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第十九章 ケルン掌握。
第392話 収穫祈願祭当日。
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「お早うございます。旦那様そろそろお時間でございます。」
サウルの声を聞いて、目を覚ました私は、久し振りのベットでの寝起きでは、相も変わらずにいつの間に潜り込んだのか、アイリスとアルメイダの二人が布団に入り込んでいた。私の方でも慣れたもので、気が付かずに眠り込んでいたようだ。僅か、三~四日程留守にしていただけで寂しがる様なこの有様には困ったものだが。
「分かったよ。着替えてからすぐに行くよ。」
そう声に応えてから、布団の中の二人を起しにかかる。
「アルメイダもアイリスも時間だよ。起きなさい。遅れると朝飯抜きになるぞ。」
「うん・・・もう朝なの?起きなきゃ。」
「まだ眠いのにゃ。でも起きないと朝食無しになっちゃうにゃ。」
二人共に、ブツブツと文句を言いながらも、ベットから下りて着替えを始める。
何時も不思議なのだが、いつの間にこの部屋に着替えを用意しているのかと、前々から不思議なのだが・・・。
着替えが済むと、全員に〈クリーン〉を唱えてサッパリしたあと、食堂に向かう。
食堂では、今日はお祭りということで何時もより少し豪勢な朝食が供されていた。
メニューも鶏の焼き物に春野菜のサラダに玉子入りのトロ味のある野菜スープと白パンである。
年少組の二人はひたすらに黙って食べていた。それを見て、家に帰ってきているのを実感する私だった。
「サウル、今日のお祭りのスケジュールはどうなっているのかな?」
私の問い掛けに、慌てずサウルはスケジュールを答えてくれた。
「はい。この後のご予定ですが、この食事後に九時から広場に於いて教会の司祭様から祭りの開催の言葉を頂き、その後に閣下からの祝辞の言葉の後に、午後の六時まで祭りを行います。六時に祭りは閉会となりまして、今年のお祭りは終了となります。」
「じゃあ、私は開始の時の挨拶だけで良いのかな?」
「はい。旦那様にはご挨拶の言葉をして頂ければ、あとは私や教会の司祭様の方で取り仕切りますので。ご任せ下さい。」
「分かったよ。任せっぱなしで、ご苦労様だね。」
「いえ、これも努めですのでお気になさらず。」
「うん。助かるよ。」
こうして朝食も済み、お祭りの為に準正装に着替えると会場である街の広場に向かった。
すでに、広場には街中から集まった人々がおり、早くも屋台が良い匂いをさせた商品を並べている。昨年の秋の収穫祭の時に比べても、人口が増えた為か多くの人数がその広場に集まっていた。
私が広場に姿を現した為か、見物人達のざわめきが収まり、少ししてから今度は、ヒソヒソと隣の者との話し声が聴こえてきた。
そんな中を九時になったと鐘の音が響いた。すると司会役のハザルの声が響いた。
「それでは時間となりましたので、春の豊作祈願祭を執り行います。まずは、司祭様の開催のお言葉から。」
教会の司祭が助祭やシスター達を引き連れて広場に現れると広場のざわめきは収まり、静寂の中を進み、やがて司祭の声がに響く。
「皆さん、長かった冬も終わり、再び緑が芽吹く春となりました。皆さん、神は全てをご覧になりすべてを知り給います。その中で私達は己の出来る事を行い、何者にも恥じる事のない毎日を送っております。それこそが神の望みなのです。神は皆さんの行動を観ております。長くなりましたが、神々は皆さんの行いをご覧になっています。日々神に感謝を忘れず、毎日の作業を行いましょう。以上で春の豊作祈願とさせて頂きます。皆さんに大地母神始め神々の恩寵あらん事を祈ります。」
司祭の話しが終わり、ホッとしたのか、再びざわ付きがはじまった。その中で司会が再び声を発する。
「続きまして、ご領主様に開催のお言葉を頂きます。お願いします。」
(私の番が来たな。さて、何を話そうかな。まっ、出たとこ勝負でいくか。)
立ち上がりながら、そんな事を考えていた。
「昨年は色々とありました。早いもので私が来てもう半年近くとなりました。今年も皆さんのお力を借りて、より良い豊作を祈願して、神々に感謝をして春の豊作祈願祭を始めます。」
私の声と共に聞き入っていた街の人たちが皆『ウォー!』と歓声を上げた。
こうして無事にお祭りは始まった。広場に集った人々は、それぞれ屋台を巡ったり露天を巡ぐったりと思い思いに祭りを満喫する。中には教会で司祭の開くミサに参加して、神々についての話を聞いたりする信心深い者や、逆に昼間っから酒場でエールを飲み始める者達がいたりと、それぞれのやり方で祭りを祝った。私も司祭からミサに誘われたが、ある意味洒落にならないからね、断ったよ。
私は始めの開催の言葉を済ますと、屋敷でさっさと平服に着替えてから『カフェ・エチゴヤ』に向かうと、メニューから甘い物を頼んでそれをひとしきり楽しんだ。
来客の客層としては、やはり女性や子供が目立ったが、今日はお祭り当日という事もあり、昼間から他にドワーフ達を中心に酔っ払い達が冷えたエールを中心に頼んでいる者も目立った。流石に酒飲みは甘い物は頼んでいないようだけど、ツマミに辛いソーセージやチーズを頼んでいる者が目立った。
(おツマミや乾き物も良いのかも知れないな。)
そんな事を考えながらも、クッキーを摘んでいた。
実は私も以前よりかは少しは飲める様になったが、それでも未だに自分からは飲もうとはまだ思えないでいる。そんな自分だが、ワインやミード(蜂蜜酒)やエールの他に、ビールやブランデーやウィスキーといった蒸留酒や醸造酒を来年辺りに挑戦しようかと思っている。自分で飲むのではなく、特産品になるかと思っているからだ。
あと砂糖黍(きび)の栽培又は砂糖大根の栽培を考えてみた。甘味を作るにしても、砂糖は大量に必要だからね。
外国から輸入しても良いのだが、今後も考えると地産地消した方が材料としては安上がりですむしね。
など、一応領主として先々の事を考えているようにみせているが、午後は許嫁達と妹分を引き連れて、食べ歩きしてその一日が終わったのだった。
サウルの声を聞いて、目を覚ました私は、久し振りのベットでの寝起きでは、相も変わらずにいつの間に潜り込んだのか、アイリスとアルメイダの二人が布団に入り込んでいた。私の方でも慣れたもので、気が付かずに眠り込んでいたようだ。僅か、三~四日程留守にしていただけで寂しがる様なこの有様には困ったものだが。
「分かったよ。着替えてからすぐに行くよ。」
そう声に応えてから、布団の中の二人を起しにかかる。
「アルメイダもアイリスも時間だよ。起きなさい。遅れると朝飯抜きになるぞ。」
「うん・・・もう朝なの?起きなきゃ。」
「まだ眠いのにゃ。でも起きないと朝食無しになっちゃうにゃ。」
二人共に、ブツブツと文句を言いながらも、ベットから下りて着替えを始める。
何時も不思議なのだが、いつの間にこの部屋に着替えを用意しているのかと、前々から不思議なのだが・・・。
着替えが済むと、全員に〈クリーン〉を唱えてサッパリしたあと、食堂に向かう。
食堂では、今日はお祭りということで何時もより少し豪勢な朝食が供されていた。
メニューも鶏の焼き物に春野菜のサラダに玉子入りのトロ味のある野菜スープと白パンである。
年少組の二人はひたすらに黙って食べていた。それを見て、家に帰ってきているのを実感する私だった。
「サウル、今日のお祭りのスケジュールはどうなっているのかな?」
私の問い掛けに、慌てずサウルはスケジュールを答えてくれた。
「はい。この後のご予定ですが、この食事後に九時から広場に於いて教会の司祭様から祭りの開催の言葉を頂き、その後に閣下からの祝辞の言葉の後に、午後の六時まで祭りを行います。六時に祭りは閉会となりまして、今年のお祭りは終了となります。」
「じゃあ、私は開始の時の挨拶だけで良いのかな?」
「はい。旦那様にはご挨拶の言葉をして頂ければ、あとは私や教会の司祭様の方で取り仕切りますので。ご任せ下さい。」
「分かったよ。任せっぱなしで、ご苦労様だね。」
「いえ、これも努めですのでお気になさらず。」
「うん。助かるよ。」
こうして朝食も済み、お祭りの為に準正装に着替えると会場である街の広場に向かった。
すでに、広場には街中から集まった人々がおり、早くも屋台が良い匂いをさせた商品を並べている。昨年の秋の収穫祭の時に比べても、人口が増えた為か多くの人数がその広場に集まっていた。
私が広場に姿を現した為か、見物人達のざわめきが収まり、少ししてから今度は、ヒソヒソと隣の者との話し声が聴こえてきた。
そんな中を九時になったと鐘の音が響いた。すると司会役のハザルの声が響いた。
「それでは時間となりましたので、春の豊作祈願祭を執り行います。まずは、司祭様の開催のお言葉から。」
教会の司祭が助祭やシスター達を引き連れて広場に現れると広場のざわめきは収まり、静寂の中を進み、やがて司祭の声がに響く。
「皆さん、長かった冬も終わり、再び緑が芽吹く春となりました。皆さん、神は全てをご覧になりすべてを知り給います。その中で私達は己の出来る事を行い、何者にも恥じる事のない毎日を送っております。それこそが神の望みなのです。神は皆さんの行動を観ております。長くなりましたが、神々は皆さんの行いをご覧になっています。日々神に感謝を忘れず、毎日の作業を行いましょう。以上で春の豊作祈願とさせて頂きます。皆さんに大地母神始め神々の恩寵あらん事を祈ります。」
司祭の話しが終わり、ホッとしたのか、再びざわ付きがはじまった。その中で司会が再び声を発する。
「続きまして、ご領主様に開催のお言葉を頂きます。お願いします。」
(私の番が来たな。さて、何を話そうかな。まっ、出たとこ勝負でいくか。)
立ち上がりながら、そんな事を考えていた。
「昨年は色々とありました。早いもので私が来てもう半年近くとなりました。今年も皆さんのお力を借りて、より良い豊作を祈願して、神々に感謝をして春の豊作祈願祭を始めます。」
私の声と共に聞き入っていた街の人たちが皆『ウォー!』と歓声を上げた。
こうして無事にお祭りは始まった。広場に集った人々は、それぞれ屋台を巡ったり露天を巡ぐったりと思い思いに祭りを満喫する。中には教会で司祭の開くミサに参加して、神々についての話を聞いたりする信心深い者や、逆に昼間っから酒場でエールを飲み始める者達がいたりと、それぞれのやり方で祭りを祝った。私も司祭からミサに誘われたが、ある意味洒落にならないからね、断ったよ。
私は始めの開催の言葉を済ますと、屋敷でさっさと平服に着替えてから『カフェ・エチゴヤ』に向かうと、メニューから甘い物を頼んでそれをひとしきり楽しんだ。
来客の客層としては、やはり女性や子供が目立ったが、今日はお祭り当日という事もあり、昼間から他にドワーフ達を中心に酔っ払い達が冷えたエールを中心に頼んでいる者も目立った。流石に酒飲みは甘い物は頼んでいないようだけど、ツマミに辛いソーセージやチーズを頼んでいる者が目立った。
(おツマミや乾き物も良いのかも知れないな。)
そんな事を考えながらも、クッキーを摘んでいた。
実は私も以前よりかは少しは飲める様になったが、それでも未だに自分からは飲もうとはまだ思えないでいる。そんな自分だが、ワインやミード(蜂蜜酒)やエールの他に、ビールやブランデーやウィスキーといった蒸留酒や醸造酒を来年辺りに挑戦しようかと思っている。自分で飲むのではなく、特産品になるかと思っているからだ。
あと砂糖黍(きび)の栽培又は砂糖大根の栽培を考えてみた。甘味を作るにしても、砂糖は大量に必要だからね。
外国から輸入しても良いのだが、今後も考えると地産地消した方が材料としては安上がりですむしね。
など、一応領主として先々の事を考えているようにみせているが、午後は許嫁達と妹分を引き連れて、食べ歩きしてその一日が終わったのだった。
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