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第 九章 町政と商会の始動そして海賊退治。

第137話 二日酔いは、誰のせいでもありません。。

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    「皆、お早う。昨晩は済まなかったね。醜態をさらしてしまったようだ。どうやら、私は酒に極端に弱いようだね。なので今後は私に酒を進める事は無しで頼むよ。起きたら二日酔いで頭の痛いこと(笑)。魔法で二日酔いは治したが、あの痛みは、もうゴメンだな。誰か二日酔いで困ってる者はいるかな?治して上げるよ。(笑い)」

照れ笑いしながら、テーブルについている一同に挨拶をする。

    オルソンが嫁さんと一緒に立ち上がり、私に向かって深々と頭を下げて言う。

「閣下、昨夜は大変に失礼を致しました。この通り、申し訳ありません。」

夫婦揃って頭を下げる。
参ったね。これから、仕事で暫く大変な日が続くのに、彼に変な気負いを持って欲しくないからな。ここは笑って流そう。

「いやー、参った参った(笑)。初めて酒を飲んだが、私は一口目はそこそこ旨かったがな。その後が二日酔いで頭痛もするしね。私には合わなかったな。早目にそれが分かっただけでも十分さ。
オルソン卿、余り気にするな。いずれ同じ事が起こったさ。いやー、良い勉強になったよ(笑)。」
「閣下、・・・有難うございます。」
「なんだ、いきなり。それより、今日から仕事が始まる。町の治安を頼むよ。」
「はっ!お任せください。」
「夫人にも、いらぬ心配をさせたかもしれないね。酒の席での事、気にされますな。さ、二人とも席に戻って戻って。朝飯朝飯。」
「コホン!旦那様。」
「おっと、失礼した。昔の口癖が出た様だね。サウルに叱られてしまう。失敬、失敬。(笑)」

    全員、席に座り直す。それを見て私も席に着く。

「さて、食事の前に伝達事項だ。朝食後ハザル卿、レオパルド卿、オルソン卿とサウルは元代官屋敷改め町役場の執務室に集合してくれ。アイリス、午前中はアルメイダの勉強を見てやってくれ。他は当座自由行動で。いいかな?」
「承知しました。」
「分かったわ、ショウさん。」
「アルメイダ、頑張ったら、前食べた肉串を一本あげるよ。」
「にゃっ、アル頑張るにゃ。」
「うん、頑張れよ。でないと私が食べてしまうからね。」
「にゃぁ!ショウ兄ちゃんはズルいのにゃ。頑張って肉串貰うのにゃ。」
「ははは。伝達事項は以上だ。では始めてくれ。」

    合図と共にメイド達が配膳していく。今日の朝は、具沢山な野菜スープとスクランブルエッグ、白パンと野菜サラダだ。ドレッシングは昨日も出た、特製レシピのやつだ。野菜をとらないとねぇ。と、アラフォー時代に自分に言い聞かせていたのを思い出して、ニヤニヤしながら『いただきます。』をする。

    「閣下、何か良いことでも有りましたか?」

レナードが笑いながら聞いてくる。本当の事は言えないので、取り敢えず誤魔化す。

「まあね。今までは前の代官の後始末に追われていて、自分のしたかったことに手を着けられなかったからね。今日からやっとあれこれと始められると思うとね、つい嬉しくなってね。」
「成程、納得です。前のは酷かったですからな。」
「そうなんだよねぇ。ま、それは終わったことだから。」

スクランブルエッグを食べて、ふと思い付く。

(ここ何日か食べていて、やっと気づいたが、家の料理人どうして店を潰したのか、何と無くだが分かった気がする。この料理人、汁物は旨いが、メインの焼き物は平凡なんだな。これだと冬場はよいが、港で働く肉体労働者には、すぐに飽きられるな。あと冒険者にもだな。
    港町の飯屋で肉体労働者や冒険者に来て貰えないと店としてやっていけない訳だよ。成る程ね。これは早目にパスタマシンを造らないとね、ミンチメーカーが有る筈だよな。後でたしかめよう。)

色々と考えながら食べ終わり『いただきました。』をする。

    一旦部屋に戻り、普段着の貴族服に着替えて、隣の町役場に向かう。
一階にある、行政部の部屋に行き中に入り挨拶す?。」皆お早う。」

仕事がもう始まっているらしく、其々が机について仕事をしている。
私の姿を見て、一同立ち上がって挨拶をしてくる。
一通り終わった所で、皆に席に着くように言う。

    「そのまま座って聞いてくれ。アルトリンゲン君から聞いている者もいるかもしれないが、今日から新しい行政官が三人仕事に着く。今までは、行政部という事で一つの部署で皆仕事をしていたが、行政組織を改編する。民政部と財政部と司法警察部の三つだ。今財政と衛兵関係の仕事をしている者は、新しい部署に移って貰う事になる。まあ、やることはそう変わらないと思うけどね。詳しくは、この後幹部会議の後に知らせる。それまでは、現状の仕事を進めてくれ。アルトリンゲン君、悪いが執務室に集合だ。」

    三階にある執務室に着くと既に三人は来てソファーに座っていた。一斉に立ち上がり頭を下げる。
それを見ながら執務机の立派な皮張りの椅子に座る。

「皆も座ってくれ。」

    一同がソファーに座ると、その顔を見回してから言う。

「今日から新生ツールの始まりです。アルトリンゲン君には初めて見る顔だろうから、紹介するね。まず、実務のトップ、行政長官のハザル・フォン・ダラス卿だ。」
「。ハザル・フォン・ダラス騎士爵です。ダラス卿と呼んで下さい。宜しくアルトリンゲン君。」

自己紹介して握手を交わす二人。

「次が新設の財務部の部長のレオパルド・フォン・サイラス卿だ。」
「レオパルド・フォン・サイラス騎士爵です。サイラス卿と呼んで下さい。宜しく。」

先程同様に二人とも握手を交わす。

「最後に、これまた新設の司法警察部の部長のオルソン・フォン・ターセル卿だ。」
「オルソン    フォン    ターセル騎士爵です。ターセル卿と呼んでくれ。」

握手を交わしながら、オルソンは言う。

「それで、三人に紹介するが、彼がアルトリンゲン・バイザー君。民政部の部長となる。互いに新しい組織を運営していくのだから、分からないことはアルトリンゲン君に聞くなり、私に確認するなりして、分からないことをそのままにしないこと。宜しいか?」
「「「「承知しました。」」」」

四人息の合った返事をする。

「では、組織の説明と当座の最優先課題を伝えるね。」

それから三時間程管轄と書類処理の手順等の朝早くに考えていた事を伝える。あと三階が行政長官部が使い、二階に財務部と司法警察部の本部に、一階はそのまま民政部にして、外来の受付カウンターなどを設置する様にアルトリンゲンに言う。

    そして、ハザルの目の前に残りの七ヶ月の財政予算として、袋に入った金貨五千枚と白金貨百五十枚をそれぞれ置いた。

「これが今年の年末までの予算だ。白金貨にして二百枚分だ。もし、余ったら繰り越しの予備費として帳簿管理してくれ。
    来年からは、基本徴税した中で遣り繰りしてくれ。赤字の場合は私が補填するが、初めから赤字覚悟で仕事をしないように(笑)。会計報告書は翌月に出してくれよ。以上だ。何か質問は?」
「人員は増やしてもよいのですか?」

ハザルが聞いてきた。

「各部署毎の決済で雇って良いよ。身元はしっかり確認してね。」

この後幾つかの質問に答えて解散した。

    やっと、フリーハンドになれたかな。後は彼らに期待だ。一仕事終え少しだけ肩が軽くなったきがする。さあ、昼飯を食いに屋敷に戻ろうか。


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