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34 ダニエルとコーネリアの結婚
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そうこうしているうちに6月、ダニエルとコーネリアの結婚式が開催された。白いシルクのドレスにオレンジの花のブーケを持って、コーネリアは幸せそうに見えた。ダニエルも普段の彼を知っている人間からするとだいぶ普通の紳士らしい行動を取っていたので、周囲がときどきハラハラしながらも無事に結婚式とパーティが終わって一安心となった。
式の後に二人はクーパー家のカントリーハウスへハネムーンに出発した。仲間たちはしばらくの間は誰もそこを訪問しないようにと本人たちには黙って約束をしていた。
その日の晩はダニエル不在のクーパー家で彼らの結婚記念のパーティが開催されたが、そこでは「次はガラティーンとアルジャーノン」という話でもちきりになった。
「うん、まあ、そうなんだけどね」
ガラティーンはアルジャーノンの腕を取って並んでいる。周囲もすでに義父を優先しただけで二人は結婚するものだとわかっているので、ガラティーン達自身も特に遠慮もない。
「ただ、できればコーネリアが男の子を産むまでは、と思わなくもないんだけど……」
遠慮しながらあと最低でも1年程度のお預けをされたアルジャーノンは、周りの目を気にせずにガラティーンを抱き寄せる。
「全力で神に祈るから」
「あはは、私も祈っているよ!」
周囲からの祝福や励まし、そして冷やかしの言葉を浴びながら二人は踊り、語らう。
パーティの主催という形になっていたガラティーンは、客の送り出しまで勤めていたがその隣にはアルジャーノンが常に立っていた。
「……最後までありがとう!」
ガラティーンは「やりきった」という顔でアルジャーノンに謝意を伝える。アルジャーノンはそんなガラティーンのことがかわいくてたまらないといいたそうな顔で甘く微笑む。
「ここからは、俺たちだけの時間だ」
「……え?」
ガラティーンは、アルジャーノンに口づけられる。彼女はアルジャーノンとの口づけ自体に慣れつつはあったけれども、突然のことに慌て、彼の胸を叩く。
「……ちょっと!」
「手伝いのお礼をもらってはいけないのかな」
寂しそうな口調のアルジャーノンは、ガラティーンの頬を指の背ですっと撫でる。
「キスで済むなら安いものだけど」
「済ませたくないなあ」
アルジャーノンは苦笑し、ガラティーンの瞼の上に唇を寄せる。
「本当は、朝までずっと一緒に居たい」
「それは淑女に対して言っていいことではないよね?」
機嫌を悪くしたふりを見せてガラティーンは笑う。
「めでたいことがあったばかりのクーパー家に醜聞を作りたくないなあ」
「……なあ、ラトフォード伯は、しっかりした身分の紳士に留守宅を守ってもらいたいと、考えていたりはしなかったか?」
無理やりな建前をアルジャーノンはひねり出す。ガラティーンは驚いたように目を瞬かせ、また微笑む。
「……考えていたかもしれないね?」
二人はいたずらっぽく笑いながらキスをする。
「そういうことにしてしまおう」
「うん……」
二人はそこで軽く、深く、キスを繰り返していたがその陰ではクーパー家の家令とメイドたちは「ガラティーン様もご結婚!」とばかりに彼女の部屋と客間、両方に花を飾りはじめていた。
式の後に二人はクーパー家のカントリーハウスへハネムーンに出発した。仲間たちはしばらくの間は誰もそこを訪問しないようにと本人たちには黙って約束をしていた。
その日の晩はダニエル不在のクーパー家で彼らの結婚記念のパーティが開催されたが、そこでは「次はガラティーンとアルジャーノン」という話でもちきりになった。
「うん、まあ、そうなんだけどね」
ガラティーンはアルジャーノンの腕を取って並んでいる。周囲もすでに義父を優先しただけで二人は結婚するものだとわかっているので、ガラティーン達自身も特に遠慮もない。
「ただ、できればコーネリアが男の子を産むまでは、と思わなくもないんだけど……」
遠慮しながらあと最低でも1年程度のお預けをされたアルジャーノンは、周りの目を気にせずにガラティーンを抱き寄せる。
「全力で神に祈るから」
「あはは、私も祈っているよ!」
周囲からの祝福や励まし、そして冷やかしの言葉を浴びながら二人は踊り、語らう。
パーティの主催という形になっていたガラティーンは、客の送り出しまで勤めていたがその隣にはアルジャーノンが常に立っていた。
「……最後までありがとう!」
ガラティーンは「やりきった」という顔でアルジャーノンに謝意を伝える。アルジャーノンはそんなガラティーンのことがかわいくてたまらないといいたそうな顔で甘く微笑む。
「ここからは、俺たちだけの時間だ」
「……え?」
ガラティーンは、アルジャーノンに口づけられる。彼女はアルジャーノンとの口づけ自体に慣れつつはあったけれども、突然のことに慌て、彼の胸を叩く。
「……ちょっと!」
「手伝いのお礼をもらってはいけないのかな」
寂しそうな口調のアルジャーノンは、ガラティーンの頬を指の背ですっと撫でる。
「キスで済むなら安いものだけど」
「済ませたくないなあ」
アルジャーノンは苦笑し、ガラティーンの瞼の上に唇を寄せる。
「本当は、朝までずっと一緒に居たい」
「それは淑女に対して言っていいことではないよね?」
機嫌を悪くしたふりを見せてガラティーンは笑う。
「めでたいことがあったばかりのクーパー家に醜聞を作りたくないなあ」
「……なあ、ラトフォード伯は、しっかりした身分の紳士に留守宅を守ってもらいたいと、考えていたりはしなかったか?」
無理やりな建前をアルジャーノンはひねり出す。ガラティーンは驚いたように目を瞬かせ、また微笑む。
「……考えていたかもしれないね?」
二人はいたずらっぽく笑いながらキスをする。
「そういうことにしてしまおう」
「うん……」
二人はそこで軽く、深く、キスを繰り返していたがその陰ではクーパー家の家令とメイドたちは「ガラティーン様もご結婚!」とばかりに彼女の部屋と客間、両方に花を飾りはじめていた。
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