11 / 32
二章 唐織の素顔
5.菖蒲と八橋
しおりを挟む
四月が終わりに近づいても信乃の行方は掴めず、清吾は錦屋を──ひいては唐織を訪ねる日々を続けている。客でも使用人でもない立場は互いに気まずく、近ごろでは雑用を頼まれるようにもなっていた。要は、より馴染んで深い関わり合いになっているとも言える。信乃を余所に馴れ合っているのか、信乃を探すためにこそ吉原に入り込んでいるのか、迷いは尽きないが答えは出ないままだ。
今日の清吾は、錦屋の中庭の池で、膝まで水に漬かっていた。彼の本業が大工だと知った見世の者が、端午の花菖蒲の季節に備えて、八橋を設えたいと持ちかけられたのだ。自らの技で日ごろの礼ができるとなれば清吾にも否やはなく、見世の出入りの庭師と一緒に木材に向かい合っているところだった。
「上手いもんだな。木が水を弾いてるじゃねえか」
「これくらいはできねえとな。親方に殴られちまう」
これまでは、彼らの手でこうした四季折々の設えに対応してきたのだろう、庭師といっても木を削ったり切ったりの目利きもできるようだ。鉋かけの出来を褒められて、清吾の機嫌も初夏の晴天と同じく上々だった。
(しかしまあ、贅沢なことだ、吉原の大見世というところは……)
昼の光に聳える錦屋の二階建ての建物を見上げて、清吾は目を細めた。唐織の部屋にたびたび招かれていれば、襖絵や掛け軸、生け花の類の調度が季節に従っていちいち変わるのにはさすがに気付く。唐織とのやり取りの端々で、客に貢がせて整える場合も多いのだとも、分かる。
それだけでも、大名屋敷でもそうそう叶わない奢侈ではないかと思うのに、さらに庭の造りまでごく気楽に変えるのだから呆れた話だ。それだけ客の目も肥えているし、常に目新しい趣向が必要だということでもあるのだろうが。
早朝から作業を始めて数刻、昼見世が始まる正午近くには、池を渡る稲妻状の形の八橋はほぼ形になっていた。今はわずかに草葉の緑が水面から覗くだけの寂しい風景だが、三月の桜並木のように、ほど良いころに花菖蒲を植えてやれば良い。それは庭師の領分だ。
清吾がずっと屈めていた腰を正して、伸びをした時──けれど、まだ咲いていないはずの紫の彩が輝いた。同時に、艶のある声が響いて緑滴る初夏の中庭にいっそうの華を添える。
「これで、菖蒲の季節がますます楽しみになりんしたなあ」
「おっ、ひと足早く見事な菖蒲ですなあ、花魁」
菖蒲の裾模様も鮮やかな着物をまとった唐織が現れたのだ。揃いの模様の振袖新造のさらさを従えて、できたばかりの八橋を渡るその姿は、庭師が素早く追従した通り、菖蒲の花を先取りしたかのような美しさだった。
唐織は、称賛を当然のこととしてわずかに口の端を持ち上げただけだった。それこそ花咲くように、嬉しそうに笑顔をほころばせたのは、妹分のさらさのほうだ。
「和泉屋様からの貢物でござんすよ。姉さんには紫がよく映えること」
「五月に菖蒲とは、まったくつまらぬ趣向ではありんすが」
和泉屋とは、唐織が評したところの例の退屈な客だ。錦屋に出入りするうち、やはり札差なのだと聞いた。武家相手の金貸しとなれば羽振りが良いのも当然のこと、唐織に対しても帯やら着物やら頻繁に貢いでいるようだった。
(勝手に贈られたものだから、必ず感謝しろとも言いづらい、のか……?)
とはいえ、贅沢な話で、高慢なもの言いではある。
清吾にしてみれば、五月に菖蒲の模様の着物を仕立てるのはしごく当然のことと思えるのに、花魁ともなると手厳しいものだ。
さらさにとっても意外なのか、愛らしい顔立ちの娘は驚きに大きく目を見開いた。
「ま、姉さん。かような惚気を仰えして」
親しみゆえに、ついつい下げたもの言いをしてしまうのだ、と。若い割にはなかなか気の利いた相槌ではあったが、唐織は満足しないようだった。いまだ池に留まっていた清吾の目の前で、菖蒲の着物の裾が翻る。唐織が、素早く鋭く振り向いて、妹分に食ってかかったのだ。
「惚気などではありいせん。……姉さんの高田屋様に比べれば、どうにも見劣りする御方……!」
知らぬ名前に瞬きする清吾に、庭師がそっと耳打ちしてくれる。大見世に出入りするからか、目敏い質であるようだ。
「高田屋様は、先代の唐織花魁を身請けした札差だ。花魁への入れ込みようは、和泉屋様とご同様だったが──ご趣味というか遊び方は、まああちらのほうが──」
「はあ、なるほど……」
和泉屋という上客は、唐織を身請けしようと熱を上げているらしい。それもまた、錦屋に出入りしていれば自然と耳に入る話だった。財力の面では申し分ない話なのに、唐織は喜んでいないというのも、本人は言わずとも聞こえている。
(同じ札差だけに、姉貴分の客と比べてしまうのか)
当代の唐織が、先代の姉貴分を深く尊敬しているようなのは、すでに聞いた。同じ御職の花魁となった今は、憧れだけでなく対抗心も芽生えるらしい。難儀なことだ、と思いながら──清吾の目は、眼前を過ぎる女の足に吸い寄せられていた。池の中の彼からは、八橋を渡る唐織たちの足がごく自然に目に入る。
素足に下駄をつっかけた、白い足──着物に描かれた菖蒲の、色濃く鮮やかな緑と紫にいっそう映える。もしやそこに、花びらの形の痣はないかと、追ってしまうのだ。
(唐織花魁は、常陸の出ではない……)
先日の昔語りから、思いついてしまったことが頭から離れないのだ。世間の噂と違って、唐織の出自がどこかは分からない。ならば、彼や──信乃と同じ、会津であることも、まったくないとは言い切れない。
もしも、唐織こそが信乃だったとしたら。
あり得ないからこそ、甘美な妄想だった。
もしもそうなら、清吾が骨を折る必要は何もないのだ。彼の幼馴染は、美しく強かに成長して、豪奢な着物を纏って暮らしている。先々の心配も何ひとつなく、裕福な男のもとで大切に守られるのだろう。生涯を共にできずとも、相手の幸せを見届けることができたなら、それで十分だと思えるだろうに。
清吾が見上げる先で、唐織とさらさは言い合いを続けている。さらさは、姉花魁に逆らって、必死に「良いこと」を数え上げているようだった。
「姉さんの身請けに、和泉屋様は金を惜しまぬご所存とか。二代続けてさぞや豪気な見送りの儀になりんしょう。わちきもあやかりたいものでございんす」
「あやかるほどのものだかどうか……! 身請けなど、しょせんはひとりの男に買い切られるだけのものでありんすに。──年季明けを待つ男でも居たほうが、よほど幸せでありんしょう」
苛立ち紛れに吐き捨てて、唐織はふいと視線を池のほうに逸らした。すなわち、清吾がいるほうへ。捨て鉢な、すさんだ色の視線を受け止めることになって、清吾は思わず俯いてしまう。身請けされるのは女郎にとっては幸せと、勝手な考えを見透かされて咎められたように感じたのだ。
好んで嘘を重ねる訳ではないと、言われていたのにこの様だ。池の底の泥に足を取られるまま、沈み込みたい思いにもなる。
幸か不幸か、清吾が唐織に声をかける必要は、なかった。建物から現れた禿が、おずおずと唐織に呼び掛けたのだ。
「あの、花魁。和泉屋様がご登楼でありんすが」
「ああ、噂をすれば何とやら。お早いお着きで──」
唐織の不機嫌は、これから気に入らぬ客を迎えるためでもあったようだ。そして、溜息が聞こえるほどに早く登楼する辺り、和泉屋とやらは確かに無粋な男ではあるのかもしれない。そのように、清吾は合点しかけたのだが──
「わちきが、情人と逢瀬の最中だとでも邪推なさんしたのでありんしょうなあ」
「は?」
不意に水を向けられて、目を剥くことになった。そういえば、彼は唐織の情人ということになっていた。和泉屋は、体よく嫉妬を煽られている、ということなのか。
「それは……本当に邪推だな」
「ほんに。主は和泉屋様の目に留まらぬほうが良い──こっそりと、湯を使ってからお帰りなんせ」
清吾に勧める唐織の声音はあっさりとしたもので、情人に対してあるべき名残惜しさなど、欠片もないのに。何も知らぬ和泉屋は愚かだし、理不尽に寂しさを感じる清吾はなお愚かなのだろう。
今日の清吾は、錦屋の中庭の池で、膝まで水に漬かっていた。彼の本業が大工だと知った見世の者が、端午の花菖蒲の季節に備えて、八橋を設えたいと持ちかけられたのだ。自らの技で日ごろの礼ができるとなれば清吾にも否やはなく、見世の出入りの庭師と一緒に木材に向かい合っているところだった。
「上手いもんだな。木が水を弾いてるじゃねえか」
「これくらいはできねえとな。親方に殴られちまう」
これまでは、彼らの手でこうした四季折々の設えに対応してきたのだろう、庭師といっても木を削ったり切ったりの目利きもできるようだ。鉋かけの出来を褒められて、清吾の機嫌も初夏の晴天と同じく上々だった。
(しかしまあ、贅沢なことだ、吉原の大見世というところは……)
昼の光に聳える錦屋の二階建ての建物を見上げて、清吾は目を細めた。唐織の部屋にたびたび招かれていれば、襖絵や掛け軸、生け花の類の調度が季節に従っていちいち変わるのにはさすがに気付く。唐織とのやり取りの端々で、客に貢がせて整える場合も多いのだとも、分かる。
それだけでも、大名屋敷でもそうそう叶わない奢侈ではないかと思うのに、さらに庭の造りまでごく気楽に変えるのだから呆れた話だ。それだけ客の目も肥えているし、常に目新しい趣向が必要だということでもあるのだろうが。
早朝から作業を始めて数刻、昼見世が始まる正午近くには、池を渡る稲妻状の形の八橋はほぼ形になっていた。今はわずかに草葉の緑が水面から覗くだけの寂しい風景だが、三月の桜並木のように、ほど良いころに花菖蒲を植えてやれば良い。それは庭師の領分だ。
清吾がずっと屈めていた腰を正して、伸びをした時──けれど、まだ咲いていないはずの紫の彩が輝いた。同時に、艶のある声が響いて緑滴る初夏の中庭にいっそうの華を添える。
「これで、菖蒲の季節がますます楽しみになりんしたなあ」
「おっ、ひと足早く見事な菖蒲ですなあ、花魁」
菖蒲の裾模様も鮮やかな着物をまとった唐織が現れたのだ。揃いの模様の振袖新造のさらさを従えて、できたばかりの八橋を渡るその姿は、庭師が素早く追従した通り、菖蒲の花を先取りしたかのような美しさだった。
唐織は、称賛を当然のこととしてわずかに口の端を持ち上げただけだった。それこそ花咲くように、嬉しそうに笑顔をほころばせたのは、妹分のさらさのほうだ。
「和泉屋様からの貢物でござんすよ。姉さんには紫がよく映えること」
「五月に菖蒲とは、まったくつまらぬ趣向ではありんすが」
和泉屋とは、唐織が評したところの例の退屈な客だ。錦屋に出入りするうち、やはり札差なのだと聞いた。武家相手の金貸しとなれば羽振りが良いのも当然のこと、唐織に対しても帯やら着物やら頻繁に貢いでいるようだった。
(勝手に贈られたものだから、必ず感謝しろとも言いづらい、のか……?)
とはいえ、贅沢な話で、高慢なもの言いではある。
清吾にしてみれば、五月に菖蒲の模様の着物を仕立てるのはしごく当然のことと思えるのに、花魁ともなると手厳しいものだ。
さらさにとっても意外なのか、愛らしい顔立ちの娘は驚きに大きく目を見開いた。
「ま、姉さん。かような惚気を仰えして」
親しみゆえに、ついつい下げたもの言いをしてしまうのだ、と。若い割にはなかなか気の利いた相槌ではあったが、唐織は満足しないようだった。いまだ池に留まっていた清吾の目の前で、菖蒲の着物の裾が翻る。唐織が、素早く鋭く振り向いて、妹分に食ってかかったのだ。
「惚気などではありいせん。……姉さんの高田屋様に比べれば、どうにも見劣りする御方……!」
知らぬ名前に瞬きする清吾に、庭師がそっと耳打ちしてくれる。大見世に出入りするからか、目敏い質であるようだ。
「高田屋様は、先代の唐織花魁を身請けした札差だ。花魁への入れ込みようは、和泉屋様とご同様だったが──ご趣味というか遊び方は、まああちらのほうが──」
「はあ、なるほど……」
和泉屋という上客は、唐織を身請けしようと熱を上げているらしい。それもまた、錦屋に出入りしていれば自然と耳に入る話だった。財力の面では申し分ない話なのに、唐織は喜んでいないというのも、本人は言わずとも聞こえている。
(同じ札差だけに、姉貴分の客と比べてしまうのか)
当代の唐織が、先代の姉貴分を深く尊敬しているようなのは、すでに聞いた。同じ御職の花魁となった今は、憧れだけでなく対抗心も芽生えるらしい。難儀なことだ、と思いながら──清吾の目は、眼前を過ぎる女の足に吸い寄せられていた。池の中の彼からは、八橋を渡る唐織たちの足がごく自然に目に入る。
素足に下駄をつっかけた、白い足──着物に描かれた菖蒲の、色濃く鮮やかな緑と紫にいっそう映える。もしやそこに、花びらの形の痣はないかと、追ってしまうのだ。
(唐織花魁は、常陸の出ではない……)
先日の昔語りから、思いついてしまったことが頭から離れないのだ。世間の噂と違って、唐織の出自がどこかは分からない。ならば、彼や──信乃と同じ、会津であることも、まったくないとは言い切れない。
もしも、唐織こそが信乃だったとしたら。
あり得ないからこそ、甘美な妄想だった。
もしもそうなら、清吾が骨を折る必要は何もないのだ。彼の幼馴染は、美しく強かに成長して、豪奢な着物を纏って暮らしている。先々の心配も何ひとつなく、裕福な男のもとで大切に守られるのだろう。生涯を共にできずとも、相手の幸せを見届けることができたなら、それで十分だと思えるだろうに。
清吾が見上げる先で、唐織とさらさは言い合いを続けている。さらさは、姉花魁に逆らって、必死に「良いこと」を数え上げているようだった。
「姉さんの身請けに、和泉屋様は金を惜しまぬご所存とか。二代続けてさぞや豪気な見送りの儀になりんしょう。わちきもあやかりたいものでございんす」
「あやかるほどのものだかどうか……! 身請けなど、しょせんはひとりの男に買い切られるだけのものでありんすに。──年季明けを待つ男でも居たほうが、よほど幸せでありんしょう」
苛立ち紛れに吐き捨てて、唐織はふいと視線を池のほうに逸らした。すなわち、清吾がいるほうへ。捨て鉢な、すさんだ色の視線を受け止めることになって、清吾は思わず俯いてしまう。身請けされるのは女郎にとっては幸せと、勝手な考えを見透かされて咎められたように感じたのだ。
好んで嘘を重ねる訳ではないと、言われていたのにこの様だ。池の底の泥に足を取られるまま、沈み込みたい思いにもなる。
幸か不幸か、清吾が唐織に声をかける必要は、なかった。建物から現れた禿が、おずおずと唐織に呼び掛けたのだ。
「あの、花魁。和泉屋様がご登楼でありんすが」
「ああ、噂をすれば何とやら。お早いお着きで──」
唐織の不機嫌は、これから気に入らぬ客を迎えるためでもあったようだ。そして、溜息が聞こえるほどに早く登楼する辺り、和泉屋とやらは確かに無粋な男ではあるのかもしれない。そのように、清吾は合点しかけたのだが──
「わちきが、情人と逢瀬の最中だとでも邪推なさんしたのでありんしょうなあ」
「は?」
不意に水を向けられて、目を剥くことになった。そういえば、彼は唐織の情人ということになっていた。和泉屋は、体よく嫉妬を煽られている、ということなのか。
「それは……本当に邪推だな」
「ほんに。主は和泉屋様の目に留まらぬほうが良い──こっそりと、湯を使ってからお帰りなんせ」
清吾に勧める唐織の声音はあっさりとしたもので、情人に対してあるべき名残惜しさなど、欠片もないのに。何も知らぬ和泉屋は愚かだし、理不尽に寂しさを感じる清吾はなお愚かなのだろう。
0
お気に入りに追加
48
あなたにおすすめの小説
裏長屋の若殿、限られた自由を満喫する
克全
歴史・時代
貧乏人が肩を寄せ合って暮らす聖天長屋に徳田新之丞と名乗る人品卑しからぬ若侍がいた。月のうち数日しか長屋にいないのだが、いる時には自ら竈で米を炊き七輪で魚を焼く小まめな男だった。

葉桜よ、もう一度 【完結】
五月雨輝
歴史・時代
【第9回歴史・時代小説大賞特別賞受賞作】北の小藩の青年藩士、黒須新九郎は、女中のりよに密かに心を惹かれながら、真面目に職務をこなす日々を送っていた。だが、ある日突然、新九郎は藩の産物を横領して抜け売りしたとの無実の嫌疑をかけられ、切腹寸前にまで追い込まれてしまう。新九郎は自らの嫌疑を晴らすべく奔走するが、それは藩を大きく揺るがす巨大な陰謀と哀しい恋の始まりであった。
謀略と裏切り、友情と恋情が交錯し、武士の道と人の想いの狭間で新九郎は疾走する。
南町奉行所お耳役貞永正太郎の捕物帳
勇内一人
歴史・時代
第9回歴史・時代小説大賞奨励賞受賞作品に2024年6月1日より新章「材木商桧木屋お七の訴え」を追加しています(続きではなく途中からなので、わかりづらいかもしれません)
南町奉行所吟味方与力の貞永平一郎の一人息子、正太郎はお多福風邪にかかり両耳の聴覚を失ってしまう。父の跡目を継げない彼は吟味方書物役見習いとして南町奉行所に勤めている。ある時から聞こえない正太郎の耳が死者の声を拾うようになる。それは犯人や証言に不服がある場合、殺された本人が異議を唱える声だった。声を頼りに事件を再捜査すると、思わぬ真実が発覚していく。やがて、平一郎が喧嘩の巻き添えで殺され、正太郎の耳に亡き父の声が届く。
表紙はパブリックドメインQ 著作権フリー絵画:小原古邨 「月と蝙蝠」を使用しております。
2024年10月17日〜エブリスタにも公開を始めました。
田楽屋のぶの店先日記〜殿ちびちゃん参るの巻〜
皐月なおみ
歴史・時代
わけあり夫婦のところに、わけあり子どもがやってきた!?
冨岡八幡宮の門前町で田楽屋を営む「のぶ」と亭主「安居晃之進」は、奇妙な駆け落ちをして一緒になったわけあり夫婦である。
あれから三年、子ができないこと以外は順調だ。
でもある日、晃之進が見知らぬ幼子「朔太郎」を、連れて帰ってきたからさあ、大変!
『これおかみ、わしに気安くさわるでない』
なんだか殿っぽい喋り方のこの子は何者?
もしかして、晃之進の…?
心穏やかではいられないながらも、一生懸命面倒をみるのぶに朔太郎も心を開くようになる。
『うふふ。わし、かかさまの抱っこだいすきじゃ』
そのうちにのぶは彼の尋常じゃない能力に気がついて…?
近所から『殿ちびちゃん』と呼ばれるようになった朔太郎とともに、田楽屋の店先で次々に起こる事件を解決する。
亭主との関係
子どもたちを振り回す理不尽な出来事に対する怒り
友人への複雑な思い
たくさんの出来事を乗り越えた先に、のぶが辿り着いた答えは…?
※田楽屋を営む主人公が、わけありで預かることになった朔太郎と、次々と起こる事件を解決する物語です!
※歴史・時代小説コンテストエントリー作品です。もしよろしければ応援よろしくお願いします。

アブナイお殿様-月野家江戸屋敷騒動顛末-(R15版)
三矢由巳
歴史・時代
時は江戸、老中水野忠邦が失脚した頃のこと。
佳穂(かほ)は江戸の望月藩月野家上屋敷の奥方様に仕える中臈。
幼い頃に会った千代という少女に憧れ、奥での一生奉公を望んでいた。
ところが、若殿様が急死し事態は一変、分家から養子に入った慶温(よしはる)こと又四郎に侍ることに。
又四郎はずっと前にも会ったことがあると言うが、佳穂には心当たりがない。
海外の事情や英吉利語を教える又四郎に翻弄されるも、惹かれていく佳穂。
一方、二人の周辺では次々に不可解な事件が起きる。
事件の真相を追うのは又四郎や屋敷の人々、そしてスタンダードプードルのシロ。
果たして、佳穂は又四郎と結ばれるのか。
シロの鼻が真実を追い詰める!
別サイトで発表した作品のR15版です。
肥後の春を待ち望む
尾方佐羽
歴史・時代
秀吉の天下統一が目前になった天正の頃、肥後(熊本)の国主になった佐々成政に対して国人たちが次から次へと反旗を翻した。それを先導した国人の筆頭格が隈部親永(くまべちかなが)である。彼はなぜ、島津も退くほどの強大な敵に立ち向かったのか。国人たちはどのように戦ったのか。そして、九州人ながら秀吉に従い国人衆とあいまみえることになった若き立花統虎(宗茂)の胸中は……。

白拍子、江戸の鍛冶屋と戯れる
橋本洋一
歴史・時代
「私のために――刀を打ってもらえませんか?」
時は元禄。江戸の町に突如現れた白拍子の少女、まつり。彼女は鍛冶屋の興江に刀を打ってもらおうとする。しかし興江は刀を打たない理由があった。一方、江戸の町を恐怖のどん底に陥れている人斬りがまつりと興江に関わるようになって――
鎌倉最後の日
もず りょう
歴史・時代
かつて源頼朝や北条政子・義時らが多くの血を流して築き上げた武家政権・鎌倉幕府。承久の乱や元寇など幾多の困難を乗り越えてきた幕府も、悪名高き執権北条高時の治政下で頽廃を極めていた。京では後醍醐天皇による倒幕計画が持ち上がり、世に動乱の兆しが見え始める中にあって、北条一門の武将金澤貞将は危機感を募らせていく。ふとしたきっかけで交流を深めることとなった御家人新田義貞らは、貞将にならば鎌倉の未来を託すことができると彼に「決断」を迫るが――。鎌倉幕府の最後を華々しく彩った若き名将の清冽な生きざまを活写する歴史小説、ここに開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる