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第十六章 サウスラーニは面倒臭い。

第339話 懲りない面々。

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    ドラクル領の闇ギルド支部を潰して、襲撃してきた事の落とし前を着けた翌日。
宿泊で泊まった村から早朝に出発する。次の目標はロドレス子爵領の領都のロドレスだ。日程は二日かかる予定だ。途中で村に1泊して翌日中にロドレスに着く。問題は村に宿泊する時だな。

    以前に調べた時にツール近辺には三つ闇ギルドの支部が在ることかを判っていた。        
    ドラクルで、その一つを潰したので残りはそのロドレスと、ツールの南隣りにあるケアンズの二ヶ所だ。

    他に帝国からの部隊が三つ私を狙っている様だ。
再びマップで確認しないと、敵も身を隠すために移動していると思うからね。

    そんな事を考えながら、丸くなって私の膝の上で寝ているアルメイダを撫でている。

「〈マップ表示・オン〉私に敵意の有る者。」

    広範囲に映るようにマップを調整すると、やはりと言うかロドレスとケアンズの街にそれぞれ赤い光点があり、その他にも変わらずに三つの赤い光点が存在する。しかも一つは直ぐ側まできていた。

    鑑定して確認すると、魔法兵中心の五十人の部隊だ。
丁度領境の辺りで待ち受けているようだ。

「〈サーチ・敵のリーダー〉表示黒。」

表示されたのを認してから
馬車の窓を開けると、先頭にいるレナードに向かって呼び掛けた。

「レナード!来てくれ。」

    先頭で車列を引率していた騎馬が全体に停止を命じて停まると、こちらに向けて馬を寄せてくる。

「閣下、如何しましたか?」
「実はね。この先の領境の辺りで、敵が待ち伏せをしている様だ。しかも魔法兵中心だな。五十人いるから迎撃してくれ。魔法対策は私がする。折角の機会だ。帝国軍の貴重な魔法兵を倒して帝国軍にダメージを与えるとする。」
「承知しました。閣下の方で魔法対策して頂けるのですね。」
「ああ、呪文を封じるよ。後は任せるが、大丈夫だよね?」
「はい、接近して格闘戦に持ち込めれば、問題は有りません。お任せください。」
「うん、頼むよ。魔法使いの他にも護衛として、十人程の騎士が一緒のようだから気を抜くなよ。」
「お任せください。 」

そう言って、手配のために騎士達を集めに行く。

段取りが済むと、私は乗っている馬車と馬と自分に〈リフレクション〉を掛けておいてから、馬車を進めた。

マップには横一列に整列して。迎撃体制を敷いて待っている敵に魔法対策を早速する。

「〈マップ表示・オン〉〈サーチ・帝国からの襲撃者〉、〈マルチロック〉表示赤、〈サイレス〉。〈マルチロック〉表示赤、〈サイレントワールド〉。〈マルチロック〉表示赤、〈グラビティー〉五G。」

     (さて、どうなることやら。)

「来たぞ!魔法を先頭の馬車に集中して(放て!)」
『・・・※・?!』
「(どうした。はやく放て!ぐわ!)・・・?!」

途端に魔法使いと見て分かるローブを着けている者は、崩れ落ちて膝を着いたり、膝に手を置いて、重さに耐えている。護衛の騎士も持っている剣が重いのか剣先を地面に着けたまま、下ろしている。

    車列を停めて、馬車から降りる。襲撃者達に向かって告げる。

「やあ、遠くからご苦労様、帝国軍の皆さん。どうせ喋る事が出来ないだろうから長々とは言わないよ。それでは、皆さんさようなら。やれ!」
『おう!』

味方の騎士が一斉に動きの鈍った襲撃者達に斬りかかる。
魔法で呪文も勿論だが、言葉自体を封じられ、しかも動き自体も封じられている。言ってみれば、只の的と成り下がっている魔法兵や護衛の騎士達であった。しかも逃げるに逃げられない状態だ。

    瞬く間に、五十人の部隊は狩り尽くされる。残ったのは、リーダーの一人のみだ。周りを囲まれ逃げられず、抜いてあった剣で周りを威嚇したいのに、かなり重く感じているらしく剣先をプルプルさせている。

「さて、隊長さん。少しお話をしようか?」
「な?!は、話など俺にはないぞ。殺すなら、さっさと殺せ!」
「まぁ、そう言わずに、先ずはこの呪文から。〈ギアス・条件・質問に対して嘘偽りを言わない〉。」
「なにを?何だ、この黒い霧は?!」

    黒い靄は隊長さんの回りに涌き出た後に、隊長さんの体に吸い込まれていく。

「一体何をした?見たことも聞いたこともない魔法だぞ?」
「ふ、世の中は広い。隊長さんが知っている事が、世界の全てではないのだよ。さて質問だ。誰に命じられて襲ってきた?」
「その様なこと、誰が話す物か!情報部のゴール部長だ。軍部に相談があって、我々がやることとなった。・・・あれ?何でだ?」
「はいはい、それは良いから。他に仲間はいるのかな?」
「・・・詳しくは知らないが、俺達の他に二部隊動いたいるそうだ。あれ?」
「そこも情報部からの依頼かな?」
「恐らくそうだと思う。なんでだ?あれ?」
「帝国は、いまだにウェザリア占領を狙っているのか?」
「さあ、俺の様な下っぱには、詳しい情報は下りてこないが、最近は軍の再編成を急いでいるし苦心しているみたいだな。どこそこを狙うと言った具体的な話しは聞かなくなったな。ぐ、何で喋っちまうんだ?」
「最後に、帝国の民は国の政策に喜んでいるのかな?」
「とんでもない。税は高いし、治安も悪い。今の陛下が帝位に着かれてから、隣国を攻め取り続けて一時は帝国中沸き上がったが、ここの所の敗戦続きや国内の事情も悪化してきて、不満がかなり高まっているな。何で話す?何故だ!」
「どうも有難う。色々助かったよ。〈ソニックブレード〉。」

隊長さんに礼を言いながら、右腕を逆水平に振り払うと腕によって放たれた真空破が隊長さんのくびを斬り跳ばした。

(さて、後始末しないとな。)

「〈ディグ〉〈ディグ〉〈ディグ〉・・・・。」

    道から少し離れた場所に穴を開けて、再利用出来そうな装備を剥がして、穴の中に入れていく。最近は襲われてばかりなので、困ったことに後始末も馴れたものだ。

入れた死体に〈ピュリフィケーション〉をしてから、穴を埋めていく。一段落してから、再び馬車を進めた。

(あ~、あと二部隊と闇ギルドを最低でも一つ潰さないとな。面倒臭い事だねぇ。)

心の中でつい、ボヤいてしまうのだった。

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