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二章 唐織の素顔
4.みそかの月
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気付けば、清吾と唐織は間近に見つめ合う格好になっていた。信乃の話をするうちに、相手のほうから近づいてきたのだろうか。足に触れられるまで、気付かなかった。いや、それよりも──
「嘘、方便……? どこから、どこまで……?」
唐織の謎めいた言葉をどうにか呑み込もうと、清吾は鸚鵡のように繰り返した。
(だって、実施に評判じゃないか。慈悲深い花魁なんだろう……?)
唐織の花魁道中を遮った客がいたとか、やけに詳らかな噂が、清吾の耳にも届いているのだ。つまりは見た者が語って広めたということであって、ならば──いくらかの誇張があったとしても──真実だろうと疑いなく信じていたのだが。
間近に漂う花魁の色香と、唐突な告白とにあてられて、清吾の頭が働いていないのを見て取ったのだろう。唐織は、優雅に立つと窓辺に座り直した。ほんの少しだけ障子を開けると、初夏の夜風はほどよく涼しく、清吾の火照った頬を冷ましてくれた。
涼風と共に、余所の見世や座敷の喧騒がややはっきりと聞こえるようになった。清吾にとっては遠い世界の賑わいだが、唐織にはどのような酒池肉林が演じられているかがありありと目に浮かぶのだろう。白く美しい横顔には、倦んだ気配が見て取れた。
「姉さんの──先代の唐織花魁の名代を務めたことは、確かに何度もございんす」
あるいは、先ほどまでの彼と同じく、唐織は遠い記憶を手繰っているのかもしれなかった。何の気まぐれか、それとも、清吾の昔語りへの返礼のつもりなのか。いずれにしても、清吾に口を挟む隙はなく、聞き入るほかない。
先代の、と言うのは、名高い花魁はその名跡を妹分に継がせるものだからだ。姉さん、と唐織が紡ぐ声には深い尊敬と憧れが聞き取れて、当代の唐織に劣らぬ美女であったのだろうと、清吾にも分かる。
「姉さんが情人とお愉しみの間、お客の相手をするのが妹分の務めでありんすから。ちょうど今、さらさがしているように」
「あの娘がいないのは、そういうことだったのか……」
唐織に仕える振袖新造とは、清吾もすでに顔なじみになっている。茶や酒を供してくれることもあれば、姿が見えないこともあるとは思っていたが。
(あんな子供なのに)
「名代の振袖新造に手出しをするは廓のご法度でござんすよ」
清吾の顔には、今のさらさと、かつての唐織への憐みが浮かんでいたのだろう。唐織は宥めるように微笑んでから、小さく息を吐いた。
「したが、揚げ代を払った上に花魁が来ぬ、目の前にいるのは気の利かぬ小娘では、お客が怒るのも無理もござんせん。わちきも、最初はどう宥めれば良いのやら、いつも泣きたい思いでござんした」
「あんたにも、そんなことが……?」
「ほんの小娘でありんしたもの」
この女を前にすると、いつも手玉に取られる思いがするというのに。唐織にも未熟なころがあったとは信じがたい。苦い記憶が蘇りでもしたのか、輝くばかりの美貌に、ふ、と暗い影が過ぎる。
「だから姉さんを見習わねばと思いいした。名うての花魁の、手練手管を盗まねばと。あの夜も──廓の倣いを弁えぬ田舎者が、煩く怒鳴るのを聞きつけて、どこの訛りかを見世の者に聞いて──」
意味ありげに間を置いてから、唐織はきゅっと顔をしかめた。
「やだっぺよ、止めでぐだせえ」
それは、かつての彼女が言った台詞なのだろう。そうと推量はついても、耳を酔わせる甘い声が、田舎娘の訛りを紡ぐのを聞くのはすさまじい違和感だった。ぎょっとして腰を浮かせる清吾の反応に満足したのか、唐織の鈴を振るような笑い声が響いて、また彼の頭を揺らす。
「お客がその後何を仰えしていたか、わちきには皆目見当もつきいせん。わちきは常陸の出ではないのでありんすもの。したが、うんうんと頷くだけで良いように取ってくださんしたご様子、重畳でござんした」
それは、そうだろう。郷里から遠く離れた吉原で、地元の訛りを聞いたなら。田舎者は心緩んで当然だ。相手がこれだけの美女──当時は可憐な少女だったろうか──ならなおのこと。舞い上がって一晩中でも喋り通したのではないか。
ただ、後から聞かされる身としては、鮮やかな手妻を魅せられたような気分にも、なる。
「その……花魁になってからまた会った、ってのは? 故郷の娘らを救うために金子を包んだと──」
「その折は、最初よりもだいぶ簡単でござんしたなあ。なにせわちきは廓暮らしが長くて、里の訛りもすべて忘れておりいしたから」
唐織は、澄ました顔でさらりと述べた。その実のところは、清吾にもさすがに分かる。
つまりは、そういうことになったのだろう。常陸の田舎者とやらは、花魁の言葉を疑いもしなかっただろう。会わない間に、唐織は声や仕草の操り方に磨きをかけたに違いないのだから。噂に聞いた通りなら、主さんとの一夜を頼みにして云々と囁いたはずで──そんな言葉は、さぞ甘く聞こえただろう。
(まったく、大した女だ……!)
嘘で男を騙して弄んだ、とも言えるのだろうが。偽りの美談を目当てに唐織を求めた男は、良い面の皮ではあるのだろうが。だが──詰る気にはなれない。
容姿と声と言葉と仕草と、持てるものを駆使して自らの名を高める手腕に対して覚えるのは、何よりもまず感嘆だった。
「──月が見ええせんなあ」
と、唐織が夜空を見上げる仕草をした。細い頤が上向いて、長い首がいっそうすらりとして見える。
「今は──上弦のころか? もう沈んでいるんだろう」
花魁が情人といる姿を覗かせぬためか、唐織が開けた障子の隙間はごく狭い。そこから夜空を覗くために、清吾は女のすぐ背後にいざった。
(月が昇っていたところで、吉原では霞むだろうが)
これまで何度か訪れた折にも、空を気にすることはなかった。月や星が標になった故郷の寒村とは違って、吉原では地上があまりに明るい。良いことか悪いことかは、分からないが。
「月など見えぬほうが良い。わちきは月は好きいせん」
「なんで、また?」
とにかく──唐織の語気がやけに強い気がして、清吾は首を傾げた。すると、それこそ月のような美貌が彼のほうへ振り向いた。
「卵の四角に女郎のまこと、あればみそかに月が出る──」
いまだ不機嫌そうな声音のまま、それでも唐織が歌うように詠んだのは、清吾も知る戯れ歌だった。
鶏が四角い卵を産むことはない。十五夜が必ず望月であるのと同じく、月の末日は必ず新月の闇夜になる。女郎の言葉に真実など、それくらいにあり得ない、という喩えだ。唐織の手腕を見ていれば、まことにもっともと、大いに頷きたくもなるのだが。
「まこととやらを、輝く月と比べる性根が好きいせん。誰も好んで嘘を重ねるのではありいせんのに」
「花魁──」
唇を尖らせる唐織に、かける言葉が見つからなかった。女郎は嘘を吐くもの、甘い言葉も手練手管に過ぎぬとは、男は誰もが心得るもの──だが、女郎の心の裡を慮る者は、どれだけいるだろうか。
(この女が、弱音を吐いたのか? この俺に? 昔語りで、気が緩んだのか……?)
何か言ってやらなければ、と思う一方で、彼らふたりは慰めるほどの間柄ではないはずだった。だから、清吾は半ば口を開いたままで舌を凍らせていた。唐織も唇を結んだまま、彼を睨むように見つめている。優しい言葉を強請っているのか、何も言うなと命じているのかも分からない──張り詰めた沈黙を破るのは、廊下から響く拍子木だった。
「引け四つでござんすな。清さん、また出なんすのかえ」
拍子木は、座敷の宴席の終わりを告げるためのもの。周囲から聞こえる物音も、先ほどまでとは種類が変わり、酒肴を片付けたり布団を延べたりするものになる。床入りする女郎と客は別として、さしもの吉原も夜の休息に入る──人探しができる、貴重な時間だった。信乃の行方を追うために、清吾が待っていた時間でもある。
「あ、ああ……そうだな。邪魔をした」
なのに、唐織に促されるまで失念していたのは不覚としか言いようがなかった。
「いつも、すまねえな。今夜は──後は、寛げば良い」
慌ただしく立ち上がった清吾に、唐織はそれ以上は声を掛けなかった。
「嘘、方便……? どこから、どこまで……?」
唐織の謎めいた言葉をどうにか呑み込もうと、清吾は鸚鵡のように繰り返した。
(だって、実施に評判じゃないか。慈悲深い花魁なんだろう……?)
唐織の花魁道中を遮った客がいたとか、やけに詳らかな噂が、清吾の耳にも届いているのだ。つまりは見た者が語って広めたということであって、ならば──いくらかの誇張があったとしても──真実だろうと疑いなく信じていたのだが。
間近に漂う花魁の色香と、唐突な告白とにあてられて、清吾の頭が働いていないのを見て取ったのだろう。唐織は、優雅に立つと窓辺に座り直した。ほんの少しだけ障子を開けると、初夏の夜風はほどよく涼しく、清吾の火照った頬を冷ましてくれた。
涼風と共に、余所の見世や座敷の喧騒がややはっきりと聞こえるようになった。清吾にとっては遠い世界の賑わいだが、唐織にはどのような酒池肉林が演じられているかがありありと目に浮かぶのだろう。白く美しい横顔には、倦んだ気配が見て取れた。
「姉さんの──先代の唐織花魁の名代を務めたことは、確かに何度もございんす」
あるいは、先ほどまでの彼と同じく、唐織は遠い記憶を手繰っているのかもしれなかった。何の気まぐれか、それとも、清吾の昔語りへの返礼のつもりなのか。いずれにしても、清吾に口を挟む隙はなく、聞き入るほかない。
先代の、と言うのは、名高い花魁はその名跡を妹分に継がせるものだからだ。姉さん、と唐織が紡ぐ声には深い尊敬と憧れが聞き取れて、当代の唐織に劣らぬ美女であったのだろうと、清吾にも分かる。
「姉さんが情人とお愉しみの間、お客の相手をするのが妹分の務めでありんすから。ちょうど今、さらさがしているように」
「あの娘がいないのは、そういうことだったのか……」
唐織に仕える振袖新造とは、清吾もすでに顔なじみになっている。茶や酒を供してくれることもあれば、姿が見えないこともあるとは思っていたが。
(あんな子供なのに)
「名代の振袖新造に手出しをするは廓のご法度でござんすよ」
清吾の顔には、今のさらさと、かつての唐織への憐みが浮かんでいたのだろう。唐織は宥めるように微笑んでから、小さく息を吐いた。
「したが、揚げ代を払った上に花魁が来ぬ、目の前にいるのは気の利かぬ小娘では、お客が怒るのも無理もござんせん。わちきも、最初はどう宥めれば良いのやら、いつも泣きたい思いでござんした」
「あんたにも、そんなことが……?」
「ほんの小娘でありんしたもの」
この女を前にすると、いつも手玉に取られる思いがするというのに。唐織にも未熟なころがあったとは信じがたい。苦い記憶が蘇りでもしたのか、輝くばかりの美貌に、ふ、と暗い影が過ぎる。
「だから姉さんを見習わねばと思いいした。名うての花魁の、手練手管を盗まねばと。あの夜も──廓の倣いを弁えぬ田舎者が、煩く怒鳴るのを聞きつけて、どこの訛りかを見世の者に聞いて──」
意味ありげに間を置いてから、唐織はきゅっと顔をしかめた。
「やだっぺよ、止めでぐだせえ」
それは、かつての彼女が言った台詞なのだろう。そうと推量はついても、耳を酔わせる甘い声が、田舎娘の訛りを紡ぐのを聞くのはすさまじい違和感だった。ぎょっとして腰を浮かせる清吾の反応に満足したのか、唐織の鈴を振るような笑い声が響いて、また彼の頭を揺らす。
「お客がその後何を仰えしていたか、わちきには皆目見当もつきいせん。わちきは常陸の出ではないのでありんすもの。したが、うんうんと頷くだけで良いように取ってくださんしたご様子、重畳でござんした」
それは、そうだろう。郷里から遠く離れた吉原で、地元の訛りを聞いたなら。田舎者は心緩んで当然だ。相手がこれだけの美女──当時は可憐な少女だったろうか──ならなおのこと。舞い上がって一晩中でも喋り通したのではないか。
ただ、後から聞かされる身としては、鮮やかな手妻を魅せられたような気分にも、なる。
「その……花魁になってからまた会った、ってのは? 故郷の娘らを救うために金子を包んだと──」
「その折は、最初よりもだいぶ簡単でござんしたなあ。なにせわちきは廓暮らしが長くて、里の訛りもすべて忘れておりいしたから」
唐織は、澄ました顔でさらりと述べた。その実のところは、清吾にもさすがに分かる。
つまりは、そういうことになったのだろう。常陸の田舎者とやらは、花魁の言葉を疑いもしなかっただろう。会わない間に、唐織は声や仕草の操り方に磨きをかけたに違いないのだから。噂に聞いた通りなら、主さんとの一夜を頼みにして云々と囁いたはずで──そんな言葉は、さぞ甘く聞こえただろう。
(まったく、大した女だ……!)
嘘で男を騙して弄んだ、とも言えるのだろうが。偽りの美談を目当てに唐織を求めた男は、良い面の皮ではあるのだろうが。だが──詰る気にはなれない。
容姿と声と言葉と仕草と、持てるものを駆使して自らの名を高める手腕に対して覚えるのは、何よりもまず感嘆だった。
「──月が見ええせんなあ」
と、唐織が夜空を見上げる仕草をした。細い頤が上向いて、長い首がいっそうすらりとして見える。
「今は──上弦のころか? もう沈んでいるんだろう」
花魁が情人といる姿を覗かせぬためか、唐織が開けた障子の隙間はごく狭い。そこから夜空を覗くために、清吾は女のすぐ背後にいざった。
(月が昇っていたところで、吉原では霞むだろうが)
これまで何度か訪れた折にも、空を気にすることはなかった。月や星が標になった故郷の寒村とは違って、吉原では地上があまりに明るい。良いことか悪いことかは、分からないが。
「月など見えぬほうが良い。わちきは月は好きいせん」
「なんで、また?」
とにかく──唐織の語気がやけに強い気がして、清吾は首を傾げた。すると、それこそ月のような美貌が彼のほうへ振り向いた。
「卵の四角に女郎のまこと、あればみそかに月が出る──」
いまだ不機嫌そうな声音のまま、それでも唐織が歌うように詠んだのは、清吾も知る戯れ歌だった。
鶏が四角い卵を産むことはない。十五夜が必ず望月であるのと同じく、月の末日は必ず新月の闇夜になる。女郎の言葉に真実など、それくらいにあり得ない、という喩えだ。唐織の手腕を見ていれば、まことにもっともと、大いに頷きたくもなるのだが。
「まこととやらを、輝く月と比べる性根が好きいせん。誰も好んで嘘を重ねるのではありいせんのに」
「花魁──」
唇を尖らせる唐織に、かける言葉が見つからなかった。女郎は嘘を吐くもの、甘い言葉も手練手管に過ぎぬとは、男は誰もが心得るもの──だが、女郎の心の裡を慮る者は、どれだけいるだろうか。
(この女が、弱音を吐いたのか? この俺に? 昔語りで、気が緩んだのか……?)
何か言ってやらなければ、と思う一方で、彼らふたりは慰めるほどの間柄ではないはずだった。だから、清吾は半ば口を開いたままで舌を凍らせていた。唐織も唇を結んだまま、彼を睨むように見つめている。優しい言葉を強請っているのか、何も言うなと命じているのかも分からない──張り詰めた沈黙を破るのは、廊下から響く拍子木だった。
「引け四つでござんすな。清さん、また出なんすのかえ」
拍子木は、座敷の宴席の終わりを告げるためのもの。周囲から聞こえる物音も、先ほどまでとは種類が変わり、酒肴を片付けたり布団を延べたりするものになる。床入りする女郎と客は別として、さしもの吉原も夜の休息に入る──人探しができる、貴重な時間だった。信乃の行方を追うために、清吾が待っていた時間でもある。
「あ、ああ……そうだな。邪魔をした」
なのに、唐織に促されるまで失念していたのは不覚としか言いようがなかった。
「いつも、すまねえな。今夜は──後は、寛げば良い」
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