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離婚裁判の行方

訴状

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 私がオットーからの訴状という名の挑戦状を受け取ったのは、終戦からわずか二ヶ月後、一九一九年の初めのことだった。結婚の継続がもはや不可能だという一点においてのみ、私とあの男はとうに意見の一致を見ていたけれど、それにしてもあまりにも時期尚早ではなかったかしら。まだ共和国での居場所を定められていない人も多かったでしょうに、焦ったように動き始めたものだったわ。祖父や皇室を憚る必要はもはやなく、世論も味方につけていると思っていたのでしょうから、さっさと勝利を手にしたかったとか、そんなところだったのでしょうけれどね。

 訴状に連ねられていた罵詈雑言は、本当に見るに堪えないものだったわ。嘘や誇張や妄想ばかりが書き立てられて、それに、「不思議なことに」戦中に届いた脅迫状と似ているところもたくさんあった! 語るに落ちるとはああいうことを言うのでしょうね。オットーは、目的のためならどんな卑劣な手段でも取るのだと、自ら白状したようなものだった。

 とても不愉快だけれど、いくつかの項目を思い出してみましょうか。まずは、レルヒとの不倫のことでしょう。それから、私はあてのない旅に子供たちを連れ回す母親失格の女なのですって。私は、子供たちの療養のためにより良い土地を求めて心を砕いただけだというのに。鼻持ちならない高慢な女だとも罵られたけれど、同じ言葉はそっくりそのままオットーにも当てはまるものだったわ。軍では名誉ある騎馬隊の指揮官として勇敢な士官との評価を得ていたらしいし、確かに私だって彼の馬術には見蕩れたことがあった。でも、だからといって私生活でも同じように尊敬されるべき人物だとは限らないでしょう。私が誤って夫に選んでしまったオットー・ヴィンデッシュ=グレーツについて言うなら、実際の人柄は軍での評価とまるで逆、夫や父親としては落第も良いところだった……!

 貴方は、私には手厳しい割に、オットーにはずいぶん理解があるようね? この場にいない、もう亡くなった人の陰口のように思えてしまうのかしら。それなら無用の心配ね。私はあの男とは違うのよ。陰でこそこそと陰謀めいたことを巡らせたりはしない。これは──正当な弾劾よ。それだけの仕打ちを、オットーは私にしたのよ。いいえ、貴方が私の反論を公にしてくれることを期待している訳ではない。だから貴方に語っているという訳ではないのよ。私は貴方に頼らないし、現代のジャーナリストの力なんて必要ない。だって、私はとっくにあの男に言い返してやっているのよ。直接顔を合わせてのことではなく、弁護士を通して法廷に申し立てたということだけど。若かった分、子供たちの養育権がかかっていた分、あの時の私の剣幕を見たら貴方も怖気づいたことでしょう。

 一方的に責め立てることで私をやり込められると思っていたのだとしたら、それこそオットーが私を見ていなかったことの動かぬ証拠だったわ。あの男は、最初から私の財産や、ハプスブルク家の血脈、それがもたらす人脈と結婚したつもりだったのよ。でもね、私はただ泣き寝入りするようなお姫様ではなかったの。私の方も弁護士を立てて、ひとつひとつ細かく反論してやったわ。世間に矮小な本性を暴露されることになったのは、あの男の方だったという訳よ!
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