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第十八章 帝国大乱。

第370話 ただ今成長中。

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    サウルとレナードとに朝食後に報告を兼ねた連絡会議をしたあと、今日の予定通りまずは、世界樹の元にアイリスを連れていく。
アイリスは、会議が終わると同時に外出着で部屋に入ってきた。

「お話は終わったのよね?」
「ああ、今丁度にね。」
「なら、私をイーストンに連れていって。」
「私も着替えるからここで待っていてくれ。」

そう伝えると、寝室に移り、何時もの冒険者スタイルに着替える。

「お待たせ。じゃあまずは、スメラギの里に飛ぶぞ。私の側に寄って。〈テレポート〉。」

一気にミコトのいるハイエルフの里に飛ぶ。

「到着っと。」

目の前でいきなり現れた我々に驚いている門番に話しかける。  

「オオガミだけど、ミコト殿はいるかい?」

「何?オオガミだと。そう言えば前にも見たことが、・・・!・・・はっ、承知致しました。今ミコト様がお通ししろとのお達しだ。ついて参れ。」

門番に案内されて屋敷に向かうと、見慣れた屋敷が現れる。玄関にはミコトがわざわざ出迎えに出ていた。

「久しぶりです。ミコト殿。」
「うむ、オオガミもアイリスも久しぶりじゃの。元気にしておったか?」
「ええ、私は元気よ。は元気かしら。」
「うむ。順調に育っておるぞ。我らハイエルフはとは意識が繋がっておるからの。の機嫌が良いと妾も嬉しくなるのじゃ。そうであろう、アイリス?」
「ええ。機嫌良く歌っているのを聞くと、私も一緒に歌いたくなるわ。」
「そうじゃろう。オオガミはどうじゃ?」
「俺は話しかけられるとわかるが、歌は近くないと聞こえないな。」
「そうか。我らとは違うか。これは種族の違いからかの?」
「恐らくはそうだろうな。さて、早速会いに向かうとするか。ミコト殿はどうする?」
「勿論一緒に行くぞ。」
「わかった。近くに寄ってくれ。・・・では飛ぶぞ。〈テレポート〉。」

    目の前の光景が歪んだ後に、前回見た光景とは全く異なり、湖の回りは色とりどりの花が咲き乱れるお花畑となっていた、湖水は更に透き通り光に輝き、水面には蓮に似た植物の花や蕾が顔を見せている。真ん中の島に花の絨毯に囲まれて、高さ二十メートル直径二メートル以上の太い幹に育った世界樹がいた。私達が来たことが分かったのか、穏やかに葉から出ていた、光の粒子が喜びの余りか、急に大量に出てきた。

(パーパ、パーパ。着てくれて嬉しい。嬉しい。マーマ達もまた来てくれたね。嬉しいよ。)

頭の中に世界樹の歓喜の声が響く。

「少し見ない内に、大きくなったな。元気だったかい?」
(うん。元気だよパーパ。でもパーパのチカラを注いで欲しいな。もっと大きくなるのに必要なの。マーマも。)
「オオガミよ、世界樹の元に連れて連れて行ってくれるかの?」
「わかった。〈フライ〉〈フライ〉〈フライ〉。」

浮き上がると、二人の手を左右に繋いだまま世界樹の元に向かう。

「ほら、足元に気を付けろよ。じゃ、早速始めるか。」  
(パーパ、魔力をちょうだい。マーマ達も。)
「ハイハイ。一寸待ってね。」

幹に手を添えて、体の中の魔力を循環させる。幹に添えた掌から魔力が吸い出されていく。

暫くすると、足元の植物の蕾が開いていき、一段と光の粒子を撒き散らしながら大きく花を咲かせていく。世界樹の足下が花で一杯となると、次は湖に浮いている蓮の花の蕾がこれもまた開いて花を咲かせる。しかも時が経つと、それらの花の中に下級精霊があらわれていた。
生まれたての下級精霊達はフワフワと漂いながら、世界樹の周囲に集まっている。

結局、合計で七千程魔力を与える頃には、枝振りが広がり、葉っぱも更に繁り、葉っぱの先からは光の粒子が葉っぱを照している。

「えらく葉っぱが繁ったな。精霊も沢山生まれたし。悪いがここまでだ。この後にも予定があるからな。」
(残念。パーパまた来てね。)
「おう。また来るからな。アイリスはこの後どうする?私はヒラドからセイトに飛ぶ都合があるけども。」
「夕方までここにいるわ。この子とも、もう少しお話ししたいから。」
「じゃあ、ミコト。アイリスを頼めるかな?」
「ええ、良いわよ。夕方前に迎えに着てね。」
「了解だ。では後程。」
(パーパ、バイバイ。)
「また会いに来るからな。〈テレポート〉。」

別れの挨拶を世界樹にして、ヒラドの執務室に〈テレポート〉する。 

執務室に現れると、インベントリィから何時もの仮面を取り出して顔に被り、そしてオカベの執務室に向かう。

 
(コンコン♪)

「失礼するよ。オカベは居るかな?」
「これは殿。客人のお迎えですか?殿、今回は良いお話をさせて頂いた。早速条約の締結に向けて動こうと思います。シンドバッド殿、今後共に宜しくお願いいたす。」
「いや、こちらこそ良い会談でありました。今後も宜しく。」

お互いに握手を交わして、良い雰囲気で挨拶しているのを見て、互いに良い形で話し合いが進んだようだね。

「では、次にセイトの現地政府の者に会ってもらいましょう。シンドバット殿、私の近くに寄ってください。オカベまた日を改めて、詳しい話を聞くから。・・・〈テレポート〉。」

次に飛んだのは、セイトで私用に与えられた元王様の執務室だ。流石にシンドバット氏も慣れたのか、私の〈テレポート〉にも驚きを見せなかった。

「済まぬが、担当者をよんでくるから、ソファーに掛けて待っていてくれ。」
 
そう伝えると、執務室を出て、大統領の執務室へと移動する。さて、話を聞いて大統領はどんな顔をするかな。見物だな。


                                                            
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