなかったけど。いやいやもう、これはないわー。
「ふんっ」
どすっ
「やった! 憎いあいつらにクリティカルヒット! 今よ!」
「ミリアナの姿でそれ言うと、ひがみに聞こえる…おっと、『ファイヤーボール』!」
ぼうっ
うおおおお…
「よし、あとひとり! …うっ」
「俺にそっくりだから斬れないとか言うなよ?」
「拓也くんにそっくりだから斬れない!」
「あんがとよ! しょーがねえ、『サンドブラスト』!」
びゅおおおおっ
ばりばりばりっ
拓也くんもどきのNPCが砂嵐に巻き込まれ、身動きがとれなくなる。
「ほら、剣を突き出すだけでいいから」
「んぐっ…。えいっ」
しゅばっ
ぱあああああっ…
「はあ、拓也くん…」
「俺はここにいるぞ」
「そだね」
ぎゅっ
「おお、なんか新鮮…。はー、落ち着く」
「うう、やっぱり痩せよう。ヘラルド…拓也くんが、腕を抱きしめても騒がないし」
「判断基準がおかしい。ほら、なんかドロップするみたいだぞ…っとと!?」
ぎゅいんっ
ひゅっ
目の前に光が集まり始めたと思ったら、手に持っていた武器が光に引き寄せられ、吸い込まれる。
ぽんっ
「…指輪?」
「指輪、だね…」
ペアとなっていた武器が変換されたのだろうか、青い宝石がはめ込まれた指輪がふたつ、光の中から飛び出してきた。
【『双輪の迷宮』が達成率100%でクリアされました。また、特殊アイテム『蒼瞳シンフォニア』をドロップしました】
特殊アイテムか…。よし、『鑑定』っと。
【名称】蒼瞳シンフォニア
【効果】伝心スキル付与(専用装備)
えええ…。
『スキル』って書いてあるけど、そんなスキル、『ファラウェイ・ワールド・オンライン』にはなかったよねえ。文字ベースのフレチャとかはあるけど。
「ん? どうした?」
「…『鑑定』してみれば、わかる」
「どれどれ…。えっ」
どうしよう、これ。
【なお、クリアしたアバターにちなみ、『蒼瞳シンフォニア』は、現実世界に転移させることができるようになりました】
ひさしぶりですね、どこの誰だかわからない存在からの言葉! っていうか、本当にどうしよう!?
◇
『…聞こえるか、美奈子姉さん』
『聞こえるよ、とっても良好に』
『そっか。俺もだ』
『そう…』
ログアウトし、そのまま現実世界の自宅のそれぞれの部屋でくつろぐ。ていうか、もう布団の中だ。
『どっちかが顕現すると、もう一方にも現れるのは便利だな』
『あと、こういうアイテムのせいか、口に出して呼び出す必要がないのもいいね』
『そだな。こっそりひっそり使える携帯電話ってか』
『視覚イメージなんかも伝わるのかな?』
『それは…できてもあんまり使わない方が…』
『?』
『あ、今、首をかしげるような疑問のイメージが伝わってきた。やべえ』
『うわあ』
という感じで、会話(?)のやりとりをする私達。
『ところで、なんでよりにもよって、左手の薬指に顕現するのかね?』
『あの特殊イベントの、対象者設定のせいじゃない?』
『…ああ、そうかもな』
『…うん』
『『………』』
『俺、寝るわ。おやすみ』
『ああ、うん、おやすみ』
今更ながら、とっても恥ずかしくなってきた…。
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