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9 アルジャーノンの想い出(2)
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その後から、アルジャーノンは月に数回見かけるガラティーンに声をかけようとはするが、ガラティーンも特にアルジャーノンのことを気に掛けるような素振りは見せてこないので機会もつかめない。そもそもアルジャーノンよりもガラと仲が良い者は少なくないので、わざわざ声をかけに行くことで悪目立ちをしそうな気になってしまっていた。
そしてその後数か月でガラティーンはダニエルの職場を訪れなくなり、何もできなくなってしまったのだ。ガラティーンは誰か婿を迎える準備にでも入ったのだろうかと考えてしまうが、ダニエルにはそのような動きはないのをアルジャーノンは確認している。
女であるということを隠そうとしていたガラティーンだが、それはダニエルと何か話をして、例えばガラを嫡男としてラトフォード伯を継がせようとしている可能性はあるだろうか、とアルジャーノンは思いついた。念のため自宅にある紳士録を確認してみたら、ラトフォード伯ダニエル・クーパーの娘としてガラティーンの名前が掲載されていた。
娘として紳士録に掲載されているということは、ガラティーンを息子として爵位を継がせるということはなく、ガラティーンに婿を取るのだろうとアルジャーノンは考えた。
アルジャーノン自身は伯爵家の次男で、年の離れた兄がすでに家督を継いでいる。ガラティーンの保護者のダニエルの覚えがめでたければ、ガラティーンに近づくこともまたできるかもしれないと、アルジャーノンは、副官としてダニエルの動向を把握しておく以上に、情報を逃さないようにしようと固く誓った。
そして、とうとうガラにもう一度触れたい、という願いが叶うかもしれない機会がやってきたのだ。ガラが女性だと知ったら他の仲間もガラを狙いに行くやつはいるだろうという予想はしていたので、彼らより先んじないといけなかったが、まずはそれには成功したのでアルジャーノンは一息ついた。
次の目標は、ガラティーンと個人的に話をできるような立場になることだ。
ガラは、アルジャーノンに裸の胸を見られた後にはなるべく彼の近くに近づかないように、という努力をあえてしなかった。ただ、いないものとして扱った。それでも視線を感じることは時々あったので、彼が何か言いたいのだろうなということはわかっていた。
しかし、彼とはそれまでは二人きりで仲良くするというほどの仲ではなかったので、周りに何か気づかれるよりは、無視をし続ける方が良いかと考えていたのだ。
幸いにもアルジャーノンは口が堅かったらしく、周囲からも何か言われることはなかった。それでガラはアルジャーノンに対して少し好感度があがった。
さすがに上半身の裸を見られたということは、義父のダニエルにも、リンダ達にも言えない。
ガラは、もうこれは潮時が近いのかなと考えていた。
そしてその後数か月でガラティーンはダニエルの職場を訪れなくなり、何もできなくなってしまったのだ。ガラティーンは誰か婿を迎える準備にでも入ったのだろうかと考えてしまうが、ダニエルにはそのような動きはないのをアルジャーノンは確認している。
女であるということを隠そうとしていたガラティーンだが、それはダニエルと何か話をして、例えばガラを嫡男としてラトフォード伯を継がせようとしている可能性はあるだろうか、とアルジャーノンは思いついた。念のため自宅にある紳士録を確認してみたら、ラトフォード伯ダニエル・クーパーの娘としてガラティーンの名前が掲載されていた。
娘として紳士録に掲載されているということは、ガラティーンを息子として爵位を継がせるということはなく、ガラティーンに婿を取るのだろうとアルジャーノンは考えた。
アルジャーノン自身は伯爵家の次男で、年の離れた兄がすでに家督を継いでいる。ガラティーンの保護者のダニエルの覚えがめでたければ、ガラティーンに近づくこともまたできるかもしれないと、アルジャーノンは、副官としてダニエルの動向を把握しておく以上に、情報を逃さないようにしようと固く誓った。
そして、とうとうガラにもう一度触れたい、という願いが叶うかもしれない機会がやってきたのだ。ガラが女性だと知ったら他の仲間もガラを狙いに行くやつはいるだろうという予想はしていたので、彼らより先んじないといけなかったが、まずはそれには成功したのでアルジャーノンは一息ついた。
次の目標は、ガラティーンと個人的に話をできるような立場になることだ。
ガラは、アルジャーノンに裸の胸を見られた後にはなるべく彼の近くに近づかないように、という努力をあえてしなかった。ただ、いないものとして扱った。それでも視線を感じることは時々あったので、彼が何か言いたいのだろうなということはわかっていた。
しかし、彼とはそれまでは二人きりで仲良くするというほどの仲ではなかったので、周りに何か気づかれるよりは、無視をし続ける方が良いかと考えていたのだ。
幸いにもアルジャーノンは口が堅かったらしく、周囲からも何か言われることはなかった。それでガラはアルジャーノンに対して少し好感度があがった。
さすがに上半身の裸を見られたということは、義父のダニエルにも、リンダ達にも言えない。
ガラは、もうこれは潮時が近いのかなと考えていた。
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