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第十三章 何でも準備中が一番楽しいのさ。
幕間62話 とあるドワーフの親方の酒日記。②
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ツールの町の中に入ると、小さい町の割には、やたらと活気があると言うか、町の人間の顔付きが明るいというか。今まで赴いた領地には見られなかった明るさが、この町の領民達から見てとれる。この様子なら、ここの領主は悪いヤツじゃあなさそうだと少し安心したよ。
簡単に食事を済ませた後、商業ギルドにこの町に着いたことの報告をしないといけない。でないと、他の町からの問い合わせがあっても、居場所が分からないと、連絡を貰えないからだ。
まぁ、正直面倒くさいが、これも商業ギルドのルールだからな。所属している以上、ルールは守らないとな。困った時に、ギルドに守って貰えなくなるからな。そんな事を考えながら、ツールの商業ギルドの建物に入っていく。
「こんにちは。どのようなご用件でしょうか?」
受付のネェチャンか営業スマイルで聞いてくる。この笑顔は、どの町でも変わらねぇぜ全く。
「建築業の『穴堀屋』のガンテツだ。さっきツールに着いたばかりだ。着任の報告だ。宜しく頼む。」
「分かりました。ではギルドカードをお願いします。」
受付のネェチャンにギルドカードを渡すと、カウンターの下にある魔道具に差し込みボタンを押す。カチカチ音がした後に、カードが出る。
「家の商会宛に何か連絡はあったかい?」
「いえ、『穴堀屋』様宛のご連絡は預かっておりません。」
受付嬢からギルドカードを貰いながら、何かメッセージはないか確認する。
「伯爵様にお会いしたいのだが、お屋敷はどっちだい?」
「ご領主様のお屋敷は、表に出たら丘を真っ直ぐに上っていき、新しい方のお屋敷がそうですよ。」
「新しい方の屋敷だな。分かった。ありがとうよ。」
受付嬢に礼を言い、早速屋敷に向かう。
遠目にも、真新しい屋敷が見える。丘を登っていくと、何故か家精霊のブラウニー の魔力を感じる屋敷だった。時間も午後一時を過ぎて、食事の邪魔にはならない時間だ。思いきって門にいる守衛に話しかける。
「すまねぇが、俺は大工の頭でガンテツって言うが、ここは伯爵様のお屋敷で間違いないかい?」
「そうだが、何用かな?」
「王都でこちらの仕事を受けろと言われてきたんだが、伯爵様に面会したいのだが?」
「成る程、わかった。取り次いでくる。少し待っていてくれ。」
そう言うと、三人いた守衛の一人が屋敷に向かっていく。
五分も経たずに、守衛と執事服の若い男が迎えに来た。
そして執事に連れられて屋敷に入る。
玄関に入った所で待たされるが、若い執事は奥に行ったかと思うと、すぐに戻ってきて、オレを客間に案内してくれた。
座って待っていてくれと言われたので、ソファーに座り待っているとノックの後に少年と老執事が部屋に入ってきた。貴族相手なので、一応礼儀として立ち上がって出迎える。
「お待たせして済まないね。座ってくれたまえ。」
若い領主は、待たせたことを詫びながら、俺の向かいのソファーに座る。
落ち着いて、改めてその相手の顔をを見ると、どこかで見た顔だ。どこだったかな・・・。
「ああ?お前ぇ、さっきの坊主じゃないか。どうしてここに?」
「さっきぶりですね。自己紹介しますよ。ここツールの領主、ショウイチ・オオガミです。」
「なぁにぃ?、坊主が伯爵様かよ。おどれぇたなぁ。まあそんなことは良い。俺は土木建築工事専門の商会『穴堀屋』の親方でガンテツだ。宜しく頼むぜ。ガハハ。」
挨拶は大人の基本だからな。きっちりさして貰うぜ。それから依頼内容の確認にはいる。
「先ず建てるのは国軍の兵舎だったな。一万人が住める建物と五千頭が入る厩舎と倉庫と練兵場だったな。そうすると結構な棟数を建てないといけないな。大仕事だ。気合いが入るぜ。早速明日から工事に入るがよ、材料の準備はできてるかい。」
「ええ、当座必要な木材は用意してあります。残りは順次用意しますよ。石材は必要ですか?必要なら用意しますが。」
「ああ、石材は要らないぜ。土から魔法でレンガを造るからよ。木材だけ用意してくれ。」
「分かりました。次に建てる場所は町の北西から北側一帯にお願いします。工事期間は五ヶ月間で、半年後には国軍がツールに来てしまいますから。報酬は白金貨百枚でどうですか?」
「なにぃ、白金貨で百枚だとぉ?」
「少なかったですか?」
「いや、宰相様から気前が良いとは聞いていたが驚れぇたよ。う~ん、金はその半分で良いからよ、毎週エールを大樽で三樽差し入れしてくれ。それで手を打とう。」
「え、それで良いのですか?」
「分かってねぇな坊主は。ドワーフはな、仕事を命がけでやり、その後は酒で魂の洗濯をする種族なんだよ。覚えとけ坊主。」
「はあ、成る程分かりました。毎週三樽のエールを差し入れしますね。」
「おう、頼んだぜ坊主。」
「前金でお金を渡しますね。」
(いやぁ、中々話のわかる坊主で助かったぜ。あと、町には酒場の数は少なそうだったからな、酒場でエールを飲むのは、出来るだけ避けた方がよいからな。エールを差し入れして貰えるのは、こちらとしても助かるってもんだ。)
伯爵の坊主が懐から白金貨をじゃらじゃら取り出して、五十枚数えてから、俺の方にさしだす。
「おう、確かに貰ったぜ。契約書と領収書を渡すな。」
持ってきたマジックバックから書類を取り出して、必要事項を記入してから渡す。
坊主も契約書を確り見て、エールの差し入れの条件を見ると、ニヤリと笑った。
二通作りお互いが一つずつ持つ。坊主は老執事に契約書を渡すと、エールについて、頼んでいた。
「サウル、毎週三樽のエールを届けてやってくれ。」
「承知致しました。」
その後は、現場に材料を出して貰う為に予定の場所へ案内する。
「おう、ここら辺りに木材は置いてくれ。」
「じゃあ、早速出していきますね。」
坊主はそう言うと、指定した場所に次々と木材を積み上げていく。どんだけマジックバックに入っているのかと呆然として見ていると、もっといるかと聞かれたので、当座これだけあれば良いと伝える。
「おう、その位あれば当座良いぜ。それにしても、おどれぇたな。よくそんなにマジックバックに入ってたな。」
「ええ、迷宮で見つけましてね。重宝していますよ。沢山物が入って。」
「ははは。そんだけ入ればな。さて手下どもを呼んでくるか。じゃあな坊主。後は任しな。」
そう、俺は坊主に伝えると、食事に町へ出払っている手下達を呼び戻す為に、再び町に向かった。
町の人に聞くと、ドワーフという事で、直ぐに手下達の居場所は分かった。
町に数件ある酒を出す飯屋にいたよ。
店に入ると、直ぐに声をかけられる。勿論家の野郎共達だ。
「親方こっちだ。この店のエールはクセが無くて、飲み易いですぜ。親方も一杯いきましょうぜ。」
「バカヤロー。今日中に寝床となる、掘っ立て小屋を建ててしまわないと、地面の上で寝る事になるぞ。いい加減に飲むのを止めて仕事を始めろ!亭主済まないが、勘定をしてくれ。」
「大丈夫ですよ。飲み食いした分は、既に貰ってますから。」
「そうかい。なら、野郎共さっさと行くぞ!」
『へ~い。』
こうして、宴会になる手前で、店から撤収出来たことは行幸であったな。
皆を引き連れて、材木置き場に戻ると、大量に置かれた木材をみて、皆驚きの声を挙げていた。
「よーし、野郎共!ここら一帯は、既に地均ししてあるようだから、早速寝泊まりするハウスを作るぞ。」
『ヘーイ。』
精霊魔法で土台を固めて、その上に、木材を使い簡単なログハウスを組んでいく。細かい所は魔法で加工して、次々に丸太を積み上げていく。
丁度、土台が出き上がり、丸太を組始めた頃に、また伯爵の坊主が現れた。
「おう、坊主か。どうした?」
「エールを買ってきたので置いていこうかと思って。」
「そうか、早速用意してくれたか。ここに出してくれ。」
坊主にエールの樽を邪魔にならない所に三つ纏めてだして貰う。
相変わらず、坊主のマジックバックは大量に物が入るようだ。エールの大きな樽が三つも入るとは、思わず笑っちまったよ。
エールの樽を確認すると、手下達に、元気付けをする。
「野郎共喜べ。伯爵の坊主からエールの差し入れだ。とっとと組んで、宴会だ。」
『オオー!』
野太い歓声が辺りに響く。
「坊主、また来週宜しく頼むぜ。ガハハ。」
思わず、ドワーフ流の信愛の挨拶をしちまったぜ。少し坊主が痛そうな顔をしたが、細けぇことは気にしない。
結局、その日の宴会で一樽空けちまったよ。明日からはもう少し、セーブしないとな。残り二樽しかないからな。気を付けないと。翌日から、兵舎の建築にとりかかった。
一週間経って、兵舎は三棟出来上がり、四棟目の内装工事をしつつ、五棟目の土台工事にかかっている。そんな中に再び伯爵の坊主がエールの差し入れにきた。
そして、俺達の仕事の様子を見て、何故か驚ぇていたな。家の商会の建築方法は、精霊魔法を併用しているからな。その分早く建築出来るのさ。坊主が何に驚いたのかは知らないが、何やら話しかけてきた。
「親方、お疲れ様です。今週のエールここに置いておきますね。樽に少し細工をしたので、美味しくエールが飲めると思いますよ。」
「おう、坊主か。待っていたぜ。野郎共、気合い入れ直せ。今日は宴会だ。」
『おー!』
やはり、エールがあると手下達の士気が違うな。それと、坊主が何やら美味しくなる仕掛けをしたとか言っているが、さて、何をしたのやら。
まあ、エールを旨く飲めると言うのであれば、細けぇ事はあとあと。どうせ飲めば判るしな。
この時は、余り気にもしなかった。これが、坊主との長い縁に繋がるとは、この時は思いもしなかったぜ。いやー、人生何が起こるか、わかったもんじゃねぇな。
簡単に食事を済ませた後、商業ギルドにこの町に着いたことの報告をしないといけない。でないと、他の町からの問い合わせがあっても、居場所が分からないと、連絡を貰えないからだ。
まぁ、正直面倒くさいが、これも商業ギルドのルールだからな。所属している以上、ルールは守らないとな。困った時に、ギルドに守って貰えなくなるからな。そんな事を考えながら、ツールの商業ギルドの建物に入っていく。
「こんにちは。どのようなご用件でしょうか?」
受付のネェチャンか営業スマイルで聞いてくる。この笑顔は、どの町でも変わらねぇぜ全く。
「建築業の『穴堀屋』のガンテツだ。さっきツールに着いたばかりだ。着任の報告だ。宜しく頼む。」
「分かりました。ではギルドカードをお願いします。」
受付のネェチャンにギルドカードを渡すと、カウンターの下にある魔道具に差し込みボタンを押す。カチカチ音がした後に、カードが出る。
「家の商会宛に何か連絡はあったかい?」
「いえ、『穴堀屋』様宛のご連絡は預かっておりません。」
受付嬢からギルドカードを貰いながら、何かメッセージはないか確認する。
「伯爵様にお会いしたいのだが、お屋敷はどっちだい?」
「ご領主様のお屋敷は、表に出たら丘を真っ直ぐに上っていき、新しい方のお屋敷がそうですよ。」
「新しい方の屋敷だな。分かった。ありがとうよ。」
受付嬢に礼を言い、早速屋敷に向かう。
遠目にも、真新しい屋敷が見える。丘を登っていくと、何故か家精霊のブラウニー の魔力を感じる屋敷だった。時間も午後一時を過ぎて、食事の邪魔にはならない時間だ。思いきって門にいる守衛に話しかける。
「すまねぇが、俺は大工の頭でガンテツって言うが、ここは伯爵様のお屋敷で間違いないかい?」
「そうだが、何用かな?」
「王都でこちらの仕事を受けろと言われてきたんだが、伯爵様に面会したいのだが?」
「成る程、わかった。取り次いでくる。少し待っていてくれ。」
そう言うと、三人いた守衛の一人が屋敷に向かっていく。
五分も経たずに、守衛と執事服の若い男が迎えに来た。
そして執事に連れられて屋敷に入る。
玄関に入った所で待たされるが、若い執事は奥に行ったかと思うと、すぐに戻ってきて、オレを客間に案内してくれた。
座って待っていてくれと言われたので、ソファーに座り待っているとノックの後に少年と老執事が部屋に入ってきた。貴族相手なので、一応礼儀として立ち上がって出迎える。
「お待たせして済まないね。座ってくれたまえ。」
若い領主は、待たせたことを詫びながら、俺の向かいのソファーに座る。
落ち着いて、改めてその相手の顔をを見ると、どこかで見た顔だ。どこだったかな・・・。
「ああ?お前ぇ、さっきの坊主じゃないか。どうしてここに?」
「さっきぶりですね。自己紹介しますよ。ここツールの領主、ショウイチ・オオガミです。」
「なぁにぃ?、坊主が伯爵様かよ。おどれぇたなぁ。まあそんなことは良い。俺は土木建築工事専門の商会『穴堀屋』の親方でガンテツだ。宜しく頼むぜ。ガハハ。」
挨拶は大人の基本だからな。きっちりさして貰うぜ。それから依頼内容の確認にはいる。
「先ず建てるのは国軍の兵舎だったな。一万人が住める建物と五千頭が入る厩舎と倉庫と練兵場だったな。そうすると結構な棟数を建てないといけないな。大仕事だ。気合いが入るぜ。早速明日から工事に入るがよ、材料の準備はできてるかい。」
「ええ、当座必要な木材は用意してあります。残りは順次用意しますよ。石材は必要ですか?必要なら用意しますが。」
「ああ、石材は要らないぜ。土から魔法でレンガを造るからよ。木材だけ用意してくれ。」
「分かりました。次に建てる場所は町の北西から北側一帯にお願いします。工事期間は五ヶ月間で、半年後には国軍がツールに来てしまいますから。報酬は白金貨百枚でどうですか?」
「なにぃ、白金貨で百枚だとぉ?」
「少なかったですか?」
「いや、宰相様から気前が良いとは聞いていたが驚れぇたよ。う~ん、金はその半分で良いからよ、毎週エールを大樽で三樽差し入れしてくれ。それで手を打とう。」
「え、それで良いのですか?」
「分かってねぇな坊主は。ドワーフはな、仕事を命がけでやり、その後は酒で魂の洗濯をする種族なんだよ。覚えとけ坊主。」
「はあ、成る程分かりました。毎週三樽のエールを差し入れしますね。」
「おう、頼んだぜ坊主。」
「前金でお金を渡しますね。」
(いやぁ、中々話のわかる坊主で助かったぜ。あと、町には酒場の数は少なそうだったからな、酒場でエールを飲むのは、出来るだけ避けた方がよいからな。エールを差し入れして貰えるのは、こちらとしても助かるってもんだ。)
伯爵の坊主が懐から白金貨をじゃらじゃら取り出して、五十枚数えてから、俺の方にさしだす。
「おう、確かに貰ったぜ。契約書と領収書を渡すな。」
持ってきたマジックバックから書類を取り出して、必要事項を記入してから渡す。
坊主も契約書を確り見て、エールの差し入れの条件を見ると、ニヤリと笑った。
二通作りお互いが一つずつ持つ。坊主は老執事に契約書を渡すと、エールについて、頼んでいた。
「サウル、毎週三樽のエールを届けてやってくれ。」
「承知致しました。」
その後は、現場に材料を出して貰う為に予定の場所へ案内する。
「おう、ここら辺りに木材は置いてくれ。」
「じゃあ、早速出していきますね。」
坊主はそう言うと、指定した場所に次々と木材を積み上げていく。どんだけマジックバックに入っているのかと呆然として見ていると、もっといるかと聞かれたので、当座これだけあれば良いと伝える。
「おう、その位あれば当座良いぜ。それにしても、おどれぇたな。よくそんなにマジックバックに入ってたな。」
「ええ、迷宮で見つけましてね。重宝していますよ。沢山物が入って。」
「ははは。そんだけ入ればな。さて手下どもを呼んでくるか。じゃあな坊主。後は任しな。」
そう、俺は坊主に伝えると、食事に町へ出払っている手下達を呼び戻す為に、再び町に向かった。
町の人に聞くと、ドワーフという事で、直ぐに手下達の居場所は分かった。
町に数件ある酒を出す飯屋にいたよ。
店に入ると、直ぐに声をかけられる。勿論家の野郎共達だ。
「親方こっちだ。この店のエールはクセが無くて、飲み易いですぜ。親方も一杯いきましょうぜ。」
「バカヤロー。今日中に寝床となる、掘っ立て小屋を建ててしまわないと、地面の上で寝る事になるぞ。いい加減に飲むのを止めて仕事を始めろ!亭主済まないが、勘定をしてくれ。」
「大丈夫ですよ。飲み食いした分は、既に貰ってますから。」
「そうかい。なら、野郎共さっさと行くぞ!」
『へ~い。』
こうして、宴会になる手前で、店から撤収出来たことは行幸であったな。
皆を引き連れて、材木置き場に戻ると、大量に置かれた木材をみて、皆驚きの声を挙げていた。
「よーし、野郎共!ここら一帯は、既に地均ししてあるようだから、早速寝泊まりするハウスを作るぞ。」
『ヘーイ。』
精霊魔法で土台を固めて、その上に、木材を使い簡単なログハウスを組んでいく。細かい所は魔法で加工して、次々に丸太を積み上げていく。
丁度、土台が出き上がり、丸太を組始めた頃に、また伯爵の坊主が現れた。
「おう、坊主か。どうした?」
「エールを買ってきたので置いていこうかと思って。」
「そうか、早速用意してくれたか。ここに出してくれ。」
坊主にエールの樽を邪魔にならない所に三つ纏めてだして貰う。
相変わらず、坊主のマジックバックは大量に物が入るようだ。エールの大きな樽が三つも入るとは、思わず笑っちまったよ。
エールの樽を確認すると、手下達に、元気付けをする。
「野郎共喜べ。伯爵の坊主からエールの差し入れだ。とっとと組んで、宴会だ。」
『オオー!』
野太い歓声が辺りに響く。
「坊主、また来週宜しく頼むぜ。ガハハ。」
思わず、ドワーフ流の信愛の挨拶をしちまったぜ。少し坊主が痛そうな顔をしたが、細けぇことは気にしない。
結局、その日の宴会で一樽空けちまったよ。明日からはもう少し、セーブしないとな。残り二樽しかないからな。気を付けないと。翌日から、兵舎の建築にとりかかった。
一週間経って、兵舎は三棟出来上がり、四棟目の内装工事をしつつ、五棟目の土台工事にかかっている。そんな中に再び伯爵の坊主がエールの差し入れにきた。
そして、俺達の仕事の様子を見て、何故か驚ぇていたな。家の商会の建築方法は、精霊魔法を併用しているからな。その分早く建築出来るのさ。坊主が何に驚いたのかは知らないが、何やら話しかけてきた。
「親方、お疲れ様です。今週のエールここに置いておきますね。樽に少し細工をしたので、美味しくエールが飲めると思いますよ。」
「おう、坊主か。待っていたぜ。野郎共、気合い入れ直せ。今日は宴会だ。」
『おー!』
やはり、エールがあると手下達の士気が違うな。それと、坊主が何やら美味しくなる仕掛けをしたとか言っているが、さて、何をしたのやら。
まあ、エールを旨く飲めると言うのであれば、細けぇ事はあとあと。どうせ飲めば判るしな。
この時は、余り気にもしなかった。これが、坊主との長い縁に繋がるとは、この時は思いもしなかったぜ。いやー、人生何が起こるか、わかったもんじゃねぇな。
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