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第15話 動機、あるいは貴妃の望み
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白鷺貴妃の声は、相変わらず春の薫風のように温かく優しく、柔らかい。けれど、春の芳しさは散る花の香がもたらすものでもあって。今の彼女の美しさは、開ききった花の、最後の儚い輝きでもあるのかもしれなかった。
「白鷺家の考えは、姫君が今言ってくださった通りです。いえ──わたくしとしても、当たっている部分はあるわね。もしかしたら、抱いてくださるのではないか、と……そんな、浅ましいことを」
深窓の姫君にあるまじき直截な表現は、かなり無理をして口にしたのではないか、と思われた。ほんのりと、耳まで赤く染まった貴妃の恥じらう表情は、女の碧燿が見てもいじらしく愛らしいと思う。でも──藍熾の表情は強張るばかり。きょうだい同然と思っていた相手に恋情を吐露されても、受け入れられるものではないのだ。
(とても普通の方、なのね……)
義務として淡々と、思い入れもなく妃嬪を召す皇帝は、宮官の立ち位置から見上げれば冷酷にも見えるけれど。後宮での享楽に溺れた古の君主たちにくらべれば、真っ当な感性の持ち主ではあるのだろう。
でも、そんな藍熾の普通さは、白鷺貴妃をさらに深く傷つけただけだったのだろう。彼女の力ない微笑は、萎れた花弁が落ちるような寂しげで悲しげなものだった。
「けれど、わたくしはほかの者たちよりは藍熾様を信じておりました。不義を犯した妃には、正しく死を賜ってくださると。……巫馬家も、乗ってくれるかと思っていたのだけれど」
「……義父や義兄は、そこまで悪辣ではございません」
しっとりとした眼差しを受けて、碧燿は小さく呟いた。先日、巫馬家にとって都合の良い者に間男の罪を着せれば良い、と言われたのを受けてのことだ。
(おかしいとは思ったのよ。不義を公表すれば、この方も無事では済まないのに)
不義を犯した罪滅ぼしとして、皇帝に害為すものを道連れにしようとしているのか、とも思った。けれど、この方は懐妊していないのではないないか、と考えるとすべてがひっくり返った。真実を打ち明ければ罰せられる必要などないのに、そうしなかったということは。
この方は、死にたかった。そして、そうならないことに焦り、絶望していたのだ。
「……死を望んでいたのか。俺に、そのようなことをさせようとしていたのか。なぜだ」
「後宮の妃嬪は、なべて皇帝の所有物。自分自身であろうと、傷つければ罪になりますから。実家から言い出したことでなければ、とてもできませんでした」
ようやく理解されたことに安堵してか、貴妃の頬に少しだけ光が射したように見えた。声の調子も晴れやかで──けれど、碧燿には奥底に潜む冷ややかさが聞き取れた。
(この方は、ご実家を切り捨てたのね)
実家に罪が及ぶのを恐れて、これまで自害することはできなかった。けれど、皇帝を欺く企みを持ちかけられて、白鷺家の自業自得と見切ったのだろう。自家の権勢があれば、娘の不義の汚名さえ覆い隠せる、だなんて思っていたのだとしたら、確かに傲慢極まりない。貴妃が退けたい君側の奸とは、自らの実家のことだったのかもしれない。
(いいえ、白鷺家のほうがこの方を捨てた……?)
藍熾が先ほど言った通り、彼女の名誉を傷つけ、命まで危険に晒す策でもあった。何より──彼の心を見せつけられるのは辛く悲しいことだっただろう。不義を犯しながら責められないのは、女として見てはいないと突きつけられること。そんな思いは、したくなかっただろうに。
「そういうことではなく……!」
藍熾は、たぶんまだ貴妃の感情をよく分かっていない。というか、彼女が死のうとしていたことに気が取られて、姉同然の相手から思慕されていたと認めたくないのかもしれない。
それはきっと、貴妃にとっては狡い逃避なのだろう。だって、彼女を直截に傷つけたのはほかならぬ藍熾なのだから。──だから、だろうか。花のような唇に、残酷な笑みが浮かんだ。
「姜充媛だけではありませんのよ」
「何の話だ……?」
白鷺貴妃の笑みは歪んで、それこそ炎の中で見た姜充媛の表情を思い出させた。蘇る恐怖と痛みと緊張に、碧燿はそっと、息を吸って吐く。
「わたくしを、名ばかりの貴妃と嘲っていたのは、ということです。もちろん、皆様、表立って言うことはありません。けれど分かるようにしてくださるのです。言葉の端々や笑い方、目線なんかで……!」
後宮という狭い鳥籠の中で、心を矯められ目を歪ませるのは、きっと貴妃であろうと同じこと。だから、紫霓殿を訪ねた妃嬪のすべてがそうだったのか、碧燿には分からない。どこまでが貴妃の被害妄想なのかも。
「最初は、どなたも助けてください、と言ってくるのよ。藍熾様、少しでも貴方の気を惹くにはどうすれば良いのか、って。縋って、拝むように。そうして、めでたくお召しがあると御礼に来てくださるの。わたくしの番が来た時のために、って、何があったかをこと細かに、嬉しそうに……!」
皇帝に召されたところで、素直に喜んで勝ち誇った女がどれだけいたのだろう。物のように運ばれて、素っ気なく扱われて、かえって寵愛への夢や希望に止めを刺された者だっていただろう。貴妃に含むところがあったとしても、強がりや負け惜しみの感情が理由だったことは大いにあり得る、と碧燿は思う。
(でも、この方はそう感じた)
理屈ではないことだ。傍から口を出して感じ方を変えさせるなんて不可能なこと。もう遅いことでもあるし──貴妃は、藍熾にこそ思いのたけをぶつけたいのだろうから。
「姜充媛は、そういうことをなさる前にああなったから──亡くなった人たちには悪いけれど、わたくし、安心しているし喜んでいるの」
芳林殿の火災で命を落としたのは、桃児だけではなかったという。姜充媛も、身代わり云々に加えての放火の罪で死を免れないだろう。多大な犠牲を伴った事件を嬉々として語る貴妃は、姿かたちが美しいからこそ禍々しく恐ろしかった。
「俺は」
藍熾にとっても、初めて目にする不吉な笑みで、初めて聞いた昏い想いだっただろう。ようやく紡ぎ出された彼の声は、いつもの傲慢さの影もなく弱々しく擦れていた。
「淑真──お前を大切に思っている。兵もなく、追われ狙われていたころから、お前は変わらず優しかった。だから報いたかった。傍にいて欲しかったから、位を与えた。ほかの女どもとは違う扱いをした。何が足りなかった。不満だった……?」
「もったいない御心と、存じてはおりました。けれど嬉しくはありませんでした。わたくしが欲しいものを、貴方は決してくださらない。分かってはいました。分かっていたけれど──思い知らされました」
貴妃は、愛して欲しかった、などとは言わなかった。この期に及んで乞うたところで、叶わないのが分かり切っているからだろう。儚い笑みは、それでもどこか満足そうで──愛する人を十分傷つけ苦しめたことを知って、喜んでいるようにも見えた。
(それとも、終わりにできるから……?)
貴妃と藍熾の関係はこれまでは安定していた。荒れ狂う内心を抑えて、優しく微笑む日々は辛かっただろう。でも、企みを暴かれ、ここまで心の奥底をさらけ出しては、もう以前のようにはもう以前の関係には戻れない。藍熾にとっては受け入れがたいことかもしれないけれど、貴妃にとっては解放なのかもしれない。碧燿にはそう感じられた。
「姜充媛を罪に問うならば、わたくしも、白鷺家も同罪でございます。皇帝陛下を欺いたのですから。いいえ、そうでなくても──わたくしは、貴方の妻でいたくない。形ばかりの貴妃と嘲られることには耐えられない。妃嬪の筆頭の位をいただいておきながら、重大な不義であり裏切りです。罰を受けなければなりません」
少なくとも、藍熾に向けた貴妃の笑顔は、こんどこそ曇りなく清らかで晴れやかなものだった。
「どうか、わたくしに死を賜りますように」
* * *
ほどなくして、後宮の記録に一節が加わった。
白鷺貴妃、病を得る。格別の寵をもって、後宮を辞することを許される。
後宮の女は、普通なら死ななければ後宮を出られない。身分高い妃嬪でも、最期に家族に会うこともできなくて当たり前なのだ。そんな中、この情念渦巻く鳥籠から解放されたのは、確かに格別の待遇ではあっただろう。恐らく、白鷺家に対しては、狂言の懐妊を盾にしての皇帝からの交渉というか恫喝があったのではないかという気がする。そういった水面下のやり取りも、記録には残らない類のものだ。
とはいえ、今回ばかりは碧燿も真実が歪められた、とは思わない。
(貴妃様は、確かに病んでいたのだもの)
死を願うほどに思い詰めるのも、愛する人を傷つけて悦んでしまうのも、健やかな心の在り方ではない。病むのは肉体ばかりではないのを、彼女はよく知っている。
だから、慣れたいつもの仕事に戻った碧燿は、筆を休めて目を上げた時に、窓の外を飛ぶ宮鴉の群れを見ては、思うのだ。
真白い鳥を思わせる、あの美しく気高い方が、いずれ傷を癒してのびやかに羽ばたくことができれば良い、と。
「白鷺家の考えは、姫君が今言ってくださった通りです。いえ──わたくしとしても、当たっている部分はあるわね。もしかしたら、抱いてくださるのではないか、と……そんな、浅ましいことを」
深窓の姫君にあるまじき直截な表現は、かなり無理をして口にしたのではないか、と思われた。ほんのりと、耳まで赤く染まった貴妃の恥じらう表情は、女の碧燿が見てもいじらしく愛らしいと思う。でも──藍熾の表情は強張るばかり。きょうだい同然と思っていた相手に恋情を吐露されても、受け入れられるものではないのだ。
(とても普通の方、なのね……)
義務として淡々と、思い入れもなく妃嬪を召す皇帝は、宮官の立ち位置から見上げれば冷酷にも見えるけれど。後宮での享楽に溺れた古の君主たちにくらべれば、真っ当な感性の持ち主ではあるのだろう。
でも、そんな藍熾の普通さは、白鷺貴妃をさらに深く傷つけただけだったのだろう。彼女の力ない微笑は、萎れた花弁が落ちるような寂しげで悲しげなものだった。
「けれど、わたくしはほかの者たちよりは藍熾様を信じておりました。不義を犯した妃には、正しく死を賜ってくださると。……巫馬家も、乗ってくれるかと思っていたのだけれど」
「……義父や義兄は、そこまで悪辣ではございません」
しっとりとした眼差しを受けて、碧燿は小さく呟いた。先日、巫馬家にとって都合の良い者に間男の罪を着せれば良い、と言われたのを受けてのことだ。
(おかしいとは思ったのよ。不義を公表すれば、この方も無事では済まないのに)
不義を犯した罪滅ぼしとして、皇帝に害為すものを道連れにしようとしているのか、とも思った。けれど、この方は懐妊していないのではないないか、と考えるとすべてがひっくり返った。真実を打ち明ければ罰せられる必要などないのに、そうしなかったということは。
この方は、死にたかった。そして、そうならないことに焦り、絶望していたのだ。
「……死を望んでいたのか。俺に、そのようなことをさせようとしていたのか。なぜだ」
「後宮の妃嬪は、なべて皇帝の所有物。自分自身であろうと、傷つければ罪になりますから。実家から言い出したことでなければ、とてもできませんでした」
ようやく理解されたことに安堵してか、貴妃の頬に少しだけ光が射したように見えた。声の調子も晴れやかで──けれど、碧燿には奥底に潜む冷ややかさが聞き取れた。
(この方は、ご実家を切り捨てたのね)
実家に罪が及ぶのを恐れて、これまで自害することはできなかった。けれど、皇帝を欺く企みを持ちかけられて、白鷺家の自業自得と見切ったのだろう。自家の権勢があれば、娘の不義の汚名さえ覆い隠せる、だなんて思っていたのだとしたら、確かに傲慢極まりない。貴妃が退けたい君側の奸とは、自らの実家のことだったのかもしれない。
(いいえ、白鷺家のほうがこの方を捨てた……?)
藍熾が先ほど言った通り、彼女の名誉を傷つけ、命まで危険に晒す策でもあった。何より──彼の心を見せつけられるのは辛く悲しいことだっただろう。不義を犯しながら責められないのは、女として見てはいないと突きつけられること。そんな思いは、したくなかっただろうに。
「そういうことではなく……!」
藍熾は、たぶんまだ貴妃の感情をよく分かっていない。というか、彼女が死のうとしていたことに気が取られて、姉同然の相手から思慕されていたと認めたくないのかもしれない。
それはきっと、貴妃にとっては狡い逃避なのだろう。だって、彼女を直截に傷つけたのはほかならぬ藍熾なのだから。──だから、だろうか。花のような唇に、残酷な笑みが浮かんだ。
「姜充媛だけではありませんのよ」
「何の話だ……?」
白鷺貴妃の笑みは歪んで、それこそ炎の中で見た姜充媛の表情を思い出させた。蘇る恐怖と痛みと緊張に、碧燿はそっと、息を吸って吐く。
「わたくしを、名ばかりの貴妃と嘲っていたのは、ということです。もちろん、皆様、表立って言うことはありません。けれど分かるようにしてくださるのです。言葉の端々や笑い方、目線なんかで……!」
後宮という狭い鳥籠の中で、心を矯められ目を歪ませるのは、きっと貴妃であろうと同じこと。だから、紫霓殿を訪ねた妃嬪のすべてがそうだったのか、碧燿には分からない。どこまでが貴妃の被害妄想なのかも。
「最初は、どなたも助けてください、と言ってくるのよ。藍熾様、少しでも貴方の気を惹くにはどうすれば良いのか、って。縋って、拝むように。そうして、めでたくお召しがあると御礼に来てくださるの。わたくしの番が来た時のために、って、何があったかをこと細かに、嬉しそうに……!」
皇帝に召されたところで、素直に喜んで勝ち誇った女がどれだけいたのだろう。物のように運ばれて、素っ気なく扱われて、かえって寵愛への夢や希望に止めを刺された者だっていただろう。貴妃に含むところがあったとしても、強がりや負け惜しみの感情が理由だったことは大いにあり得る、と碧燿は思う。
(でも、この方はそう感じた)
理屈ではないことだ。傍から口を出して感じ方を変えさせるなんて不可能なこと。もう遅いことでもあるし──貴妃は、藍熾にこそ思いのたけをぶつけたいのだろうから。
「姜充媛は、そういうことをなさる前にああなったから──亡くなった人たちには悪いけれど、わたくし、安心しているし喜んでいるの」
芳林殿の火災で命を落としたのは、桃児だけではなかったという。姜充媛も、身代わり云々に加えての放火の罪で死を免れないだろう。多大な犠牲を伴った事件を嬉々として語る貴妃は、姿かたちが美しいからこそ禍々しく恐ろしかった。
「俺は」
藍熾にとっても、初めて目にする不吉な笑みで、初めて聞いた昏い想いだっただろう。ようやく紡ぎ出された彼の声は、いつもの傲慢さの影もなく弱々しく擦れていた。
「淑真──お前を大切に思っている。兵もなく、追われ狙われていたころから、お前は変わらず優しかった。だから報いたかった。傍にいて欲しかったから、位を与えた。ほかの女どもとは違う扱いをした。何が足りなかった。不満だった……?」
「もったいない御心と、存じてはおりました。けれど嬉しくはありませんでした。わたくしが欲しいものを、貴方は決してくださらない。分かってはいました。分かっていたけれど──思い知らされました」
貴妃は、愛して欲しかった、などとは言わなかった。この期に及んで乞うたところで、叶わないのが分かり切っているからだろう。儚い笑みは、それでもどこか満足そうで──愛する人を十分傷つけ苦しめたことを知って、喜んでいるようにも見えた。
(それとも、終わりにできるから……?)
貴妃と藍熾の関係はこれまでは安定していた。荒れ狂う内心を抑えて、優しく微笑む日々は辛かっただろう。でも、企みを暴かれ、ここまで心の奥底をさらけ出しては、もう以前のようにはもう以前の関係には戻れない。藍熾にとっては受け入れがたいことかもしれないけれど、貴妃にとっては解放なのかもしれない。碧燿にはそう感じられた。
「姜充媛を罪に問うならば、わたくしも、白鷺家も同罪でございます。皇帝陛下を欺いたのですから。いいえ、そうでなくても──わたくしは、貴方の妻でいたくない。形ばかりの貴妃と嘲られることには耐えられない。妃嬪の筆頭の位をいただいておきながら、重大な不義であり裏切りです。罰を受けなければなりません」
少なくとも、藍熾に向けた貴妃の笑顔は、こんどこそ曇りなく清らかで晴れやかなものだった。
「どうか、わたくしに死を賜りますように」
* * *
ほどなくして、後宮の記録に一節が加わった。
白鷺貴妃、病を得る。格別の寵をもって、後宮を辞することを許される。
後宮の女は、普通なら死ななければ後宮を出られない。身分高い妃嬪でも、最期に家族に会うこともできなくて当たり前なのだ。そんな中、この情念渦巻く鳥籠から解放されたのは、確かに格別の待遇ではあっただろう。恐らく、白鷺家に対しては、狂言の懐妊を盾にしての皇帝からの交渉というか恫喝があったのではないかという気がする。そういった水面下のやり取りも、記録には残らない類のものだ。
とはいえ、今回ばかりは碧燿も真実が歪められた、とは思わない。
(貴妃様は、確かに病んでいたのだもの)
死を願うほどに思い詰めるのも、愛する人を傷つけて悦んでしまうのも、健やかな心の在り方ではない。病むのは肉体ばかりではないのを、彼女はよく知っている。
だから、慣れたいつもの仕事に戻った碧燿は、筆を休めて目を上げた時に、窓の外を飛ぶ宮鴉の群れを見ては、思うのだ。
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