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第二十一章 帰っても忙しい毎日。

第441話 聞いてみないと判らないお悩み相談⑨。

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 「お疲れの中、遠くザクセンまで良くお越し下さいました。わたくし、当ザクセンの町長をしておりますエミール・ロスと申します。」
「今日は宜しく頼む。私が、領主のオオガミだ。」

 挨拶に出て来た、町長は見た目は五十代過ぎの、白髪交じりの目付きは鋭いが愛想の良い男に感じた。

「まずは、我が屋敷にて長旅の疲れを癒やして頂き、お話しは明日の朝食後に致しましょう。」
「そうか、世話をかけるな。案内を頼むよ。」

周りは、もう夕方になりそうな時間であった様で、話しは明日にすると町長に言われた。
ここで無理しても、話しが進まないと思い、素直に町長の言葉に同意した。
案内された控えの間で、窓から町の様子を眺めていると、扉から声がかけられる。


「ご領主様、夕食のご用意が整いましたので、食堂へどうぞいらして下さい。」
「そうか。分かった。」

扉を出ると、お手伝いさんなのか、中年の女性が畏まっていた。

「案内を頼むよ。」

案内されて、食堂へ連れて行かれた。



「改めまして、よくぞザクセンへお越しくださいました。」
「いや、今日は世話をかけるね。迷惑代だ、収めてくれるかな?」

懐から金貨の入った小袋を出すとエミール町長の前に出した。

「これは有り難う御座います。大事に使わせて頂きます。」

小袋を大事に仕舞うと、お辞儀をしながら礼を言う。

「それにしましてもご領主様、今回お連れの女性が多いのですね。」
「済まんな、騒がしくて。」
「いえ、とんでもありません。何も無い所ですが、おくつろぎ頂ければ宜しいのですが。」
「後程、改めて彼女達は紹介するよ。」
「宜しく、お願いします。」

そんな話をしていると、食堂に皆んな集まって来た。
許嫁達が入ってくると、町長は立上がって彼女達を迎え入れた。




「では町長。早速だが彼女達を紹介するとしょう。まず、ソニアだ、彼女は王国の第一王女で私の許嫁である。ソニア、エミール・ロス、ザクセン町長だ。彼に挨拶を。」
「初めまして。わたくしウェザリア王国第一王女のソニア・フォン・ウェザリアですわ。ショウ様の許嫁ですの。宜しくですわ。」

まさか相手が、王国王女殿下とは思いもよらず、名乗りを聞いた途端、椅子から慌てて降りて片膝を着くと、深々と頭を下げた。

「殿下とは思いませんでした。大変失礼を致しました。」
「気にしなくても良いのですよ。わたくしは只の許嫁ですから。」

そう言うとニッコリと微笑む。

挨拶が済んだ様なので、続いてセイラに移る。

「隣は、リヒト公爵家の長女の、セイラ・フォン・リヒト公女です。さあ、セイラ。ロス町長に挨拶を。」
「セイラです。ワタクシもショウ様の許嫁ですわ。良しなに頼みますわ。」

一段落した様なので、最後に白い司祭服を着ているシーラの紹介をする。

「続いてこちらは、シーラ嬢だ。現在、正神教会の司祭をしている。シーラ、ロス町長にご挨拶を。」
「ロス町長。初めまして、私はシーラ・ウィンドフィールドと申します。教会で働いております。同じくショウ様の許嫁となります。もし宜しければ、何かお手伝い出来る事が有れば、お言い付け下さいね。」
「これは有り難う御座います。是非に町民達のお願いすることが有ればヨロシク頼みます。」
「お任せ下さい。」

そして、年少組の二人を紹介に移る。

「こちらは、エルフがアイリスで虎人族がアルメイダだ。二人共に私の義理の妹分なので、宜しく頼む。町長にご挨拶しなさい。」
「アイリスよ。宜しくたのむわ。」
「あたしは、アルメイダにゃ。宜しくにゃ。」

こうして、一通り挨拶を済ますと食事が用意され始める。

待っている間に、ロス町長が話しかけてきた。

「ご領主様、よい機会なのでご領主様にお願いが御座います。」
「ほぅ、一体何かな?」

身を畏まらせて、ロス町長は続けた。

「はい、実はザクセンはここの所人口の増加が著しく、特に帝国で混乱があった時期は、人族以外の者達が集団で移動して来まして、元の住民とトラブルの元となっております。最近は少なくなりましたが、それでも無くなりません。なにか良い手立ては有りませぬか?」

そう私に言って来る。

「そうか、ここでも問題が起こっているのか。他の村からは、余りその話は聞かなかったが、町の規模が他所より大きいからな、その手の問題が有るのかもな。それで、私にどうしてもらいたい。具体的な要望があれば、叶えるに吝かやぶさかではないぞ。どうなんだ?」

 町長に具体的な対処方法を尋ねた。

「実は、部族と言うか種族毎に要望が異なりまして。例えば、エルフ族ならば、安心して住める場所が欲しいとか、虎やオオガミと言った獣人族は狩りが出来る場所が欲しいとかなんです。ですので、ご領主様にはこの際、彼等と一度お会いして頂いて、相談して頂ければ解決出来るかもと思いまして、ご相談したしだいです。如何でしょうか。」

町長が真剣に相談して来たので、これは無碍には出来ないなと思い、一通り話しを聞いた。

「そうか。分かった。急な話だから、食事の後に返事をしよう。それで良いかな?」
「はい。お食事のお邪魔をしまして、申し訳有りませんが、宜しくお願いします。」

やっと夕食となり、アルメイダが騒ぐ前に始まり、内申ホッとしたオオガミである。

























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